W不倫(ダブル不倫)がバレて裁判にまで至った男女トラブル。
訴訟されれば家族や職場に隠し通せないという固い常識を払しょくした今回のケースを紹介します。
W不倫(ダブル不倫)がバレて訴訟に発展!?弁護士への相談に至った経緯
不倫相手に出会うまで
相談者は東京在住の30代女性。
学生時代から根っからのサバゲー好きで、就職してからも暇があれば装備を持って参加することに幸せを感じていました。
そんな日々を過ごしていた中、付き合っていた彼氏と子どもができたので結婚。
それから双子の母となり、産休・育休後は、家事・育児と仕事に打ち込んできました。
一方、少しでもサポートしてほしい肝心の夫は、残業や会社の付き合いでいつも帰りが遅い状況。
休みの日も、家事・育児はほぼ行ってくれず、寝ながらテレビを見ているか、スマホでゲームしているか。
毎日がほとんど俗にいうワンオペで、自分の趣味であるサバゲーにさける時間は到底ありませんでした。
その後、子供たちが小学生になり、ようやく多少のゆとりが。
ただ夫の状況は変わらず、ワンオペの忙しさからくるストレスはたまる一方。
ストレス解消の手段があればと調べていると、同じ趣味を持った仲間とコミュニケーションがとれるMeetupアプリを発見。
利用してみると、そこにはサバゲーのグループがあり、装備やイベントの話題で盛り上がっていました。
そして、いざグループの会話に参加すると優しく受け入れてくれ、またサバゲーをやりたいなとの感情に。
そんな中、一人の男性が、
「来週末にサバゲーを開くことになったから、もしよければ参加しませんか?」
とのお誘いメッセージが。
すぐに参加したいと思ったものの、家のことを考えると返信できず。
しかし、やっぱりどうしても参加したいと思った相談者は、ダメ元で夫に聞いてみることに。
ただ、サバゲーに行くと言うと、首を縦に振らないのは目に見えていました。
そのためウソをつくのはしのびなかったものの、「地元の親友が上京してくるから」と伝えると、
夫は渋々ながら「たまになら」と了承。
相談者は、男性に参加することを伝え、当日はフィールドの最寄り駅で待ち合わせとなりました。
不倫関係の始まり
当日、目的地の京成立石駅に着くと、同年代と思われる男性が待っており、一緒にフィールドまで向かいました。
その後、念願のサバゲーを3時間楽しみ、どうせならせっかくの1人の時間を満喫しようとの思いに。
そこで、昔に通っていた新宿のサバゲーショップを訪ねてみることにしました。
そして帰り支度をしていると、男性も同じタイミングで切り上げるとのこと。
今から新宿のサバゲーショップに行くと言うと、まさかの男性も常連で、ちょうど寄る予定だったと。
相談者は、偶然に驚きながらも、男性と一緒に新宿まで向かうことになりました。
新宿までの電車内では、サバゲーの話はもちろん、ついつい家庭のグチをこぼしたりも。
すると男性も既婚者であり、かたちは違えど同様にストレスがたまっていると。
お互いに似た立場や状況だったからか話が弾み、気づけば新宿に到着。
男性は、ともにまだ話し足りないとの空気を感じ取ってくれたのか、
「よければサバゲーショップ寄る前に、居酒屋で遅めのランチでしない?」と。
相談者は、渡りに船と承諾し、居酒屋に行くことに。
店に入ると、早速ビールを注文し乾杯。
久しぶりのサバゲーでの疲れもあってか、お酒もよく回り、ここぞとばかりに夫への不満を語りました。
それに対して男性は、相談者を否定することなく、丁寧に相槌を打ちながら話を聞いてくれました。
さらには「あなたは女性として素晴らしい人なのに。もし俺とあなただったら、また違う人生だったかもね。」とまで。
相談者は、その場の雰囲気での言葉だったとしても、自らを女性として評価してくれたことに悪い気はしませんでした。
あっという間に時間は過ぎ、今さらサバゲーショップによる雰囲気でもなくなったので、居酒屋を後にし、帰る流れに。
駅に向かって歩いていると、男性は名残惜しそうに「また今度も会えるかな」と。
相談者は、「また会いたいけど、今度はいつになるかわからない」と返答。
すると、いきなり相談者の手をとり、「思い出作りとして最後、ホテルに行きませんか?」と男性からアプローチが。
相談者は、よもやの誘いにためらうも、こんな日があってもと身をゆだねることに。
夫には、「親友の相談にのっていて、少し帰りが遅れる」とLINEし、1度限りと関係を持ちました。
その後、うしろめたさを感じながらも帰宅すると、家は散らかり放題で、夫は子どもらに晩ご飯も用意せず、スマホゲームに夢中。
めったにない外出だったのに、家のことを何もしてくれていなかった夫に言葉も出ませんでした。
相談者は、心の中でプツンと糸が切れたように感じ、もう自分だけを犠牲にすることはやめようと決意。
一方、男性からは、優しい言葉で「もしまた会えるなら会いたいし、話だけでもいつでも聞くから遠慮なく連絡して」とのメッセージが。
この日をきっかけに男性と連絡を取り合い、月1回くらいの頻度で会うことに。
ママ友との付き合いや残業など嘘の予定を作り、男性との肉体関係を重ねることになりました。
不倫関係が相手方の妻に発覚
それから約半年後のある日、昼休み中に突然不倫相手から「妻に不倫がバレてしまった、電話ください」とのLINEが。
いきなりのことで動揺した相談者でしたが、詳細を聞くためすぐさま電話することに。
男性曰く、「ここ最近、身なりに気を使い始めていたことを不審に思った妻にスマホを確認されてしまった。
LINEで相談者とやり取りしていた趣味の話から、肉体関係がうかがえる内容まで知られてしまった。」と。
そして妻から「不倫しているでしょう。もう離婚しましょう」と言われた男性は、言い訳もできず謝罪。
しかし男性が何度謝罪をしても許してもらえず、妻から
「話したいことがあるから、その女をここに今すぐ呼び出して!」
と怒鳴られ、どうしようもなくなり連絡したとのこと。
相談者は何とかしなければと仕事を早退し、急いで男性の自宅に向かいました。
家に着くやいなや、妻である相手方にすべて正直に話し何度も謝罪。
すると相手方は「すぐに来て正直に謝罪してくれた誠意は伝わったから、今後一切会わない・連絡しないことを約束してほしい」と。
それに対して相談者は、「必ず約束します」と伝えたうえで改めて謝罪し話し合いが終わりました。
ところが数日後の仕事中、男性から「どうしてもあなたのことが忘れられない。もう一度やり直さないか」とショートメッセージ。
相手方と約束した手前、「もう会わないし連絡もしない」ときっぱり断りました。
それでも男性から、「会社の最寄り駅でずっと待っているから」とメッセージがきたものの、無視。
そして残業を終えた19時ごろ、駅に向かうと男性が本当に改札口前で待っていました。
相談者は、男性の情熱的な行動力にほだされてしまい、再び連絡を取り合うことに。
ただ、連絡はその都度消すこと、会うときも平日の日中だけにすることと決めて、互いに慎重に行動しようと。
結果、相手方との約束を破って、不倫関係を継続することになってしまいました。
再度、不倫関係が相手方に発覚し・・・
約3か月後、相談者のスマホに知らない電話番号から連絡が。
電話に出てみると開口一番、「うちの旦那とまた不倫しただろ!」と女性の怒鳴る声。
相手方曰く、旦那の行動を確認できるようGPSアプリをスマホに入れて監視していたとのこと。
具体的には、朝から職場とは反対方向に向かっていた日があったり、平日の昼間にビジネスホテルに滞在していた日があったと。
そして旦那に問い詰めると、終始黙ったままだったので、あなたに電話した次第とのことでした。
相談者は、ごまかすことはできないと思い、電話ごしに何度も謝罪。
しかし堪忍袋の緒が切れたのか、「直接謝罪しに来い!」と再度話し合いの場が。
家を訪ねると、相手方は
「二度にわたって裏切られた!これ以上は看過できない!誠実な対応をしろ!!」と。
相談者は、土下座までするも受け入れてもらえず。
そして相手方からは、「まずは謝罪文を書け!」と紙とペンが差し出されました。
相談者は、言われるがままに男性との不倫関係について、謝罪の言葉を記載。
謝罪文を確認した相手方は、
「しかるべき対応を取らせてもらいます。もう話すことはありませんから」
とだけ告げ、家から追い出されるかたちで話し合いは終わりました。
しばらくすると、相手方の代理人弁護士から自宅に内容証明が。
たまたま、夫のいない時間に届いたので知られることはありませんでした。
内容としては、男性との接触・連絡を禁止するよう警告しつつ、
不貞行為の事実から精神的苦痛を受けたとして慰謝料300万円を請求するとの記載。
なお、期限までに慰謝料の支払いがない又は返答がなかったときは法的措置を講じると記されていました。
二人の子供のために、夫にバレて離婚問題に発展することだけはどうしても避けたい相談者。
ただ300万円もの大金となると、自らの貯金で支払える金額では到底ありませんでした。
とはいえ、裁判を起こされてしまえば、それこそ夫に隠し通すことはできないだろうと。
何か解決策はないかとネットで調べてみたものの、
やはり裁判となれば隠し通すことをは現実問題かなり難しいとの記事ばかり…
ひいては夫にバレると、離婚問題への発展はもちろん、
夫から不倫相手への双方向の慰謝料請求にもなりかねず、泥沼化は避けられないと不安をあおる記事まで。
そんな中、W不倫(ダブル不倫)の解決事例を紹介していた当事務所のHP記事を発見。
半ば諦めつつも何かできないかと、ワラにもすがる思いで無料相談にこられました。
家族バレのリスクを減らす弁護士からの提案
まず法律上、相談者が既婚男性との肉体関係を持つことは男性の妻に対する不貞行為に該当すると説明。
そして民法上の不法行為として、慰謝料が請求される立場であることを伝えました。
(不法行為による損害賠償)
引用|民法
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(財産以外の損害の賠償)
第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
(共同不法行為者の責任)
第七百十九条 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
しかし一方で、300万円もの請求は高額なので、相手方に減額交渉をすることは可能と述べました。
すると相談者の要望としては、慰謝料を50万円に減額したいとのこと。
それに対し弁護士は、相手方の代理人弁護士に連絡し、要望どおりの50万円で提案してみること自体はできると説明。
ただ、相手方が受け入れる可能性は相当低い見込みであることも告知しました。
請求金額とこちらの提示金額に大きな差があることにくわえ、約束を破り不倫を再開した経緯からも納得しないだろうと。
むしろ、訴訟(裁判)に踏み切られる可能性の方が高いと思われるとも。
したがって、交渉だけでなく訴訟までも見越して、弁護士に依頼するのがベターと案内。
というのは、交渉までの依頼となると、訴訟が提起された場合、訴状は基本的に当事者(被告)の住所に届くことになります。
ですので、相談者が在宅していればいいものの、不在の際には夫が受け取り、不倫問題が知られるリスクが高まります。
他方、訴訟も含めた依頼であれば、相手方の弁護士に対し、訴状を事務所に送るよう交渉時に先回りして伝えられるからです。
すなわち、訴状が相談者の自宅に届くことはなくなるので、夫をはじめ家族に不倫問題を知られるリスクが減ることになります。
以上を弁護士が伝えると、相談者は夫をはじめ家族に不倫問題を知られず解決できる可能性があるならと依頼いただくことに。
なお、50万円での解決が厳しいと感じた相談者は、できるかぎりお金は工面するよう動いておくとのことでした。
相手方弁護士との交渉・裁判から和解にいたるまで
早速弁護士は、相手方の代理人弁護士に書面で連絡。
内容としては、まず不貞行為を行ったことを謝罪し、なんとか慰謝料50万円で示談をできないかと提案するもの。
そして追記で、残念ながらご納得いただけず訴訟提起される場合は、訴状の送達先を当事務所へ変更してほしいとも伝えました。
なお、必要であれば、依頼者からの(訴訟)委任状も提供するのでと。
相手方代理人からは返答はなく、約2か月後にある意味予想どおり当事務所に慰謝料300万円を請求する訴状が。
訴状には男性に妻がいることを知りながら不貞行為に至った経緯などが記載。
その結果、相手方は精神的苦痛を受け病院に通う状態になり、その証拠として診断書も添付されていました。
それに対して、こちらは答弁書を提出することに。具体的には、
・不倫関係にあったことは認めるものの、期間も比較的短く、頻度はそう多くないこと。
・また、不倫のきっかけ、特に再開については男性が主導しており、依頼者の落ち度は男性に比べて少ないこと。
などを述べ、請求額は高額に過ぎると反論しました。
その後、期日を重ねながら準備書面のやり取りを行うものの、折り合いはつかず。
以上を踏まえ、弁護士は依頼者と今後どう進めていくべきかを検討することに。
このままではいずれ裁判所主導で和解を勧められるか、それもまとまらなければ判決が出ることになると説明。
そして、どちらにせよ裁判所の判断が大きく関わることになるので、どのような金額を出されるか一概に読めないと伝えました。
一方、依頼者に金策の状況を確認すると、100万円までは工面できたとのこと。
そうであれば、なんとか倍額の100万円を用意したと、先にこちらから和解を打診してみるのもいいかもしれないと案内。
交渉時より金額の提示が上がったこと、また、解決までの長期化を避けるべく受け入れてくれる可能性はありうると。
依頼者は、少しでも早く解決できるならと了承し、和解を打診してみることになりました。
弁護士は相手方代理人に対し、解決金を100万円とした和解案を提示。
すると1週間後、相手方代理人から連絡があり、和解案を受け入れるとのこと。
その後、和解の書面を取り交わし、夫や家族に知られることなく無事解決するに至りました。
今回の事例に即した弁護士からのコメント
弁護士が代理人として不貞行為の慰謝料を請求する場合、まずは内容証明を送付することになるケースがほとんどです。
そして、通常は自宅に送ることになりますので、同居している家族が代わりに受け取る可能性も出てきます。
今回の事例は、幸い当事者が受け取ったからよかったものの、もし夫が受領していれば離婚問題にまで発展したかもしれません。
また、交渉が決裂して訴訟を提起された場合、裁判所から訴状が届くのも自宅となりますので、同様のリスクがあります。
ですので、どうしても不倫の家族バレのリスクを減らしたいという際には、訴訟まで見越して弁護士に依頼することが必要です。
というのも、まずは交渉だけと弁護士に依頼することも可能ではあります。
しかしながら、交渉までの依頼ですと、訴訟の代理権は有していないことになりますので、訴状を受け取る権限はないことになります。
ここで交渉が決裂した場合、引き続き訴訟も受任するかどうか確認を取る相手方弁護士もいますが、取らない弁護士もいます。
確認を取らない相手方弁護士であると、原則どおり訴状の送達先は当事者(被告)の住所に設定します。
そうなると、家族バレを防ぐべく弁護士に依頼したのに、訴状が自宅に届いたことで、いわゆる水の泡にもなりかねません。
したがって今回の事例のように、訴訟を見越して弁護士に依頼し、間違っても自宅に訴状が届かないよう対応することが重要です。
以上、まとめると、弁護士に依頼することで、家族バレのリスクを減らしつつ、解決に導ける可能性はあります。
最後に、不倫や浮気をはじめ男女トラブルを抱えてお困りでしたらぜひ一度、当事務所にご相談ください。