「売春防止法の売春勧誘罪・客待ちの罪とはどのような犯罪?」
「売春防止法の売春勧誘罪・客待ちの罪に該当する具体例を知りたい」
「売春防止法の売春勧誘罪・客待ちの罪を犯してしまった場合の刑罰とは?」
売春防止法は、売春を助長する行為などを処罰するために制定された法律であり、売春を防止する目的からさまざまな行為を規制対象としている。そのうちの一つが売春勧誘罪および客待ちの罪である。
売春勧誘罪および客待ちの罪は、その名のとおり売春の勧誘および客待ちをした場合に成立する犯罪である。路上での勧誘・客待ちだけではなく、インターネット上での勧誘等も処罰対象になるため、SNSなどを利用して売春の勧誘をしている方は、売春防止法違反で処罰される可能性がある点に注意が必要である。
本記事では、
・売春防止法で規制されている「売春勧誘罪」および「客待ちの罪」とは?
・売春防止法の売春勧誘罪および客待ちの罪に該当する行為の具体例
・売春防止法の売春勧誘罪および客待ち罪の刑罰
などについて詳しく解説する。
売春勧誘罪・客待ちの罪に問われてしまった、身内が売春防止法違反で逮捕されてしまったという方は、本記事を参考にしてすぐに弁護士に相談するようにしてほしい。
売春防止法で規制されている犯罪に「売春勧誘罪」および「客待ちの罪」というものがある。以下では、両罪の概要と成立要件をわかりやすく説明する。
ポイント:売春勧誘罪・客待ちの罪が成立する条件
・相手が特定されていなくても成立(不特定多数への呼びかけでも可)
・実際に売春行為が行われなくても成立
・「売春」という明言がなくても暗示すれば成立する可能性あり
・勧誘の継続性・執拗性がなくても一回で成立することがある
売春勧誘罪とは、公衆の目に触れるような方法で、売春の相手になるように勧誘した場合に成立する犯罪である。
売春防止法では、以下のような行為が売春勧誘罪の処罰対象になっている。
①公衆の目に触れる方法で人を売春の相手に勧誘する
②売春の相手となるように勧誘するため、道路や公共の場所で人の身辺に立ちふさがったり、つきまとう
売春勧誘罪は、実際に売春の勧誘をしていなかったとしても、売春の勧誘をするためにしつこくつきまとったり、道をふさぐなどの行為をした場合に成立するのがポイントである。
客待ちの罪とは、公衆の目に触れるような方法で客待ちをした場合に成立する犯罪である。
いわゆる「立ちんぼ」と呼ばれる行為が、客待ちの罪に該当する。
ただし、路上でただ立っているだけで客待ちの罪が成立するわけではなく、売春の意思があることを不特定多数に示すことが必要である。具体的には、本人の服装や外見、立っている場所や時間、通行人への態度などを総合して判断される。
客待ちの罪の成立要件に関するポイントをまとめると以下のようになる。
売春防止法の売春勧誘罪・客待ちの罪に該当する具体的な行為としては、以下のようなものが挙げられる。
派手な服装で繁華街の同じ場所に長時間立ち、通行人にアイコンタクトや声がけなどで客引きをする行為は、客待ちの罪に該当する行為である。
いわゆる「立ちんぼ」と呼ばれる行為であり、東京であれば新宿歌舞伎町の大久保公園周辺が有名な立ちんぼスポットとして知られている。
路上や繁華街など人目のある場所で「お金をくれたら一晩一緒にどう?」などと声をかける行為は、売春勧誘罪に該当する行為である。
「人目のある場所」であること、「金銭を提示して売春を持ちかける直接的な勧誘行為」があったことがポイントである。
Xや掲示板などで「1万5000円で遊べる人がいたらDMください」などと暗に売春をほのめかす内容の投稿をして、売春相手を募集する行為も売春勧誘罪に該当する。
売春勧誘罪は、路上など現実の場所で行うものだけではなく、インターネット上での勧誘も対象になる点に注意が必要である。
売春防止法の売春勧誘罪および客待ちの罪の刑罰は、6月以下の懲役または2万円以下の罰金である。
なお、売春防止法の条文上は、「1万円以下の罰金」と規定されているが、罰金等臨時措置法2条1項により「2万円以下の罰金」に修正されている。
買春客を募ったとして、県警少年捜査課と栄署は、売春防止法違反(勧誘)の疑いで、川崎市出身で住所不定、自称アルバイトの少女(16)を逮捕した。18歳未満を同容疑で逮捕するのは極めて異例。少女は家出を繰り返していたといい、県警は任意の聴取が困難とみて逮捕が必要と判断した。
逮捕容疑は、川崎市立高校1年の女子生徒(16)と共謀して、ツイッターで買春客を勧誘した、としている。
県警の調べに対し、少女は「遊ぶ金が欲しかった」と供述している。県警は近く、女子生徒も同容疑で書類送検する方針。
県警によると、2人はツイッターで「ララ」と「キキ」を名乗り、2014年末から6、7人を集客して5万~8万円で売春していたという。県警は買春客を児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で捜査している。
(引用:神奈川新聞)
売春の勧誘・客待ちをして売春防止法違反に問われてしまったときは、弁護士に相談・依頼することで以下のようなサポートを受けることができる。
売春の勧誘・客待ちをして警察に摘発されると、逮捕されて警察の取り調べを受ける可能性がある。警察の取り調べで供述した内容は、「供述調書」にまとめられて刑事裁判の証拠になるため、不利な供述調書を取られないようにしなければならない。
特に、捜査員からの積極的な誘導により「勧誘」したなら違法なおとり捜査の可能性あるため、不利な供述調書をとられなければ嫌疑不十分で不起訴になる可能性も十分にあるといえる。
そのため、逮捕されてしまったときはすぐに弁護士を呼んで取り調べに対するアドバイスをしてもらうべきである。また、弁護士が到着するまでは黙秘権を行使して、取り調べで不利な供述をしないようにするのも自分の身を守るための有効な手段といえる。
売春防止法違反で逮捕・勾留されると、最長で23日間にも及ぶ身柄拘束を受けることになる。副業で売春をしている人は身柄拘束期間が長くなると本業の仕事を解雇される可能性が高くなるため、早期の身柄解放を実現することが重要である。
弁護士に依頼すれば勾留を阻止するための弁護活動や勾留に対する準抗告などの手段により早期釈放を実現することができる。早期釈放を目指すなら逮捕後すぐに弁護士に依頼するのが重要なポイントである。
売春防止法違反の嫌疑をかけられたとしても、そのすべが起訴されて有罪になるわけではない。一定の事情がある場合には起訴猶予より不起訴処分になる可能性もある。また、起訴されてしまっても罰金刑になれば刑務所に収監されることもない。
弁護士に依頼すれば有利な事情を主張立証することにより、不起訴処分や罰金刑を求めていくことが可能である。少しでも処分を軽くしたいなら、一刻も早く弁護士に相談するようにしてほしい。
売春勧誘罪や客待ちの罪を犯してしまった場合、そのままでは逮捕・起訴されて有罪になるリスクが高いといえるだろう。売春防止法違反となる行為をしたのが事実であったとしても、適切な弁護活動をすることで不起訴処分を獲得できる可能性もあるため、すぐに弁護士に相談するべきである。
ただし、弁護士であれば誰でもよいというわけではない。売春防止法違反の弁護を依頼するなら、売春防止法違反の弁護経験豊富な弁護士に依頼しなければならない。そのような弁護士をお探しの方は、グラディアトル法律事務所まで連絡してほしい。
グラディアトル法律事務所は、東京と大阪の2拠点を中心に活動しており、ナイトビジネス業界で全国1000件以上の解決実績がある。売春防止法違反に関する刑事弁護の経験も豊富であるため、早期釈放や不起訴処分を獲得するためのポイントを熟知している。
また、当事務所では、24時間365日相談受付をしているため、深夜に売春防止法違反で逮捕されてしまったという場合でもすぐに対応することが可能である。逮捕後すぐに対応できるかどうかによって、今後の処分内容が大きく左右されることから、逮捕されたときはすぐに当事務所まで連絡してもらいたい。
※関連コラム「売春防止法違反で逮捕されないために大事なこと」
売春防止法では売春の勧誘や客待ちを処罰対象としており、繁華街では警察官が身分を隠して違法な売春勧誘や客待ちの摘発をしている。知らずに警察官に声をかけて売春の勧誘をしてしまうと売春勧誘罪の現行犯として逮捕される可能性があるため注意が必要である。
万が一、売春防止法違反で逮捕されてしまったというときは、弁護士のサポートが不可欠となるため、すぐにグラディアトル法律事務所まで相談してもらいたい。