弁護士 刈谷龍太
ニュース内容
「商品がすり替えられた」「送料が50万円になっていた」「商品が届かない」――Twitter上では、Amazon.co.jpのマーケットプレイスでマスクを買ったら詐欺に遭ったとする消費者の報告が相次いでいる。
2020年03月25日 18時00分 ITmedia NEWS
報告によると、マスクを購入したが、注文履歴を確認すると商品画像がタオルに変わっていたという商品のすり替えや、商品がいつまでたっても届かない、商品説明には50枚入りと書いてあったのに届いたマスクは1枚だったなど、さまざまな手口があるという。
新型コロナウイルス感染症の影響でマスクの品薄状態が続いている。2月にはヤフオク!やメルカリなどがマスクの高額転売を制限。相場価格と懸け離れた商品を見つけた場合は商品削除や入手経路の確認を行うなどの高額転売対策を打ち出した。
一方、2月末には、商品価格はそのままに高額な送料を設定する手口が登場した。
政府は3月、国民生活安定緊急措置法の政令を改正し、マスクの転売を禁止した。15日からは、マスクを転売すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課されるようになった。ヤフオク!やメルカリも出品制限から出品禁止に対応を強化している。
その後も、ホチキスの芯を装ってマスクを出品する“替え玉出品”で出品制限を回避する手口が見つかるなど、いたちごっこが続いている。今後もさまざまな形の詐欺が発生する可能性があるため、商品価格だけでなく、送料や出品者の情報も確認するなど、引き続き注意が必要だ。
弁護士からのコメント
今回のニュースは、「商品がすり替えられた」「送料が50万円になっていた」「商品が届かない」などTwitter上において、Amazon.co.jpのマーケットプレイスでマスクを買ったら詐欺に遭ったとする消費者の報告が相次いでいるというものです。
新型コロナウイルスに便乗した「マスク詐欺」をはじめとした「コロナ詐欺」は、感染拡大に伴い増加の一途をたどっています。
下記に、今までのコロナ詐欺に関するニュースを記載しておりますので、よければご参照ください。
そして今回のニュースにおいては、マスクの転売を禁止することになった国民生活安定緊急措置法について解説したいと思います。
そもそも国民生活安定緊急措置法とは、物価の高騰その他の我が国経済の異常な事態に対処するため、国民生活との関連性が高い物資及び国民経済上重要な物資の価格及び需給の調整等に関する緊急措置を定めることにより、国民生活の安定と国民経済の円滑な運営を確保することを目的とした法律です（同法１条）。
国民生活安定緊急措置法は、第一次オイルショックによる物価の高騰と、それによってトイレットペーパー騒動などの異常事態が生じたことにより、1973年（昭和48年）に制定されたものです。
このたびは新型コロナウイルスの感染拡大により、衛生マスクが日本全体で不足している中、衛生マスクを買い占めて商品価格より相当高額な値段で転売する行為が横行していたことから、これに対応するため国民生活安定緊急措置法の政令の一部が改正されました。
内容としては、「衛生マスクを不特定の相手方に対し売り渡す者から衛生マスクの購入をした者は、当該購入をした衛生マスクの譲渡（不特定又は多数の者に対し、当該衛生マスクの売買契約の締結の申込み又は誘引をして行うものであつて、当該衛生マスクの購入価格を超える価格によるものに限る。）をしてはならない」とされています。
簡単に言いますと、一般消費者に対して衛生マスクを販売しているドラッグストアやネットショップなどから購入した者は、不特定の第三者に対し、購入額より高い価格で転売してはダメというものです。
これに違反し転売すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金という刑罰が科されることになっています。
ただ今回のニュースにもあるよう、送料を高額にしたり替え玉商品を用意したりなどで、実質は衛生マスクの高額転売であるにもかかわらず、それをごまかすために様々な手口を考えて行います。
このようなごまかす手口に今回の改正された政令が適用されるのかは現時点では不明ですが、悪質な行為であることに間違いありません。
ですので、たとえ衛生マスクが不足していたとしても、得体の知れない者や少しでも不審に感じる者からはマスクを購入しないようにすべきです。
最後にマスク詐欺はもちろんコロナ詐欺に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。