詐欺犯募集ツイートに「返信」 警告表示「人生台無し」―愛知県警

ニュース内容

2019年1~6月に全国で認知された特殊詐欺の被害額は約146億円。前年同期より2割減少したものの、警察庁は「依然として高水準で深刻な情勢」とみている。愛知県警は、詐欺グループが現金受け取り役の「受け子」などをツイッターで勧誘していると分析。募集とみられる投稿に返信し、警告する取り組みを続けている。

警察庁によると、18年以降、受け子が被害者のキャッシュカードを言葉巧みにすり替えて盗む事件が目立つ。手口が多様化する一方、現場に現れる受け子や、口座に振り込まれた現金を引き出す「出し子」が組織の末端にいる構図は変わらない。

愛知県警が8月から始めた取り組みでは、特殊詐欺との関連が疑われるツイートに対し、返信機能を使って「STOP!特殊詐欺」「あなたの人生を台無しにします!!」などと警告を表示する。
募集とみられるツイートには「受け出し」「運び屋」といった隠語や「闇バイト」などのハッシュタグ(検索用の目印)が使われ、簡単に金が稼げるかのように誘っているという。県警の返信は、応募しようとする若者らに監視の目を意識させる狙いがある。

県警によると、返信は約4カ月間で2000件を超えた。生活安全総務課の中川裕文次長は「なかなか減らないが、継続すれば効果は出る」と強調。11月から同様の取り組みを始めた茨城県警の幹部も「若者を受け子にさせない」と意気込んでいる。

2019-12-29 14:04 時事通信

弁護士からのコメント

「振り込め詐欺」を代表とする特殊詐欺は、その手口や勧誘方法など手を変え品を変え、年々巧妙化しています。
今回のニュースにある「すり替え」型の特殊詐欺に遭わない対策は、下記ページに記載しておりますのでご参照ください。

また、特殊詐欺の実行犯となる「受け子」や「出し子」の説明は、下記ページに記載しておりますのでご参照ください。

そして、勧誘方法についてですが、過去は友人・知人・後輩などを引き入れることメインでした。

しかし、SNSが発達してからは、SNSを利用しての勧誘が非常に増えてきています。
そのなかでも、今回のニュースにあるようTwitter(ツイッター)での勧誘が群を抜いています。

理由としては、まずTwitterがSNS上で上位の利用者数を有しており、その利用者層も若者が多いことがあげられます。
利用者数が多いことはそれだけ人の目にとまるし、若者であれば「簡単に稼げる」など甘い言葉の誘いに乗ってきやすく、「受け子」や「出し子」など実行役となる者を集めやすいからです。

また、利用登録に際し、電話番号とメールアドレスだけあれば足り、複数のアカウントをもつことが容易な点もあげられます。

なぜなら、電話番号とメールアドレスだけで利用可能ということは、いわゆるトバシの携帯電話番号や誰でも使えるフリーのメールアドレスを登録しておけば、その登録情報をもとに捜査機関から逮捕されるリスクは少なくなるし、複数のアカウントをもつことが可能であれば、仮に1つのアカウントが凍結されたとしても別のアカウントで勧誘を行うことができるからです。

このような特徴・利用環境をいいことに、Twitterをメインにして特殊詐欺グループは勧誘を行っています。

特殊詐欺グループの勧誘に騙されない対策としては、わからない素性で甘い言葉を用いて勧誘を行っているツイートに対しては必ず裏があると思い、安易にDM(ダイレクトメッセージ)等を送信せず、家族や友人に相談しましょう。

DM等を送ってしまうと、その情報をもとに脅されて、特殊詐欺に加担せざるを得ない状況に持ち込まれるかもしれません。
そうなれば、今回のニュースのとおり、人生が台無しになることまであり得ます。

最後に、特殊詐欺の勧誘でトラブルになった際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 刈谷龍太

グラディアトル法律事務所代表弁護士。
中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。
離婚・労働・ネット・消費者被害など一般向けのトラブルから、企業法務や経営サポートなど幅広く担当。