AV撮影で女子高生にみだらな行為 元レゲエダンサー逮捕

ニュース内容

アダルトビデオ(AV)の撮影目的で女子高校生にみだらな行為をさせたとして、県警少年捜査課と多摩署は2日、児童福祉法違反(淫行させる行為)の疑いで、東京都港区、会社員の男(31)を逮捕した。同容疑者は過去、「ラジオ体操」のメロディーに合わせて踊るレゲエダンサーとしてメディアに取り上げられていた。

逮捕容疑は、昨年4月21日、千葉県船橋市のホテルで、同県に住む高校2年の女子生徒(16)にAV撮影のため自身を相手にみだらな行為をさせた、としている。調べに対し、同容疑者は「18歳未満との認識はなかった」と容疑を否認している。

同課によると、撮影されたAVは昨年7月~今年1月ごろまで動画サイトで販売された。同容疑者は「50~60万円の売り上げがあった」と供述。女子生徒に売り上げの半分を払うと約束していたというが、女子生徒に渡ったのはモデル料を含め計7万円だった。

昨年8月に、捜査員がデートなどの対価として男性に金銭を求める「パパ活」と呼ばれる女子生徒の会員制交流サイト(SNS)への書き込みを発見。女子生徒に事情を聴いたところ、AV撮影が明らかになったという。動画は無修正で、女子生徒の顔も確認できた。女子生徒は「金銭目当てで撮影に応じたが、知り合いに見られたら取り返しがつかない。後悔している」と反省した様子という。

神奈川新聞  2020年03月02日 21:58

弁護士からのコメント

今回のニュースは、アダルトビデオ(AV)の撮影目的で女子高校生にみだらな行為をさせたとして、児童福祉法違反(淫行をさせる行為)の疑いで逮捕されたというものです。

そこで今回は児童福祉法違反(淫行をさせる行為)について解説したいと思います。

まず児童福祉法における「児童」とは、満十八歳に満たない者のことをいいます(児童福祉法4条柱書)。

そして児童に対して行ってはいけない行為として、「淫行をさせる行為」(児童福祉法34条6号)が規定されており、
当該規定違反には「十年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」との罰則があります(児童福祉法60条1項)。

くわえて過失がない場合を除いて、「児童の年齢を知らないことを理由として・・・処罰を免れることができない」とまでされています(児童福祉法60条4項)。

この点、各都道府県にあるいわゆる「青少年保護育成条例」の淫行に対する違反と何が違うのかと疑問に思われる方もいるでしょう。

簡単に言いますと、児童福祉法の「淫行をさせる行為」に該当すると罰則が相当重たいといえます。
青少年保護育成条例の淫行に対する違反では、各都道府県でばらつきはあるものの、最大でも「二年以下の懲役または百万円以下の罰金」にとどまるからです。

では何をすれば「淫行をさせる行為」に該当するかというと、判例上、「直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為」を行うこととされています。

そして当該行為に当たるか否かは、行為者と児童の関係、助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度、淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯、児童の年齢、その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断すると判示しています。

今回のニュースでいえば、金銭を欲しがっている被害者たる児童に対し、AV撮影に応じると売上の半分を支払うとの虚偽の約束をすることで、事実上の影響力を及ぼして自身に淫行をなすことを助長し促進したと警察は捉えたものと思われます。

なお被疑者は「18歳未満との認識はなかった」と否認していますが、前述のとおり過失がない場合を除いては知らないといえども処罰は免れませんので、当該否認は厳しいと考えられます。

あと事件の発覚は、ニュースにあるよう被害者たる女子生徒がSNSで「パパ活」に関する書き込みを行っていたことでした。
このようにパパ活には、取り返しのつかない被害に遭う危険性があります。
ですので、安易に手を出さないようにすべきです。

最後にパパ活で何らかのトラブルや被害に遭った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。