「チョコでズボン汚れた」飲食店から現金詐欺 容疑の男逮捕 テーブルにすりつける映像で発覚

ニュース内容

飲食店でテーブルについたチョコレートで衣服が汚れたとうそを言い、弁償名目で現金をだまし取ったとして、警視庁深川署は18日、住所不定、無職、竹内太郎容疑者(52)を詐欺容疑で逮捕したと発表した。

逮捕容疑は2019年5月19日、東京都江東区のレストランで店長に「テーブルの汚れでズボンが汚れた。買い直すと1万~2万円かかる」などと言い、3万円をだまし取ったとしている。容疑を認め、「18年7月ごろから東京や名古屋、神戸、九州などで100件以上やった」と供述している。

同署によると、この店ではチョコレートを使用した料理は提供しておらず、チョコは竹内容疑者が持ってきたものだった。不審に思った店長が防犯カメラの映像を確認したところ、チョコをテーブルの裏とズボンにこすりつける様子が映っていた。【最上和喜】

毎日新聞2020年2月18日 22時31分

弁護士からのコメント

今回のニュースは、飲食店でテーブルについたチョコレートで衣服が汚れたとうそを言い、弁償名目で現金をだまし取ったとして、詐欺の疑いで逮捕されたというものです。

飲食店においては、今回のニュースにある衣服が汚れたとするもののほか、詐欺師による様々な手口で詐欺被害に遭うリスクがあるので注意が必要です。

1.詐欺師の他によくある手口(紛失パターン)

他によくある手口としてまず挙げられるのは、実際は預けていないにもかかわらず、預けていたスーツの上着やマフラーなどが紛失していると騙して、弁償させるというものです。
この手口は、特に冬場において、忘年会や新年会などがある繁忙期を狙って行われる傾向が高いです。

具体的な手口としては、店舗に詐欺の共犯となる同伴者を連れて訪れることがほとんどです。
そして、同伴者とともにコートや諸々を預けます。
そこで飲食をして、いざ会計前に預けたコート等を受け取る際に、預けたものが1つなくなっていると騒ぎだします。

飲食店側は本当は預かっていないものの、詐欺の共犯である同伴者も「入店前には着ていたし預けるのも見ていた」と証言することが通例ですから、預かったかもしれないと考えてしまいます。
また紛失についても、忙しさなどから誤って他の人に渡してしまったかもしれないとも考えます。

結局水掛け論にはなりますが、飲食店側は自らに落ち度がある可能性を考慮し、詐欺であるにもかかわらず弁償に応じてしまったり、飲食代金を免除したりするケースがよく見受けられます。

なおスーツの上着を対象にすることが多いのは、セットでなければ使えないと言って高額の弁償をさせるためです。
マフラーは、間違えて他の人に渡す可能性が比較的高いと思われるものだからです。
あといずれにせよ、高額の弁償をさせるために、高級ブランドであったこと、親の形見であったこと、現在では売っていないものであることなどを伝えてきます。

2.詐欺師の他によくある手口(異物混入パターン)

次によくある手口としては、虫や毛などの異物を自らで混入させ、慰謝料や口止め料などを騙し取るパターンです。

具体的には、まず麺類や丼ものなど異物が混入する可能性が高いメニューを注文します。
そして自ら異物を混入させたうえで、騒ぎ出します。
そこで「気分が悪くなった、トラウマで二度と同じ料理を食べられなくなる」などと言い、慰謝料を騙し取ります。

また口止め料の際には、「保健所に通報する、マスコミに伝える、ネットに書き込む」などと伝えてきます。
なおこの場合は、恐喝にもあたる可能性があります。

3.詐欺に遭わない対策

飲食店が詐欺に遭わない対策としては、詐欺師は様々な手口で金銭を騙し取ろうとしてきますが、毅然な態度で対応するべきです。
飲食店としては、店側に落ち度があったかどうかわからない以上、調査して落ち度があった場合には、後日しっかりと謝罪及び損害は賠償すると伝えましょう。

それでもごねてくる際は、警察を呼ぶのも1つの手段です。
詐欺師であったなら、刑事事件化のリスクがあるため警察を呼ばれることは何としても避けたいと考えるからです。

最後に飲食店において詐欺に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 刈谷龍太

グラディアトル法律事務所代表弁護士。
中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。
離婚・労働・ネット・消費者被害など一般向けのトラブルから、企業法務や経営サポートなど幅広く担当。