Google口コミで名誉毀損された|削除・損害賠償請求の流れを徹底解説

Google口コミで名誉毀損された|削除・損害賠償請求の流れを徹底解説
弁護士 若林翔
2025年11月07日更新

「Googleの口コミで名誉毀損をされて困っている…」

「名誉毀損にあたる口コミを削除する方法を知りたい」

「口コミの削除だけでなく、名誉毀損をした投稿者を特定して損害賠償請求をしたい」

Googleの口コミは、いまやお店や病院、宿泊施設などを利用する際に、多くの人が必ずといっていいほど参考にする情報源です。よい口コミが集まれば集客につながる一方で、根拠のない悪評や事実に反する内容が書き込まれてしまうと、事業者や個人の信用を大きく傷つけてしまいます。

実際に「料理に虫が入っていた」「医療ミスばかりの病院だ」「ブラック企業だ」などといった口コミが投稿され、売上減少や患者離れ、従業員採用への悪影響につながったケースも少なくありません。

このような根拠のない悪評は、名誉毀損に該当する場合があります。名誉毀損にあたる口コミは、Googleに削除を求めることができ、さらに投稿者を特定して損害賠償を請求できる可能性もあります。

本記事では、

・Googleの口コミが名誉毀損にあたる条件
・名誉毀損にあたる具体的な口コミの事例
・削除を求める方法や損害賠償請求の流れ

などをわかりやすく解説します。

「悪質な口コミに困っているが、どう対応すればよいのかわからない」と悩んでいる方にとって実践的な指針となる内容ですので、ぜひ最後までお読みください。

Googleの口コミが名誉毀損にあたるなら削除や開示請求による特定・損害賠償請求、刑事告訴ができる

Googleの口コミは、利用者が自由に投稿できる反面、根拠のない悪評や事実と異なる内容が書き込まれてしまうリスクがあります。このような口コミの中には、投稿された内容が「名誉毀損」にあたるケースもあり、その場合は削除を求めることが可能です。以下では、Googleの口コミで名誉毀損が成立する要件を説明します。

(1)公然性が認められること

名誉毀損が成立するためには、内容が不特定または多数の人に伝わる状態、すなわち「公然性」が必要です。Googleの口コミはインターネット上で誰でも閲覧可能であり、特定の顧客だけでなく一般の利用者にも広く公開されているため、この要件は問題なく満たします。

(2)人の社会的評価を下げる内容であること

投稿内容が、対象となる個人や法人の信用・評判を社会的に低下させるものである必要があります。たとえば「料理に虫が入っていた」「院長は誤診ばかりする」などは、事業者の評価を著しく損ない、顧客や患者離れにつながる可能性があります。

(3)事実の摘示があること

名誉毀損は、単なる意見や感想ではなく「事実」を示していることが条件となります。

「接客が悪いと感じた」「好みの味ではなかった」といった主観的な感想は、通常、名誉毀損にはあたりません。しかし、「この会社は反社会的勢力と関わっている」「旅館が違法営業をしている」といった事実を摘示する表現は、名誉毀損にあたる可能性が高いでしょう。

名誉毀損にあたるGoogleの口コミの具体例

業種口コミの例名誉毀損とされる理由
飲食店「料理に虫が入っていた」
「厨房にネズミがいた」
衛生管理に重大な問題があると印象づけ、店舗の社会的評価を下げる
病院「誤診ばかりするヤブ医者」
「過去に医療過誤があったから信用できない」
医師や病院の信用を損なう内容で、診療機関としての評価を著しく低下させる
宿泊施設「この旅館のオーナーは元犯罪者」
「○○ホテルは売春のあっせんをしている」
犯罪や違法行為との関係を示唆し、経営者や施設への信頼を損なう
会社•企業「社長が反社会的勢力と関係している」   「サービス残業が当たり前のブラック企業」経営陣や労働環境に関する悪評で、取引先や求職者からの信頼を大きく失わせる可能性あり

名誉毀損に該当するかどうかは、投稿の内容が「社会的評価を下げる事実」を摘示しているかどうかによって判断されます。以下では、名誉毀損に該当するGoogleの口コミの具体例を紹介します。

飲食店への口コミの例

飲食店に関する口コミは、利用者の選択に直結するため影響が大きい分野です。

・「料理に虫が入っていた」
・「厨房にネズミがいた」

このような書き込みは、店舗の衛生管理に重大な問題があるかのような印象を与え、信用を大きく損ないますので、名誉毀損にあたる口コミといえるでしょう。

病院への口コミの例

病院やクリニックに対する口コミは、患者の信頼に直結するため深刻です。

・「過去に医療過誤があったから信用できない」
・「誤診ばかりするヤブ医者だ」

診療に関して事実のように断定する書き込みは、医療機関の信用を失わせる結果につながりますので、名誉毀損にあたる口コミといえるでしょう。

旅館・ホテルへの口コミの例

宿泊施設では、安心感や信頼性が利用者の選択に大きく影響します。

・「この旅館のオーナーは元犯罪者だ」
・「○○ホテルは売春のあっせんを行っているらしい」

このように犯罪や違法行為を示唆する内容は、事業者の社会的評価を著しく低下させますので名誉毀損にあたる口コミといえるでしょう。

会社への口コミの例

企業に対する口コミは、採用や取引に直結します。

・「社長が反社会的勢力とつながりがある」
・「サービス残業が横行するブラック企業だ」

このような口コミは、経営者や会社の信用を失墜させ、経済的損失に直結する可能性がありますので、名誉毀損にあたる口コミといえるでしょう。

Googleの口コミによる名誉毀損で賠償金の支払いが命じられた事例

Googleの口コミによる名誉毀損で賠償金の支払いが命じられた事例

Googleの口コミは誰でも簡単に投稿できるため、虚偽や誇張を含む悪評が掲載されることも少なくありません。このような口コミが名誉毀損にあたると判断されれば、投稿者に損害賠償を命じる判決が下されることもあります。以下では、実際に裁判で賠償が認められた事例を紹介します。

眼科医院の悪評を投稿した人に200万円の支払いが命じられた事例

ある眼科医院に対し、根拠のない悪評をGoogleに書き込んだ投稿者に対し、裁判所が200万円の損害賠償を命じた事例があります(参照:朝日新聞)。

口コミの内容は、「レーシック手術は左目だけで勝手に右目はレンズを入れられた」「勝手に一重まぶたにされ、たぶん視界は狭くなった」といったもので、患者の信頼を大きく揺るがすものでした。裁判所は、発言が事実に基づかず、社会的評価を著しく低下させると認定し、名誉毀損が成立すると判断し、200万円の支払いを命じました。

この判決は、医療機関に対する悪評が患者離れや経営への打撃に直結することを示しています。

クリニックの悪評を投稿した人に300万円超の支払いが命じられた事例

クリニックに対する虚偽の口コミを投稿した人物に対し、裁判所が300万円を超える高額の損害賠償を命じました(参照:産経ニュース)。

口コミの内容は、「理学療法士でもない感じで身体をさすっているだけ」「医師が自分のやり方に文句があるのかと大声でキレた」といった根拠のない批判であり、クリニックの評判を大きく損なうものでした。

裁判所は、口コミが患者に強い不安を与え、営業上の不利益をもたらした点を重視し、高額の賠償を認定しました。

名誉毀損にあたるGoogle口コミの削除方法

名誉毀損にあたる口コミが投稿された場合、放置すれば店舗や企業の信用失墜、売上の減少、患者や顧客離れといった深刻な被害につながります。そのため、できるだけ早く削除を求めることが重要です。以下では、名誉毀損にあたるGoogleの口コミを削除する2つの方法を紹介します。

Googleの専用フォームから削除申請をする

もっとも一般的な方法は、Googleが提供している「問題のあるコンテンツを報告するフォーム」から削除を申請することです。

削除申請の流れは以下のとおりです。

①Googleマップ上で該当する口コミを見つける
②口コミの右上にある「報告」メニューから「不適切なコンテンツを報告」を選択
③専用フォームに進み、名誉毀損や虚偽情報など削除理由を入力
④必要に応じて証拠資料(事実でないことを示す資料など)を添付し送信

Google側の審査でガイドライン違反や違法性が認められれば、口コミが削除されます。

ただし、申請しても削除されないケースも多く、必ずしも迅速に対応されるとは限りません。

Googleビジネスの口コミ削除

Googleマップの口コミ削除

裁判所に口コミ削除の仮処分の申立てをする

Googleによる自主的な削除が難しい場合には、裁判所に「仮処分」の申立てを行う方法があります。仮処分とは、本裁判の前に差し迫った被害を防ぐために緊急的に出される命令のことです。

口コミ削除の仮処分の手続きの流れは以下のとおりです。

①裁判所に仮処分を申立てる
②裁判所が名誉毀損に該当するかを審理する
③担保金の供託をする
④Googleに対して削除を命じる仮処分決定が出される

裁判所の命令で削除が認められれば、Googleはこれに従う義務があるため、確実性が高い方法といえます。

ただし、専門的な手続きになるため、仮処分の申立てを迅速かつ適切に進めるには知識や経験を有する弁護士のサポートが不可欠です。

Google口コミの投稿者に対して名誉毀損を理由に損害賠償請求ができる|損害賠償請求の流れ

google口コミで名誉毀損された場合の損害賠償請求の流れ

Googleの口コミが名誉毀損にあたる場合、削除を求めるだけでなく、投稿者を特定して損害賠償を請求することも可能です。ただし、口コミは匿名で投稿されることが多いため、投稿者を特定するには法的手続きを踏む必要があります。以下では、Google口コミの投稿者を特定する流れを説明します。

Googleに発信者情報開示請求

最初のステップは、投稿者の特定に必要な「IPアドレス」などの発信者情報をGoogleから取得することです。

被害者は、通常、弁護士を通じてGoogleに対し、発信者情報開示請求を行います。開示が認められると、該当口コミが投稿された際のIPアドレスや投稿日時(タイムスタンプ)が提供されます。これらの情報は、後の裁判で不可欠な証拠となるため、迅速に動くことが重要です。

IPアドレスからプロバイダを特定

次に、入手したIPアドレスをもとに、投稿時に利用されたインターネット接続事業者(プロバイダ)を特定します。IPアドレスは通信経路を遡ることで、どの事業者を通じて発信されたかを割り出すことが可能です。ここで特定したプロバイダが、実際に契約者の個人情報を保有しているため、損害賠償請求の次の段階につなげられます。

プロバイダに発信者情報開示請求

プロバイダを特定した後は、契約者の氏名や住所などを開示してもらうために「発信者情報開示請求」を行います。プロバイダは、利用者のプライバシーを保護する義務があるため、任意で開示することは稀で、多くの場合は裁判所に訴訟を提起して開示命令を得る必要があります。

プロバイダに対する発信者情報開示請求訴訟で、開示を認める判決が確定すれば、プロバイダから契約者の氏名や住所などの情報が開示されます。

投稿者を特定して損害賠償請求

最終的に、発信者情報の開示によって投稿者の氏名や住所が判明すれば、損害賠償請求が可能になります。請求できる損害には、店舗や企業の売上減少など営業上の実損だけでなく、精神的苦痛に対する慰謝料も含まれます。

過去の裁判例では数十万円から数百万円の賠償が命じられた事例もあり、悪質なケースでは高額化する傾向があります。投稿者に法的責任を取らせることで、被害回復と再発防止の効果が期待できます。

Googleの口コミで名誉毀損をされたときに弁護士を依頼するメリット

Googleの口コミで名誉毀損をされたときに弁護士を依頼するメリット

Googleの口コミで名誉を傷つけられた場合、自分で削除申請をしたり、投稿者に責任を追及したりすることも不可能ではありません。しかし、実際には専門的な知識や法的手続きを要するため、個人で対応するのは困難です。このような場合には、弁護士に依頼することで迅速かつ確実に問題解決を進めることができます。

口コミが名誉毀損に該当するか判断できる

まず重要なのは、投稿内容が法的に「名誉毀損」にあたるのかを正しく判断することです。単なる感想や批評は名誉毀損に該当しない場合もあるため、専門的な見解が必要となります。

弁護士に相談すれば、口コミが削除対象となる可能性や損害賠償請求が可能であるかどうかを的確に見極めてもらえます。

迅速な削除請求が可能

Googleへの削除申請は誰でもできますが、法的観点から理由を整理して主張しなければ、削除に応じてもらえないことも多いのが実情です。

弁護士は、投稿内容が名誉毀損に該当する法的根拠を示したうえで、Googleや裁判所に対して適切に申立てを行うことができます。これにより、個人で対応するよりも高い確率で、かつ迅速に削除が実現する可能性が高まります。

発信者の特定から損害賠償請求まで一括対応

匿名投稿者に対して損害賠償請求を行うには、Googleやプロバイダへの開示請求、裁判所への申立てなど複雑な手続きが必要です。

弁護士に依頼すれば、発信者情報の開示から投稿者の特定、そして損害賠償請求までを一括して任せることができます。被害者自身が煩雑な手続きを行う必要がなくなりますので、精神的負担も大幅に軽減されるでしょう。

Googleの口コミで名誉毀損されたときはグラディアトル法律事務所に相談を

Googleの口コミによる名誉毀損は、放置しておくと売上の減少や取引先からの信用失墜、さらには採用活動への悪影響など、事業の存続に深刻な打撃を与える可能性があります。被害を最小限に抑えるためには、早期の対応が欠かせません。

グラディアトル法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷・口コミ削除に関する豊富な実績があります。Googleへの削除申請のサポートはもちろん、削除が認められなかった場合の裁判所への仮処分申立て、発信者情報開示請求、そして投稿者に対する損害賠償請求まで、一括して対応が可能です。

また、依頼者の状況に合わせて、削除を優先するのか、損害賠償を重視するのかといった方針を柔軟に提案できる点も強みです。専門知識を持つ弁護士に任せることで、依頼者は精神的負担を減らしつつ、確実な解決に向けて動くことができます。

Googleの口コミで名誉を傷つけられたとお感じになったら、ひとりで悩まずに、まずは当事務所へご相談ください。初回相談から迅速に状況を整理し、最適な解決策をご提案いたします。

まとめ

Googleの口コミで名誉毀損されたときはグラディアトル法律事務所に相談を

Googleの口コミは集客や信用に直結する一方で、虚偽や悪意のある投稿によって名誉を傷つけられるリスクもあります。名誉毀損にあたる口コミは、削除申請や裁判所への仮処分、さらには投稿者への損害賠償請求によって対応可能です。しかし、手続きは専門的で複雑なため、弁護士のサポートを受けることが重要です。

グラディアトル法律事務所では、口コミ削除から損害賠償請求まで一括対応し、依頼者の権利を守ります。悪質な口コミに悩んでいる方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力。数多くの夜のトラブルを解決に導いてきた経験から初の著書「歌舞伎町弁護士」を小学館より出版。 youtubeやTiktokなどでもトラブルに関する解説動画を配信している。

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