マスク販売や助成金支給うたうことも 特殊詐欺 新型コロナで被害増

ニュース内容

新型コロナウイルスの国内感染者の確認後、自宅にいる高齢者らを狙った特殊詐欺の被害が増加している。愛知県では、感染者が見つかった1月下旬以降、認知件数が前年より2割増えた。高齢者の在宅時間が増えたことが原因とみられ、今後、外出自粛による在宅者が更に増加し、被害が拡大する恐れもある。警察当局は警戒を強めている。

愛知県春日井市の90代の無職女性は3月3日、在宅中に警察官を名乗る男から「あなたの口座から5万円が引き出された」という電話を受けた。女性は電話で指示されるままにキャッシュカード4枚と暗証番号を記したメモを封筒に入れた。カードを確認するため家に来た警察官を名乗る男に、封筒をすり替えられ、口座から計200万円を引き出されたという。

女性の家族によると、女性は1人暮らしだったものの、普段の日中は、自宅に近所の友人らが頻繁に集まっていた。しかし、新型コロナウイルスによる外出自粛ムードで、友人の来訪がなくなり、1人で自宅にいる時間が増えた直後、被害に遭った。

マスクの販売や助成金の支給をうたった詐欺未遂事件も増えている。同県愛西市の男性は、市役所の職員を名乗る男から10万円でマスクの販売を持ちかけられた。その後男性宅を訪れた男に「10万円払えば、コロナウイルス感染が終息するまで毎月マスクを配布する」という取引を持ちかけられたが「現金を持ち合わせていない」と断ったという。

愛知県警のまとめによると、特殊詐欺の認知件数は、感染者が初めて確認された1月下旬から増加傾向に。1~3月は前年同期比で27件増え177件となった。このほか、北海道で39件(前年同期比13件増)、長野県で40件(同14件増)など他の地域でも被害の増加が確認されているという。長野県警の担当者は「ずっと家にいると目星をつけられたら詐欺グループに狙われやすい」と指摘する。

愛知県警生活安全総務課の吉玉康弘・地域安全対策室長は「警察がキャッシュカードを確認したり、暗証番号を聞いたりすることはない。すぐに警察や家族に相談してほしい」と呼びかける。【ガン・クリスティーナ、高井瞳】

毎日新聞2020年4月14日 20時28分(最終更新 4月14日 23時03分)

弁護士からのコメント

今回のニュースは、新型コロナウイルスの国内感染者の確認後、自宅にいる高齢者らを狙った特殊詐欺被害やマスクの販売や助成金の支給をうたった詐欺未遂事件が増加しているというものです。

先日からお伝えいたしておりますが、新型コロナウイルスの感染拡大に便乗した詐欺が増加の一途をたどっています。

いわゆるコロナ詐欺やマスク詐欺などに関する情報は下記ページにまとめていますので、よければご参照ください。

今回のニュースにおいては、外出自粛に伴い、増加が想定される詐欺について解説したいと思います。

まずニュースにもあるよう、高齢者をターゲットとした特殊詐欺は増加すると思われます。

詐欺グループからすれば、平時より在宅時間が長くなっていることがわかっており、電話に対応する可能性が高いことを見越せるからです。
手口としては、金融機関での振込という外出を必要とさせるものではなく、そのまま現金やキャッシュカードを騙し取るものが多いでしょう。

また世代を問わず、在宅によりインターネットを利用する時間も増加するであろうことから、インターネットを介した詐欺が横行することも予想されます。

具体的には、個人情報を騙し取るフィッシング関連の詐欺や、マスク詐欺をはじめとした物品のネット売買に関する詐欺でしょう。
フィッシング関連については、行政や金融機関を名乗る手口、ネット売買に関する詐欺については、品薄の物品を見せかける手口が多発すると思われます。

詐欺師は、外出自粛により人がどのような行動に出るかを前提に、騙せそうな手口を考えて実行に移します。

ですので、コロナに便乗した詐欺に遭わないためには、残念ながら緊急状況下を悪用して詐欺を行う者がいると認識して、いつも以上に慎重に行動・判断すべきです。

そして、少しでも不審な点があれば、警察や家族・弁護士などに相談しましょう。

最後にコロナ詐欺はもちろん詐欺被害に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 刈谷龍太

グラディアトル法律事務所代表弁護士。
中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。
離婚・労働・ネット・消費者被害など一般向けのトラブルから、企業法務や経営サポートなど幅広く担当。