世界遺産『首里城』再建の善意につけ込む“復興詐欺”に要注意!

ニュース内容

世界遺産・首里城の一部が焼失する悲劇から約1カ月が経過。復興と再建への動きは全国に広がり、さまざまな支援運動が立ち上がっている。しかし、その中にはボランティアを装った“復興詐欺”も交じっている。

中でも悪質と見られているのが、インターネット上で公的機関を装って、再建支援への協力を呼び掛ける詐欺サイト。そのやり口は、利用している携帯電話会社に成り済まし、突然、首里城再建への協力依頼メールが届くという。

《首里城再建支援金の受け付けを2019年11月6日より開始しましたのでお知らせします。またお客さまの10月度ご利用請求額の3桁を支援金として寄付させていただればと存じます》
添付されているURLにうっかりアクセスすると別のサイトに誘導され、寄付金をだまし取られるというもの。

これらの詐欺サイトは次々とアドレスを変えているようで、気が付いたときにはサイトが消失していることが多く、なかなか尻尾がつかめない。その巧妙な手口からすると、特殊詐欺グループが背後で動いている可能性もある。
台風19号時にも復興詐欺の類いはあったが、詐欺師から見れば、「首里城の方が金を集めやすい」ようだ。

以前、知り合いに特殊詐欺に関わった人間がいるという無職の男性がこう話す。
「台風の場合は被害があまりにも広範囲で、しかも被害者は個人。こうなると、ネットの呼び掛けには、反応がいまひとつ。その点、首里城は対象がはっきりしているし、世界遺産ということで話を持っていきやすいんですよ」

また、ある沖縄県民は「沖縄は基地問題で日本政府やアメリカ軍に痛めつけられている。その上に今回のような火災が起きると、同情を買いやすく、だましやすいとなるんでしょうね」とため息をつく。
那覇市や沖縄県警は「人の善意につけ込んだ極めて悪質で、沖縄県人の気持ちを傷つけるもの」として、注意を呼び掛けている。
この手の詐欺に引っ掛からないよう寄付は慎重に!

2019年12月06日 22時00分 週刊実話

弁護士からのコメント

復興詐欺」とは、どこかしらで災害があった際に、当該災害のボランティアや寄付を装って、募金や寄付金などを騙し取る詐欺のことをいいます。

手口としては、本件のニュースにあるよう、インターネット上で当該災害の公的機関を名乗り、メールやSNS・SMSなどで偽装した詐欺サイトに誘導させ、現金を振り込ませたり、カード決済させたりします。

「復興詐欺」 は、復興・再建に支援・協力したいという人の善意につけ込む点が特徴であり、善意であるがゆえに、通常の詐欺より騙し取りやすいところが極めて悪質といえます。

「復興詐欺」に遭わない対策としては、悲しい話ではありますが、当該災害のボランティアや寄付の案内がきたとしても安易に信用しないようにしましょう。

支援・協力したいのであれば、手間であろうとも、自ら調べて問い合わせてから寄付を行うようにすべきです。
結果として寄付金などが特殊詐欺のグループなど犯罪者に渡ってしまえば、本末転倒だからです。

最後に「復興詐欺」に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 刈谷龍太

グラディアトル法律事務所代表弁護士。
中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。
離婚・労働・ネット・消費者被害など一般向けのトラブルから、企業法務や経営サポートなど幅広く担当。