「売春防止法の売春周旋罪とはどのような犯罪?」
「売春防止法の売春周旋罪が成立する具体例を知りたい」
「売春周旋罪の罰則はどの程度なの?」
売春防止法は、売春を助長する行為などを処罰するために制定された法律であり、売春を防止する目的からさまざまな行為を規制対象としている。そのうちの一つが売春周旋罪である。
売春周旋罪は、売春の当事者の間に入って両者を引き合わせたり、仲介することで成立する犯罪である。実際に売春をしたかを問わず、男女ともに処罰の対象となるのが特徴だ。自ら売春の勧誘を行う売春勧誘罪に比べて、売春周旋罪は、組織的に行われていることもあり悪質な行為と評価され、厳しい刑罰が科される可能性がある。そのため、売春周旋罪で逮捕されてしまったときはすぐに弁護士を呼ぶことが重要である。
本記事では、
・売春防止法で規制されている「売春周旋罪」とは?
・売春防止法の売春周旋罪に該当する行為の具体例
・売春の周旋をして売春防止法違反に問われたときに弁護士ができること
などについて詳しく説明する。
売春周旋罪に問われてしまった、身内が売春防止法違反で逮捕されてしまったという方は、本記事を参考にしてすぐに弁護士に相談するようにしてほしい。
売春周旋罪とは、売春の周旋をした場合に成立する犯罪である(売春防止法6条1項、2項)。売春の周旋とは、売春をする人と買春をする人の間に立って売春の仲介を行う行為をいう。
売春防止法では、以下のような行為が売春周旋罪の処罰対象になっている。
①売春の周旋をする
②売春の周旋をする目的で行う以下の行為
・売春の相手方となるように勧誘する
・売春の相手となるように勧誘するため、道路や公共の場所で人の身辺に立ちふさがったり、つきまとう
・広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引する
売春周旋罪は、売春の仲介をした時点で成立する犯罪であるため、その後実際に売春が行われたかどうかは問われない。また、売春の仲介が処罰対象であるため男女問わず処罰対象となるのが特徴である。
以下では、売春防止法の売春周旋罪に該当する行為の具体例を紹介する。
女性AがSNSで「パパ活したい」という女性Bを見つけ、男性Cに紹介して対価を得る行為は、売春周旋罪に該当する行為である。
報酬の有無は売春周旋罪の要件ではないため、無償で売春の仲介をしていたとしても売春周旋罪は成立する。
「デリヘル」などの風俗店で経営者が女性キャストに本番行為をさせている、女性キャストが本番行為をしているのを黙認している場合、売春周旋罪に問われる可能性がある。よくあるケースは、表向きはマッサージなどをうたうが、実際には女性を男性客に送り込み、性行為を行わせるように手配しているケースである。
女性と男性の間に立ち、「いつ・どこで・いくらで性行為をするか」を交渉し、仲介料を受け取る行為は、売春周旋罪に該当する行為である。
売春の周旋は、組織的に行われているケースが多く、パパ活女子がパパ活を希望する女子を募集・管理して、売春の仲介をしているケースもあるようである。
繁華街などで声をかけ、風俗に誘導し、そこで売春が行われるよう手配する行為は、売春周旋罪に該当する行為である。
いわゆる「ポン引き」と呼ばれる行為が売春周旋罪の典型的なケースといえるだろう。
売春防止法の売春周旋罪の刑罰は、2年以下の懲役または5万円以下の罰金である。
法定刑に罰金が含まれているため、売春周旋罪で逮捕・起訴されたとしても、略式命令による罰金で済むケースも多い。
以下では、売春防止法の売春周旋罪で逮捕された実際の事例を紹介する。
京都府警生活保安課と伏見署などは、売春防止法違反(周旋)の疑いで、大阪府東大阪市、自称無職の男(33)と、同市、自称ドライバーの男(22)ら男3人を逮捕した。
自称無職の男と自称ドライバーの男の逮捕容疑は、大阪市の女性(26)を京都府久御山町の駐車場に派遣し、50代男性との売春をあっせんした疑い。両容疑者は容疑を否認しているという。
府警によると、男らは交流サイト(SNS)に女性を装って売春を募る投稿を繰り返していたとみている。
(引用:京都新聞)
女性を売春相手として客に紹介したとして、警視庁は会社役員でデリヘル店元責任者の男(51)ら24~52歳の男23人を売春防止法違反(周旋)容疑で逮捕した。元責任者の男は容疑をおおむね認めているという。
男らは東京都品川区や港区などの同系列のデリヘル店計4店舗の店長や従業員、元責任者ら。警視庁が同法違反容疑で1事件で摘発した人数としては過去最多だという。
保安課によると、逮捕容疑は、30~50代の男性客8人の依頼を受け、いずれも20代の女性8人を都内のホテルに売春させる目的で派遣したというもの。
警視庁が東京・歌舞伎町の大久保公園周辺で客待ち女性を摘発した際、女性の何人かが「男らの経営する店で働いていた」「本番行為をしていた」と話し、捜査していた。面接時に「どこまでできる?」「本番は絶対じゃないけどあった方がいいよ」などと言われていたという。
(引用:朝日新聞)
売春相手を紹介容疑、デリヘル店元責任者ら23人逮捕 警視庁で最多:朝日新聞
知人女性に売春相手を紹介したとして、男子高校生が、警察に逮捕されました。
売春防止法(周旋)の疑いで逮捕されたのは、広島県安芸郡の高校3年の男子生徒(18)です。
警察によりますと、男子生徒は、広島市西区の路上で、10代の知人女性に対し、売春相手として会社員の男性(37)を紹介した疑いが持たれています。
男子生徒が売春を告知する内容をSNSに投稿。女性は広島市中区のホテルで売春し、2万5000円を得たとみられています。
調べに対して男子生徒は「たくさんやったので、いちいち覚えていません」と供述しているということです。
警察は、男子生徒が女性から仲介料をとっていた可能性があるとみているほか、他にも余罪があるとみて、スマートフォンを解析するなどして捜査しています。
(引用:中国放送)
売春の周旋をして売春防止法違反に問われた場合、弁護士に依頼することで以下のようなサポートを受けることができる。
売春周旋罪で逮捕されると警察による取り調べを受けることになるが、その際に重要なのが不利な供述調書を取らせないということである。
供述調書はその後の裁判の証拠となるため、不利な供述調書がとられてしまうと不利な処分を受けるリスクが高くなるからである。
不利な供述調書を取らせないようにするには、取り調べに適切に対応する必要があるが、それには弁護士によるアドバイスが不可欠である。そのため、警察に逮捕されたときはすぐに弁護士を呼んで取り調べに対するアドバイスを受けるべきである。
売春防止法違反で逮捕・勾留されると最長23日間にも及ぶ長期間の身柄拘束を受けるリスクがある。身柄拘束中は、外部と自由に連絡がとれず当然外出もできないため、被疑者本人には心身ともに大きな負担が生じるといえるだろう。
弁護士に依頼すれば勾留の阻止や勾留に対する準抗告などの手続きによって早期釈放の実現に向けたサポートを受けることができる。一日でも早く釈放してもらうためにも、逮捕後すぐに弁護士に依頼することが重要である。
売春周旋罪は、組織的に行われることも多く、そのような事案は悪質な行為であると評価され起訴されてしまう可能性が高くなる。
しかし、犯罪に至った経緯やその後の反省、再犯防止に向けた対策などを示すことで不起訴処分を獲得できる可能性も十分にある。また、仮に起訴されてしまったとしても略式命令請求による罰金刑を求めていくことで懲役の前科を回避することが可能だ。
弁護士に依頼すれば、被疑者にとって有利な事情を指摘して、不起訴処分や罰金刑を求めていくことができるため、有利な処分を獲得できる可能性を高めることができる。
売春の周旋をしてしまったときは、警察により摘発される可能性があるためすぐに弁護士に相談するべきである。また、家族や友人、従業員などが売春の周旋で逮捕されてしまったときもすぐに弁護士に相談するべきである。
ただし、弁護士であれば誰でもよいというわけではない。売春防止法違反の事件では、売春防止法違反特有の事情があるため、適切な弁護活動を行うには売春防止法違反の知識や経験が不可欠である。そのため、売春防止法違反の弁護は、売春防止法違反の弁護経験豊富な弁護士に依頼するべきである。
グラディアトル法律事務所は、東京と大阪の2拠点を中心に活動しており、ナイトビジネス業界で全国1000件以上の解決実績がある。売春防止法違反に関する刑事弁護の経験も豊富であるため、早期釈放や不起訴処分を獲得するためのポイントを熟知している。
また、当事務所では、24時間365日相談受付をしているため、深夜に売春防止法違反で逮捕されてしまったという場合でもすぐに対応することが可能である。逮捕後すぐに対応できるかどうかによって、今後の処分内容が大きく左右されることから、逮捕されたときはすぐに当事務所まで連絡してもらいたい。
売春の仲介などをすると売春防止法の売春周旋罪という罪に問われる可能性がある。売春周旋罪が発覚すると逮捕される可能性もあり、そうなれば社会生活に多大な影響を与えることになってしまう。それを避けるには、早期に弁護士に相談することが重要であるため、まずは、グラディアトル法律事務所まで相談してもらいたい。