「風俗店に提出した個人情報は外部に漏れないのか?」
「身分証のコピーが悪用されるリスクはあるのか?」
風俗業界で働く女性の多くが、こうした不安を抱えている。
特に、家族や知人に風俗で働いていることを知られたくない人にとって、個人情報の流出は最大のリスクだ。
まず安心して欲しいが、風俗店から個人情報が流出するリスクは決して高くはない。
入店時に求められる身分証の提出は、法律で定められた手続きであり、悪用・流出するために取得しているわけではないからだ。
とはいえ、実際のところ、個人情報が流出するリスクが完全にゼロというわけではない。
お店に問題がなくても、SNSでの不用意な発言、プロフィール写真、接客時の会話など、思わぬ形で個人情報が流出する可能性があるからだ。
そこで本記事では、風俗トラブルに詳しい弁護士が、個人情報の取り扱いの実態と具体的な流出リスク、そして流出を防ぐ方法を徹底解説する。
なお、風俗店を利用する「客側」の個人情報については、別記事で詳しく解説している。あなたが男性(客)で、風俗店に個人情報を提出してしまったのであれば、こちらの記事を参照されたい。
本記事で分かること
・風俗店が個人情報を確認する法的理由
・個人情報の管理実態と保管期間
・個人情報が流出する具体的なきっかけ
・警察摘発時の個人情報の取り扱い
・悪質店による個人情報の悪用パターン
・個人情報流出を防ぐ具体的な対策
風俗店で働くとき、身分証明書のコピーや住民票の提出を求められることに不安を感じる人は多いだろう。しかし、風俗店があなたの個人情報を確認するのは、基本的に悪用するためではない。
風俗店が個人情報を確認するのは、就業資格の確認・従業者名簿の作成といった法律上の理由があるからだ。
風俗店が個人情報を確認する1つ目の理由は、あなたが風俗業で働く資格を持っているかを確認するためだ。
これは単なる「お店の独自ルール」ではなく、「法律(風営法第26条)」によって義務付けられているものだ。もしこの確認を怠れば、風俗店は営業停止などの厳しい行政処分を受ける可能性がある。
確認される情報は国籍によって異なる。日本国籍なら主に「生年月日」と「本籍地の都道府県」だが、外国籍の場合は「在留資格」や「在留期限」なども含まれる。
確認が必要な個人情報 | |
---|---|
日本国籍の場合 | 生年月日、本籍地(都道府県まで記載のあるもの) |
外国国籍の場合 | 日本での在留資格の種類、 日本に滞在できる期間(在留期間の満了日など) |
風俗店が個人情報を確認する2つ目の理由は、「従業者名簿」を作成するためだ。
風営法で義務づけられた従業者名簿には、あなたの「氏名」「住所」「生年月日」「採用日」「業務の内容」「身分証を確認した日付」などが記載される。これは、たとえ体験入店でも、短期アルバイトでも、必ず作成する書類だ。
ただし、この名簿が他人の目に触れるのは、基本的に監督官庁(警察)の調査があった場合のみだ。よほど悪質な店舗でなければ、流出するリスクは低いだろう。
次に、風俗店がキャストの個人情報をどのように管理しているのかを説明する。
状況 | 個人情報の管理 |
---|---|
面接で不採用になった場合 | 通常、即時破棄 (シュレッダー、データ削除) |
現在、風俗で働いている場合 | 風営法に基づき、氏名、住所、連絡先、身分証コピー、写真などを店内に保管 |
すでに風俗店を退店した場合 | 退職しても、3年間は従業者名簿の保管義務あり |
一般的な風俗店では、不採用が決まった時点で個人情報はすぐに破棄される。
提出した身分証コピーや履歴書はシュレッダーで処理されて、入力したデータも削除されるので、あまり心配する必要はない。
ただし、ごく一部ではあるものの、採用されなかった女性の情報を一定期間保管し、後日スカウトや求人営業に使う店舗もある。たとえば、後になって「やっぱり働いてみませんか?」「新人枠が空きましたよ」などと連絡をしてくるケースだ。
もし不安を感じるなら、面接終了時に、「不採用の場合は個人情報を返してください」と伝えてみよう。返却が難しければ、目の前で破棄してもらうよう依頼するのが最も安全な方法だ。
今も風俗店に在籍している場合、あなたの氏名、住所、緊急連絡先、生年月日、提出した身分証明書のコピー、写真などが店内に保管されているはずだ。
法律上、こうした個人情報には、厳格な管理が要求されている。
しかし、実態としては店舗によって管理レベルに大きなバラつきがある。大手の優良店舗であれば厳重に管理されている可能性が高いが、中には管理体制がルーズな店舗もある。
もし不安を覚えるようなことがあれば、店長に相談するか、状況によっては弁護士などの専門家に相談することも検討すべきだ。
風俗店を退店しても、あなたの個人情報はすぐには削除されない。
風俗店には、退店したキャストの従業者名簿を、「退職した日から3年間」は保管する義務があるからだ。
(従業者名簿の備付けの方法)
第百六条 風俗営業者、店舗型性風俗特殊営業を営む者、無店舗型性風俗特殊営業を営む者、店舗型電話異性紹介営業を営む者、無店舗型電話異性紹介営業を営む者、特定遊興飲食店営業者、法第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業を営む者及び深夜において飲食店営業(酒類提供飲食店営業を除く。)を営む者は、その従業者が退職した日から起算して三年を経過する日まで、その者に係る従業者名簿を備えておかなければならない。
つまり、風俗を辞めたとしても一定期間は個人情報が店舗に残ることになる。
ただし、HP・SNS・風俗情報サイトなどのプロフィール写真・源氏名については、法律上の保存義務がないため、退店時に削除してもらうことが可能だ。真面目な店舗であれば、退店と同時にこれらの情報は削除してくれるはずだ。
風俗で働くとき、「個人情報が漏れるのはお店の管理が悪いからだ」と思い込んでいないだろうか?
確かにそれも一因だが、実際にはキャスト本人の行動によって、身バレするケースも珍しくない。SNS、写メ日記、宣伝写真、さらにはお客との会話など、何気ない行為が、個人情報が流出するきっかけになるのだ。
ここでは、特にトラブルが多い3つの流出パターンについて、解説する。
あなたが普段何気なく使っているSNSや写メ日記も、個人情報が流出するきっかけになり得る。
たとえば、何気なく投稿した写真でも、窓の外の景色、特徴的な建物、部屋にある私物などから、あなたの自宅や最寄り駅が特定されるケースがある。さらに、特定の大学名を挙げていなくても、「今日はテスト」「駅から大学まで徒歩●分」「●●学部」などと書くことで、通学先を特定されることもある。
断片的な情報でも、つなぎ合わせることで、あなたの個人情報を特定する材料になるのだ。
SNS・写メ日記を投稿するときは、個人を特定できる情報がないか、学校名を匂わせる発言がないか等を、必ず確認して欲しい。
お店のホームページに載っている宣伝写真から、あなたの個人情報がバレるケースもある。
「顔にモザイクがかかっていれば大丈夫」と思っているかもしれないが、油断は禁物だ。顔の一部や体つき、ホクロやアザといった身体的な特徴から、あなたのことを知る人物に気づかれてしまうことは珍しくないのだ。
具体的に、どんな特徴が身バレに繋がりやすいのか、そしてどうすればリスクを減らせるのかをまとめた。
身バレしやすい特徴 | 対策 |
---|---|
特徴的なほくろや傷 | 撮影時に隠すか、お店に修正依頼する |
タトゥーや刺青 | 衣服や小物で隠すか、お店に修正依頼する |
体型や筋肉の付き方 | 全体的な加工や角度を工夫する |
眉毛の形や歯並び、顔の輪郭 | 顔全体にモザイクを入れる |
服装やアクセサリー | 必ずお店の衣装を着用し、私物は外す |
宣伝用の写真を撮る際は、これらの点を必ず頭に入れておいてほしい。
そして、お店の人にはっきりと「顔バレしないように最大限配慮してほしい」と伝えて、できれば写真の公開前に自分の目でチェックしよう。
ついつい見落としがちなのが、「会話による個人情報の流出」だ。
風俗の接客中に何気なく話した内容が、お客の記憶に残り、身元の特定につながってしまうことがある。
たとえば「来週テストがある」「●●線で通ってる」「駅から徒歩●分」「学校の近くにドンキがある」など、バラバラに見える話でも、複数の情報を組み合わせれば、通っている学校や住んでいる地域が絞られてしまう。
趣味、誕生日、出身地、最寄り駅、大学名などが分かれば、SNSの個人アカウントが特定される可能性もあるだろう。
風俗で個人情報を守るには、出身地、学校、家族構成、住まいのエリアなどは、すべて架空のものにするか、そもそも話さないと決めておくことが効果的だ。
また、スマホをお客に見せるのも避けるのが無難だ。スマホケースや壁紙、LINEの通知、ホーム画面から思わぬ情報が漏れることがある。
もし在籍している風俗店が警察に摘発されると、「私の個人情報はどうなるの?」「私にも警察から連絡がくる?」と不安を感じるだろう。
結論から言えば、警察に押収された個人情報が外部に流出するリスクは極めて低く、またその情報をもとにキャストが逮捕されるケースも稀だ。
お店の摘発時、警察は店舗内の書類やパソコンから、あなたの身分証コピー、従業員名簿、連絡先、給与記録などの個人情報を押収する。ただし、これらは「証拠品」として厳重に管理されるため、外部に流出することはない。
摘発時に押収される個人情報 | 流出リスク |
---|---|
身分証明書のコピー | 極めて低い |
従業員名簿(氏名・住所・生年月日など) | 極めて低い |
出勤記録・給与台帳 | 極めて低い |
写真データ(プロフィール用など) | 極めて低い |
あなたの個人情報は、主に「どのような営業実態だったのか」を特定するために使われる。
基本的に、警察の本当の狙いは経営者なので、あなたに連絡が来ても短時間の事情聴取で終わることが多いだろう。
ただし、以下の場合は警察から連絡がきたり、逮捕されるリスクが高まる。
・18歳未満で風俗店で働いていた
・本番行為など違法サービスを提供していた
・経営陣として運営に関与していた
上記のようなケースに当たらなければ、万が一、警察から連絡があっても、深刻な問題に発展する可能性は低いだろう。
これまで見てきたように、基本的に風俗店が個人情報を流出させることは少ない。
しかし、一部の悪質な店舗の場合、あなたの個人情報を悪用する可能性もゼロではない。例えば、次のような手口が考えられる。
風俗店の個人情報悪用パターン | 発生頻度 | 危険度 |
---|---|---|
「流出させる」と脅して辞めさせない | 高 | ★★★★★ |
退店後も写真を削除しない | 高 | ★★★★☆ |
他のキャストとして写真を使い回す | 低 | ★★★★☆ |
個人情報をスカウト業者に売る | 低 | ★★★☆☆ |
これらの行為はいずれも、法律違反になる可能性が高い。
「辞めさせない」という脅しは脅迫罪、「写真の無断使用」や「別キャストへの使い回し」は肖像権侵害(不法行為)、「情報の売買」は個人情報保護法違反と、何らかの法律に抵触するものばかりだ。
万が一出くわしたら、すぐに弁護士へ相談して欲しい。
以下では、特に発生頻度の高い「流出させると脅して辞めさせない」ケースと、「退店後も写真を削除しない」ケースについて詳しく解説する。
最も悪質なケースは、「辞めるなら個人情報をバラまく」と脅すパターンだ。
例えば、キャストが退店したいと伝えたところ、店長から「辞めるなら、お前の本名と住所を家族や大学に教えるぞ」と脅されるようなケースがある。法律的には、こうした脅しは「脅迫罪」や「強要罪」に該当する。
(脅迫)
第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。(強要)
第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
ただし、こうした脅しに対して一人で対応するのは危険だ。感情的になって言い返したり、無視したりすれば、状況がエスカレートする恐れがある。まずは冷静に証拠を集めて、弊所のようなナイトビジネスに強い弁護士へ相談することが重要だ。
最も頻繁に起こるトラブルは、退店後も写真が削除されないケースだ。
基本的に、あなたが退店すれば、お店のホームページやSNS、風俗情報サイトなどからは、写真やプロフィールを削除してもらえるはずだ。しかし、悪質な店舗では、退店後、何ヶ月も削除しなかったり、削除を依頼しても完全に無視したりするケースがある。
対策としては、退店時に「◯月△日までに写真の削除をする」という約束を文書で取り付けることだ。そして、削除されない場合は、お店に連絡して削除を要請し、それでも応じない場合は弁護士に相談するのが効果的だ。1人では対応してもらえないケースでも、弁護士名で通知を送れば、ほとんどの店舗は速やかに対応するはずだ。
風俗で、個人情報の流出や悪用に悩んでいる方は、ぜひ私達グラディアトル法律事務所へ相談して欲しい。以下では、風俗業界に強いグラディアトル法律事務所の強みを具体的に紹介する。
風俗トラブルを解決するには、ただ法律に詳しいだけでは十分とは言えない。
法律知識以上に、実際に風俗店がどう運営されているか、業界の裏側まで理解していることが必要だからだ。
この点、グラディアトル法律事務所は、500店以上もの風俗店に法律アドバイスをしてきた実績がある。これは単なる数字ではなく、たくさんの風俗店に共通する「現場の実態」を知っているという証拠だ。
私たちは、関係法令だけでなく、風俗店の実態として、どのように個人情報が扱われているのかを熟知している。だからこそ、最も効果的な解決方法を提案できるのだ。
写真の削除や個人情報の悪用対策だけでなく、退職までトータルでサポートできることもグラディアトル法律事務所の強みだ。
風俗を退職したいが、「風俗で働いていることをバラす」と脅されたり、「辞めるなら違約金を払え」と言われて困っている女性は少なくない。スムーズに退職できたとしても、プロフの写真が削除されなかったり、その後の個人情報の取り扱いに不安を覚えるケースも多いだろう。
そんな方のために、グラディアトル法律事務所では、夜の退職代行も行っている。
水商売や風俗などの夜職・ナイトビジネス業界の裏の裏まで知り尽くした弁護士が、退職に係るあらゆる手続き・トラブルに対応する。
風俗の接客で話した個人情報を、ホスラブ、爆サイなどの掲示板や、口コミサイト、SNSに書かれて困っているという人もいるだろう。特に、「本名」「大学名」「出身地」などの個人情報が書き込まれると、プライバシー侵害として深刻な問題になる。
グラディアトル法律事務所では、こうした書き込みの削除も得意としている。各サイトへの削除依頼から、発信者情報開示請求、慰謝料請求まで一貫して対応できる。
掲示板への書き込みは、放置すると拡散リスクが高まる。しかし、「どうせ消えない」と諦めず、専門家に相談すれば解決できるケースが多い。ネットで個人情報を晒されて困っている方も、ぜひ相談してほしい。
あなたが風俗店を辞めた後も、3年間は「従業者名簿」の保管義務が定められている。
したがって、退職後も最低3年間は個人情報が残り続けることになる。
それは絶対に避けるべきだ。
もし嘘の情報を伝えて、それが発覚した場合、単に解雇されるだけでは済まないだろう。お店側に実害が生じると、損害賠償請求される可能性も否定できない。
まずは、個人情報が流出している事実を示す証拠(URL、写真、スクリーンショットなど)を確実に保存して欲しい。そして、すぐに弁護士に相談して、削除・二次被害を防ぐために対処してもらうことが必要だ。
最後に、記事のポイントをまとめよう。
1.風俗店による個人情報確認は、基本的に悪用目的ではない
風俗店が働く女性の身分証明書や住民票を確認するのは、主に法律上の義務を果たすためだ。具体的には、風営法に基づき、女性が法的に就業可能な資格を持っているか(国籍、年齢、在留資格など)を確認し、従業員名簿を作成・保管する必要があるからである。
2.個人情報の管理方法は、採用状況や在籍状況によって異なる
面接で不採用になった場合、提出された個人情報は基本的に破棄される。 在籍中のキャストの個人情報は、風営法に基づき氏名、住所、写真などが店内に保管される。退店した場合でも、従業員名簿は法律により退職日から3年間は保管される義務がある。ウェブサイト上のプロフィール写真などは退店時に削除してもらえるのが一般的だ。
3.キャスト自身の行動が原因で、個人情報が流出することもある
店舗側の管理だけでなく、キャスト自身のSNSや写メ日記への投稿(写り込んだ背景や持ち物、学校や行動に関する記述)、宣伝写真(顔の一部や身体的特徴)、お客との何気ない会話(出身地、学校、家族構成など)から個人が特定されるケースもある。 情報を組み合わせることで、身元が明らかになるリスクがあるため、日頃からの注意が必要だ。
4.在籍店舗が警察に摘発されても、キャストの個人情報が外部に流出するリスクは低い
店舗が摘発された場合、警察はキャストの身分証コピーや従業員名簿などを証拠品として押収するが、外部流出の心配はほとんどない。これらの情報をもとにキャストが逮捕されるケースも稀であり、主に店舗の営業実態を把握するために利用される。ただし、18歳未満での就労や違法サービスへの関与など、特定のケースでは警察から連絡が来る可能性が高まる。
5.風俗店による個人情報の悪用例と対策
一部の悪質な店舗では、「個人情報をばらまく」と脅して退店を妨害したり、退店後も意図的に宣伝写真を削除しなかったり、他のキャストの写真として無断使用したりするケースがある。問題が発生した場合は証拠を保存して、風俗業界に詳しい弁護士に相談するのが効果的だ。
以上だ。
風俗の個人情報トラブルで困っている方は、一人で悩まず、私達グラディアトル法律事務所に連絡して欲しい。是非、風俗トラブルのプロである我々にお任せいただきたい。