「職業安定法違反で逮捕されるケースとは?」
「職業安定法違反で逮捕された実際の事例を知りたい」
「職業安定法違反で逮捕された場合、弁護士はどのようなサポートができる?」
近年、ホストクラブの利用客が高額な売掛金を背負わされ、性風俗などで働かせられる事案が多発しており、深刻な社会問題となっている。ホストやスカウトなどが女性を性風俗にあっせんする行為は職業安定法違反となり、捜査機関に発覚すれば逮捕される可能性もある行為である。
今後は、風営法改正によりスカウトバックの規制も行われるため、性風俗のスカウトについては取締りが強化されることが予想される。もし、職業安定法違反で逮捕されてしまったときは、すぐに弁護士に相談してもらいたい。
本記事では、
・職業安定法違反で逮捕される主なケース
・職業安定法違反で逮捕された実際の事例
・職業安定法違反で逮捕されたときに弁護士ができること
などについてわかりやすく解説する。
弁護士に依頼すれば早期釈放や不起訴処分獲得に向けたサポートが受けられるため、少しでも処分を軽くしたいなら、すぐに弁護士に依頼するようにしてほしい。
以下では、職業安定法違反で逮捕される主なケースを紹介する
職業安定法では、有害な業務に就かせる目的で職業紹介することを禁止している。
有害業務とは、社会一般の道徳観念に反する業務を指し、性風俗店、ソープランド、デリヘル、ファッションヘルス、アダルトビデオへの出演などは有害業務にあたるといえるだろう。そのため、このような業務に就かせる目的で職業紹介をする行為は、職業安定法違反となり逮捕される可能性がある。
なお、近年問題となっている、スカウトグループによる性風俗店への女性客のあっせんも職業安定法に違反する行為である。
職業安定法が禁止する有害業務紹介には、性風俗店などの業務だけではなく、違法な闇バイトの紹介も含まれる。
たとえば、SNSなどで高額な報酬がもらえるなどと謳って詐欺や強盗の実行役を募集し、仕事を紹介する行為も職業安定法違反で逮捕される可能性のある行為である。
職業安定法では、売春などの有害業務に就かせる目的で募集者から依頼を受けて求人情報を掲載する行為を禁止している。
上記の2類型は、対象者に直接有害業務を紹介する行為であるが、有害業務の募集情報提供の罪は、有害業務を求人情報に掲載する行為を処罰するものである。そのため、売春目的の店と知りながら求人情報を掲載すると、掲載を依頼した人だけでなく、求人情報サイト運営側も職業安定法違反で逮捕されることになる。
職業安定法では、有害業務を紹介する行為だけではなく、自ら募集する行為も禁止されている。
労働者の募集とは、単なる求人募集ではなく積極的な働きかけがあったことを指すため、風俗店の店長などが面接に来た女性に対して、積極的な勧誘行為をすると、職業安定法が禁止する有害業務目的での労働者募集に該当し、逮捕される可能性がある。
以下では、職業安定法違反で逮捕された実際の事例を紹介する。
全国の性風俗店に女性を斡旋し、摘発を受けた巨大スカウトグループ「アクセス」を巡る事件で、アクセスが契約する性風俗店が全国で約1800店舗に上ることが、警視庁への取材で分かった。同庁は職業安定法違反の疑いで、リーダーの被告(33)=同法違反罪で起訴=ら4人を再逮捕した。
保安課によると、アクセスは契約した性風俗店に女性の採用条件などの情報を送付させ、これらをパスワード付きのサイトに掲載。スカウトらが女性の斡旋先を探す際に参照していたという。サイトを調べた結果、約1800店舗と契約していたことが分かった。
また、警察への対策として、「弁護士に相談のもと作成した」とするマニュアルを用意し、構成員が逮捕された際に黙秘を徹底することや、グループの存在を明かさないことなどを指示していたという。
(引用:産経新聞)
風俗スカウト「アクセス」約1800店舗と契約か 職業安定法違反容疑で幹部4人再逮捕
SNSで勧誘した女性を風俗店に紹介したとして、愛知県警は、大阪を拠点とするスカウトグループ「シード広告」のリーダーの男(27)(大阪市西区)ら男4人を職業安定法違反(有害業務への職業紹介)容疑で逮捕したと発表した。
発表によると4人は、別のスカウトがSNSで知り合った女性(24)に対し、石川県加賀市の風俗店での仕事を紹介した疑い。
リーダーの男は、SNSを通じて風俗の仕事に応募してきた女性たちを愛知や石川、広島などの風俗店にあっせんしていたという。
(引用:読売新聞)
SNSで勧誘し風俗店に紹介、スカウトグループ「シード広告」のリーダーら4人を容疑で逮捕
福岡県警は、カンボジアに渡航して特殊詐欺の電話をかける「かけ子」をするよう勧誘したとして、職業安定法違反(有害業務目的紹介)の疑いで福岡市博多区板付5丁目、会社員の容疑者(29)と、福岡県筑紫野市下見、会社員の容疑者(35)を逮捕したと発表した。
逮捕容疑は共謀して県内に居住する知人の30代男性を勧誘したとしている。
県警によると、男性は両容疑者のうちの1人に数百万円の借金があった。容疑者らはパスポートを取得するよう男性に指示し、東南アジア行きの飛行機を予約していた。男性が3月中旬、県警に相談して発覚した。
(引用:産経新聞)
カンボジア渡航で詐欺勧誘 知人男性に「かけ子」持ち掛け 容疑で男2人逮捕
福岡地検は、国内最大級の風俗求人サイト「ガールズヘブン」に、売春目的の店と知りながら求人情報を掲載したとして職業安定法違反(有害業務の募集情報等提供)容疑で逮捕されていた4人のうち男性(34)を不起訴処分としたと発表した。残る3人とサイトの運営元の広告代理店「ウィンノット」(福岡市博多区)は同日付で福岡区検が略式起訴した。
また、違法店と認識した上で風俗情報サイトに広告を掲載し料金を得たとして同社と代表取締役の男性(52)が組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)容疑で書類送検されていたが、福岡地検が同日付で不起訴処分とした。
(引用:毎日新聞)
福岡県警は、職業安定法違反(有害業務の募集)の疑いで、福岡市南区在住の会社経営者ら3名を逮捕した。
逮捕されたのは、風俗店経営者(44)、風俗店従業員(30)、系列店の元従業員(21)。
調べによると、容疑者らは、福岡市南区大橋にある飲食店で、同市南区に住む女性(当時25)を、風俗店経営者の容疑者が経営する中洲1丁目の風俗店業務に従事させる目的で勧誘した疑いがもたれている。この行為が、職業安定法第63条第2項に定められている「公衆衛生または公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集もしくは労働者の供給を行った」とみなされ、今回の逮捕に至った。
(引用:NetIB-NEWS)
職業安定法違反で逮捕されると、以下のような流れで刑事事件の手続きが進んでいく。
職業安定法違反で逮捕されると、警察署に連行され、警察による取り調べを受けることになる。逮捕による身柄拘束中は、外部と自由に連絡をとることができず、家族や友人との面会も禁止される。
逮捕中に面会できるのは弁護士に限られるため、取り調べの対応などわからないことがあればすぐに弁護士を頼むべきである。
警察は、逮捕から48時間以内に事件を検察官に送致しなければならない。検察官は、送致された被疑者に対する取り調べを行い、身柄拘束を続けるかどうかを検討する。
引き続き身柄拘束をする必要があると判断すれば、検察官は、逮捕から72時間以内かつ送致から24時間以内に裁判官に勾留請求を行う。
裁判官は、被疑者に対する勾留質問を行い、勾留を許可するかどうかの判断を行う。
勾留が許可されると、原則として10日間の身柄拘束が行われる。また、その後勾留延長も許可されるとさらに最長10日間の身柄拘束が行われる。
すなわち、職業安定法違反で逮捕・勾留された場合の身柄拘束期間は、最長で23日間になるということである。
検察官は、勾留期間が満了するまでの間に事件を起訴するか、不起訴にするかの判断を行う。
検察官により起訴された事件は、99%以上が有罪になるため、職業安定法違反の前科を避けるには、不起訴処分を獲得することが重要である。
結論:7割は罰金、懲役は悪質・組織的なケースのみ
職業安定法違反で逮捕されても、起訴後に懲役まで進むのは少数派です。
2023年検察統計(※23-00-08、23-00-71参照)では、起訴された35件のうち約69%(24件)が略式命令となり、100万円以下の罰金で終わっています。
2023年の送致件数は88件。そのうち不起訴53件・起訴35件で、起訴率はおよそ40%。6割は不起訴で終わるため、逮捕が直ちに裁判に発展するわけではありません。
起訴後に分かれる2つの手続きと量刑
手続き | 件数 | 科される刑罰 | 特徴 |
---|---|---|---|
公判請求(通常裁判) | 11件 | 懲役または罰金 | 有罪率99%以上、悪質・組織的事案が対象 |
略式命令請求 | 24件 | 100万円以下の罰金または科料のみ | 書面審査で終了、懲役なし |
約7割が略式命令で終結するため、ほとんどは罰金だけで済む計算です。
このようなケースは公判請求となり、実刑または執行猶予付き懲役が下される可能性が高まります。
防衛策
これらが重要です。
職業安定法違反で逮捕されてしまったときは、以下のようなサポートができるため、すぐに弁護士に相談することをおすすめする。
職業安定法違反で逮捕されると、最長で23日間にも及ぶ身柄拘束を受ける可能性がある。特に、組織的なスカウトグループによる犯行では、共犯者との口裏合わせの防止や全容解明のために身柄拘束期間が長くなりやすく、被疑者の負担も大きなものとなる。
身柄拘束による不利益を最小限に抑えるには、逮捕後すぐに弁護士に依頼して、身柄の釈放に向けた弁護活動をしてもらうべきである。早期に依頼すれば勾留を阻止することで身柄拘束期間を最小限に抑えることができ、万が一勾留が認められてしまったとしても準抗告などにより争うことが可能である。
職業安定法違反で起訴されると99%以上の事件が有罪になるため、前科を回避するには不起訴処分を獲得する必要がある。しかし、逮捕から起訴までは最長でも23日間の時間的猶予しかないため、その間に効果的な対応を行うには、経験豊富な弁護士に依頼することが重要である。
弁護士であれば被害者との示談や再犯防止に向けた環境調整などにより不起訴処分の獲得に向けたサポートを行うことができる。
職業安定法違反で公判請求されたとしても諦める必要はない。公判請求された場合でも罰金刑の可能性があるし、執行猶予付き判決を獲得できれば直ちに刑務所に収監されることもない。
弁護士に依頼すれば、有利な処分獲得に向けてサポートしてもらうことができるため、少しでも処分を軽くしたいのであればすぐに弁護士に依頼すべきである。
職業安定法違反で逮捕されると、最長で23日間にも及ぶ身柄拘束を受ける可能性がある。身柄拘束中は、自由に外部と連絡が取れず、慣れない環境で心身ともに大きなストレスがかかるため、そのような負担を最小限に抑えるためにもすぐに弁護士に相談してもらいたい。
ただし、弁護士に依頼するなら、職業安定法違反の弁護経験が豊富な弁護士に依頼するべきである。また、職業安定法違反の事案によっては風俗店などのナイトビジネス業界が関係していることもあるため、ナイトビジネス業界の知識や理解も不可欠な要素といえるだろう。
グラディアトル法律事務所では、ナイトビジネス業界で全国1000件以上の解決実績があり、500店舗以上の風俗店の顧問弁護士を担当しているなど、ナイトビジネス業界に特化した弁護士事務所といえる。性風俗店へのスカウトなどの職業安定法違反の弁護経験も豊富であるため、少しでも有利な処分を獲得したいなら、ぜひ当事務所の弁護士に任せてもらいたい。
当事務所では、24時間365日受付をしているため、深夜にスカウト行為をして逮捕されたという場合でも対応が可能だ。刑事事件はスピード勝負といわれるように初動対応の早さがポイントになるため、一刻も早く当事務所まで連絡してほしい。
近年、悪質なホストクラブの問題から端を発して、性風俗店に女性客をスカウトする行為についても職業安定法違反で逮捕される事案が増えてきている。早期釈放や不起訴処分を獲得するには、経験豊富な弁護士による弁護が不可欠であるため、逮捕されたときは、一刻も早くグラディアトル法律事務所まで相談してもらいたい。