海外拠点児童ポルノで逮捕 札幌の男3人、販売疑い

ニュース内容

海外を拠点にしたアダルトサイトで児童ポルノを不特定多数に販売したとして、愛知など3県警は25日までに、児童買春・ポルノ禁止法違反(多数提供)などの疑いで自称会社役員の野田将広容疑者(43)らいずれも札幌市に住む男3人を逮捕、送検した。愛知県警によると、3人は容疑を否認している。

3人が運営するサイトは会員同士が売買する仕組み。サーバーやドメイン取得会社、送金法人がいずれも米国やシンガポールなど海外にあり、同種サイトの運営者の摘発は全国で初めてという。野田容疑者らは「月に約1億円の売り上げがあった」と供述している。

ほかの2人は自称会社役員、門間正典容疑者(42)と同、本間誠二容疑者(44)。

門間容疑者は「児童ポルノが出品されていたのは知っていて削除していたが、チェックしきれなかった。積極的に売っていたわけではない」などと供述している。

野田容疑者と門間容疑者の逮捕容疑は2019年6月21日、運営するアダルト動画販売サイトで、児童ポルノ画像1点を販売した疑い。本間容疑者の逮捕容疑は両容疑者と共謀し、18年1月、別のサイトで画像2点を販売した疑い。〔共同〕

2020/6/25 15:14 日本経済新聞

弁護士からのコメント

今回のニュースは、海外を拠点にしたアダルトサイトで児童ポルノを不特定多数に販売したとして、アダルト動画の販売サイト「AVMarket」などの運営者が、児童買春・ポルノ禁止法違反(多数提供)などの疑いで逮捕されたというものです。

近年、海外にサーバーなどを設置したアダルトサイトにおいて、違法にアダルト動画の投稿がなされる被害が増えています。

そこで今回は、逮捕容疑となった「児童買春・児童ポルノ禁止法違反(多数提供)について解説したいと思います。

そもそも「児童買春・ポルノ禁止法」とは、児童(18歳未満の者)に対して性的搾取及び性的虐待などを行う性犯罪を防止し、児童の健全な成長を守るための法律です。
正式名称は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」といいます。

次に「児童ポルノ」とは、当該法律2条3項により下記のように規定されています。

この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。

一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの


これをわかりやすく申し上げると、

  1. 児童本人または児童が相手方になる性交・性交類似行為
  2. 児童本人または児童が相手方になる性器に触る行為で、性欲を興奮・刺激するもの
  3. 児童が全裸・半裸状態で、性的な部位を露出・強調し、性欲を興奮・刺激するもの

写真や動画が、「児童ポルノ」に該当するということです。

そして、今回のニュースにある児童ポルノの「多数提供」については、当該法律7条6項により下記のように重い処罰が規定されています。

児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。

なお児童ポルノについては、下記にあるよう当該法律7条1項により、限定はあるものの「所持」・「保管」しているだけでも刑罰に問われる可能性があります。

自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。

すなわち今回のニュースにあるようなアダルトサイトなどから、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを購入・ダウンロードして所持や保管するに至った者も処罰される可能性があるということです。

他方で、もしアダルトサイトなどに自らの性的な写真や動画が投稿されていることを知った場合には、すぐさま警察・弁護士に相談しましょう。

というのも残念ながら、性的な写真や動画は時間がたてばたつほど拡散されやすい傾向にあり、多くに拡散されてしまうとすべてを削除することが事実上困難になるからです。

なおアダルトサイトの削除については、下記特設のHPに解決事例等がありますのでよければご参照ください。

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最後に児童ポルノはもちろん、男女トラブルでお悩み・お困りの方は遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 刈谷龍太

グラディアトル法律事務所代表弁護士。
中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。
離婚・労働・ネット・消費者被害など一般向けのトラブルから、企業法務や経営サポートなど幅広く担当。