リベンジポルノ

『リベンジポルノ』とは、別れた恋人や配偶者などに対する復讐や報復といった目的で、交際中に撮影した猥褻な写真や動画をインターネット上に拡散、ばらまく行為のことです。
非常に悪質な行為であり、刑事罰の対象になる犯罪行為です。

リベンジポルノ被害の相談件数増加(警察庁発表)

警察庁は、2021年(令和3年)3月4日、「リベンジポルノ」についての2020年(令和2年)の相談件数が過去最多の1570件にのぼったことを発表しました。統計を開始した2014年以降最多の相談件数です。

被害者の9割が女性であったものの、男性の被害についても前年比の約5割増となっております。

リベンジポルノ被害の相談内容は、「画像を公表された」「画像を公表すると脅された」、「画像を送り付けられた」「画像を所持されている、撮影された」などの相談が多いです。

警察庁のHPより引用

リベンジポルノ防止法の構成要件とは?

リベンジポルノ防止法(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)とは、本人が第三者に見られることを認識した上で撮影を許可した画像・動画以外の画像であって,性交又は性交類似行為などの画像・動画の記録を「私事性的画像記録」と定義し、その公表や公表目的の提供を処罰する法律です。

リベンジポルノ防止法の構成要件は、以下のとおりです。

  1. 「私事性的画像記録」に該当すること
  2. 公表(公然陳列)or公表目的で提供すること

罰則は、公表罪(3年以下 50万円以下)、公表目的提供罪(1年以下 30万円以下)となります。

(定義)
第二条 この法律において「私事性的画像記録」とは、次の各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像(撮影の対象とされた者(以下「撮影対象者」という。)において、撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者(次条第一項において「第三者」という。)が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものを除く。次項において同じ。)に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。同項において同じ。)その他の記録をいう。
一 性交又は性交類似行為に係る人の姿態
二 他人が人の性器等(性器、肛こう門又は乳首をいう。以下この号及び次号において同じ。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
2 この法律において「私事性的画像記録物」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、前項各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像を記録したものをいう。

(私事性的画像記録提供等)
第三条 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。
3 前二項の行為をさせる目的で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
4 前三項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
5 第一項から第三項までの罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。

リベンジポルノ防止法(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)

リベンジポルノの削除・脅迫被害の対処法

リベンジポルノ被害は、実際にインターネット上に投稿されてしまった後なのかその前なのかで、その対策・対処方法が大きく違ってきます。

リベンジポルノの削除依頼

いちどインターネット上に投稿され、拡散されてしまった場合、完全に削除することは相当困難です。
ですので、投稿の初期段階で迅速に対応し、拡散を防ぐ必要があります。

当法律事務所の弁護士のもとには、リベンジポルノ被害にあってしまい動画・画像を削除したいというご相談が多いです。

実際に、Twitter等のSNS、ホスラブ・爆サイなどの掲示板、FC2動画やxvideosなどのアダルトサイトにリベンジポルノ動画がUPされてしまったケースで、弁護士による削除依頼をして削除に成功した事例が多数あります。

弁護士がサイト運営会社に対して、削除依頼や送信防止措置依頼をすることにより削除されます。

リベンジポルノの削除依頼方法、犯人特定のための発信者情報開示請求の方法の詳細については、以下の記事をご参照ください。

リンク:リベンジポルノの削除依頼・犯人特定・発信者情報開示の方法【2021年最新版】

リベンジポルノの脅迫・恐喝被害対策

他方で、公開前に復縁目的や自らの言うことを聞かせたい等のために脅迫材料として用いられることもあります。

リベンジポルノ画像・動画を公開するぞと脅すことは、名誉権やプライバシー権に対する害悪の告知といえるので脅迫罪(刑法222条)に該当します。

また、リベンジポルノを公開されたくなければ、関係を継続しろなどと義務のない行為をさせる行為は強要罪(刑法223条)、金を払えと金銭を要求する場合は恐喝罪(刑法249条)に該当します。

弁護士から相手方に対して犯罪行為該当するのでただちに辞めるように警告文を送ることによって、これらの脅迫・強要・恐喝の被害を防止し、リベンジポルノの公開を抑止・牽制することができます。

弁護士によるリベンジポルノの脅迫・強要・恐喝のブロック成功事例は以下の記事をご参照ください。

リンク:リベンジポルノで恐喝・脅迫で被害届・刑事告訴で犯人逮捕のブロック成功事例

(脅迫)
第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

(強要)
第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。

(恐喝)
第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法


ここで対応をしっかりすれば、公開・拡散を防ぐことも不可能ではありません。
状況をしっかり把握して適切な対応をする必要があります。

適切な対応には、どこに相談するのがいいのか?

最も重要なことは、画像や動画が拡散前なら何としてもインターネット上に公開されること防ぐことであり、不本意にも公開されてしまった後なら、拡散を防ぎ削除することです。
リベンジポルノに関する相談や解決のための相談先の選択としては以下の3つが挙げられます。

  1. 警察
  2. 法律事務所
  3. 一般社団法人セーファーインターネット協会

この中で、被害者の方のニーズを最大限満たす可能性がある相談先は法律事務所(弁護士)でしょう。

なぜ法律事務所に相談するのがベストなのか?

それは法に精通しているからこそ、状況を適切に把握し対応方法を迅速に提案することが可能だからです。
公開前に防ぐための予防策を講じたり、画像や動画の削除への対応、慰謝料の請求、刑事事件になった際の対応、またこれらの対応に必要な書類づくりや事務的作業、交渉などをこなせるのが弁護士なのです。

警察は逮捕が目的なので、そもそも事件として取り扱われなければ動いてくれませんし、取り扱ってもらうにも弁護士の力が大きく関わってきたりします。

また結果として成立するかもしれませんが、画像や動画の公開を防ぐ・削除する、という部分に関しては積極的であるとは言い難いのが現状です。

セーファーインターネット協会は、画像や動画の削除には無料で積極的に動いてくれるようですが、それ以外の刑事・民事上の対応は一切行っていません。

そういった観点からも、様々な対応をマルチに行える法律事務所・弁護士に相談するが結果的にはベストな選択といえるのではないかと思います。
ただ、デメリットととして費用がかかること、適切な法律事務所・弁護士を探さないといけないことが挙げられます。

詳細は
→ 法律事務所の選び方
をご覧ください。

早急な対応を心がける

リベンジポルノは、時間が立つほど拡散のリスクが高まり削除が困難になっていきます。
ですので、迅速な対応が必要です。

しかし、あわてて対応してしまうといざというときの証拠がないという状況になりかねません。
証拠を保全すると共に早急な対応が必要ですが、やはり法に精通していなければ難しい部分でもあります。
そのような観点からも、まずは弁護士に相談することが望ましいといえるでしょう。