裁判で残業代請求をすべき5つのケースと裁判の流れ・期間・費用

裁判で残業代請求をすべき5つのケースと裁判の流れ・期間・費用

WP:https://www.gladiator.jp/labor/wp-admin/post.php?post=2112&action=edit&classic-editor__forget

旧記事タイトル:裁判で残業代請求をすべき5つのケースと裁判の流れ・期間・費用

「残業代を請求したいけれど、裁判になるのは大げさではないか」

「残業代請求をすると会社とトラブルになるのが不安」

と感じている方は多いのではないでしょうか。

実際、残業代請求というと裁判のイメージが強く、ハードルの高さを感じてしまう方も少なくありません。

しかし、残業代請求は必ずしも裁判から始まるわけではなく、まずは会社との交渉や労働審判といった手続を経て解決するケースも多くあります。

一方で、会社側が支払いを拒否した場合や金額について大きな争いがある場合には、最終的に裁判に発展することもあります。

裁判には時間や費用がかかるという側面があるものの、法的に確定した判断を得られることや付加金の支払いが認められる可能性があるなど、大きなメリットもあります。

そのため、ご自身の状況に応じて「どの段階で裁判を選択すべきか」を見極めることが重要です。

本記事では、

・残業代請求が裁判に至るケースや手続の流れ
・解決までの期間
・費用の目安
・実際の解決事例

などについてわかりやすく解説します。

残業代請求を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

残業代請求は必ずしも裁判から始まるわけではない|残業代請求の一般的な流れ

残業代請求は、いきなり裁判を起こすのではなく、段階的に進めていくのが一般的です。

ここでは、代表的な3つの手続の流れについて説明します。

会社との交渉

残業代請求は、会社との交渉からスタートするのが一般的です。

まずは、未払い残業代がどれくらいあるのかを計算し、その根拠となる証拠(タイムカード、勤怠データ、業務メールなど)を整理したうえで、内容証明郵便を利用して会社に対して支払いを求めます。

会社側が事実関係を認めれば、裁判に進むことなく解決できる可能性があります。

もっとも、会社側が「残業ではない」「管理監督者にあたる」などと主張して支払いを拒否するケースも多く、その場合は次の手続に進むことになります。

労働審判

交渉で解決しない場合に利用されることが多いのが、労働審判です。

労働審判とは、会社と働く人との間で起きたトラブルを、裁判所で早く解決するための手続きのことです。たとえば、「給料が支払われない」「急にクビにされた」「職場で嫌がらせを受けた」といった問題が対象になります。

通常の裁判は、解決までに長い時間がかかることがあります。

しかし、労働審判はスピーディーに進むのが特徴で、原則として3回以内の話し合い(期日)で結論を出す仕組みになっています。そのため、早く問題を解決したい人にとって利用しやすい制度といえるでしょう。

手続きでは、裁判官1人と、労働問題に詳しい専門家2人がチームを組みます。そして、会社と働く人の双方の話を聞きながら、解決に向けた話し合いを進めていきます。イメージとしては、学校でトラブルが起きたときに先生が間に入って解決を目指す場面に近いかもしれません。

話し合いの結果、お互いが納得すれば「和解」という形で解決します。一方で、話し合いでまとまらない場合には、裁判所が一定の結論(審判)を出すことになります。

このように、労働審判は、裁判よりも柔軟でスピーディーにトラブルを解決するための制度です。

訴訟(裁判)

交渉や労働審判で解決できなかった場合には、訴訟(裁判)に進みます。

裁判では、当事者双方が主張と証拠を提出し、裁判所が法的な判断を下します。

労働審判と比較すると、審理期間は長くなりがちですが、その分、証拠や法律関係を丁寧に検討したうえで最終的な判断が示される点が特徴です。また、判決を得ることで強制執行が可能になるなど、確実な回収につながるメリットもあります。

もっとも、裁判は専門的な知識や対応力が求められるため、適切に進めるためには弁護士への相談を検討することが重要です。

残業代請求の裁判と労働審判の違い

残業代請求における「裁判」と「労働審判」には、次のような違いがあります。

労働審判裁判
平均審理期間90.3日17.2か月
費用印紙代が裁判の半額例:300万円の残業代請求なら印紙代1万円印紙代が労働審判の2倍例:300万円の残業代請求なら印紙代2万円
解決方法調停+審判判決
審理を担当する人裁判官1名+労働審判員2名裁判官
公開・非公開非公開公開
柔軟性高い(双方の譲歩が前提)低い(法律に基づく判断)

このように、労働審判と裁判は、手続の性質や解決までのスピード、費用面などに大きな違いがあります。

残業代を請求する法的手段として「労働審判」と「裁判」の2種類があると、「どちらを選択すればよいのだろうか」と悩む方もいるかもしれません。

一般的には労働審判をしてみて、だめなら裁判という流れですが、いきなり裁判を起こすことも可能です。

労働審判は、基本的には話し合いによる早期解決を目指す手続きですので、話し合いによる解決の余地があるようなケースや早期解決を希望するケースであれば労働審判を選択し、時間をかけてでも納得いく解決をしたいというケースなら裁判を選択するとよいでしょう。

ただし、これはあくまでも選択の目安ですので、あなたのケースでどちらを選択すべきかは、弁護士に相談して判断してもらうべきです。

労働審判の特徴

労働審判は迅速な解決を目的とした手続であり、平均審理期間は約90日と短期間で結論が出る点が特徴です。裁判官1名と労働審判員2名が関与し、実務的な視点も踏まえながら、調停による合意を目指します。また、手続は非公開で行われるため、会社とのトラブルを外部に知られにくい点もメリットといえるでしょう。費用面でも、印紙代は裁判の半額程度に抑えられます。

裁判の特徴

裁判は、最終的な法的判断を下す手続であり、平均審理期間は17.2か月と長期に及ぶ傾向があります。審理は裁判官が担当し、公開の法廷で進められます。調停のような柔軟な解決ではなく、法律に基づいて白黒をはっきりさせる手続であるため、当事者の合意がなくても判決によって結論が確定します。

また、費用面では印紙代が労働審判の約2倍となる点にも注意が必要です。その分、判決を得ることで強制執行が可能となり、確実な回収につながるというメリットがあります。

裁判で残業代請求をするメリットとデメリット

裁判は、残業代請求における最終的な解決手段です。もっとも、残業代請求の裁判は、交渉や労働審判と比べた場合に、メリットだけでなくデメリットもあるため、それぞれを理解したうえで選択することが重要です。

裁判で残業代請求をするメリットとデメリット

裁判で残業代請求をするメリット

裁判を利用することで、交渉や労働審判では得られない効果が期待できます。主なメリットは、以下のとおりです。

【最終的な判断が期待できる】

交渉の場合、会社側が支払いに応じなければ解決には至りません。また、労働審判で結論が出たとしても、会社側が異議を申し立てれば効力が失われ、訴訟へ移行します。

これに対して裁判では、会社側に支払い意思がない場合でも、裁判所が判決という形で結論を下します。判決に不服があれば控訴・上告といった手続はありますが、それらを経て確定すれば、最終的な解決となります。

「白黒はっきりさせたい」「会社が一切応じない」といったケースでは、大きなメリットといえるでしょう。

【強制執行のための債務名義が獲得できる】

裁判で確定判決を得ると、「債務名義」と呼ばれる公的な証明が得られます。これは、会社に対して未払い残業代の支払い義務があることを国が認めたものです。

この債務名義があれば、会社が任意に支払わない場合でも、強制執行の手続きを利用して回収することが可能です。たとえば、会社の預貯金や売掛金、不動産などを差し押さえることで、強制的に残業代を回収できます。

確実に回収まで見据えたい場合には、裁判の大きな強みとなります。

【付加金を支払ってもらえる可能性がある】

裁判では、「付加金」の支払いが認められる可能性があります。付加金とは、会社が残業代などの賃金を支払わなかった場合に、制裁として未払額と同額の支払いを命じる制度です。

交渉や労働審判では付加金を請求することはできませんが、裁判であれば裁判所の判断によって付加金が認められることがあります。

そのため、最終的に受け取れる金額が大きく増える可能性がある点も、裁判のメリットの一つです。

裁判で残業代請求をするデメリット

裁判で残業代請求をする場合、メリットだけではなく以下のようなデメリットもあります。

【解決まで時間がかかる】

裁判は、1か月から1か月半に1回程度のペースで期日が開かれ、複数回の審理を経て進んでいきます。そのため、解決までには相応の時間がかかります。

実際、裁判の平均審理期間は約17.2か月とされており、労働審判の約90日と比べると大きな差があります。

早期解決を希望する場合には、この点が大きな負担となる可能性があります。

【労働審判に比べて費用がかかる】

裁判を提起する際には、裁判所に納める手数料(収入印紙代)が必要になります。この金額は請求額によって異なりますが、労働審判と比べると約2倍の費用がかかります。

また、弁護士に依頼する場合には、着手金や報酬金なども発生するため、全体としての費用負担は大きくなりやすいといえます。

【証拠がなければ請求が認められない】

裁判では、証拠に基づいて厳格に判断が行われます。そのため、残業代が未払いであることを裏付ける証拠がなければ、請求が認められない可能性があります。

交渉や労働審判であれば、一定の合意により解決できる余地もありますが、裁判では通用しません。労働者側が労働時間や業務内容などについて具体的に主張・立証していく必要があります。

このように、証拠収集や主張の整理に手間と労力がかかる点は、裁判のデメリットといえるでしょう。

裁判で残業代請求をすべき5つのケース

裁判で残業代請求をすべき5つのケース

ここまで見てきたとおり、裁判にはメリット・デメリットの両面があります。では、どのような場合に裁判を選択すべきなのでしょうか。

以下では、残業代請求で裁判を選択すべき代表的なケースを5つ紹介します。

・会社側との交渉が決裂したケース
・残業代の消滅時効の完成が迫っているケース
・十分な証拠があるケース
・時間がかかっても金額面で妥協したくないケース
・付加金の支払い命令が期待できるケース

会社側との交渉が決裂したケース

会社との交渉が完全に決裂している場合は、裁判を検討すべき典型的なケースです。

会社側が「残業は認めない」「支払う義務はない」といった強い姿勢を示している場合、話し合いで解決する可能性は低いといえます。

また、このように意見の対立が大きいケースでは、労働審判を利用しても、会社側が異議を申し立てて訴訟に移行する可能性が高いです。結果として時間を無駄に費やすことにもなりかねません。

最初から裁判を選択した方が、効率的に解決に向かえるケースといえるでしょう。

残業代の消滅時効の完成が迫っているケース

残業代請求には消滅時効があり、一定期間が経過すると請求権が消滅してしまいます。

内容証明郵便による請求で時効を一時的に止めることは可能ですが、その効果は6か月間に限られます。

そのため、交渉が長引いているうちに時効が迫っている場合には、早めに裁判を提起する必要があります。裁判を起こせば、その間は時効の完成が猶予され、判決が確定すれば時効期間も更新されます。

「気づいたら請求できなくなっていた」という事態を防ぐためにも、時効が近い場合は裁判を選択することが重要です。

十分な証拠があるケース

残業代請求では、証拠の有無が結果を大きく左右します。

タイムカードや勤怠データ、業務メール、チャット履歴など、労働時間を裏付ける証拠が十分にそろっている場合、裁判でも有利に進めることが期待できます

裁判は、証拠に基づいて判断される手続であるため、証拠が充実していれば、会社に対して残業代の支払いを命じる判決が出る可能性は高くなります。

会社が任意に支払いに応じない場合でも、裁判を通じてより確実に請求を実現できるケースです。

時間がかかっても金額面で妥協したくないケース

裁判は、交渉や労働審判と比べて時間がかかる手続です。

そのため、早期解決を重視する場合には向いていないこともあります。

一方で、裁判では法律に基づいた厳密な審理が行われるため、証拠がそろっていれば、より適正な金額での解決が期待できます。交渉や労働審判では、早期解決のために一定の譲歩を求められることも多いため、金額面で妥協したくない場合には裁判が適しています。

「多少時間がかかっても、正当な金額をしっかり回収したい」という方に向いている選択肢です。

付加金の支払い命令が期待できるケース

裁判では、未払い残業代に加えて「付加金」の支払いが認められる可能性があります。付加金は、会社の違法な未払いに対する制裁として、未払額と同額の支払いを命じる制度です。

この付加金は、交渉や労働審判では認められず、裁判でのみ認められるものです。

未払い残業代の金額が大きいほど、付加金の金額も大きくなるため、最終的に受け取れる金額が大幅に増える可能性があります。

そのため、「できるだけ多くの金銭を回収したい」「会社の違法行為に対してしっかり責任を問いたい」と考える場合には、裁判を選択する意義があります。

残業代請求の裁判の流れ

残業代請求の裁判の流れ

残業代請求の裁判は、いくつかの段階を経て進んでいきます。全体の流れを把握しておくことで、見通しを持って対応することができます。

ここでは、残業代請求の裁判の一般的な流れを説明します。

訴訟の提起

裁判を始めるには、まず裁判所に訴状を提出して訴訟を提起します。

訴状には、請求する残業代の金額やその根拠となる事実関係を記載し、あわせて証拠(タイムカードや勤怠データなど)も提出します。

また、申立手数料としての収入印紙や裁判所から書類を送るための予納郵券(郵便切手)も必要になります。

提出先の裁判所は請求額によって異なり、140万円を超える場合は地方裁判所、140万円以下の場合は簡易裁判所が管轄となります。

第1回口頭弁論期日

訴状が受理されると、第1回口頭弁論期日が指定されます。

裁判所は会社(被告)に訴状を送達し、会社はそれに対する反論をまとめた「答弁書」を提出します。

第1回口頭弁論では、原告と被告がそれぞれの主張を確認する形で手続が進みます。ただし、この段階で結論が出ることはほとんどなく、次回以降の期日が指定されて審理が継続されます。

続行期日

その後は「続行期日」として、双方が主張と証拠を出し合いながら争点を整理していきます。

具体的には、主張や反論をまとめた「準備書面」を提出し、それに対する再反論を行うといったやり取りが繰り返されます。

期日は通常、1か月から1か月半に1回程度のペースで開かれ、複数回にわたって審理が続きます。この段階が最も長く、裁判全体の期間の大部分を占めます。

和解勧試

審理がある程度進んだ段階で、裁判所から和解の提案(和解勧試)がなされることがあります。

裁判というと判決で終わるイメージがありますが、実際には裁判中に当事者同士の合意で解決するケースも少なくありません。

提示された和解案をもとに双方が合意すれば、その時点で裁判は終了します。和解が成立すれば、判決と同様に法的な効力を持ちます。

証拠調べ期日

和解が成立しない場合には、さらに審理が進み、証拠調べ期日が行われます。

ここでは、当事者本人や証人に対する尋問が実施されます。

いわゆる「証人尋問」と呼ばれる手続で、法廷で質問と回答を繰り返しながら事実関係を明らかにしていきます。労働者本人が当事者として尋問を受けることもあるため、事前の準備が重要になります。

判決

証拠調べを終え、主張や証拠が出そろったと裁判所が判断すると、弁論が終結し、最終的に判決が言い渡されます。

判決に不服がある場合には、判決書が送達された日から2週間以内に控訴することが可能です。控訴がなされなければ判決は確定し、残業代請求について最終的な結論が確定します。

残業代請求の裁判では和解で解決するケースも多い

裁判というと「最終的に判決が出るもの」というイメージを持つ方も多いですが、実際には判決に至る前に和解で解決するケースが多く見られます。

ここでは、裁判における和解の仕組みとメリットについて説明します。

裁判における和解とは

裁判における和解とは、裁判所の関与のもとで当事者同士が合意し、紛争を解決する手続のことです。

審理の途中で裁判所から和解案が提示され、それをもとに双方が条件を調整し、合意に至れば和解が成立します。

和解が成立すると、その内容は判決と同様の効力を持つため、会社が約束どおり支払いを行わない場合には強制執行も可能です。

和解で解決するメリット

裁判で和解を選択することには、いくつかのメリットがあります。

まず、解決までの期間を短縮できる点です。判決まで進む場合と比べて、途中で和解が成立すれば早期に紛争を終わらせることができます。

また、柔軟な解決が可能である点も大きなメリットです。判決では法律に基づいて白黒が判断されますが、和解では当事者同士の合意によって金額や支払方法などを調整することができます。

さらに、敗訴リスクを回避できる点も挙げられます。裁判では、必ずしも自分の主張が全面的に認められるとは限りませんが、和解であれば一定の金額を確実に受け取ることができます。

和解が成立しない場合は判決になる

和解はあくまで当事者双方の合意が前提となるため、どちらかが条件に納得しなければ成立しません。

特に、請求額や責任の有無について大きな対立がある場合には、和解がまとまらないこともあります。

その場合には、裁判は引き続き進行し、最終的には裁判所が判決を下すことになります。

判決では、証拠や法律に基づいて結論が示されるため、当事者の意思に関係なく解決が図られます。

残業代請求の裁判にかかる期間|平均審理期間は17.2か月

残業代請求で裁判を検討する際に、多くの方が気になるのが「どれくらいの期間がかかるのか」という点です。

裁判所が公表している「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」によると、未払い残業代請求を含む労働関係訴訟の平均審理期間は17.2か月とされています。

つまり、一般的には1年以上かかるケースが多いということです。

審理期間件数(割合)
6月以内579件(15.1%)
6月超1年以内870件(22.7%)
1年超2年以内1601件(41.7%)
2年超3年以内596件(15.5%)
3年超5年以内177件(4.6%)
5年を超える13件(0.3%)

さらに、審理期間ごとの傾向を見ると、訴訟提起から解決までに1年以上を要する事件が全体の6割以上を占めています。このことからも、裁判は短期間で終わる手続ではなく、ある程度の時間を見込んでおく必要があるといえるでしょう。

裁判での残業代請求金額の平均額・解決金額

残業代請求を検討する際、「実際にどのくらいの金額になるのか」は気になるポイントの一つです。ここでは、厚生労働省の統計をもとに、裁判における請求金額と解決金額の傾向を見ていきます。

残業代の請求金額の傾向

厚生労働省の調査によると、裁判での残業代請求額は以下のように分布しています。

請求金額件数(割合)
50万円未満11件(15.3%)
50~100万円未満4件(5.6%)
100~200万円未満21件(29.2%)
200~300万円未満12件(16.7%)
300~500万円未満9件(12.5%)
500~1000万円未満12件(16.7%)
1000万円以上3件(4.2%)

このデータから、請求金額としては100万円〜300万円程度のゾーンが比較的多いことがわかります。

また、平均値は約332万円、中央値は約200万円となっており、一般的には数百万円規模の請求となるケースが多いといえるでしょう。

解決金額の傾向

実際に裁判で解決した金額は以下のとおりです。

解決金額件数(割合)
5万円未満0件(0%)
5~10万円未満2件(0.7%)
10~20万円未満7件(2.5%)
20~30万円未満4件(1.5%)
30~40万円未満4件(1.5%)
40~50万円未満2件(0.7%)
50~100万円未満33件(12.0%)
100~200万円未満54件(19.6%)
200~300万円未満28件(10.2%)
300~500万円未満54件(19.6%)
500~1000万円未満45件(16.4%)
1000~2000万円未満26件(9.5%)
2000~3000万円未満6件(2.2%)
3000~5000万円未満6件(2.2%)
5000万円以上4件(1.5%)

この統計には残業代以外の請求も含まれていますが、解決金額の平均は約613万円、中央値は300万円となっています。

分布を見ると、100万円〜500万円程度の解決が多い一方で、1000万円を超える高額なケースも一定数存在しています。

このように、残業代請求は数十万円規模にとどまるケースもあれば、数百万円から場合によっては数千万円に及ぶケースもあります。

請求額や最終的な解決金額は、労働時間の長さや期間、証拠の有無、会社の対応などによって大きく変わるため、個別の事情に応じた見通しを立てることが重要です。

【解決事例】残業代請求の裁判で解決した当事務所の事例を紹介

【解決事例】残業代請求の裁判で解決した当事務所の事例を紹介

【事案の概要】

依頼者は、造園会社に約1年半勤務していた男性会社員で、主に造園作業や草刈りなどの現場業務に従事していました。

勤務実態としては、朝6時半頃から出社し、夜18時〜21時頃まで働くことも多く、長時間労働が常態化していたにもかかわらず、残業代はほとんど支払われていませんでした。

また、会社からは「部長」といった肩書きを付与されていましたが、実際には経営判断に関与する権限はなく、実態は現場作業員にすぎませんでした。退職後も未払い残業代が支払われなかったため、請求を希望して相談に至りました。

【経過】

まず、タイムカードや給与資料、日報などの証拠を整理し、未払い残業代の金額を試算しました。そのうえで、会社に対して内容証明郵便を送付し、資料開示と支払いを求めて交渉を開始しました。

しかし、会社側は支払いに応じなかったため、名古屋地方裁判所に訴訟を提起しました。

裁判では、主に以下の点が争点となりました。

・依頼者が「管理監督者」に該当するか
・実際の労働時間の認定
・休憩時間の実態(1.5時間か2時間か)
・基礎賃金に含める手当の範囲
・未払い残業代および慰謝料の可否

これに対し、弁護士は、依頼者に実質的な権限がないことや、実際の労働時間の長さについて証拠をもとに丁寧に主張・立証を行いました。

その後、裁判所から和解案が提示され、当事者双方で条件の調整を行いました。

【解決結果】

最終的に、解決金120万円で和解成立となりました。

【解決のポイント】

本件では、タイムカードや日報などの客観的な資料が残っていたことにより、依頼者の実際の労働時間を具体的に裏付けることができた点が大きなポイントとなりました。残業代請求においては、労働時間の立証が重要となるため、このような証拠の存在が結果を左右します。

また、会社側は依頼者が「部長」であることを理由に管理監督者に該当すると主張していましたが、実際には経営判断への関与や人事権などの権限はなく、実態としては現場作業員にすぎませんでした。この点について、形式的な肩書きではなく業務内容や権限の実態に基づいて丁寧に主張・立証を行ったことが、裁判における重要な判断材料となりました。

さらに、裁判の進行状況や裁判所の心証を踏まえ、判決まで進んだ場合のリスクも考慮しながら、現実的かつ依頼者にとって有利な和解条件を検討・提示したことも、早期解決につながった要因です。

このように、証拠の確保と適切な法的主張、そして状況に応じた柔軟な戦略を組み合わせたことが、本件の解決につながりました。

残業代請求の裁判では98.2%が弁護士つき

裁判所が公表している「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」によると、労働関係訴訟における訴訟代理人の選任状況は以下のとおりです。

訴訟代理人の選任状況件数(割合)
双方に訴訟代理人3338件(87.0%)
原告側のみ訴訟代理人237件(6.2%)
被告側のみ訴訟代理人192件(5.0%)
本人のみ69件(1.8%)

このように、弁護士が関与している事件は、全体の98.2%にのぼり、本人のみで対応しているケースはごくわずかであることがわかります。

裁判は、法律や判例に基づいて主張を組み立て、証拠を適切に整理しながら進めていく必要があるため、非常に専門性の高い手続です。特に残業代請求では、「労働時間の立証」や「管理監督者性の有無」など、専門的な争点が問題となることが多く、適切に対応しなければ不利な結果につながる可能性もあります。

また、会社側は弁護士を立てて対応してくるケースがほとんどです。そのため、労働者側だけが弁護士をつけていない場合、主張や証拠の面で不利になりやすい点にも注意が必要です。

このような事情から、残業代請求の裁判では弁護士への依頼が一般的となっています。適切なサポートを受けることで、手続の負担を軽減しつつ、より有利な解決を目指すことができるでしょう。

残業代請求の裁判でかかる費用

裁判で残業代請求を行う場合、「どのくらいの費用がかかるのか」は重要なポイントです。主な費用は、裁判所に支払う費用と弁護士費用の2つに分かれます。

ここでは、それぞれの内容を見ていきましょう。

裁判費用

裁判手続きを利用する際には、裁判所に対して一定の費用を支払う必要があります。

【手数料(印紙代)】

裁判を起こす際には、手数料として収入印紙を納めます。

金額は請求する残業代の額に応じて変わり、たとえば100万円を請求する場合は1万円が目安です。

請求額が高くなるほど印紙代も増加するため、あらかじめ概算を把握しておくことが大切です。

【予納郵券(郵便切手代)】

訴訟提起の際には、印紙代とあわせて「予納郵券」も納めます。

これは、裁判所が訴状や通知書などを郵送するための郵便切手代で、原告が負担します。

金額は裁判所ごとに異なるため、事前に管轄裁判所へ確認するとよいでしょう。

弁護士費用

弁護士に依頼する場合には、裁判費用とは別に弁護士費用が発生します。主な内訳は、以下のとおりです。

【相談料】

弁護士に相談する際にかかる費用で、相場は1時間あたり1万1000円(税込)程度です。

もっとも、法律事務所によっては無料相談を実施している場合もあります。

なお、グラディアトル法律事務所では、残業代請求に関する法律相談は初回無料で対応しています。

【着手金】

着手金は、弁護士に正式に依頼した時点で発生する費用で、結果にかかわらず支払う必要があります。

計算方法は事務所ごとに異なりますが、主に以下のようなパターンがあります。

1つ目は、以下のように請求する未払い残業代の金額に応じて、計算する方法です。

経済的利益の額着手金
300万円以下経済的利益の8.8%
300万円を超え3000万円以下の場合経済的利益の5.5%+9万9000円
3000万円を超え3億円以下の場合経済的利益の3.3%+75万9000円
3億円を超える経済的利益の2.2%+405万9000円

2つ目は、未払い残業代の金額にかかわらず、着手金を定額で計算する方法です。この方法では、20~30万円程度が着手金の相場になります。

なお、当事務所では、タイムカードの有無により着手金の金額は変動しますが、着手金0円から対応しています。

【報酬金】

報酬金は、事件が終了し、実際に残業代を回収できた場合に発生する費用です。

回収できなかった場合には、原則として発生しません。

報酬金の相場は、以下のように回収額に応じた割合で算定されることが多いですが、計算方法は事務所によって異なります。

経済的利益の額着手金
300万円以下経済的利益の17.6%
300万円を超え3000万円以下の場合経済的利益の11%+19万8000円
3000万円を超え3億円以下の場合経済的利益の6.6%+151万8000円
3億円を超える経済的利益の4.4%+811万8000円

なおグラディアトル法律事務所では、訴訟の場合の成功報酬は回収額の22%+33万円を基準としています。

※成功報酬については、会社から支払われる金額を上限とします。
※労働審判・訴訟の場合は、別途日当がかかります。

【実費】

実費とは、弁護士が事件処理のために実際に支出する費用です。主に以下のようなものが含まれます。

・印紙代・郵便切手代
・コピー代・交通費

これらは案件ごとに変動するため、事前に見積もりを確認しておくと安心です。

裁判で残業代請求をするならグラディアトル法律事務所に相談を

裁判で残業代請求をするならグラディアトル法律事務所に相談を

裁判で残業代請求を検討されている方は、グラディアトル法律事務所への相談をご検討ください。

残業代請求は専門性が高く、対応の仕方によって結果が大きく左右される分野です。経験豊富な弁護士に依頼することで、より有利な解決を目指すことができます。

初回相談料無料・着手金0円から対応

残業代請求の裁判では、弁護士のサポートが重要になりますが、「費用が不安で依頼に踏み切れない」という方も少なくありません。

しかし、十分な証拠があるにもかかわらず、費用面の不安から請求を断念してしまうのは非常にもったいないといえます。

グラディアトル法律事務所では、そのような方でも安心して相談できるよう、初回相談料無料・着手金0円から対応しています。

まずは現在の状況について相談するだけでも構いませんので、お気軽にご利用ください。

豊富な実績・経験に基づき会社側の反論に対して適切に対応できる

残業代請求の裁判では、会社側からさまざまな反論がなされます。たとえば、以下のような主張が挙げられます。

・固定残業代によりすでに支払い済みである
・管理監督者に該当するため残業代は不要である
・労働時間にあたらない業務である
・残業の指示をしていないため支払義務はない

これらの反論に適切に対応するには、労働法の知識だけでなく、裁判例や実務の運用を踏まえた対応が不可欠です。

グラディアトル法律事務所では、これまで数多くの未払い残業代の案件を解決してきた実績があり、会社側の主張に対しても的確に反論し、依頼者に有利な形での解決を目指します。

時間や労力を軽減できる

裁判は、書面の作成や証拠の整理、裁判所とのやり取りなど、多くの手間と時間がかかる手続です。

弁護士に依頼すれば、これらの対応を基本的に任せることができるため、ご自身の負担を大きく軽減できます。裁判所への出頭が必要になるのも、証人尋問や当事者尋問など限られた場面にとどまります。

また、裁判は解決までに1年以上かかるケースも多いため、長期間にわたる対応の負担を軽減できる点も大きなメリットです。

まとめ

残業代請求は、必ずしも裁判から始まるわけではなく、交渉や労働審判など段階的に進めるのが一般的です。ただし、会社が支払いに応じない場合や証拠が十分にある場合などには、裁判による解決が有効となります。

裁判は、時間や費用がかかる一方で、最終的な判断が得られ、強制執行や付加金の請求も可能になる点が大きなメリットです。もっとも、専門的な対応が求められるため、適切に進めるには弁護士への相談が重要です。

ご自身の状況に応じて最適な手段を選択し、納得のいく解決を目指しましょう。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力。数多くの夜のトラブルを解決に導いてきた経験から初の著書「歌舞伎町弁護士」を小学館より出版。 youtubeやTikTokなどでもトラブルに関する解説動画を配信している。

お悩み別相談方法

相談内容詳細

よく読まれるキーワード