結婚詐欺の被害は返金可能!4つの返金方法と用意すべき重要証拠一覧

「結婚するために彼(彼女)のためにお金を貸したのに…」
相手に結婚するつもりが無かったと気付いた時、このような気持ちになってしまうのは当然のことです。

しかし、これを人生経験であると割り切って全てをあきらめてしまうのは非常にもったいないです。
実は、証拠を集め、適切な手続で交渉すれば返金してもらえる可能性があります。

また、グラディアトル法律事務所では、過去に結婚詐欺の相手から返金・回収を実現した実績が多数あります。

返金実績の中には、1000万円の返金に成功した事例もあります!

この記事では

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コラムを最後まで読めばこれがわかる!!

現役弁護士の視点で、

◆返金実現のための適切な相談先

◆結婚詐欺師からの返金改修を実現する方法

◆返金の可能性をあげるために集めるべき証拠

を説明します。

この記事を読み終わったら、結婚詐欺から返金を実現するために、まず何をすればいいのか分かるようになります。
長くなりますが、ぜひ最後まで読んでください。

1 結婚詐欺の相手から返金はしてもらえる?

詐欺にあたれば、返金してもらえる確率が上がる

ポイント 以下の条件を全て満たした場合は、詐欺にあたるため、返金してもらえる確率が上がる!

①相手があなたをだましたこと
②あなたが勘違いしたこと
③あなたが勘違いによってお金を渡したこと
④相手があなたをだまそうとする意思があったこと

 以上の条件を全て満たした場合、結婚詐欺があったという事実は認められる可能性があります。

1−1【結婚詐欺の成立要件1】だましたこと(欺罔行為(ぎもうこうい))

欺罔行為とは、相手があなたをだましたことをいいます。
これにあたる場合の例として、

・相手は本当はあなたと結婚する気がないのに、「結婚しよう」と告げていた場合

・「今やっている事業に失敗したから」「借金の保証人になってしまって取り立てられているから」「将来の夢を叶えたいのにお金がないから」「結婚したら必ず返すから」など嘘をついてお金が必要と言ってお金を要求してくる場合

は、欺罔行為があったといえます。

 一方、

・あなたが勝手に結婚できると思い込んでいた場合
・何も言われてないのにお金を貸してあげた場合

は、欺罔行為があったとはいえません。

1−2【結婚詐欺の成立要件2】相手の嘘にだまされていたこと

あなたが相手の嘘を信じて、相手と結婚できる、相手はお金が必要であると勘違いしてしまった事実が必要になります。

・相手のお金が必要である根拠が簡単に嘘だとわかるものであった場合

は、だまされて勘違いしていたとはいえません。

  1−3 【結婚詐欺の成立要件3】勘違いによってお金を渡したこと

あなたが、【結婚詐欺の成立要件2】の嘘を信じて勘違いしたまま、財産を相手に渡してしまった事実が必要になります。
これにあたるのは、

・相手にお金などの財産を手渡ししたり、口座に振り込んだりした場合

です。お金を相手に渡していない限りは、返金を求めることはできません。

   1−4【結婚詐欺の成立要件4】相手にお金をだまし取る意思(故意)があったこと

相手が結婚のためにお金が必要などと嘘をついて、その目的が最初から「あなたのお金などの財産をだまし取ること」である必要があります。

結婚のためのお金を用意した後に、やはり結婚をする気がなくなったような場合には、結婚詐欺は成立しません。

※ここまでの記事を読んで、「詐欺かも...」、「詐欺に違いない!」と思われた方は、
「6.結婚詐欺師からの返金回収を実現する4つの方法」へ進んでください!

2 結婚詐欺でなくても返金請求ができる2つのパターン

「ここまで読んでみたけど、結婚詐欺とは言えないかも、返金は諦めるべきか…」

そう思われた方、あきらめるのは早いです。
実は、相手からの返金を実現するために、結婚詐欺であることは必ずしも必要とは限りません。

ここからは、結婚詐欺でなくても返金請求ができる2つのパターンを紹介します。

 2−1「錯誤」を理由に返金を求めるパターン 

 錯誤とは、意思表示に、「勘違い」があったということを意味します。

第95条

1 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。

(1)意思表示に対応する意思を欠く錯誤

(2)表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤

2 前項第2号の規定による意思表示の取り消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。

結婚するつもりがあると信じてお金を払った場合は返金が請求できる可能性があります。
「相手と結婚をする」ことを重要であると伝えて、お金を払った場合、民法上では「錯誤」が成立します。

この場合、お金を払った行為を取り消す意思表示をすることで返金を請求することができます。

 ●結婚すると言ってくれたから相手にお金を渡したのに...

そんな方は、詐欺に当たらなくても、錯誤主張できるかもしれないので、あきらめず、弁護士に相談してみましょう

 2-2 貸したお金の返金を求めるパターン

加害者から「お金を貸して」と言われてお金を貸した場合は返金を請求できます。

第587条

消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

 

相手がお金を返すつもりが無かったとしても、お金を貸すことを約束した場合、

いつかは必ずお金を返さなくてはいけません。

●お金を貸すことを約束して、金銭を渡したこと
 (返済期間を定めた場合)
●返済期間が到来したこと
 (返済期間を定めていない場合)
●お金を返すよう、相手に催促すること
●催促してから一定の期間がたったこと

以上の条件を満たした場合、結婚詐欺にあたらなくても返金を求めることができます。

3 結婚詐欺では慰謝料を請求することもできる

結婚詐欺では、返金とは別に慰謝料を請求することができます!

結婚するつもりがあるとだまして、お付き合いを続けた場合、その行為自体が精神的苦痛を与える行為(不法行為(ふほうこうい))にあたるからです。

結婚詐欺にあった場合は、返金を求めるのと同時に、慰謝料を請求するべきです!

場合によっては、350万円という高額の慰謝料をとることができた場合もあります!

慰謝料を請求する詳しい方法については、以下のコラムで説明しているので、是非読んでみてください。

4 結婚詐欺でも返金が実現できない2つのパターン

ここまでは、結婚詐欺の被害にあったときには返金を請求する権利があることについて説明しました。

しかし、請求する権利があるとしても
「時効によって返金が請求できなくなる」場合や
「相手が財産を持っていない」場合には、返金が実現できないことがあります。

ここでは、返金が実現できなくなる2つのパターンについて解説していきます。

4−1 時効によって返金が請求できなくなる場合

第724条

不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

(1)被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき。

(2)不法行為の時から20年間行使しないとき。

 詐欺行為が不法行為であることを理由に損害賠償請求をする場合、「損害と加害者を知った時から3年が経過したとき」、または、「詐欺行為から20年経過したとき」に時効が成立します。

損害賠償を請求しても、加害者から「時効が成立するから返金しない」と言われれば、請求する権利がなくなってしまいます。

4−2 相手が財産をもっていない場合

「相手が財産を持っていない」場合は、残念ながら返金を実現することができません。何もないところから、お金を取り返すことはできないからです。

5 結婚詐欺の返金は弁護士に依頼するのがおススメ

これまでは
「どのような場合に結婚詐欺といえ、返金を請求できるのか」
について解説してきました。

もっとも
「じゃあ、自分はこれからどうすればいいのか?」と考えられる方も多いことでしょう。

ここからは、
「誰に相談すればいいのか」
について解説していきます

結婚詐欺の相手に返金を請求する方法は、

●弁護士に依頼する方法
●警察に相談する方法
●自分でやる方法

の主に3つが考えられます。この中でも特におススメな方法は、

●弁護士に依頼する方法

です。
なぜなら、弁護士に依頼することは、以下のメリットがあるからです。
メリットはまた5−1にて説明していきます。

しかしながら、場合によっては、弁護士に依頼しない方が良い場合もあります。
どうすればよいか分からない場合もまずは弁護士に一度相談してみましょう!

ここからは、それぞれの方法のメリットとデメリットについて解説していきます。

5-1 弁護士に依頼する方法
1つ目の方法は、弁護士に相談するということです。
弁護士に相談することは

  • 法律や裁判例に基づいて、あなたの代わりに説得することができる
  • 弁護士にしかできない強力な調査によって、相手の住所や氏名を特定することができる   
  • 交渉・訴訟手続きなどの細かな手続を丸投げすることができる

というメリットがあります。一方で

  • 弁護士費用がかかり、場合によっては赤字になることもある

 というデメリットもあります。

5-1-1 【メリット1】法律や裁判例に基づき説得することができる

弁護士に依頼する1つ目のメリットは「法律や裁判例に基づいて、あなたの代わりに説得することができる」ということです。

相手に対して、返金を求めるには、説得的な主張が必要になり、そのためには、法律の知識が必要になります。
しかしながら、法律の知識を一から学んで、説得的な主張をすることは、とても難しく、時間がかかってしまいます。

弁護士は、法律の知識に精通した専門家です。弁護士に依頼すれば、あなたの代わりに、説得的な主張をすることができるので、返金確率をあげることができます。

5-1-2 【メリット2】弁護士にしかできない強力な調査によって、相手の住所や氏名を特定することができる 

弁護士に依頼する2つ目のメリットは、「弁護士にしかできない強力な調査によって、相手の住所や氏名を特定することができる」ということです。

ひとりで相手に返金をもとめたとしても、相手と連絡が取れなくなり、行方が分からなくなった場合には、
なすすべがないと言っていいでしょう。

弁護士は「23条照会」という弁護士だけがもつ強力な調査方法を持っており、
電話番号から契約者の情報を探すことができます。

また相手の住所を知っていれば、弁護士は住民票や戸籍を調査することもできます。

このように弁護士に相談し、依頼すれば、相手の居場所を探し出すことができるため、
相手からの返金を実現する確率をあげることができます。

5-1-3 【メリット3】交渉・訴訟などの細かな手続きを丸投げすることができる

弁護士に依頼する3つ目のメリットは、
「交渉・訴訟手続きなどの細かな手続を丸投げすることができる」ということです。

弁護士は、手続きや交渉のほとんどを弁護士が代わりに行うので、手続きを丸投げすることができます。

これにより、交渉・訴訟手続に時間をかける必要が無くなるだけでなく、相手と直接話さなくて済むというメンタル面にもうれしいメリットがあります。

「返金してもらいたいけど、平日は仕事があるから中々交渉にふみこめない」

「私を裏切った相手とはもう口も聞きたくない」

そんな方こそ、弁護士に依頼するべきでしょう。

5-1-4【デメリット】弁護士費用がかかってしまう

弁護士に依頼することのデメリットは、「弁護士費用がかかる」ということです。
弁護士に依頼する場合には、初期費用などの弁護士費用がかかります。
もっとも、これらの弁護士費用は、回収できた金銭から支払うことも可能です。

しかし、相手からの返金を実現できなかった場合、訴訟費用だけかかることもあることには注意が必要です。

5-2 警察へ相談する方法

2つ目の方法は警察に相談するということです。

警察に相談し、被害届を出すことで警察に相手の事について捜査をしてもらい、示談という形で返金を実現するということが考えられます。

警察に相談する方法には、

  • お金がかからない
  • 警察が、犯罪行為があったかについて捜査してくれるため、強力な証拠が集まる可能性がある
  • 大勢の被害者がいる場合は、捜査をしてくれる可能性が高まる

というメリットがあります。一方、

  • 警察が被害届を受理してくれないことがある

というデメリットがあります。
ここからは、それぞれのメリットとデメリットについて、詳しく解説していきます。

5-2-1【メリット1】お金がかからない

1つ目のメリットは「お金がかからない」ということです。

弁護士に依頼する場合とはことなり、警察に相談し、被害届を出すこと自体に費用は掛かりません。

弁護士に依頼する場合は、被害額よりも弁護士費用の方が高額になる場合があり、この場合は、「失ったお金を取り戻したい」という目的が達成できません。

「お金が厳しい」
「弁護士費用の方が、被害額よりも高い」

と思われる方は、警察への相談をしてみるべきでしょう。

5-2-2 【メリット2】警察の捜査により、強力な証拠が集まる可能性がある

2つ目のメリットは「警察が、犯罪行為があったかについて捜査してくれるため、強力な証拠が集まる可能性がある」ということです。

警察は、犯罪の疑いがある場合は、様々な捜査をすることができる強力な権利をもっています。
自分で集めるよりも、警察にお願いする方が、より強力な証拠を集めてくれる確率は高まるでしょう。

5-2-3 【メリット3】被害者が多い場合、捜査をしてくれる可能性が高まる 

3つ目のメリットは、「大勢の被害者がいる場合は、捜査をしてくれる可能性が高まる」ということです。

「同じ加害者から被害を受けた!」という人が多ければ、より悪質な詐欺行為であると評価される傾向にあります。
より悪質な事件であれば、警察が被害届を受理して捜査をしてくれる可能性が高まるでしょう。

5-2-4 【デメリット】警察が被害届を受理してくれないことがある

警察に相談することのデメリットは、「警察が被害届を受理してくれないことがある」ということです。

証拠の状況や、被害状況を考慮して、警察がそもそも対応してくれない場合もあります。
この場合、弁護士に依頼して、警察との交渉を行うこともできるので、気になる方は是非相談してください!

5-3 自分でやる方法

3つ目の方法は、自分でやるという方法です。

自分でやる方法では、弁護士費用が掛からないというメリットがありますが、自分で調べてやるという方法を行う場合、交渉や手続の方法を調べることなどにより非常に時間がかかってしまいます。

このことから、自分でやるという方法は、おススメできません。

6 結婚詐欺師からの返金回収を実現する方法4つの方法

ここまでは、「誰に相談すればいいのか」ということについて解説していきました。
ここからは、

どんな方法で返金を実現していくのか

について解説していきます。


結婚詐欺師からの返金回収を実現する方法は

・内容証明郵便を交付して、相手と返金交渉を行う
・裁判所に訴訟を提起する
・警察に被害届を提出し、示談金を払ってもらう
・相手の口座を凍結する手続きを行う

の4つです

それぞれの手続にメリットとデメリットがあります。
「どの方法がベストか」
被害額や相手の反応、また依頼される方のお気持ちなどで異なります。
いわば 人による というのが特徴です。

「どれを選んだらいいか分からない」

そんな方は、まずは弁護士に相談してみましょう。 

ここからは、各手続きの特徴やメリットとデメリットについて解説していきます。

6−1 内容証明郵便を交付して、相手と返金交渉を行う 

1つ目の方法は、「内容証明郵便を交付して、相手と返金交渉を行う」ことです。
返金交渉をする方法は、費用と時間が抑えられるというメリットがあります。

一方、相手が支払いを拒んだ場合は交渉だけで返金を求めることができないというデメリットがあります。交渉は、あくまで加害者が自分の意思で支払ってくれることを前提としているため支払いを拒めば、強制することはできないからです。

内容証明郵便は誰でも送ることができますが、相手に書面を送るだけでは、返金を実現することができません。

弁護士に依頼して、代わりに書面を書いてもらう場合
訴訟や刑事告訴を入れていることを、弁護士を通じて伝えるという行為によって、相手に本気で返金を求めているということを伝えることができます。

弁護士が代理についたという事実を相手に伝えることにより、相手は返金を無視せずに対応してくれる可能性が高まるため、返金確率をあげることができます。

6−2 裁判所に訴訟を提起する

2つ目の方法は「裁判所に訴訟を提起する」ことです。
裁判所では、相手に対して、詐欺行為を理由として、相手に支払った分の金銭の支払いを請求する訴訟を行います。
訴訟で勝訴すれば、加害者に対して、強制的に支払いをさせることができるというメリットがあります。

しかし、時間と費用が交渉に比べて多くかかってしまうので、敗訴すれば、時間とお金だけが余計に無くなったという結果になるというリスクもあります。

訴訟は本人だけで訴訟を提起することができます。しかし、法律知識が無ければ、訴訟をうまく進められないおそれがありますので、弁護士に依頼したほうがいいいでしょう。

6-3  警察に被害届を提出し、示談金を払ってもらう

3つ目の方法は、「警察に被害届を提出し、示談金を払ってもらう」ことです。
警察に被害届を提出し、これを受け取ってもらった場合は、警察が捜査の中で示談を持ち掛けてくることがあります。この時に、相手から示談金を支払ってもらえれば、返金が実現できます。

結婚するつもりがないのに結婚する気があると嘘をついて、金銭を要求し
これを信じた被害者が金銭を加害者に交付した場合

加害者は詐欺罪に問われます。
上記の被害にあったときに以下の手順で示談を結び、示談金をはらってもらうことができます。

①警察に被害届を提出
警察に捜査・逮捕をしてもらう
③示談交渉の上、加害者から示談金を支払ってもらう

「警察に被害届を提出し、示談金を払ってもらう」という手段は、
● 警察が捜査をすすめてくれるため、お金に余裕がない人でも金銭が回収できる可能性がある
● 被害者として、加害者に対して強気で交渉できる

というメリットがあります。

しかし、警察がそもそも被害届を受理してくれない可能性もある点には注意が必要です。

8-1-3でも説明しますが、警察に被害届を受理してもらい、警察に捜査をしてもらった後、弁護士に依頼して、返金交渉するという方法も可能です。 

6−4 相手の口座を凍結する手続きを行う 

4つ目の方法は、相手の口座を凍結する手続きを行うことです。

預金口座等への振り込みを利用して行われた詐欺の被害者は、直接あるいは捜査機関、弁護士等を通じて、振込先の預金口座等を開設している金融機関に対し、犯罪利用の疑いがあるとの情報提供をします。

これを受けた金融機関は、犯罪利用預金口座等である疑いがあると認めた場合、相手の口座の取引停止措置を行い、最終的には、口座から被害者に対して、お金が支払いされることになります。

口座凍結の手続きは、金融機関を通じて口座内のお金を隠されないように確保することができる点がメリットです。

しかし、被害者が大勢いる場合、被害額に応じて口座のお金を配分することになるので、全額返金してもらえないというリスクもあります。

口座凍結の方法は、以下のサイトで詳しく説明しているので、是非ご覧ください。

7 返金の確率を上げるために、できるだけ多くの証拠を集める

ここまでは、どんな方法で返金を実現していくのかについて解説していきました。

ここからは、
どのような証拠を準備すればいいのか
について解説していきます。

証拠は必ず集めましょう。証拠が無ければ返金を実現することはできません
上の図では、有力な証拠になるものを紹介しています。集めるべき証拠についても書いているので、集められる証拠が無いか、よく確認してみましょう。
証拠は多いほど良いので、できるだけ多くの証拠を集めることができれば、訴訟や交渉を有利に進められるでしょう。


もっとも、証拠も確保のやり方を間違えると、証拠にならない可能性もあります。
ここからは、証拠の確保のために必要なことについて解説していきます。

7-1 会話の録音は、事前にちゃんと録音ができるかシミュレーションをしてみる

会話の録音は、事前にちゃんと録音ができるかシミュレーションをしてみましょう。

会話の録音はボイスレコーダーやスマートフォン、スマートウォッチなどで録音することは可能ですが、録音の方法によっては、うまく会話の内容が聞き取れないことがあるので注意が必要です。

ポケットの中で録音をすることは特に避けるべきでしょう。衣服がこすれる音も録音してしまうので、肝心な会話の内容が聞き取れない可能性があります。

また、周囲の雑音が大きすぎると会話内容が録音できないので、会話を録音する場所にも注意しましょう。

7-2 メール、アプリでの会話の履歴は消さずにバックアップを

被害者と加害者のメールやアプリケーションでの会話の内容も詐欺行為やお金を払ったことなどを証明する上で、極めて重要です。

メールやLINEなどのSNSアプリの会話履歴は、消去されないようにバックアップを取っておくことをおすすめします。

LINEの公式サイトでは、トーク履歴をテキスト形式(txt.)で保存する方法を紹介しています。

7-3 マッチングアプリのプロフィールはスクリーンショットで確保

マッチングアプリの相手のプロフィールは、相手が結婚目的であると偽っていたことを証明する上で重要な証拠になります。

プロフィール欄に結婚願望があることが書かれていれば、「この人は結婚願望がある」とアピールしているといえるでしょう。

また、婚活が目的のマッチングアプリを利用していたのであれば、利用している事実自体が結婚するつもりだったことを証明する証拠になります。アプリよっては登録時に独身であることを確認したうえで利用を認めているものもあるので、

「どんなマッチングアプリを利用していたか」ということも重要な証拠になります。

プロフィールから、相手を特定できるようなことや結婚願望について書かれていることがあれば、内容を変更する前に、スクリーンショットで保存しましょう

7-4 クレカの明細やレシート、銀行の取引明細は捨てずにとっておく

クレジットカードの明細やレシート、銀行の取引明細は、加害者にお金や財産を払ってしまったことを証明する証拠になります。特に、銀行の取引明細では、相手の名前や口座番号が記録に残っていることがあります。

この場合、相手にお金を払ったことを証明する有力な証拠といえるため、絶対に捨てないでください

8 結婚詐欺の返金を実現するまでの具体的な流れ

ここからは、どのよう流れで結婚詐欺の返金を実現していくのかについて解説していきます。

8−1 相手の住所と氏名を調査・特定する
8-1-1 住所がわからないと交渉も訴訟もできない

相手の住所と氏名が分からなければ、交渉もできないことに加えて、訴訟も提起することができません。
訴訟では、相手を特定しなければならないので、住所と氏名の特定は必須になります。

このことから、相手の住所と氏名を特定することが大前提になります。

8-1-2 弁護士のみが使える調査で電話番号などから相手の住所や氏名を特定

弁護士は、弁護士のみが使える調査によって、電話番号から相手の住所や氏名を調査することができます(「弁護士会照会」といいます。)

電話番号が分かっていれば、弁護士が調査することにより、相手の住所と氏名を特定することができ、返金の実現の確立が大きく上がります。

8-1-3 免許証などの証明書から住所を調べる

電話番号以外で住所をしる手がかりとして、免許証などの証明書があります。
免許証には、住所が記載されていますので、住所を特定することができます。免許証の住所は、相手の引っ越し前の住所が記載されていることもあります。

そのような場合でも、弁護士による調査によって、引っ越し後の住所を探すことができます。

8-1-4 警察に被害届を受理してもらえば、相手の住所氏名を特定してもらえる

6-3で説明した通り、警察に被害届を受理してもらい、捜査をしてもらうことも可能です。
警察には捜査権限があることから、個人では調査できないところまで調べてもらえる可能性があります。

8−2 相手に内容証明郵便を送り、返金の交渉を行う
8-2-1 まず内容証明郵便とは

交渉の際は、返金を求めることを書いた書面を作成し、これを内容証明郵便で加害者の住所に送信する方法がよく用いられます。
内容証明郵便は、相手に送った内容を郵便局が証明できる送信方法であり、相手に確実に返金の意思表示を伝えるためには必須の方法になります。

ここで、警察を通じて相手を特定した場合は、強気に交渉することができます。被害届が受理されている以上、相手は刑事罰を受ける可能性があるため、何としてでも刑事罰は避けたいと思うはずだからです。

8-2-2 話し合いに応じてくれる場合、支払い方法や支払い額について協議する

話合いに応じてくれる場合は、支払い方法や支払額について協議しましょう。

支払い額などについて、まとまらなければ交渉が決裂することもあります。

8-2-3 話がまとまれば、和解契約書を作成する

相手が支払いに応じてくれる場合は、その内容を書面にまとめる必要があります。合意の内容を書面に残すことで、支払いを認めたことの証拠になります。

和解契約書では、支払額、支払い方法を定めて内容に組み込み、双方の署名と押印をすることで和解が成立することになります。

8-2-4 和解契約書は公正役場で作成すると返金回収できる確率があがる

和解契約書は、公証役場で作成すると返金回収できる確率があがります。

和解契約書を作成したとしても、加害者が支払いに応じてくれなければ、訴訟を提起して、支払いを命じる判決をもらわない限りは、返金を強制することはできません。
そこで、強制執行文言を入れた和解契約書を公証役場で作成することで、支払いを強制することができます。
しかし、公証役場には両当事者が出席しないといけないため、相手の協力が必要不可欠にあります。

結局のところ、任意で応じてもらえることが前提になります。

8−3 交渉がダメなら、訴訟する

加害者と折り合いがつかずに交渉が決裂する場合は、訴訟を提起するべきでしょう。
結婚詐欺の事実の有無で争うだけでなく、支払額や、支払い方法などで交渉が決裂することはよくあることです。
訴訟を提起し、勝訴すれば、加害者に対して返金を求めることができます。

 ※訴訟中に和解することもできる!

訴訟を提起した後でも、お互いが合意すれば、途中で和解をすることもできます。
訴訟中に和解をすれば、勝訴判決を得るよりも多くのお金を返してもらえる可能性があります。

ただ、和解に応じる義務はありません。
和解の内容に納得がいかない場合は判決まで争うこともできます。

8−4 勝訴すれば返金を求めることができる

訴訟で勝訴した場合、加害者から控訴を提起してこなければ、加害者が被害者に対して返金をする義務があるという事実が確定します。これにより、加害者は、被害者からの返金の要求を断ることができなくなることから、返金を求めることができるようになります。

9 勝訴しても返金してくれない場合は強制執行手続きを行う

「せっかく勝訴したのにお金を払ってくれない」
このような場合も十分に考えられます。

ここでは、訴訟をしてもお金を払ってもらえない場合におこなう手続について解説していきます。

勝訴をしても加害者が返金してくれない場合は、強制執行手続きにより、返金を実現することができます。

強制執行では、相手の給料、財産を差押えることで、強制的に金銭の回収を実施する方法になります。
強制執行では、

● 裁判の判決
● 強制執行文言がある合意書

これらがあれば、実施することができます(債務名義といいます。)
この方法では、相手に財産さえあれば、強制的に返金を実現できるというメリットがあります。

しかし、相手が財産を持っていない場合は、全額返金が実現できない場合もあるので注意が必要です。

10 詐欺被害は、スピードが命!―被害を受けたらすぐに相談を!―

返金を実現するにあたって、「すぐに対応する」ということがとても重要になります。
被害を受けてから時間がたてば

●証拠がそろいにくくなる
●相手が受け取ったお金を使い切っている可能性がある
●記憶があいまいになり、被害の内容が把握できなくなる

相手に逃げられ連絡がとれなくなる

というリスクが大きくなります。

「結婚詐欺の被害にあった!」
「もしかしたら結婚詐欺かも?」

と思われる方は、是非お早めに。

11 結婚詐欺の返金に関してよくあるQ&A 

Q :国際ロマンス詐欺にあったときは返金可能??             
A :返金はとても難しいでしょう。
相手が海外に逃げてしまっているか、財産が海外にある可能性があるので、回収ができないかもしれないからです。

12 返金回収実現の

12-1 証拠はたくさん集めましょう

証拠が無ければ返金を実現することができません
なるべく多くの証拠をあつめましょう

 過去のことを忘れたいという気持ちでLINEのデータなどを削除してしまう人を多く見かけますが
絶対に削除しないようにしましょう

12-2 「詐欺かも」「どうすればよいか分からない」
そんな時はグラディアトル法律事務所へ!

ここまで見てきた通り、結婚詐欺返金への実現のためには、複雑な手続や交渉が必要です。
また、自分が、まず何をやればいいのかについても悩まれる方も多いでしょう。

「もしかして詐欺にあったかもしれない」
「何としてもお金を返してもらいたい」

このように思った方は是非弁護士に相談してみてください。

グラディアトル法律事務所では、結婚詐欺事件について豊富な解決実績を持ち、
結婚詐欺の返金交渉や訴訟などを数多く取り扱っております。

お困りの際は、是非弊所にご相談ください。

弁護士とのLINEでの無料相談も行っておりますので、是非とも、一度、ご相談ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
東京弁護士会所属(登録番号:50133)
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。