「売春防止法違反で女性(売る側)が逮捕される可能性はある?」
「援助交際・パパ活は売春防止法違反になる?」
売春について、このような疑問や不安を持っている人は多いだろう。
結論、売春は「違法」だが罰則規定がない。つまり、お金を受け取って性交渉をしても、それだけで逮捕されることはない。
ただし、路上で売春相手を探す「立ちんぼ」や、SNSで援助交際の相手を探す行為、売春相手に女友達を紹介する行為などは逮捕リスクがある。
実際、2024年には、立ちんぼをしていた88人の女性が逮捕されている。
本記事では、売春防止法の基本知識と「売る側(女性)」のリスク、逮捕事例、売春防止法上のパパ活・援助交際などの売春防止法上の扱いについて解説する。
売春で女性(売る側)が抱えるリスクを理解するために、ぜひ最後まで読み進めてほしい。
本記事で分かること
・売春防止法違反で女性が逮捕されるケース
・立ちんぼ・SNS勧誘・周旋のリスク
・パパ活・援助交際の法的扱い
・逮捕された場合の影響と対処法
女性が売春防止法になるかは、具体的な行為によって異なる。
単に、お金を受け取って性交するだけでは逮捕されないが、売春相手を勧誘したり、周旋したりすると逮捕リスクが生じるのだ。
前提として、単なる売春も合法ではない。売春防止法によって明確に禁止されている。ただし、罰則がないため、警察が「売春」を理由に女性を逮捕することはできない。
つまり、売春は「違法」ではあるが「刑事処罰の対象ではない(逮捕はされない)」というのが正確な理解だ。
女性(売る側)が、売春防止法で逮捕されるのは、売春の「勧誘・周旋」などを行った場合だ。
これらの行為は、売春を助長・拡大させるため、女性側も処罰の対象となりうる。つまり、金銭を受け取って性交しただけでは逮捕されないが、売春の相手を探したり、他人の売春をあっせんしたりすると、逮捕リスクがあるのだ。
では、具体的にどのような行為がNGなのか、実際の逮捕事例にも触れつつ、具体的な内容を紹介する。
路上での客待ち行為、いわゆる「立ちんぼ」は、売春防止法第5条の「勧誘」に該当する。特に最近は、警察の取り締まりが強化されており、逮捕リスクが非常に高い。
東京では、2024年1月〜11月だけで88人の女性が、客待ち・立ちんぼで逮捕されている。
X(旧:Twitter)、Instagram、出会い系サイト、マッチングアプリなどで売春相手を募集する行為は、売春防止法第5条の「勧誘」に該当する。
これらの書き込みによって女性が逮捕されるケースは少ないが、警察はサイバーパトロールをしているので、内容をチェックされている可能性はある。逮捕リスクはゼロではない。
売春相手に友人・知人を紹介する行為も、売春防止法第6条の「周旋」に該当し、「2年以下の懲役又は5万円以下の罰金」となる。
同級生に売春をさせたとして、女子高生が逮捕されたケースもある。
なお、「売春」ではなく「パパ活・ギャラ飲み」などの名目でも、実際には性行為を目的としていたり、性交目的であることを知った上で黙認していたりすると、「売春の周旋」にあたる可能性がある。
警察の内偵捜査(売春当事者からの聞き取り)や捜索差押によって、「売春の周旋(あっせん)」が発覚するケースは珍しくはない。
【コラム】風俗店は「売春の周旋」にならない?
とはいえ、風俗店(ソープ・ヘルスなど)はお金を受け取って女性キャストを客に紹介している。これは「売春の周旋」にあたらないのだろうか?
この点、実は「風俗店」は風営法で次のように定義されている。
つまり、風俗店で提供されているのは、あくまでも「お客の性的好奇心に応じた接触サービス」であり、「性交渉(本番行為)」ではない。「性交渉(本番)」をしていないのだから売春防止法には反しないと、いうのが法律上の建前だ。
逆に言えば、デリヘルなどでキャストが本番行為を行い、お店側がそれを黙認していると、「売春をあっせんした」とみなされる可能性がある。不定期に風俗店が摘発されて、経営者が「売春防止法違反」で逮捕されるのはこれが原因だ。
結論から言うと、パパ活やギャラ飲み・援助交際をしても、それだけで逮捕される可能性は低い。
「援助交際」は売春になりうるが、ここまで説明したとおり、売春行為自体には罰則がないからだ。さらに、デートや食事、キス、口淫・手淫などはそもそも売春防止法の対象外だ。売春防止法で規制されているのは「性交」のみなので、「性交類似行為」は含まれない。
売春防止法における「パパ活やギャラ飲み・援助交際」の扱いをまとめると、次のようになる。
★売春防止法とパパ活・ギャラ飲み・援助交際の関係
パパ活やギャラ飲み (食事やデート目的) | 援助交際 (性交を目的) | |
---|---|---|
相手の募集 | 違法ではない | 六月以下の懲役又は一万円以下の罰金(勧誘) |
友人・知人の紹介 (あっせん) | 違法ではない | 二年以下の懲役又は五万円以下の罰金(周旋) |
デート・食事 | 違法ではない | 違法ではない |
キス・口淫・手淫 | ー | 売春に当たらない |
性交 | ー | 売春(違法)だが罰則なし |
ご覧のとおり、パパ活やギャラ飲み、援助交際が「売春防止法違反」となるケースは限られていることが分かる。罰則が定められているのは、援助交際の「相手募集・紹介」のみだ。
ただし、パパ活やギャラ飲みという名目でも、性交目的を匂わせる表現で相手を募集すれば、売春の勧誘とみなされる可能性はある。友人にパパ活・ギャラ飲みの相手を紹介する行為も、性交目的なら罰則の対象だ(周旋)。
次に、女性(売る側)が売春防止法違反になるリスクを説明する。
売春防止法違反で逮捕されると、長期間の身柄拘束を受ける可能性がある。
例えば、路上の客引き(立ちんぼ)で現行犯逮捕されると、そのまま警察署へ連行され、取り調べを受けることになるだろう。
基本的には、微罪処分となってすぐに釈放されるケースが多いが 、住所が定まっていなかったり、身元引受人がいなかったりすると、釈放まで数日を要することもある。
さらに、売春の周旋(あっせん)などで逮捕されると、証拠隠滅や逃亡の恐れがあるとして、最大で23日間の身柄拘束を受ける可能性がある。
拘束中は外部との連絡が厳しく制限されるので、仕事や学校生活にも大きな支障が生じてしまうだろう。
路上での客待ち行為などで現行犯逮捕されると、警察から家族へ連絡がいく可能性が高い。特に、未成年の場合はほぼ確実に両親(保護者)へ連絡がいくだろう。
成人の場合でも、家族に知られる可能性は高い。
家を離れて生活している学生であれば、逮捕時には身元引受け人が必要になるため、両親へ連絡がいくだろう。
配偶者がいる場合も同様だ。夫が身元引受人になれば、逮捕の事実や理由について説明を受けることになる。夫婦関係に影響が生じるリスクがある。
「売春の周旋(あっせん)」などで起訴されて、裁判で有罪判決が確定すると、「前科」として記録が残る 。前科は、その後の人生において就職活動や資格取得、海外渡航(特にビザ取得時)などで大きな影響を与えてしまう。
微罪処分としてすぐに釈放された場合も、捜査機関には「前歴」として記録が残る。再び売春で逮捕されたり、他の事件を起こしたときに不利に働く可能性があるだろう。
18歳未満の場合は「前科」ではなく「補導歴」として記録されるが、成人すると破棄される。
影響 | |
---|---|
前科 | 就職活動、資格取得、海外渡航に影響 |
前歴 | 再犯時に不利に働く |
補導歴(18歳未満) | 再犯時に不利に働く ※成人すると破棄される |
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もちろん被害届を出すことができる。売春行為があったことと、暴行や盗撮の被害を受けたことは、法的に全く別の問題だからだ。
暴行については傷害罪や暴行罪、盗撮については「撮影罪」や都道府県の「迷惑防止条例違反」などが成立する。民事上の慰謝料請求をできる可能性もあるので、一度弁護士へ相談して欲しい。
風俗でも、本番行為(性交渉)が行われれば売春に該当する可能性はある。
ただし、ソープ等の風俗が売春防止法違反で摘発されたとしても、女性キャストが逮捕される可能性は低い。
ケースによって異なる。法律上の一般論でいえば、売春の対価を請求することは難しいケースが多い。売春防止法で売春が禁止されている以上、売春契約も、民法上「無効」とされる可能性が高いからだ。
ただし、具体的な状況によっては、請求が認められる余地もないわけではない。複雑な判断を要するため、弁護士に相談することをお勧めしたい。
最後に、記事のポイントをまとめる。
1.売春行為には罰則がないが、勧誘・周旋は処罰対象
「売春防止法」は売春を禁止しているが、お金を受け取って性交するだけでは逮捕されない。しかし、売春相手を勧誘したり、友人に相手を紹介(周旋)したりすると、6ヶ月以下の懲役または1万円以下の罰金などの処罰を受ける可能性がある。
2.路上での客待ち「立ちんぼ」は逮捕リスクが極めて高い
繁華街や駅周辺での客待ち行為は売春防止法の「勧誘」に該当する。
警察による取り締まりも強化されており、新宿・大久保公園では2024年だけで88人の女性が逮捕されている。
3.パパ活・援助交際は基本的に売春防止法違反にはならない
パパ活や援助交際が直ちに売春防止法違反となるわけではない。
しかし、性交を目的として相手を募集する「勧誘」行為や、友人に性交目的の相手を「周旋」する行為は、売春防止法による処罰の対象となり得る。
4.売春防止法違反で逮捕されると、身柄拘束や前科が付くリスクがある
売春防止法違反で逮捕されると、長期間の身柄拘束を受ける可能性や、家族に連絡されることがある。また、起訴されて有罪判決が確定すると前科が付き、その後の人生に影響を与える可能性がある。
以上だ。
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