
ソープランドが売春防止法違反(場所提供など)で摘発され、経営者らが逮捕されることがある。
ソープランドや飛田新地などは、世間的には、お風呂屋さんや料亭という「テイ」で、そこで出会った男女が自由恋愛という建前ではあるにもかかわらず。。。
現実問題、売春がおこなわれているのは、いわば公然の秘密だ。
ただ、なぜ多くのソープランドは摘発・逮捕されないの??という声はよく聞かれる。
また、摘発・逮捕されるソープランドとそうでないお店の違いは何だろう?との疑問も。
他には、ソープランドが摘発された場合には、働いている女性キャストや客も逮捕されるの?との質問もあったり。
最近の傾向としては、2024年頃からソープランドの逮捕事例が増加しており、2026年も吉原の老舗のソープランドを含めた多数の逮捕事例が出ている。
本記事では、ソープランドの摘発・逮捕事例を紹介しつつ、ソープランドの摘発と売春防止法の関係、その際にキャストや客が逮捕されることはあるのか、摘発されやすいソープランドの特徴などについてナイトビジネスに詳しい弁護士が解説をしていく。
ソープランドの摘発・逮捕と売春防止法については、以下の動画も参照してほしい。
ソープランドが逮捕・摘発される理由【弁護士解説】
目次
ソープランド売春防止法違反(場所提供)で逮捕のニュース
「角海老」ソープ店の責任者ら逮捕 売春場所の提供容疑
売春のための場所を提供したとして、警視庁は、ソープランド老舗「角海老グループ」の店舗の責任者◯◯=千葉県松戸市竹ケ花=、店長◯◯=東京都葛飾区青戸4丁目=両容疑者と従業員の男3人の計5人を売春防止法違反(場所提供業)の疑いで逮捕し、26日発表した。
調べに対し、◯◯容疑者は「店の営業方針としてやっていた」と供述。グループ内で他にも複数の店舗の営業を管理する立場だったといい、警視庁は経営実態を調べる。
保安課によると、◯◯容疑者らは6月20日、東京都葛飾区亀有5丁目の「亀有角えび店」で、女性従業員が不特定の客と売春すると知りながら、そのための場所を事業として提供したなどの疑いがある。店側とトラブルになった客が警視庁に相談していた。
角海老グループは関東地方で31店を営業している。売春は売春防止法で全面的に禁じられているが、売春した本人にも相手方にも罰則はない。
朝日新聞DIGITAL 配信
ソープランドの摘発・逮捕と売春防止法について
売春防止法は、「売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであることにかんがみ、売春を助長する行為等を処罰するとともに、性行又は環境に照して売春を行うおそれのある女子に対する補導処分及び保護更生の措置を講ずることによつて、売春の防止を図ることを目的とする」(売春防止法1条)法律だ。
ここでいう「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう(売春防止法2条)。
要するに、売春とは、お金をもらって不特定の人と性行為をすることだ。
そうなると、ソープランドでは、客がお金を払って、女性キャストは不特定の客と性行為をしているので、「売春」をしているといえる。
ただ、売春防止法は、個人間の単純な売春については、違法であると定めているものの罰則を規定しておらず、処罰対象とはしていない。
たとえば、パパ活女子が不特定多数のパパからお金をもらって性行為をしていた場合、この行為は「売春」に該当するが、罰則がないため、逮捕・摘発されることはない。
他方で、売春防止法が処罰対象としているのは、売春を助長する行為で、いくつかの類型に分け、それぞれ罰則を規定している。
そのなかで、ソープランドの摘発事例で多いのが、売春の場所提供だ(下記条文参照)。
売春場所の提供行為には、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金(売春場所の提供 売春防止法11条1項)という重い刑罰が規定されている。
さらに、売春場所の提供を業として(反復継続して)行っている場合には、七年以下の懲役及び三十万円以下の罰金(業務としての売春場所の提供 売春防止法11条2項)というさらに重い刑罰が規定されている。
売春防止法
(場所の提供)
第十一条 情を知つて、売春を行う場所を提供した者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
2 売春を行う場所を提供することを業とした者は、七年以下の懲役及び三十万円以下の罰金に処する。
まとめると、前述したように、ソープランドでの女性キャストと客との性行為は「売春」に該当する。
そして、ソープランド経営者は、その「売春」のための場所を提供しているのだから、売春の場所提供に該当する。
くわえて、経営している以上、業として(反復継続して)、売春の場所の提供をしている。
すなわち、ソープランド経営者は、売春防止法違反(場所提供業)をしているということになるのである。
なお、売春防止法違反で逮捕されるその他の風俗店の類型としては、デリヘルがある。
デリヘルと売春防止法については、以下のページも参照して欲しい。
ソープランドが摘発されたら客や女性キャスト(風俗嬢)は逮捕されるのか?
ソープランドを経営し、売春の場所を提供することは、売春防止法が定める場所の提供に該当し、店舗が摘発され、経営者は逮捕される可能性がある。
では、客や女性キャストは逮捕されるのだろうか?
ソープランドの摘発で客は逮捕されるか?
結論から言うと、ソープランドの摘発で客は逮捕されることはない。
前述したように売春防止法では、売春自体は処罰対象となっていない。
そして、ソープランドが摘発されるのは、売春の場所を提供したり、売春のあっせんをしたり、売春の助長行為をしたときだ。
そうすると、ソープランドの客は、売春場所を提供したり、あっせんをしたりしているわけではない。
したがって、売春防止法違反で逮捕されることはないということになる。
とはいえ、警察がソープランド経営者らの売春防止法違反の違法な助長行為について、捜査する際に、客から話を聞く必要がでてくる。
そのため、客も警察から取り調べを受ける可能性があることには注意が必要だ。
この場合には、被疑者(容疑者)としてではなく、参考人として取り調べがなされることになる。
なお、風俗店の摘発で客が逮捕される場合については、以下の記事を参考にしてほしい。
ソープランドの摘発で女性キャスト(風俗嬢)は逮捕されるか?
ソープランドが売春防止法違反で摘発され、経営者らが逮捕されたとしても、女性キャスト(風俗嬢)が逮捕される可能性は低い。
売春防止法は、元々は、弱い立場にある女性を保護し、女性を利用して売春を助長する者を処罰するという趣旨の法律だ。
そのため、売春の当事者である女性の売春行為自体には処罰規定がなく、売春を助長する場所の提供やあっせんを処罰対象としている。
このことから、単なるキャストとしてソープランドで働いている女性キャストの行為は、単なる売春行為であって、売春場所の提供などの売春を助長する行為ではないので、売春防止法違反に該当しない。
ただし、女性キャストが、キャストとしての業務のみならず、店舗運営業務・経営業務を行なっている場合では、当該業務は売春の場所の提供やあっせんに該当しうるので、売春防止法違反で逮捕される可能性がある。
また、警察等、捜査機関のやり口として、経営者の情報や証拠を確保することを目的として女性キャストを逮捕するという可能性はあり得るところなので、気をつけておきたい。
ソープランドの風営法上の建前
ソープランドが売春をおこなっていることは公然の秘密だ。
では、なぜ、ソープランドがすべて売春防止法違反で摘発されないのだろうか?
世間では、『お風呂屋さんで、働く女性と恋におち、自由恋愛で性行為をしている』という建前で、ソープランドは存在しているといわれることがある。
他方、法律上は、ソープランドは風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)に規定がなされている。
風営法でのソープランドの定義は、「浴場業(公衆浴場法(昭和二十三年法律第百三十九号)第一条第一項に規定する公衆浴場を業として経営することをいう。)の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業」である(風営法2条6項1号)。
すなわち、風営法では、ソープランドは「異性の客に接触する役務」を提供する営業であって、性行為をする営業ではないと定義されている。
したがって、風営法上の建前としては、ソープランドでは性行為・売春は行われていないということになっているのである。
それゆえ、現実はともかく、ソープランドで性行為はもちろん売春がされていないというのが法律の建前なので、ソープランドだからという理由だけでは売春防止法違反にはならず、摘発されていないというのが答えになる。
摘発されやすいソープランドの特徴
・摘発される店とそうでない店の違いはあるのだろうか?
・どのような店が摘発されるのだろうか?
ソープランドは、その営業実態は、売春防止法に違反するものの、事実上黙認されている。
しかし一方で、定期的にソープランドが売春防止法違反で摘発され、経営者らが逮捕されているのも現実にある。
では、摘発されやすいソープランドの特徴はあるのだろうか?
今まで取り扱ってきた案件やニュースから得られる情報をもとに推測するに、摘発されやすい店の特徴は以下の点にあるといえる。
- 別件でのトラブルがあった
- 暴力団が関与している
- 国の方針での摘発
- 目立つ店が見せしめとして摘発される
別件でのトラブルについては、店とキャストとの間のトラブル、キャストと客との間のトラブルが警察沙汰になるケースや、客引きやスカウトについての苦情が警察に持ち込まれるケースがある。
その際、この別件の捜査をしていたが、証拠集めなどがうまくいかない場合に、本当は別件の捜査をするという目的で、摘発しやすい売春防止法で店を摘発するのである。
暴力団の関与は、ソープランドの売上がその資金源となっていると疑われている場合が典型的な摘発ケースだ。
国の方針で摘発される場合については、たとえば、AV(アダルトビデオ)とJKビジネスが国際機関により日本の人権問題として課題に上がったことがある。その直後、AV女優が在籍していることを売りにした風俗店やJKリフレ、女子高生の制服をモチーフにした風俗店が摘発対象となったことがある。
目立つ店としては、急拡大している店舗や、派手に広告をしている店舗が見せしめとなる傾向にある。
以上のように、ソープランドでも、摘発されやすい店舗の特徴があるにはある。
ただ、実際どこの店舗が狙われるかは、警察の胸三寸という状況だ。
残念ながら、警察という権力が、恣意的に逮捕・摘発するソープランド経営者を選ぶことができるのが現状と言わざるを得ない。
ソープランドの摘発と売春防止法のまとめ
ソープランドは、風営法上は、性行為をしないものとして規定されている。
しかし、現状では、ほとんどのソープランドにおいて、売春行為が行われている。
そして、売春防止法では、売春を助長するような行為、場所の提供やあっせんを禁止し、罰則を定めている。
したがって、ソープランドの経営者らの行為は、売春防止法に違反するため、摘発・逮捕されることがある。
一方、客やキャストについては、単なる売春をしているだけであって、売春の助長行為をしているわけではないので、店が摘発されても、逮捕されるリスクはまずない。
また、ソープランドが摘発される理由はいくつかあるが、最も多いのは別件のトラブルを本当の捜査目的とする摘発である。
実際、ソープランドに限らず、デリヘル・女風をはじめとした風俗店、キャバクラ・ホストなどの水商売、メンズエステなど、ナイトビジネスに関わる業界においては、このような別件捜査目的の摘発・逮捕は珍しくない。
ソープランドをはじめナイトビジネスを経営するみなさんには、関係法令を遵守することはもちろん、別件のトラブルが店の摘発のきっかけになり得るということを知っておいていただき、特にキャストや客とのトラブルが警察沙汰にまでならないよう一層の注意を心がけてほしい。

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