「SNSでの晒し行為の被害に遭ったけど、これって違法ではないの?」
「SNSの晒し被害に遭ったときの対処法を知りたい」
「SNSの晒し行為を放置しているとどのようなリスクがある?」
Twitter(現X)やInstagram、TikTokなどのSNSでは、誰でも気軽に投稿できるメリットがある反面、個人を「晒す」行為による深刻なトラブルも生じています。顔写真や動画を無断で公開されたり、実名・住所・勤務先といった個人情報をさらされたりすることで、プライバシーを侵害されるケースが増えています。また、事実無根の書き込みや誹謗中傷によって、名誉を傷つけられたり、学校や職場で不利益を被ったりする被害も少なくありません。
このようなSNSでの晒し行為は、名誉毀損罪や侮辱罪などの刑事責任に発展する可能性があり、肖像権やプライバシー権の侵害として民事上の損害賠償を請求できる場合もあります。放置してしまうと、情報が拡散され被害が拡大するだけでなく、精神的苦痛や社会的信用の低下といった深刻な影響が生じかねません。
本記事では、
| ・SNSでの晒し行為が違法とされるケース ・SNSでの晒し行為を放置するリスク ・SNSの晒し被害を受けた際の具体的な対処法 |
などをわかりやすく解説します。
被害を最小限に抑えるためにも、早期に正しい対応を取ることが重要です。
SNSでの晒し行為は違法?問われる可能性のある主な犯罪と権利侵害

SNSでの晒し行為は、単なる迷惑行為にとどまらず、刑事事件や民事上の責任追及につながる場合があります。具体的には、名誉毀損罪や侮辱罪といった刑事罰に加えて、肖像権やプライバシー権の侵害として損害賠償請求の対象となることがあります。以下では、SNSでの晒し行為が違法となる主なケースを説明します。
社会的評価を低下させる事実をSNSで公表する|名誉毀損罪
他人の不正行為や過去のトラブルなど、社会的評価を下げる事実をSNSに投稿すると「名誉毀損罪」にあたる可能性があります。たとえ内容が真実であっても、公表する目的が公益性に欠けていれば処罰対象となります。
名誉毀損罪が成立すると、3年以下の懲役・禁錮(拘禁刑)または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
事実を摘示することなくSNSで社会的評価を低下させる表現をする|侮辱罪
「最低」「クズ」など、事実を示さずに他人を貶める投稿は、「侮辱罪」にあたる可能性があります。
侮辱罪は、2022年の法改正により厳罰化され、1年以下の懲役・禁錮(拘禁刑)もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料が科されます。SNSの投稿は不特定多数に拡散されやすいため、侮辱の影響がより大きくなる傾向があります。
顔写真を無断でSNS上で公開する|肖像権侵害
他人の顔写真や動画を本人の同意なくSNSに投稿することは、肖像権侵害となる場合があります。肖像権は、憲法13条に基づく「人格権」の一種とされ、無断使用は差止めや損害賠償の対象となり得ます。
特に、未成年や一般人の写真を晒す行為は、被害者の生活や安全に深刻な影響を与える可能性が高いため注意が必要です。
他人の実名・住所・勤務先などをSNSで公開する|プライバシー権侵害
本人の承諾なく、実名・住所・電話番号・勤務先などの個人情報をSNSで公開する行為は、プライバシー権の侵害にあたります。プライバシー権も人格権の一部とされ、裁判例でも違法性が認められることが多い分野です。
晒された情報がネット上に残り続けることで、就職や人間関係など将来的にも不利益を被る可能性があります。
SNSでの晒し行為を放置することで生じるリスク
SNSでの晒し行為に気づいても、「そのうち消えるだろう」「相手にしない方がいい」と放置してしまう方も少なくありません。しかし、晒し行為は放置することで被害が拡大し、取り返しのつかない状況になる可能性があります。以下では、放置によって生じる主なリスクを説明します。
誹謗中傷や社会的評価の低下による精神的苦痛
SNSでの晒しは、多くの場合、誹謗中傷とセットになっています。根拠のない悪口や攻撃的な表現が拡散されることで、被害者は強いストレスや不安を抱え、日常生活に支障をきたすこともあります。
長期化すればうつ病や不眠症などの精神的疾患につながるおそれもあり、深刻な健康被害を招くリスクがあります。
職場や学校での影響
晒された内容が職場や学校に伝わると、いわれのない誤解や偏見を受けることがあります。場合によっては、同僚や上司、友人や教師からの信頼を損なったり、いじめや孤立の原因となったりすることもあります。特に、実名や勤務先・学校名が晒されている場合、直接的な影響を避けるのは難しくなります。
情報の拡散による被害拡大
SNS上の情報は、一度拡散されると完全に消し去ることが難しいのが現実です。スクリーンショットが保存されたり、他の掲示板やまとめサイトに転載されたりすることで、削除対応が困難になります。
放置することで被害が増幅し、数年後に再び問題が掘り起こされるケースも少なくありません。
本人だけでなく家族への波及
晒し行為の矛先は、必ずしも本人だけにとどまりません。家族の名前や写真まで晒されてしまえば、家族が巻き込まれたり、家族が周囲から嫌がらせを受けたりすることもあります。特に、子どもや高齢の親など、社会的に弱い立場の家族への影響は大きく、家庭全体の生活を脅かす結果になりかねません。
SNS晒しに気づいたときはすぐに行動を!SNSでの晒しに対する対処法

SNSで晒し被害を受けた場合、放置してしまうと被害は拡大し続けるおそれがあります。被害を最小限に食い止めるためには、早期に適切な対応を取ることが重要です。以下では、SNSでの晒しに対する対処法を説明します。
SNS晒しの被害に関する証拠を保全する
晒し被害に気づいたら、最初にすべきことは「証拠の保全」です。投稿が削除されてしまうと、後から違法性を立証したり損害賠償を請求したりするのが難しくなります。具体的には、問題となる投稿画面をスクリーンショットで保存し、投稿日時・アカウント名・URLを記録しておきましょう。
証拠がなければ削除請求や発信者特定の手続きが進められないため、まずは冷静に証拠を押さえることが重要です。
SNSの運営プラットフォームに削除申請をする
証拠を確保したら、各SNSの運営会社に削除申請を行いましょう。
X(旧Twitter)やInstagram、YouTube、Facebookなどには、それぞれ利用規約やガイドラインに基づく通報フォームが設けられています。名誉毀損やプライバシー侵害を理由に申請すれば、審査のうえで削除が実施されるケースがあります。特に、未成年の写真や住所などの個人情報が晒されている場合は、迅速に対応してもらえる可能性が高いです。
削除が早期に実現すれば、被害の拡大を防げるため、証拠保全後は速やかに申請することが望ましいでしょう。
任意に削除がなされないときは裁判所に削除仮処分の申立てをする
運営会社が削除申請に応じない場合や、対応が遅れて被害が拡大している場合には、裁判所に削除仮処分を申し立てることが可能です。
削除仮処分は、通常の裁判よりも迅速に審理され、緊急的に投稿の削除を命じてもらえる手続きです。たとえば、誹謗中傷が続いて精神的に追い込まれている場合や個人情報の拡散で日常生活に支障をきたしている場合などには有効です。
裁判所の判断が入ることで運営会社も対応せざるを得なくなるため、任意の削除が期待できないときには早めに検討すべき手段といえます。
投稿者を特定するために発信者情報開示請求をする
晒し行為を行った投稿者を特定するには、「発信者情報開示請求」という法的手続きが必要です。
まず、SNS運営会社に対して投稿に紐づくIPアドレスなどの情報開示(発信者情報開示の仮処分)を求め、その後、通信事業者に契約者情報の開示を請求(発信者情報開示請求訴訟)するという二段階の流れを踏みます。
ただし、これらの手続きには期限があり、一定期間を過ぎるとアクセスログなどのデータが消去されてしまいます。迅速に動かなければ加害者特定が不可能になるため、専門的な知識を持つ弁護士に依頼して進めることが望ましいです。
投稿者に対して損害賠償請求をする
投稿者が特定できれば、民事上の責任追及として損害賠償請求を行うことが可能です。請求できるのは、誹謗中傷による精神的苦痛に対する慰謝料や、社会的信用を失ったことによる経済的損害などです。
慰謝料の金額は、被害の内容や拡散度合いによって変動しますが、一般的には数十万円から100万円程度が相場です。
悪質なケースについては刑事告訴を検討する
晒し行為が名誉毀損罪や侮辱罪、脅迫罪などに該当する場合には、刑事告訴を行うことも有効です。
刑事告訴は、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示です。告訴が受理されれば警察の捜査が開始し、起訴されれば刑罰が科される可能性があります。
民事的な損害賠償だけでは再発防止につながらないときや、被害が極めて深刻な場合には検討すべき手段といえるでしょう。
SNSでの晒し被害を弁護士に相談するメリット

SNSでの晒し被害は、匿名による加害行為であるため個人での対応には限界があります。このような問題を効率的に解決するためには、法律の専門家である弁護士に相談することが有効です。以下では、SNSでの晒し被害を弁護士に依頼する主なメリットを説明します。
迅速にSNS上の情報を削除できる
弁護士は、被害者に代わって運営会社へ削除請求を行ったり、裁判所に削除仮処分を申し立てたりすることが可能です。専門的な書面や法的根拠を添えて申請することで、運営会社が削除に応じやすくなります。
個人で申請する場合は審査に時間がかかったり、対応が拒否されたりすることもありますが、弁護士の関与によって削除の実現性とスピードが高まる点が大きなメリットです。
法的手段により投稿者を特定できる
発信者情報開示請求は、法的知識と迅速な対応が求められる手続きです。弁護士に依頼すれば、運営会社や通信事業者への請求を適切な手順で進めることができ、投稿者特定の可能性を高められます。
特に、開示請求にはアクセスログの保存期間という期限があるため、対応が遅れると証拠が消えてしまうリスクがあります。弁護士であれば、必要書類の準備から裁判所への申立てまでを一括して対応できるため、加害者の特定をスムーズに進められます。
損害賠償請求や刑事告訴の対応を任せられる
投稿者が特定できた後は、慰謝料などの損害賠償請求や、名誉毀損罪・侮辱罪などの刑事告訴を検討することになります。これらの手続きは、専門的な書面作成や法的判断を伴うため、個人で進めるのは難しいのが実情です。
弁護士に依頼すれば、交渉や訴訟、刑事手続きまで一貫して任せることができ、被害者は精神的な負担を大幅に軽減できます。
SNSで晒し行為の被害に遭ったときはグラディアトル法律事務所に相談を

SNSでの晒し被害は、一人で抱え込んでいても解決が難しい問題です。削除申請が受理されなかったり、投稿者の特定ができなかったりして、時間だけが過ぎてしまうケースも少なくありません。被害が長引けば精神的な負担は増し、日常生活や人間関係にまで深刻な影響を与える可能性があります。
グラディアトル法律事務所では、インターネットトラブルや誹謗中傷問題に豊富な実績を持つ弁護士が在籍し、被害者の状況に応じて最適な解決策を提案します。具体的には、SNS運営会社への削除請求、裁判所を通じた削除仮処分、発信者情報開示請求を通じた加害者の特定、さらに慰謝料請求や刑事告訴のサポートまで、一貫した対応が可能です。
また、早期に相談することで、証拠の消失やデータ保存期限切れといった致命的なリスクを防ぐことができます。
被害をこれ以上拡大させないためには、迅速な対応が欠かせません。SNSでの晒し行為に悩んでいる方は、一人で抱え込まず、ぜひ当事務所へご相談ください。
まとめ
SNSでの晒し行為は、名誉毀損罪や侮辱罪といった刑事責任や、肖像権・プライバシー権の侵害など民事上の責任につながる重大な問題です。放置すれば被害は拡大し、精神的苦痛や社会的信用の低下、家族への波及など深刻な影響を及ぼす可能性があります。
被害を最小限に抑えるには、証拠の保全や削除申請、加害者特定など、迅速かつ的確な対応が欠かせません。
グラディアトル法律事務所では、インターネット問題に精通した弁護士が削除から損害賠償請求まで一貫してサポートします。SNS晒しの被害にお悩みの方は、ぜひ早めにご相談ください。
