名誉毀損で刑事告訴するには?成立要件・手続きの流れ・証拠を解説

名誉毀損で刑事告訴するには?成立要件・手続きの流れ・証拠を解説
弁護士 若林翔
2026年05月01日更新

インターネット上で突然、事実と異なる内容を書き込まれたり、私生活に関する情報をSNSで拡散されたりして、深刻な精神的苦痛を受けるケースが増えています。こうした投稿は、単なる悪口では済まず、刑法上の名誉毀損罪にあたる可能性があります。

たとえば、元交際相手がSNSに「この人は横領していた」などと投稿し、それが拡散された結果、職場や取引先にまで影響が及ぶといった事例も少なくありません。このような場合、刑事告訴を行うことで、加害者の刑事責任を追及できる可能性があります。

もっとも、名誉毀損で刑事告訴をするには、成立要件や告訴期間、証拠の集め方など、押さえておくべきポイントが多く、対応を誤ると受理されないリスクもあります。

グラディアトル法律事務所では、これまで数多くの誹謗中傷・名誉毀損案件に対応してきた実績があり、投稿の削除、発信者情報開示、刑事告訴、損害賠償請求まで一貫したサポートが可能です。初動対応の遅れが結果を大きく左右するため、早めの対応が重要です。

本記事では、

・名誉毀損で刑事告訴するための成立要件

・刑事告訴の手続きの流れ

・刑事告訴に必要な証拠

などについて、実務のポイントを踏まえてわかりやすく解説します。

目次

ネット上で名誉毀損をされたときは刑事告訴により加害者の刑事責任を追及できる

インターネット上の誹謗中傷は、内容によっては犯罪にあたります。特に、具体的な事実を挙げて相手の社会的評価を下げる投稿は、名誉毀損罪が成立する可能性があります。

そして、名誉毀損罪は親告罪であるため、加害者の刑事責任を追及するには、被害者による刑事告訴が必要です。

名誉毀損罪とは(刑法230条)

名誉毀損罪は、刑法230条1項に規定されている犯罪であり、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合」に成立します。

ここでいう「名誉」とは、単なる気持ちや感情ではなく、その人に対して社会が与える評価、いわゆる「社会的評価」を意味します。したがって、周囲からの信用や評価を低下させる内容であれば、名誉毀損に該当する可能性があります。

また重要なポイントとして、摘示された事実が真実であっても、原則として名誉毀損罪は成立し得ます。つまり、「本当のことを書いただけだから問題ない」とは限らない点に注意が必要です。

SNSやネット投稿でも犯罪になる

名誉毀損は、対面での発言だけでなく、インターネット上の投稿でも成立します。SNSや掲示板は、不特定多数が閲覧できるため、「公然性」が認められやすいからです。

具体的には、次のような投稿は名誉毀損に該当する可能性があります。

・「この店は違法な営業をしている」
・「〇〇は会社のお金を横領していた」
・「この人は不倫をしている」
・「あの医師は診療報酬を不正請求している」

これらはいずれも、具体的な事実を示したうえで相手の信用や評価を下げる内容であり、名誉毀損の典型例といえます。

一方で、「性格が悪い」「嫌いだ」といった抽象的な感想にとどまる場合は、侮辱罪の問題となることもあります。このように、投稿内容によって成立する犯罪が異なるため、個別の判断が重要です。

名誉毀損が成立する3つの要件

名誉毀損罪が成立するかどうかは、主に「公然性」「事実の摘示」「社会的評価の低下」という3つの要件で判断されます。いずれかが欠けると、名誉毀損罪は成立しない可能性があるため、それぞれの意味を正確に理解しておくことが重要です。

名誉毀損が成立する3つの要件

公然性があること

「公然性」とは、不特定または多数の人が認識できる状態にあることをいいます。

たとえば、SNSの公開アカウントでの投稿や掲示板・口コミサイトへの書き込みは、多くの人が閲覧できるため、公然性が認められやすい典型例です。また、フォロワー数が少ない場合でも、拡散される可能性があれば、公然性が認められることがあります。

一方で、完全な1対1のダイレクトメッセージなど、第三者に伝わる可能性が低い場合には、公然性が否定されることもあります。ただし、内容や状況によっては、少人数への発言であっても他人に広まる可能性があれば、公然性が認められるケースもあるため注意が必要です。

事実を摘示していること

名誉毀損罪が成立するためには、「事実の摘示」が必要です。これは、真偽を証明できる具体的な内容を指します。

たとえば、「横領している」「不倫している」「詐欺をしている」などは、具体的な事実の指摘にあたります。一方で、「性格が悪い」「嫌いだ」といった抽象的な評価や感想は、原則として事実の摘示にはあたりません。

この違いは非常に重要であり、事実の摘示がない場合には、名誉毀損ではなく侮辱罪が問題となります。

社会的評価を低下させる内容であること

摘示された事実が、その人の社会的評価を低下させる内容であることも必要です。

ここでいう社会的評価とは、職業上の信用や人間関係における評価など、社会一般からどのように見られているかという点を指します。そのため、犯罪行為、不正行為、不倫、反社会的な活動などを指摘する内容は、典型的に社会的評価を低下させると判断されます。

なお、実際に評価が下がったことまで厳密に証明する必要はなく、一般人の感覚から見て「評価が下がる内容」であれば足りるとされています。

名誉毀損で刑事告訴するための条件

名誉毀損で加害者の刑事責任を追及するには、被害者が適法に刑事告訴を行う必要があります。もっとも、誰でも自由にいつでも告訴できるわけではなく、告訴権者や期間など一定の条件が定められています。

告訴できる人

刑事告訴は、「犯罪によって直接被害を受けた人」が行うことができます。名誉毀損の場合は、名誉を侵害された本人が告訴権者となります。

たとえば、SNS上で自分に関する虚偽の投稿がされた場合、その投稿によって社会的評価が低下するおそれがある本人が告訴できます。一方で、第三者が「見ていて不快だった」という理由だけでは、原則として告訴することはできません。

なお、被害者が未成年の場合には、親などの法定代理人が関与するケースもあります。

告訴期間|犯人を知ってから6か月

名誉毀損罪は、親告罪であるため、告訴には期間制限があります。具体的には、「犯人を知った日から6か月以内」に告訴しなければなりません。

ネット上の誹謗中傷では、投稿の存在は把握していても、投稿者が誰か分からないケースが多くあります。そのため、「犯人を知った時点」がいつになるかが重要です。

一般的には、発信者情報開示などによって投稿者が特定された時点から6か月のカウントをされることが多いため、特定後は速やかに対応する必要があります。

犯人の特定ができていなくても告訴は可能

名誉毀損の投稿は匿名で行われることが多く、加害者の氏名や住所がわからないケースも少なくありません。しかし、そのような場合でも「被疑者不詳」として刑事告訴を行うことは可能です。

もっとも、実務上は、発信者情報開示請求などを通じて投稿者を特定したうえで告訴するケースも多く見られます。なぜなら、加害者が特定されていたほうが、捜査がスムーズに進みやすく、受理される可能性も高まるためです。

したがって、状況に応じて「先に告訴するか」「先に特定を進めるか」を検討することが重要になります。

名誉毀損の刑事告訴の要件を満たしても必ず受理されるわけではない

名誉毀損の成立要件を満たしていても、刑事告訴が当然に受理されるとは限りません。実務上は、警察による受理対応に差があり、十分な準備をせずに提出すると受理を見送られるケースもあります。以下では、刑事告訴が受理してもらえないときの対処法を説明します。

実務では刑事告訴がすぐに受理されないことも多い

刑事告訴は法律上認められた権利ですが、実務では必ずしも容易に受理されるとは限りません。

特に名誉毀損のような事案では、

・民事トラブルと判断されやすい

・投稿内容が犯罪に該当するか判断が難しい

・証拠が不十分と評価される

といった理由から、警察が受理に慎重な対応を取ることがあります。

その結果、「まずは様子を見てください」「証拠が足りません」などと言われ、告訴状の受理を見送られるケースも少なくありません。

しかし、これはあくまで実務上の運用であり、法律上は告訴を受理すべき枠組みが整備されています。

刑事訴訟法や通達上は告訴を受理すべきとされている

刑事訴訟法230条は、犯罪被害者に告訴権を認めています。また、241条では、告訴は書面または口頭で検察官または司法警察員に行うことができるとされています。

さらに、242条は、司法警察員が告訴を受けた場合には、速やかに関係書類や証拠物を検察官に送付しなければならないと定めています。

加えて、犯罪捜査規範63条では、警察は管轄区域内外を問わず、告訴を受理しなければならないとされています。

また、警察庁の通達でも、告訴・告発については「被害者の立場に立って迅速・的確に対応し、原則として即時受理すべき」とされています。

このように、法令や通達の建付け上は、警察は告訴を受理する方向で対応すべきとされています。

受理されない場合は弁護士に依頼して告訴状を整える

それでも受理されない場合には、告訴状や証拠の内容に問題がある可能性があります。

名誉毀損の刑事告訴では、

・公然性
・事実の摘示
・社会的評価の低下

といった要件を踏まえて、事実関係と証拠を整理する必要があります。

弁護士に依頼すれば、

・法的要件を満たした告訴状の作成
・証拠の整理・補強
・警察への説明・交渉

などを適切に進めることができ、受理の可能性が高まります。

特に、名誉毀損は判断が難しい分野であるため、専門的に整理された告訴状であるかどうかが重要なポイントになります。

それでも受理されない場合は苦情申出も検討する

適切に準備したにもかかわらず、不合理な理由で受理が拒まれる場合には、都道府県公安委員会への苦情申出を行うことも可能です(警察法79条)。

・警察対応の日時・場所

・担当者の対応内容

・どのような問題があったか

などを記載した書面を提出します。

公安委員会は、申出を受けた場合には誠実に処理し、その結果を通知する義務があります。

もっとも、苦情申出はあくまで最終的な手段であり、まずは告訴状や証拠を適切に整えたうえで対応することが重要です。

【時効】名誉毀損の公訴時効(刑事)は3年、消滅時効(民事)は3年または20年

名誉毀損の被害にあった場合、刑事・民事いずれの手続でも「時効」が問題になります。対応が遅れると権利行使ができなくなるおそれがあるため、あらかじめ時効のルールを理解しておくことが重要です。

刑事の公訴時効は3年

名誉毀損罪の公訴時効は3年です。

名誉毀損罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」であり、この法定刑に対応する公訴時効の期間は3年とされています。

公訴時効は、原則として「犯罪行為が終わった時」から進行します。インターネット上の投稿の場合は、通常は投稿が行われた時点が起算点となります。

親告罪のため告訴期間にも注意が必要

名誉毀損罪は親告罪であるため、公訴時効とは別に「告訴期間」の制限もあります。

具体的には、「犯人を知った日から6か月以内」に告訴しなければなりません。この期間を過ぎると、たとえ公訴時効が残っていても、刑事告訴はできなくなります。

特にネット上の誹謗中傷では、投稿者の特定に時間がかかることが多いため、発信者情報開示などの手続と並行して、告訴期間を意識して行動することが重要です。

民事の消滅時効は3年または20年

名誉毀損による損害賠償請求(民事)の場合は、次の2つの時効が問題となります。

・被害者が損害および加害者を知った時から3年

・不法行為の時から20年

つまり、加害者を特定してから3年以内であれば請求可能ですが、たとえ加害者がわからなくても、投稿から20年が経過すると請求はできなくなります。

時効との関係では早期対応が極めて重要

名誉毀損の問題では、

項目内容
刑事事件としての公訴時効3年
刑事告訴をする場合の告訴期間6か月
民事事件としての消滅時効3年・20年

と複数の期限が存在します。

さらに、インターネット上の投稿については、ログの保存期間にも限りがあるため、時間が経過するほど証拠収集や加害者特定が困難になります。

そのため、名誉毀損の被害に気づいた場合には、できるだけ早く証拠を確保し、刑事・民事のどちらで対応するかも含めて検討することが重要です。

名誉毀損で刑事告訴をする場合の流れ

名誉毀損の刑事告訴は、思いつきで進めても受理されない可能性があります。特に、ネット上の投稿は、削除やログ消失のリスクがあるため、正しい手順で対応することが重要です。

ここでは、刑事告訴までの基本的な流れを説明します。

名誉毀損で刑事告訴をする場合の流れ

証拠を確保する

まず最初に行うべきなのは、証拠の確保です。

名誉毀損では、投稿の存在や内容を証明できなければ、刑事告訴が認められない可能性があります。特に、ネット上の投稿は、削除されると復元が困難なため、早急な対応が必要です。

具体的には、以下の情報を保存しておきましょう。

・投稿のスクリーンショット

・URL

・投稿日時

・アカウント名やプロフィール情報

・投稿の前後関係が分かる画面

単なる一部の切り抜きではなく、投稿全体の文脈が分かる形で保存することが重要です。

投稿者を特定する(発信者情報開示)

匿名で投稿されている場合は、投稿者を特定する必要があります。

そのために行われるのが「発信者情報開示請求」です。SNSや掲示板の運営会社、インターネットプロバイダに対して、投稿者の情報(IPアドレスや契約者情報など)の開示を求める手続です。

投稿者を特定しなくても刑事告訴は可能ですが、特定されることで捜査が進みやすくなります。

なお、開示請求には期限や手続上の注意点があるため、早めに対応することが重要です。

告訴状を作成する

次に、刑事告訴を行うための告訴状を作成します。

告訴状には、

・どのような投稿があったのか

・なぜ名誉毀損にあたるのか

・どのような証拠があるのか

・加害者の処罰を求める意思

などを具体的に記載します。

内容が曖昧であったり、要件に沿っていなかったりすると、受理されない原因となるため、慎重に作成する必要があります。

警察に告訴状を提出する

作成した告訴状は、警察署に提出します。通常は生活安全課やサイバー犯罪相談窓口が対応窓口となります。

刑事告訴は、法律上は口頭でも可能ですが、実務上は書面で提出するのが一般的です。書面で提出することで、後日のトラブル防止や手続の明確化につながります。

提出後は、警察から内容の確認や追加資料の提出を求められることもあります。

告訴受理後、捜査が始まる

告訴が受理されると、警察による捜査が開始されます。

具体的には、

・関係者への事情聴取
・通信記録や投稿履歴の確認
・証拠の収集

などが行われ、その後、事件は検察官に送致されます。

最終的に、検察官が起訴するかどうかを判断し、起訴された場合には刑事裁判へと進みます。

名誉毀損の刑事告訴で重要になる証拠

名誉毀損で刑事告訴を行う際は、「被害があった」という主張だけでは不十分です。刑事事件として立件するためには、名誉毀損の成立要件を裏付ける客観的な証拠が不可欠となります。

名誉毀損の刑事告訴で重要になる証拠

投稿のスクリーンショット

もっとも重要なのが、問題となる投稿のスクリーンショットです。

投稿本文だけでなく、

・投稿者のアカウント名

・アイコンやプロフィール

・投稿日時

・いいね数やリポスト数(拡散状況)

・前後の投稿との関係

なども含めて保存することが重要です。

一部分だけを切り取るのではなく、「どのような文脈で投稿されたのか」がわかる形で記録しておくと、公然性や社会的評価の低下を立証しやすくなります。

URL・投稿日時の記録

スクリーンショットに加えて、URLや投稿日時も必ず記録しておきましょう。

URLが分かれば、投稿の特定や証拠の補強が容易になりますし、投稿日時は時効やログ保存期間との関係でも重要な意味を持ちます。

これらの情報が欠けていると、後から同一投稿であることを証明するのが難しくなるため注意が必要です。

アカウント情報・関連資料

投稿者の特定につながる情報も重要な証拠となります。

たとえば、

・プロフィール欄の記載内容

・過去の投稿履歴

・他のSNSとの関連性

・実名や連絡先に関する記述

などは、発信者情報開示請求や捜査の手がかりとなる可能性があります。

匿名アカウントであっても、複数の情報を組み合わせることで特定につながるケースもあります。

被害状況の記録

名誉毀損では、投稿内容だけでなく、被害の具体的な状況も重要です。

たとえば、

・勤務先や取引先からの問い合わせ

・契約の解除や取引停止

・来店キャンセルや売上減少

・学校や近隣での噂の広まり

・精神的苦痛による通院や診断書

などを記録しておくことで、投稿の悪質性や影響の大きさを裏付けることができます。

これらは刑事事件だけでなく、損害賠償請求(民事)においても重要な資料となります。

名誉毀損で刑事告訴するメリット

名誉毀損の被害にあった場合、投稿の削除や損害賠償請求といった民事対応だけでなく、刑事告訴を行うことで得られるメリットもあります。特に、悪質な誹謗中傷や継続的な投稿に対しては、刑事手続が有効に機能することがあります。

加害者に刑事責任を追及できる

刑事告訴の最大のメリットは、加害者に対して刑事責任を追及できる点です。

名誉毀損罪が成立すれば、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります。これは国家による処罰であり、民事の損害賠償とは異なる強い制裁となります。

そのため、加害者に対する心理的なプレッシャーも大きく、悪質な投稿に対して強い対応を取ることができます。

警察の捜査により犯人が特定できる

刑事告訴が受理されると、警察による捜査が開始されます。

匿名のネット投稿であっても、通信履歴やプロバイダ情報の照会などを通じて、発信者の特定につながる可能性があります。

民事手続による発信者情報開示と比べて、捜査権限を伴う点が大きな違いであり、特定が難しいケースでも前進する可能性があります。

投稿削除や謝罪につながる可能性

刑事告訴が行われると、加害者が処罰を回避するために、投稿の削除や謝罪、示談を申し出てくることがあります。

すべてのケースでそのような対応がなされるわけではありませんが、何も対応しない場合と比べると、状況が改善する可能性は高まります。

結果として、被害の拡大を防ぎ、早期の解決につながることも期待できます。

執拗な誹謗中傷を止めさせ、新たな投稿を防ぐ効果が期待できる

刑事告訴は、現在の投稿への対応だけでなく、今後の誹謗中傷を防ぐ効果も期待できます。

特に、同一人物による執拗な投稿や、複数の媒体にわたる拡散が疑われる場合には、刑事手続を取ることで「これ以上続けると処罰される」という強い抑止力が働きます。

その結果、新たな投稿を防ぎ、精神的負担の軽減にもつながる可能性があります。

名誉毀損で刑事告訴する際の注意点

名誉毀損で刑事告訴する際の注意点

名誉毀損の刑事告訴は有効な手段ですが、必ずしも思いどおりに進むとは限りません。手続の特性や実務上の運用を理解したうえで進めることが重要です。

ここでは、刑事告訴を検討する際に押さえておきたい主な注意点を説明します。

警察が必ず受理するわけではない

前章でも説明したとおり、刑事告訴は法律上認められた権利ですが、実務ではすぐに受理されないケースもあります。

特に名誉毀損は、

・犯罪該当性の判断が難しい

・民事トラブルと評価されやすい

といった特徴があるため、警察が慎重な対応を取ることがあります。

そのため、告訴状や証拠が不十分な状態で提出すると、受理を見送られる可能性がある点に注意が必要です。

証拠が不十分だと立件が難しい

刑事告訴では、名誉毀損の成立要件を裏付ける証拠が不可欠です。

・投稿内容(事実の摘示)

・公然性(不特定多数が閲覧可能であること)

・社会的評価の低下

を示す証拠が必要になります。

スクリーンショットが不鮮明であったり、URLや投稿日時が記録されていなかったりすると、証拠としての価値が低くなり、立件が難しくなるおそれがあります。

また、投稿が削除されている場合には、証拠の確保自体が困難になるため、早期の対応が重要です。

ログ保存期間があるため早めに行動することが大切

インターネット上の投稿では、発信者を特定するために必要なログ(通信記録)が一定期間で消去されることがあります。

このログが消えてしまうと、発信者情報開示請求や警察の捜査による特定が困難になります。

そのため、

・投稿を発見したらすぐに証拠を保存する

・速やかに開示請求や相談を行う

といった初動対応が非常に重要です。

時間が経過するほど、刑事・民事いずれの手続でも不利になる可能性があるため、早めに行動するようにしましょう。

名誉毀損の刑事告訴を弁護士に依頼するメリット

名誉毀損の刑事告訴は、証拠収集や法的要件の整理、警察対応など、専門的な知識と経験が求められる手続です。自己対応も不可能ではありませんが、弁護士に依頼することでスムーズかつ適切に進められる可能性が高まります。

ここでは、弁護士に依頼する主なメリットを説明します。

告訴状作成を任せられる

刑事告訴では、告訴状の内容が受理の可否を大きく左右します。

告訴状には、

・どの投稿が問題なのか

・なぜ名誉毀損に該当するのか

・どのような証拠があるのか

といった点を、法律上の要件に沿って整理する必要があります。

弁護士に依頼すれば、名誉毀損の成立要件を踏まえた説得力のある告訴状を作成できるため、受理される可能性が高まります。

投稿者特定を進められる

匿名投稿の場合、発信者情報開示請求による投稿者の特定が必要になります。

この手続は、

・SNS運営会社への対応

・プロバイダへの開示請求

・仮処分や訴訟手続

など、専門的かつ複雑な対応を伴うことが多いです。

弁護士に依頼することで、これらの手続を適切に進めることができ、投稿者特定の可能性を高めることができます。

刑事と民事の両方で対応できる

名誉毀損の問題では、刑事告訴だけでなく、

・投稿の削除請求

・損害賠償請求(慰謝料請求)

といった民事対応も重要になります。

弁護士であれば、刑事手続と民事手続を並行して進め、全体として最も効果的な解決を図ることが可能です。

たとえば、刑事告訴をきっかけに示談交渉を進め、損害賠償や謝罪を実現するなど、状況に応じた柔軟な対応ができます。

名誉毀損の刑事告訴にかかる費用

名誉毀損の刑事告訴にかかる費用

名誉毀損で刑事告訴を検討する際、「どのくらい費用がかかるのか」は多くの方が気になるポイントです。ここでは、刑事告訴そのものの費用と、弁護士に依頼した場合の費用の目安について説明します。

刑事告訴自体に費用はかからない

刑事告訴は、被害者の権利として認められている手続であり、警察や検察に対して費用を支払う必要はありません。

そのため、告訴状を自分で作成し、警察に提出するだけであれば、基本的に費用はかからず手続を行うことが可能です。

ただし、証拠収集や発信者情報開示の手続などを進める場合には、別途費用が発生することがあります。

弁護士に依頼した場合の費用相場

弁護士に依頼する場合には、弁護士費用が発生します。具体的な金額は、依頼する法律事務所によって異なりますが、当事務所の基準は以下のようになっています。

項目金額
着手金33万円(税込)~
成功報酬33万円(税込)~
日当5万5000円(税込)~

なお、開示請求を行う場合には、別途、弁護士費用が発生します。

費用だけでなく得られる効果も踏まえて検討する

弁護士費用は決して安くはありませんが、

・告訴受理の可能性が高まる

・投稿者の特定が進みやすくなる

・刑事・民事を一体的に対応できる

といったメリットがあります。

特に、対応を誤ると証拠が失われたり、告訴期間を経過してしまったりするリスクがあるため、結果的に費用以上の損失につながるケースもあります。

そのため、費用だけで判断するのではなく、「どのような結果を目指すのか」という観点から検討することが重要です。

 

 

名誉毀損による刑事告訴をお考えの方はグラディアトル法律事務所に相談を

名誉毀損による刑事告訴をお考えの方はグラディアトル法律事務所に相談を

インターネット上の名誉毀損は、放置すると被害が拡大し、社会的信用の回復が難しくなるおそれがあります。また、刑事告訴には告訴期間(犯人を知ってから6か月)やログ保存期間といった時間的制約もあるため、迅速な対応が重要です。

もっとも、名誉毀損が刑事事件として成立するかどうかの判断や、証拠の整理、告訴状の作成、警察対応などは専門的な知識が求められ、個人で進めるには大きな負担となります。

グラディアトル法律事務所では、これまで多数の誹謗中傷・名誉毀損案件を取り扱ってきた実績があり、投稿の削除、発信者情報開示請求、刑事告訴、損害賠償請求まで一貫したサポートが可能です。事案ごとの状況に応じて最適な対応方針をご提案し、受理対応や示談交渉まで丁寧にサポートいたします。

名誉毀損の被害にお悩みの方は、問題が深刻化する前に、ぜひ一度グラディアトル法律事務所へご相談ください。

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まとめ

名誉毀損は、SNSや掲示板などのネット投稿でも成立し得る犯罪であり、被害を受けた場合には刑事告訴によって加害者の責任を追及することが可能です。もっとも、成立要件や告訴期間、証拠の確保など、押さえておくべきポイントは多く、対応を誤ると受理されないリスクもあります。

特に、証拠の確保や投稿者の特定、告訴状の作成は結果を左右する重要な要素です。被害に気づいたら早めに行動し、必要に応じて弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力。数多くの夜のトラブルを解決に導いてきた経験から初の著書「歌舞伎町弁護士」を小学館より出版。 youtubeやTiktokなどでもトラブルに関する解説動画を配信している。

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