「職業安定法違反の公訴時効は何年?」
「職業安定法違反の行為ごとの公訴時効期間を知りたい」
「職業安定法違反で逮捕されたときに弁護士に相談するメリットとは?」
職業安定法とは、労働の募集や職業紹介、労働者供給に関するルールを定めた法律であり、職業安定法に違反すると刑事処分の対象となる。しかし、職業安定法違反には公訴時効が適用されるため、違反行為をしてから一定期間が経過すると、公訴時効成立により職業安定法違反の罪に問われることはない。
職業安定法違反の公訴時効は、以下のように行為ごとに公訴時効期間が異なるため、自分のした行為がどれに該当するかを把握することが重要である。
・有害業務目的での職業紹介……7年
・偽装請負の労働者供給事業……3年
・虚偽の求人広告や条件で職業紹介や労働者募集……3年
本記事では、
・職業安定法違反となる主な行為ごとの公訴時効期間
・職業安定法違反の公訴時効に関する注意点
・職業安定法違反で逮捕されたときに弁護士を依頼するメリット
などについてわかりやすく解説する。
職業安定法違反には公訴時効があるといっても、何もせずに時効を待つのはリスクが高いため、職業安定法に違反する行為をしてしまったときはすぐに弁護士に相談するようにしてほしい。
公訴時効とは、犯罪行為から一定期間が経過すると検察官が公訴提起(起訴)できなくなる制度である。
公訴時効は、主に以下のような理由から設けられている。
・証拠の散逸や証人の記憶の減退により有罪立証が困難になる
・処罰感情が低下し、処罰の必要性や有用性が弱まる
・処罰されることなく日時が経過した場合、そのような事実上の状態の継続を尊重すべきである
職業安定法違反の罪にも公訴時効が適用されるため、違反行為から一定期間が経過すれば処罰されることがなくなる。
公訴時効は、犯罪の内容や刑の重さによって決められているため、以下では、職業安定法違反となる主な行為ごとの公訴時効期間を説明する。
行為 | 代表例 | 法定刑 | 公訴時効 |
---|---|---|---|
有害業務目的での職業紹介 | ・闇バイトの募集 ・性風俗店やAV撮影へのスカウト ・ホストが女性客を性風俗店に紹介 | 1年以上10年以下の懲役または20万~300万円の罰金 | 7年 |
偽装請負の労働者供給事業 | ・請負契約を装った実質派遣 ・派遣許可なしで他社へ労働者を派遣 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 3年 |
虚偽の求人広告や条件での募集 | ・実態とかけ離れた好待遇を提示 ・虚偽条件で労働者を募集 | 6月以下の懲役または30万円以下の罰金 | 3年 |
職業安定法では、有害業務目的での職業紹介、労働者の募集、募集情報等提供などの行為が禁止されている。これに該当するものとしては、以下のような行為が挙げられる。
・闇バイトの募集
・性風俗店やアダルトビデオ撮影などの有害業務へのスカウト
・ホストが売掛金の回収のために女性客を性風俗店に紹介する
このような有害業務目的での職業紹介の罪の法定刑は、1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金と定められているため、公訴時効期間は7年になる。
職業安定法では、労働者供給事業の許可を得ずに労働者供給を行うといういわゆる「偽装請負」が禁止されている。たとえば、以下のような行為が偽装請負の労働者供給事業に該当する。
・表向きは請負契約であるが実質的には労働者派遣である
・派遣事業の許可を得ずに労働者を他企業に派遣する
このような偽装請負の労働者供給事業の罪の法定刑は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と定められているため、公訴時効期間は3年になる。
職業安定法では、虚偽の求人広告や虚偽の条件を提示して職業紹介や労働者募集をすることを禁止している。
この罪の法定刑は6月以下の懲役または30万円以下の罰金と定められているため、公訴時効期間は3年になる。
職業安定法違反の公訴時効に関しては、以下の点に注意が必要である。
公訴時効の起算点は、犯罪行為が終わった時点からである。
たとえば、職業安定法違反となる行為のうち有害業務目的での職業紹介であれば、被害者に対して性風俗店などの有害業務を紹介した時点で犯罪行為が終了となるため、その時点から公訴時効期間が進行する。
公訴時効を計算するにあたって、どの時点から時効期間がスタートするかは重要な要素であるため、しっかりと理解しておくべきである。
公訴時効は、一定事由が生じると時効期間の進行がストップすることがある。このような時効期間が停止する事由を「公訴時効の停止事由」という。
公訴時効の停止事由としては、以下のような事由が挙げられる。
・事件が起訴された場合
・共犯者の事件が起訴された場合
・犯人が国外逃亡している場合
・犯人が逃げ隠れしていて起訴状を渡すことができない場合
たとえば、公訴時効前に職業安定法違反で起訴されれば、裁判が長引いて公訴時効期間が経過しても、公訴時効は停止しているため公訴時効は完成しない。
職業安定法違反には公訴時効が適用されるからといって時効まで何もせずに待ち続けるのは得策とはいえない。
職業安定法違反となる代表的な罪の時効期間は7年または3年と非常に長いため、いつ逮捕されるかわからない状態で生活しなければならないのは精神的なストレスも大きいといえるだろう。また、時効直前で職業安定法違反が発覚し、逮捕されるケースもあるため、時効待ちの方針はリスクが高いといえる。
そのため、職業安定法違反の罪を犯してしまったときは、時効待ちではなくすぐに弁護士に相談するのがおすすめである。
時効前に職業安定法違反で逮捕されてしまったときは、以下のようなメリットがあるためすぐに弁護士に相談すべきである。
職業安定法違反で逮捕されると、そのまま警察署に連行されて警察官による取り調べを受けることになる。取り調べで供述した内容は、供述調書にまとめられ後日の裁判の証拠になるため、不利な供述調書を取られないようにすることが重要である。
弁護士に依頼すれば逮捕後すぐに面会に駆けつけて、取り調べに対するアドバイスをしてくれるため、不利な供述調書を取られるリスクを最小限に抑えることが可能だ。
職業安定法違反で逮捕・勾留されると最長23日間もの身柄拘束を受ける可能性がある。
その間は当然仕事や学校に行くことができず、外部との連絡も自由にできないため、非常に不自由な生活を強いられることになる。
弁護士に依頼すれば勾留請求の阻止、勾留の阻止、勾留に対する準抗告などの手段により早期釈放を実現することが可能である。身柄拘束による不利益を最小限に抑えるには早期に弁護士に依頼して、適切な弁護活動を行ってもらうことが重要だ。
職業安定法違反で逮捕された後は、検察官が事件を起訴するか不起訴にするかの判断を行う。職業安定法違反で起訴されれば99%以上の確率で有罪になるため、前科を避けるには不起訴処分を獲得しなければならない。また、起訴されて懲役の実刑判決になれば刑務所に収監されてしまうため、それを避けるには執行猶予付き判決の獲得が必要である。
弁護士に依頼すれば不起訴処分や執行猶予付き判決などの有利な処分獲得に向けたサポートをしてもらうことができる。少しでも処分を軽くしたいなら、早期に弁護士に依頼するようにしてほしい。
職業安定法違反の罪には公訴時効があるが、時効完成まで逃げ切るのは困難であるため、時効待ちではなく弁護士に相談することを強くすすめる。弁護士に相談すれば、時効待ち以外にできる有効な対策をアドバイスしてくれるため、不安な生活から解放され、逮捕・起訴のリスクを最小限に抑えることが可能である。
ただし、職業安定法違反の相談は、弁護士であれば誰でもよいというわけではない。刑事事件に強い弁護士であることは当然であるとして、ホストクラブや風俗店などが関わる事件に関してはナイトビジネス業界に特化した弁護士に相談するべきである。
グラディアトル法律事務所では、ナイトビジネス業界で全国1000件以上の解決実績があり、500店舗以上の風俗店の顧問弁護士を担当しているなど、ナイトビジネス業界に特化した弁護士事務所といえる。性風俗店へのスカウトなどの職業安定法違反の弁護経験も豊富であるため、少しでも有利な処分を獲得したいなら、ぜひ当事務所の弁護士に任せてもらいたい。
当事務所では、24時間365日受付をしているため、深夜にスカウト行為をして逮捕されたという場合でも対応が可能だ。刑事事件はスピード勝負といわれるように初動対応の早さがポイントになるため、一刻も早く当事務所まで連絡してほしい。
職業安定法違反の罪には公訴時効があるため、犯罪行為から一定期間が経過すれば罪に問われることはなくなる。しかし、時効まで逃げ切るのは困難であるため、職業安定法違反となる行為をしてしまったときはすぐに弁護士に相談すべきである。
時効待ち以外にできることを知りたいという方は、ナイトビジネス業界に特化したグラディアトル法律事務所に相談してもらいたい。