「何をしたら売春防止法違反になる…?」
「具体的にどんな行為に罰則があるの?」
売春防止法について、このような疑問がある人は多いだろう。
前提として、売春行為そのものには罰則がない。処罰されるのは、勧誘、周旋(あっせん)、場所の提供など、売春を助長する8つの行為だ。
■売春防止法違反になる8つの類型
類型 | 具体的な行為 |
---|---|
①勧誘(5条) | 路上で客待ち・立ちんぼ等をする |
②周旋(6条) | 売春相手を紹介・あっせんする |
③困惑等による売春(7条) | 困惑や暴行・脅迫により売春させる |
④前貸し等(8条) | 売春目的での金銭貸付をする |
⑤売春をさせる契約(10条) | 売春をさせる内容の契約をする |
⑥売春場所の提供(11条) | 売春する場所を提供する |
⑦売春をさせる業(12条) (管理売春) | 管理する場所に居住させて売春させることを仕事とする |
⑧資金等の提供(13条) | 売春場所の提供や管理売春を仕事とする人に金や土地・建物を提供する |
本記事では、上記8つの類型について、それぞれの具体的なケース、実際の逮捕事例、罰則などを説明していく。さらに、類型別の検挙件数や捜査の流れ、逮捕後の手続きについても取り上げた。
この記事を読めば、売春防止法違反の全てが明確になるはずだ。
売春防止法違反とは、「売春を助長する行為」に関わることだ。
売春・買春そのものではなく、売春の勧誘、周旋、場所の提供など、売春を助長する行為が処罰対象となる。
売春とは、「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交する」ことだ。
「①金銭などの対価を受け取り、②不特定の相手と、③性交をする」という3つの要素がすべて揃ったとき、法律上の「売春」となる。
たとえば、デリヘル店のように性的サービスを提供していても、性交(本番行為)がなければ売春には当たらない。口淫、手淫、前戯などは、あくまで「性交類似行為」であって、「性交」ではないからだ。
売春にあたらないケースの例
(✕)特定の1人と援助交際をしている
→「②不特定の相手」ではないから売春ではない
(✕)お金をもらって性的関係を持っているが、本番(性交)をしていない
→「③性交」ではないから売春にならない
売春防止法違反として処罰される行為は、大きく8つの類型に分けられる。
類型 | 具体的な行為 | 罰則 |
---|---|---|
①勧誘(5条) | 路上で売春の客待ち・立ちんぼ等をする | 6月以下の拘禁刑又は2万円以下の罰金 |
②周旋(6条) | 売春相手を紹介・あっせんする | 2年以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金 |
③困惑等による売春(7条) | 困惑や暴行・脅迫により売春させる | 3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金 ※脅迫、暴行は、3年以下の拘禁刑又は3年以下の拘禁刑及び10万円以下の罰金 |
④前貸し等(8条) | 売春目的での金銭貸付をする | 3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金 |
⑤売春をさせる契約(10条) | 売春をさせる内容の契約をする | 3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金 |
⑥売春場所の提供(11条) | 売春する場所を提供する | 3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金 ※業とした者は7年以下の拘禁刑及び30万円以下の罰金 |
⑦売春をさせる業(12条) (※管理売春) | 管理する場所に居住させて売春させることを仕事とする | 10年以下の拘禁刑及び30万円以下の罰金に処する。 |
⑧資金等の提供(13条) | 売春場所の提供や管理売春を仕事とする人に金や土地・建物を提供する | (場所提供の資金提供) 5年以下の拘禁刑及び20万円以下の罰金 (管理売春の資金提供) 7年以下の拘禁刑及び30万円以下の罰金 |
警察庁の統計によれば、売春防止法違反の検挙件数は年間約400〜500件で推移している。
このうち、最も多いのは「売春の勧誘」による検挙だ。次いで周旋(あっせん)、売春をさせる契約、場所の提供が多く、これら4つで売春防止法違反の9割以上を占めている。
(参考)令和6年 売春防止法違反の検挙件数及び人員
検挙件数 | 検挙人員 | |
---|---|---|
①勧誘 | 237 | 235 |
②周旋(あっせん) | 79 | 58 |
⑤売春をさせる契約 | 50 | 14 |
⑥売春場所の提供 | 34 | 62 |
⑦管理売春 | 4 | 3 |
その他 | 9 | 9 |
合計 | 413 | 381 |
(出典:警察庁生活安全局保安課|令和6年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯等の取締り状況についてを加工して作成)
売春の勧誘行為は、売春防止法違反で最も検挙数が多い類型だ。
いわゆる「立ちんぼ(客待ち)」が典型例で、警察の取り締まりも強化されている。
売春の勧誘にあたるのは、次のような行為だ。
・公衆の目に触れるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘する。
・売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとう。
・公衆の目に触れるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引する。
「相手から依頼されて、売春の相手を紹介すること」も勧誘にあたるとされている。
「いい女はいないか」と聞かれて、「●円でどうですか」と案内して勧誘罪が成立した判例があるため、受け身の対応でも処罰される可能性がある。
売春の勧誘罪では、次のような逮捕事例がある。
日付 | 罪名 | 補足 |
---|---|---|
2024年1月〜11月 | 売春防止法違反(勧誘) | 大久保公園周辺で立ちんぼをしたとして、女性88人が逮捕 |
2023年1月〜12月 | 売春防止法違反(勧誘) | 大久保公園周辺で立ちんぼをしたとして、女性140人が逮捕 |
2015年6月 | 売春防止法違反(勧誘) | 「ツイッター」で売春相手を募ったとして、16歳の少女が逮捕 |
売春の勧誘行為に対する罰則は「6月以下の拘禁刑又は2万円以下の罰金」だ。
初犯なら、略式手続により罰金となるケースが多いが、組織的な犯行なら実刑判決もありうる。
売春の周旋(あっせん)とは、売春する女性と買う男性の間に入って、両者を取り持つ行為だ。女友達に、売春の相手を紹介するようなケースが典型例だ。紹介料を受け取っていなくても処罰対象となりうる。
「パパ活の相手を紹介する」という名目でも、実態が性交目的なら周旋罪が成立しうる。
売春の周旋が成立しやすいのは、デリヘル店の本番黙認行為だ。
キャストの性交(本番)を推奨していたり、本番をしているキャストに適切に対処していなければ、売春の周旋罪で摘発されるリスクがある。
■デリヘル店の摘発事例
女性を売春相手として客に紹介したとして、警視庁は会社役員でデリヘル店元責任者の男(51)=福岡市博多区=ら24~52歳の男23人を売春防止法違反(周旋)容疑で逮捕し、17日に発表した。元責任者の男は容疑をおおむね認めているという。
〜〜中略〜〜
昨年、警視庁が東京・歌舞伎町の大久保公園周辺で客待ち女性を摘発した際、女性の何人かが「男らの経営する店で働いていた」「本番行為をしていた」と話し、捜査していた。面接時に「どこまでできる?」「本番は絶対じゃないけどあった方がいいよ」などと言われていたという。
(引用:朝日新聞 2024年6月17日)
他にも、売春の周旋罪(あっせん)では次のような逮捕事例がある。
日付 | 罪名 | 内容 |
---|---|---|
2025年5月 | 売春防止法違反(周旋) | 個室マッサージ店の店長ら9人が、売春勧誘目的の周旋で逮捕 |
2024年6月 | 売春防止法違反(周旋) | 女性を駐車場に派遣して、売春をあっせんした疑いで男性3人が逮捕 |
2020年1月 | 売春防止法違反(周旋) | デリヘルで売春をあっせんして、社長・従業員など19人が逮捕 |
売春の周旋に対する罰則は「2年以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金」だ。
勧誘罪より重い刑罰が定められており、組織的・継続的な周旋の場合はさらに厳しく処罰される。また、売春の周旋を目的として勧誘やつきまといをした場合も、同じ罰則が適用される。
女性の意思に反して売春させると成立するのが売春防止法第7条違反だ。困惑、暴行・脅迫等により売春を強要する行為が対象となる。
困惑や暴行・脅迫により売春にあたるのは、次のような行為だ。
・人を欺き、若しくは困惑させて売春させること
・親族関係による影響力を利用して人に売春をさせること
・脅迫して売春をさせること
・暴行を加えて売春をさせること
借金を理由に売春をさせたり、弱みを握って売春を強要したりする行為が典型例だ。
困惑等による売春の逮捕事例で多いのは、ホストがソープへ女性客を紹介するケースだ。
売掛金の回収目的で売春を強要すると、「困惑等による売春」が成立する。
■「困惑等による売春」でホストが逮捕された事例
東京・歌舞伎町のホストクラブの20代女性客に対し、飲食代の売掛金名目で約1000万円を要求し、ソープランドで売春させたとして、警視庁保安課は23日までに、売春防止法違反(困惑等による売春)の疑いで、元ホストで無職の●●容疑者(●)を逮捕した。
逮捕容疑は21年10月~12月、女性に対し「早く金を作ってこい」「スカウトマンに紹介してもらって、ソープに行かせるから」などと告げて女性を困惑させ、台東区のソープランドで売春させるなどした疑い。
(引用:日刊スポーツ 2023年1月23日)
困惑等による売春の罰則は、「3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金」だ。
暴行・脅迫を伴う場合は、3年以下の拘禁刑又は3年以下の拘禁刑及び10万円以下の罰金と刑が重くなる。さらに、売春防止法違反だけでなく、暴行罪や脅迫罪、強要罪なども成立しうる。
売春をさせる目的で金銭を貸し付けたり、利益を与えたりすると成立するのが、売春防止法第8条だ。生活に困っている女性に金を貸して、他人と売春させるようなケースが該当する。罰則は、「3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金」だ。
なお、本条は「利益供与者(お金を受け取った人)以外が売春相手となる場合」に成立する犯罪だ。自分が売春相手となるケースは「単純売春(買春)」になるので、罰則の対象ではない。
売春をさせる内容の契約をすると成立するのが、売春防止法第10条違反だ。
無理やり売春をさせる契約をするケースだけではなく、女性が自分の意志で契約を結ぶ場合も含まれる。
本条が適用される契約は、「売春当事者間」の契約ではなく、「売春をする女性と、売春させようとする第三者」の間で結ばれる契約だ。処罰されるのも、「売春当事者」ではなく、「売春をさせようとした者」なので注意して欲しい。
売春防止法10条違反では、次のような逮捕事例がある。
女子高生に売春させるなどしたとして、県警少年捜査課と逗子署は8日、児童福祉法違反(児童淫行)と売春防止法違反(契約)の疑いで、東京都東久留米市、無職の男(33)を逮捕した。同容疑者は、女子生徒と客が無料通信アプリ「LINE(ライン)」でやりとりする内容をチェック、客数や売り上げなど”仕事ぶり”を監視していた。
逮捕容疑は、2月7日、同町田市のホテルで、逗子市に住む私立高校1年の女子生徒(16)と売春をさせる契約を結び、渋谷区のホテルで同28日、20歳と24歳の男性とみだらな行為をさせた、としている。
(引用:神奈川新聞 2016年6月9日(木) )
売春契約の罰則は「3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金」だ。未遂罪の処罰規定もあるため、実際に性交をしていなくても処罰されうる。
売春防止法第11条は、売春の場所を提供すると成立する犯罪だ。
売春に使われることを知った上でラブホテルの一室を貸したり、マンションを売春宿として提供したりする行為が該当する。
場所の提供によって売春防止法違反が成立するのは、以下のようなケースだ。
・情を知つて、売春を行う場所を提供する
・売春を行う場所を提供することを業とする
「情を知って」とは、売春に利用されると知っていることを言う。
売春に使われるとハッキリ認識している必要はなく、「売春が行われるかもしれないが、それでも構わない」と考えている場合も含まれる(未必の故意)。
「売春を行う場所を提供することを業とする」とは、場所を提供する対価・報酬を受け取っている必要はない。多数回にわたり継続して提供していれば、「売春を行う場所を提供することを業とする者」にあたる。
「場所の提供」で逮捕されやすいのは、本番行為を行っているヘルスやメンズエステ、警察の捜査対象となったソープランドだ。
様々な風俗店の経営者が、「場所の提供罪」で逮捕されている。
日付 | 罪名 | 内容 |
---|---|---|
2024年11月 | 売春防止法違反(場所の提供) | 個室付公衆浴場(ソープランド)で、役員・従業員などの男6人が逮捕 |
2025年2月 | 売春防止法違反(場所の提供) | マンションの一室を売春場所として提供したとして、個室マッサージ店の経営者が逮捕 |
売春場所の提供の罰則は、「3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金」だ。
ただし、業として行った場合は「7年以下の拘禁刑及び30万円以下の罰金」と格段に重くなる。「及び」となっているため、業として行った場合は懲役・罰金の両方が科される。
管理売春は、売春防止法違反の中で最も重い犯罪の一つだ。女性をマンション・アパートなどに居住させて、売春をさせる行為を指す。
管理売春が成立するのは、以下の2つの要素を満たしたケースだ。
① 人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に居住させ
② 業として売春をさせる
「居住させ」とは、マンション・アパートなどに常時住まわせる必要はない。
女性が、他にアパート等の自分の居住場所をもっていても、実態として支配関係があれば、「居住させ」たといえる場合がある。
さらに、いわゆる「通い売春」で、管理売春罪が成立した判例もある。
(最高裁判決 昭和47年12月12日)
管理売春では、次のような逮捕事例がある。
大阪・道頓堀にあるグリコ看板下の遊歩道「グリ下」に出入りする少女を車で連れ回し、売春させたとして大阪府警が売春防止法違反(管理売春)などの疑いで、大阪府内に住む職業不詳の21歳と25歳の男2人を逮捕したことが13日、捜査関係者への取材で分かった。
〜〜中略〜〜
捜査関係者によると、2人は共謀し、昨年6月ごろ、当時16歳だった少女を車に乗せて約10日間にわたり東北地方などを連れ回し、複数回売春させた疑いが持たれている。21歳の男はドライバー、25歳の男は指示役として少女が売春で得た金を受け取っていたとみられる。
(引用:産経新聞2025/2/14)
管理売春の罰則は「10年以下の拘禁刑及び30万円以下の罰金」だ。
懲役と罰金の両方が科されており、売春防止法違反の中で最も重く処罰される。
「⑥売春場所の提供」や「⑦管理売春」を仕事とする人に金や土地・建物を提供すると、売春防止法13条によって処罰される。
売春場所の提供を仕事とする人に資金等を提供すると「5年以下の拘禁刑及び20万円以下の罰金」、管理売春を仕事とする人に資金等を提供すると、「7年以下の拘禁刑及び30万円以下の罰金」だ。
次に、売春防止法違反の捜査の流れを見ていこう。
ここでは、売春防止法違反で多い「周旋(あっせん)」「場所の提供」などを例に説明する。基本的には、風俗店などが該当するはずだ。
勧誘(客待ち・立ちんぼ)で逮捕される場合は、現行犯逮捕が大半だ。以下の記事で詳しく説明しているので、併せて確認して欲しい。
売春防止法違反の捜査は、意外なきっかけで始まることが多い。特に警察が注目しているのは、爆サイやホスラブといった匿名掲示板、X(旧Twitter)などのSNSだ。
「○○店の△△ちゃんは本番OK」「このデリヘルは裏オプあり」といった書き込みが繰り返されると、警察の目に留まりやすくなる。利用客は匿名だと思って投稿しているが、実際にはこれらの書き込みが捜査開始のきっかけとなっているのだ。
さらに、(元)キャストの話が捜査の端緒となるケースもある。
(元)キャストが立ちんぼ(勧誘)などで摘発されて風俗店の本番行為が発覚し、風俗店経営者が逮捕にいたったケースも存在している。
■売春防止法違反(周旋)でデリヘル経営者が逮捕されたケース
昨年、警視庁が東京・歌舞伎町の大久保公園周辺で客待ち女性を摘発した際、女性の何人かが「男らの経営する店で働いていた」「本番行為をしていた」と話し、捜査していた。面接時に「どこまでできる?」「本番は絶対じゃないけどあった方がいいよ」などと言われていたという。
引用:朝日新聞(2024年6月17日)
捜査の端緒を掴んだ警察は、すぐに摘発に動くわけではない。売春防止法違反を立証するには、組織的・継続的に売春が行われていた証拠が必要だからだ。
そのために内偵捜査が実施されて、半年から1年以上続くこともある。この間、警察は様々な方法で情報を収集する。退店したキャストに接触したり、お客から話を聞いたりして、証拠を積み重ねていく。
内偵捜査で十分な証拠が集まると、警察が裁判所から捜索差押令状を取得し、ガサ入れ(捜索差押)を実施する。警察官が経営者の自宅や店舗、事務所などに押しかけて、証拠品を押収するのだ。
押収される物は、PC、スマホ、売上帳簿、顧客リスト、キャストの出勤記録、業務マニュアルなど、あらゆるものが対象となる。
押収された証拠から売春の周旋や場所の提供が明らかになれば、関係者が次々と逮捕されることになる。
次に、売春防止法違反で逮捕された後の流れを見ていこう。逮捕直後から起訴・不起訴の決定まで、時系列に沿って説明する。
逮捕されると、まず警察署に連行されて、取り調べが行われる。
風俗店の経営者や従業員なら、キャストの本番行為を知っていたか、本番の禁止を徹底していたか、本番をしたキャストにどのように対処していたかなどが追及されるだろう。
警察の取り調べは最大48時間続くことになる。
この間、弁護士以外との面会は原則として認められない。家族や友人に連絡を取ることもできず、精神的に追い詰められる人も多い。
早期に弁護士を呼んで、適切なアドバイスを受けることが重要だ。
警察での取り調べが終わると、48時間以内に検察庁へ送致される。ここで検察官が、さらに身柄を拘束する必要があるかを判断する。
検察官が勾留請求をすると、裁判官が最終的な判断を下す。
勾留が認められるのは、住所不定、証拠隠滅のおそれ、逃亡のおそれなどの勾留要件を満たす場合だ。勾留が認められなければ、このタイミングで釈放される。
「売春の周旋(あっせん)」「場所の提供」「管理売春」などで逮捕された場合は、勾留が認められるケースが大半だ。最低でも、23日間は拘束される可能性が高いだろう。
勾留が決定すると、最大20日間(逮捕から数えると23日間)の身柄拘束が実施される。
さらに、勾留中も否認や黙秘を続けていると、別の容疑で再逮捕されるケースもある。
例えば、「キャストAの周旋」で逮捕・勾留された後、「キャストBの周旋」で再逮捕されるようなイメージだ。こうなると、さらに最大23日間の身柄拘束が加わり、1か月以上も勾留されることになる。
この勾留期間中に、検察官が起訴するか不起訴にするかを決定する。
不起訴になれば即座に釈放され、前科もつかない。しかし起訴されれば、保釈が認められない限り、裁判が終わるまで身柄拘束が継続される。
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✓ デリヘルで本番行為をしており、店が摘発されそう
✓ 風俗店の同僚が逮捕されてしまった
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売春防止法は複雑だ。自分の行為がどの類型に該当するのか、処罰対象なのか等を、専門知識なしに判断することは難しい。
グラディアトル法律事務所なら、売春防止法に詳しい弁護士があなたの状況を詳しく聞き取り、最適な対応策を提案できる。警察から連絡が来た、店が摘発されそう、逮捕されてしまった、などどんな段階でも対応可能だ。
初回相談は無料なので、一人で悩まず相談してほしい。
最後に、記事のポイントをQ&A形式でまとめた。
A.売春・買春行為そのものは罰則がない。処罰されるのは、勧誘、周旋、場所の提供など売春を助長する8つの行為だ。
類型 | 具体的な行為 |
---|---|
①勧誘(5条) | 路上で客待ち・立ちんぼ等をする |
②周旋(6条) | 売春相手を紹介・あっせんする |
③困惑等による売春(7条) | 困惑や暴行・脅迫により売春させる |
④前貸し等(8条) | 売春目的での金銭貸付をする |
⑤売春をさせる契約(10条) | 売春をさせる内容の契約をする |
⑥売春場所の提供(11条) | 売春する場所を提供する |
⑦売春をさせる業(12条) (管理売春) | 管理する場所に居住させて売春させることを仕事とする |
⑧資金等の提供(13条) | 売春場所の提供や管理売春を仕事とする人に金や土地・建物を提供する |
A.最も検挙件数が多いのは勧誘(立ちんぼ)で年間検挙件数の約6割を占めている。次いで周旋、場所の提供、売春契約が多く、これら4つで全体の9割以上を占める。
A.次のとおりだ。
類型 | 罰則 |
---|---|
①勧誘(5条) | 6月以下の拘禁刑又は2万円以下の罰金 |
②周旋(6条) | 2年以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金 |
③困惑等による売春(7条) | 3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金 ※脅迫、暴行は、3年以下の拘禁刑又は3年以下の拘禁刑及び10万円以下の罰金 |
④前貸し等(8条) | 3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金 |
⑤売春をさせる契約(10条) | 3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金 |
⑥売春場所の提供(11条) | 3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金 ※業とした者は7年以下の拘禁刑及び30万円以下の罰金 |
⑦売春をさせる業(12条) (管理売春) | 10年以下の拘禁刑及び30万円以下の罰金に処する。 |
⑧資金等の提供(13条) | (場所提供の資金提供) 5年以下の拘禁刑及び20万円以下の罰金 (管理売春の資金提供) 7年以下の拘禁刑及び30万円以下の罰金 |
A.売春防止法違反では、爆サイやホスラブの書き込みが捜査の端緒となるケースが多い。内偵捜査は半年〜1年以上続くこともあり、十分な証拠が集まるとガサ入れが実施される。
警察で48時間、検察・裁判所で最大20日間拘束される。さらに別件で再逮捕されると、1か月以上の身柄拘束になることもある。
以上だ。
グラディアトル法律事務所では、LINEでの弁護士相談も受け付けている。初回相談は無料なので、売春・買春事件について相談したい方は、いつでも連絡してくれ。