SNS・出会い系サイト・マッチングアプリ詐欺の手口を徹底解説

新型コロナウイルスの流行もあり、人々の出会いの場はインターネットを通じたSNS・出会い系サイト・マッチングアプリに大きくシフトしています。

これらのサービスは基本的には適法に運営されており各種法規制があるところです。

ただ残念ながら、金銭を騙し取られる詐欺被害に遭うケースが増加しています。

その被害額は数十万円~数千万円というケースまであり、極めて重大な被害が生じています。

そして最近では、詐欺師を特定することやお金の流れが特定できず、被害を回復することは極めて難しくなっているのが現状です。

まず理由としては、SNSや無料登録のできるマッチングアプリのみでのやり取りに終始し、相手方の個人情報をほとんど知らない・確認していないことが挙げられます。

また、プリペイドカードや暗号資産で金銭の授受が行われることも多く、口座情報すら掴めていないことも一因です。

一方、被害者の方でよくみられるのは、「途中でおかしいと思いインターネットで調べてみると同様の被害があることを知り、自分も騙されていたことに気付いた」との声です。

これは詐欺の手口を知らなかったから騙されてしまったのであり、手口さえ知っていれば騙されることはなかったといえるでしょう。

そこで今回、少しでも同様の被害が減ればという思いから、SNS・出会い系サイト・マッチングアプリを通じた詐欺の手口を公開したいと思います。

詐欺師の特徴

ネット上にある他人の写真を悪用

顔写真や日常の写真をアイコンにしていたり、マッチングアプリのやりとりの中で写真を送ってきたりします。

しかし当たり前といえば当たり前ですが、詐欺師の場合は自分の写真は使いません。

アイコンの写真や送られてきた写真をインターネットで検索すると、全く別人が撮影しSNS等に投稿しているものをはじめネット上で公開されている写真を悪用しているケースが多いです。

ですので、騙されないためには、相手から送られてきた写真等を画像検索をしてみるのもいいかもしれません。

別人が投稿している画像だった場合には、詐欺の可能性が高まりますし、交際相手としても不適切といえるでしょう。

お金にまつわる話へともっていく流れの代表例

また、やりとりを始めると、何に対しても共感したり些細なことでも褒めるなどして、信頼感や高揚感を持たせるのが手口です。

そこで、「自らに心を許してきた」と感じ取れた段階で、以下のような話でお金が必要であることを告げてきます。

投資はじめました系

『最近投資を始め、月に何十万も利益を出している。絶対あなたも投資を始めた方がいい。』

はじめは日常的な会話で盛り上がり、身の回りの写真や旅行の写真などを交換したりすることで、日常がとても充実していることをアピールしてきます(もちろん嘘ですが)。

そして、このアピールに対して、「仕事は何してるの??」などとお金に興味をもった段階で、投資で儲けてることを明かし、「あなたもやったほうがいい」と話を持っていきます。

そこで、「投資はちょっと経験がない」などと答えると、「私が代わりに投資するよ」などと言って、お金を騙し取る手口です。

助けてほしい・援助してほしい系

『家族が病気で治療費を稼がないといけない。』
『学費が払えないので退学しないといけない』

仕事のことやプライベートのことで話をして仲良くなった頃に、「実は、家族が病気で治療費が必要」「退学したくないけど学費が足りない」などの話をしてきます。

このように同情を誘い、お金を騙し取る手口です。

貸してほしい・立て替えてほしい系

急きょまとまったお金が必要になったが持ち合わせがない。あとで色をつけて返すからお願い。

こちらも仲良くなった頃に、お金を貸してほしい、いったん立て替えてほしいとの話を出してきます。
よくある流れとしては、「定期預金を崩せば払えるけど・・・」とか、「来月には取引先から大きなお金が入ってくる」など述べ、現状手持ちがないだけだからと懇願してきます。

すぐに返してもらえるならと安心させ、お金を騙し取る手口です。

気をつけるべきポイント

可能な限り、やり取りしている相手方の個人情報を確認しましょう。

名前はもちろん、住所や携帯電話番号、場合によっては公的な身分証の写真を要求してもいいかもしれません。

本当に「恋愛したい」、「付き合いたい」と思っていて、やましいことがないのであれば教えてくれるはずです。

たしかに、根掘り葉掘り聞くことは気が引けるかもしれません。

しかしながら、実際に会わずネット上でのやり取りで話が進んでしまうからこそ、より警戒すべきといえるからです。

また、お金にまつわる話が出てきた際には、ご自身だけで判断せず、第三者に相談しましょう。

仲良くなってからでは、冷静な判断を行うのがなかなか難しいからです。

なお、2021年に入ってから急増しているのは、海外のFXや暗号資産(仮想通貨)にかかわる投資話で騙す手口で、被害額も大きい傾向にあります。

別アプリへの誘導

多くのマッチングアプリや出会い系サイトでは、他のユーザーに対して金銭の支払いや貸し借りを求めることを禁止行為として挙げています。

一例として、tinderの利用規約を見ると、「メンバーに対するスパムメールの送信、金銭の懇請または詐欺」が禁止されています。

https://policies.tinder.com/terms/intl/ja

そのようなやり取りは運営によって監視され、サービスの利用停止等の対象になります。

そのため、詐欺被害に遭うケースでは、詐欺師はまず外部のSNSやチャットツールに被害者を誘導します。

代表的なのはLINE・Kakao Talk・WhatsApp・WeChat等ですが、これらに限られません。

しかしながら、わざわざ別のサービスでやりとりをしなければいけない理由はないはずです。

利用に費用がかかる場合であったとしても、相手が払いたくないのであればそんな付き合いはやめるべきです。

一方、ご自身が払わなければならないとしても、いわば安心代を支払っていると思うべきです。

したがって、他のチャットツールで話をしたいと言われたら、一旦立ち止まって本当に移動しないといけないのか、詐欺に巻き込まれつつあるのではないかと疑うようにしましょう。

投資への勧誘の具体的手口

別アプリに誘導され、数日~数週間たてば、次はお金の話がでてきます。

ここからは、特に被害が拡大しやすい『投資』の話について手口の内容をみていきます。

まずは「お金に困っていないのか?」「どれくらい貯金があるか?」「もっとお金がほしいと思わないか?」などの質問が先にあります。

そして、少しでも興味を示すと投資の話になるケースが多いように思います。

続いて詐欺師は下記のように勧誘してきます。

  • 「自分(または自分の親族)は投資のプロで何億円も運用している。あなたの財産も増やしてあげたい」
  • 「仮想通貨(暗号資産)や海外FXを教えてあげる」
  • 「自分がやっている投資が成功している。一緒にやりたい」
  • 「結婚に向けて、お金を増やしたい」

ここで、どうしようか迷っていると、人数や期間が限定されているなどで焦らせたり、元本保証があるからなどと安心させたりして、どうにかお金を出させようとプッシュしてきます。

場合によっては、あえて冷たい態度をとったり、ほかの人に話を振ることを匂わせたりなどもしてきます。

冷静な判断ができない状況に追い込むことが狙いだからです。

そして、「じゃあ話だけでも聞いてみる」など答えてしまうと、後に述べるように詐欺被害に遭ってしまう傾向にあります。

詐欺被害の代表的な具体例

投資詐欺被害の入り口

まず詐欺師は海外のFXサイトや暗号資産取引所サイトのURLを伝えるとともに、登録方法も丁寧に案内してきます。

これらのサイトはさも信頼できそうな綺麗な見た目のサイトであることが多いですが、本当は実態のないニセモノです。

サイト上の表示は詐欺師がすべてコントロールできるような仕組みです。

そして多くは、この段階で「カスタマーサポート(お客様サポート)」の連絡先もあわせて案内されます。

なお「カスタマーサポート」は主にお金の送金先を指示することが役目になっているのが通例です。

いざ準備が整うと、詐欺師は3万円や5万円の少額から『お試し』することをすすめてきます。

詐欺師からすると、あくまで入り口に立たせることが目的で、最初から多額の金銭を騙し取ろうとは考えていません。

それゆえ、心理的にも「万が一失敗してもいいや」と思うくらいのハードルが低い金額を提示するのです。

詐欺師は、入金を確認すると、「言うとおりに取引すれば大丈夫」「今買いなさい」「今売りなさい」と優しく指示します。

すると、サイト画面上は投資が成功し、お金が増えたように表示されます。

しかしもちろん、見た目がそのように表示されているだけですので、実際にはお金は増えていません。

詐欺師の狙いは、この『お試し』を何度か繰り返させることで、当初不安に感じていたことも忘れさせ、信用させることです。

何よりも、たとえば5万円がすぐに20万円とか50万円に増えているように見えますので、嬉しくなってしまうこともあるでしょう。

また、巧妙なケースでは、この段階では増えたとされる金額を引き出そうと思えば、引き出せる場合もあります。

実際に、指定した銀行口座に振り込みが行われますので、言われたとおりにやれば投資に成功したと信じてしまうのも無理からぬことでしょう。

この段階になると、詐欺師は入金額を増やすように強く推してきます。

金額が多ければ多いほど、それだけ利益も増えるからと。

ここでおかしいと思っていただきたいポイントがあります。

「カスタマーサポート」から振込先として指示される銀行口座は、詐欺師や取引所、証券会社名義の口座ではないことです。

別人の個人名義(外国人名義のことが多いです)や聞いたことのない会社名義です。

くわえて、指示される口座は同一ではなく、毎回別の口座番号や口座名義であることがしばしばあります。

というのも、詐欺に利用されている口座は金融機関から順次凍結や解約の処理がされるため、口座を都度変えざるを得ないからです。

まともな取引であれば、入金先が個人名義の口座であることはまずあり得ません。

ましてや、入金先が毎回変わるということは100%ないといえます。

したがって、このような送金指示は詐欺といって間違いないでしょう。

なお、銀行振り込みではなく、国内の(正規の)仮想通貨取引所の口座に入金させ、現金をビットコイン等に変えさせたうえで、送信するように求めてくるケースもあります。

投資詐欺被害の拡大


20万円、50万円、100万円、200万円、1000万円と、振り込む金額はどんどん大きくなっていきます。

サイトの画面上は基本的に成功し続け(たまには失敗します、信用させるためです。)、表示上は1000万円が3000万円になったりしています。

また「カスタマーサポート」から、「特別ボーナス」や「福祉サービス」(意味不明ですが本当にそういう名称で案内がされているケースがあります。)の連絡があるかもしれません。

たとえば1万ドル相当額を入金すれば、無料特典で5000ドルがプレゼントされるというものです。

無料で貰えるならと、つい案内された金額を振り込んでしまいます。

とはいえ、ここまでくると振り込める金額も限界に近づいてくるなどして、いったん儲けたお金の一部でも引き出したいとなってくるでしょう。

詐欺師に対して出金したいと伝えると、だいたい次のような返事がきます。

  • 「海外の当局によって資産が凍結された。解除するには200万円が必要。」
  • 「マネーロンダリングを疑われていて送金できない、対応中だが時間がかかる。早めようと思えば1万ドルでなんとかできる。」
  • 「海外の法律上、先に税金を払わないと支払いができない。0.5BTCを送ってほしい。」

わかりやすくいえば、「このあと大金が戻ってくるのだから、それぐらいなら・・・」と思いたくなるような金額を案内してきます。

ちなみに案内された金額をいちど払っても、何かしら別の理由を告げて何度も追加費用を要求してきます。

そして、もうお金がない旨を告げると、だんだんと詐欺師はフェードアウトしていきます。

詐欺かもしれないと気づいたときには・・・

まず振り込んだお金は返ってきません。

詐欺師に連絡をして、直接会って話したいと伝えても、応じてくれることもありません。

むしろ、たとえばLINEであれば既読もつかず、場合によってはブロックされたりアカウントがなくなっていることもあります。

そして、振り込んだ先の口座からはお金が既に引き出されていることがほとんどです。

もし残っていたとしても、数千円程度の残高であることが通例です。

暗号資産を送信している場合は、基本的には打つ術もありません。

なお、サイトに登録した氏名・住所・携帯電話番号・口座情報や身分証明書の写真など個人情報は、いわゆる名簿屋に流出されたりして悪用されることもあります。

このように、SNS・出会い系サイト・マッチングアプリがきっかけで、仲良くなったと思った相手方から、いわば骨までしゃぶられるほど財産を奪われる詐欺被害が現実に急増しています。

被害にあってしまった際の具体的な返金方法については、以下の記事をご参照ください。

まとめ

以上のように、詐欺師の特徴、詐欺にもっていくまでの手口、詐欺被害の代表例まで述べてきましたが、これを読んでいただき、少しでも詐欺被害に遭わない一助となればと思います。

なお残念ながら詐欺の手口は年々巧妙化しています。

また、騙しとった金銭も、より足がつかない方法で費消したり、隠匿されるようになっています。

ですので、なかなか詐欺と気づけなかったり、気づいたときには『時すでに遅し』の状況になっていることも稀ではありません。

ただ言えることは、詐欺に遭ったかもと気づくのが早ければ早いほど、当然ですが被害額も少ないですし、返金や回収できる可能性は高まります。

ですので、少しでも詐欺の疑いを感じたのならば、警察や弁護士、家族や友人に相談してください。

最後に、当事務所に相談したいと思われた際には遠慮なくご連絡くださいませ。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
東京弁護士会所属(登録番号:50133)
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。