「売春をすると売春防止法違反で逮捕される?」
「売春防止法違反で逮捕される可能性のある行為とは?」
「売春防止法違反で逮捕されたときの流れを知りたい」
売春防止法では、売春に関連するさまざまな行為が処罰対象となっているため、売春防止法に違反する行為をすると逮捕される可能性がある。売春防止法違反で検挙された人のうち逮捕された人の割合は約58%であることから、売春防止法違反がバレると逮捕される可能性が高いといえるだろう。
売春防止法違反で逮捕されると長期間の身柄拘束を強いられたり、起訴されて前科がつくリスクがあるため、万が一逮捕されてしまったときはすぐに弁護士を呼ぶようにしてもらいたい。
本記事では、
・売春防止法違反で逮捕される可能性のある9つのケース
・売春防止法違反で逮捕された実際の事例
・売春防止法違反で逮捕されたときに弁護士に依頼するメリット
などについて詳しく解説する。
売春防止法違反の疑いをかけられてしまった、家族が売春防止法違反で逮捕されてしまったという方は、本記事を参考にしてすぐに弁護士に相談するようにしてほしい。
売春とは、「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」と定義されている。つまりお金をもらって性交することである。
このような売春は、売春防止法により禁止されているが、実は売春自体には罰則は設けられていない。そのため、売春をしたとしても逮捕される可能性はないということである。
ただし、後述するように売春に関連する行為に関しては売春防止法違反として処罰対象になっているため、逮捕される可能性がある点に注意が必要である。
売春防止法違反で逮捕される可能性のある行為としては、主に以下の9つの行為が挙げられる。
違反行為 | 内容 | 法定刑 |
---|---|---|
売春行為の勧誘 | 公衆の目に触れる方法で売春の勧誘をする | 6月以下の懲役または1万円(※2万円)以下の罰金 |
売春行為の周旋 | 売春の周旋をする | 2年以下の懲役または5万円以下の罰金 |
困惑等による売春 | 正常な判断ができない状態を利用して売春をさせる | 3年以下の懲役または10万円以下の罰金(暴行または脅迫ありの場合、懲役と罰金の両方) |
対償の収受 | 売春対償の収受、要求、約束をする | 5年以下の懲役および20万円以下の罰金 |
前貸 | 売春目的で財産的利益を供与する | 3年以下の懲役または10万円以下の罰金 |
売春をさせる契約 | 売春契約を結ぶ | 3年以下の懲役または10万円以下の罰金 |
場所の提供 | 売春場所と知りながら提供する | 3年以下の懲役または10万円以下の罰金(業としていた場合は7年以下の懲役または30万円以下の罰金) |
売春をさせる業 | 管理・占有場所で売春を業としてさせる | 10年以下の懲役および30万円以下の罰金 |
資金等の提供 | 売春場所や管理売春に資金・土地等を提供する | 5年以下の懲役および20万円以下の罰金(管理売春へ提供した場合は7年以下の懲役および30万円以下の罰金) |
売春をする目的で、以下のような勧誘行為をすると売春勧誘罪で逮捕される可能性がある。
✓公衆の目に触れる方法で人を売春の相手に勧誘する
✓ 売春の相手となるように勧誘するため、道路や公共の場所で人の身辺に立ちふさがったり、つきまとう
✓ 公衆の目にふれるような方法で客待ちをし、または広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引する
売春行為の周旋とは、売春をする人と買春をする人の間に立って売春の仲介を行う行為をいう。以下のような行為をすると売春周旋罪で逮捕される可能性がある。
①売春の周旋をする
②売春の周旋をする目的で行う以下の行為
・売春の相手方となるように勧誘する
・売春の相手となるように勧誘するため、道路や公共の場所で人の身辺に立ちふさがったり、つきまとう
・広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引する
以下のように相手が正常な判断ができない状態を利用して売春をさせた場合、困惑などを利用して売春させる罪で逮捕される可能性がある。
①人を欺いて売春させる
②人を困惑させて売春させる
③親族関係による影響力を利用して売春させる
④人を脅迫して売春させる
⑤人に暴行を加えて売春させる
上記の困惑などを利用して売春させる罪を犯した者が以下のいずれかの行為をした場合、困惑などを利用して売春させて対償を収受する罪により逮捕される可能性がある。
・売春の対償の全部または一部を収受する
・売春の対償の全部または一部を要求する
・売春の対償の全部または一部を約束する
人に売春させる目的で前貸しなどの方法により金銭などの財産的利益を供与した場合、前貸等罪により逮捕される可能性がある。
人に売春させることを内容とする契約をした場合、売春契約罪により逮捕される可能性がある。
その場所で売春が行われることを知りながら売春場所の提供をした場合、売春場所提供罪により逮捕される可能性がある。
自分が占有・管理・指定する場所に人を居住させて、売春をさせることを業として行った場合、管理売春罪により逮捕される可能性がある。
以下のような行為をすると資金等の提供罪が成立し、逮捕される可能性がある。
①事情を知りながら業として売春場所の提供をするための資金、土地、建物を提供する
②事情を知りながら管理売春に必要な資金、土地、建物を提供する
2023年検察統計によると売春防止法違反で検挙された事件の総数は518件で、そのうち逮捕された事件は303件であった。検挙総数に占める逮捕者の割合を示すと、約58%になるため、売春防止法違反の逮捕率は約58%といえるだろう。
刑法犯全体の逮捕率が約39%であることからすると、売春防止法違反の逮捕率は刑法犯全体の逮捕率よりも高く、逮捕されやすい犯罪であるといえる。
以下では、売春防止法違反で逮捕された実際の事例を紹介する。
女子高校生を北陸地方に連れ出して売春させたとして、大阪府警は、売春防止法違反(管理売春)などの疑いで、堺市美原区の無職の容疑者(25)ら男3人を逮捕したと発表した。約5日間にわたり約45人の相手をさせたとみられ、府警が詳しい経緯を調べている。
ほかに逮捕されたのは大阪府大東市の会社員(21)と堺市西区のアルバイトの男(22)。
3人の逮捕容疑は、共謀し、当時高校生だった10代女性を石川県や福井県に車で連れ回し、ホテルなどで売春させたとしている。認否を明らかにしていない。
府警少年課によると、女性は大阪・ミナミにあるグリコ看板下の遊歩道「グリ下」に出入りしており、25歳の容疑者からSNS(交流サイト)で「10日で数十万円稼げる」などと誘われた。一方、女性は「肉体的にも精神的にも限界だった」と話し、「帰りたい」と複数回伝えたが聞き入れられず、所持金も少なくて自力で帰ることができなかったと説明しているという。
容疑者側は、出会い系サイトで18歳女性になりすまして売春相手を募っていたとみられる。
府警は2月に21歳、22歳の両容疑者を別の女性を東北地方などで売春させたとして同法違反容疑などで逮捕しており、ほかの女性を売春させた可能性を調べていた。
(引用:産経新聞)
女子高校生の「帰りたい」聞き入れず…5日間で45人相手に売春させる 容疑で男3人逮捕 – 産経ニュース
岐阜県警と警視庁などの合同捜査本部は、岐阜市の歓楽街「金津園」にある風俗店で女性従業員に売春を行う場所を提供したとして、店を摘発し、経営者ら男5人を逮捕、送検しました。
摘発されたのは、岐阜市加納水野町のソープランド「ウェットフラジール」です。
売春防止法違反の疑いで逮捕、送検されたのは、この店の経営法人である「ロマン」の代表者で、岐阜市加納柳町の59歳の男と「ウェットフラジール」の店長で岐阜市加納柳町の50歳の男、それにこの店の従業員でいずれも岐阜市内に住む40代から70代の男3人です。
県警によりますと、5人は、店内で女性従業員が売春を行うことを知りながら客から料金を徴収して店の個室を提供した疑いが持たれています。5人は容疑を認めているということです。
この店は、警視庁が捜査している大規模スカウトグループ「アクセス」から女性20人の紹介を受けたとみられており、合同で捜査を進めていました。
家宅捜査では岐阜県警と警視庁の捜査員が店舗内を捜索。容疑者を逮捕して勤務表などおよそ80点を押収しました。
(引用:ぎふチャン)
インバウンド(訪日外国人客)向けに売春する場所を提供したとして、警視庁は、東京都新宿区歌舞伎町の風俗店「SPARAKU」を経営する男(54)(同区)ら6人を売春防止法違反容疑で逮捕したと発表した。
発表によると、6人は、同店など歌舞伎町の2店舗で、女性従業員が売春すると知りながら、個室を使用させた疑い。男は容疑を認め、「日本人女性と安く性交渉できることを売りにしていた」と供述している。
2店舗は客の6~7割が外国人で、支払いへの対応のため、米ドルや中国元のほか、インド、カタール、メキシコ、アルゼンチンなど計16か国・地域の通貨を用意していた。女性従業員は翻訳アプリで外国人客とやり取りしていたという。
インバウンド向けの風俗店の摘発は異例で、警視庁は、2店舗が1日あたり計約120万円を売り上げていたとみている。
(引用:読売新聞)
売春防止法違反で逮捕されると以下のような流れで刑事手続きが進行していくことになる。
売春防止法違反で逮捕されると警察署に連行され、警察による取り調べを受けることになる。
取り調べで供述した内容は、供述調書にまとめられその後の裁判における証拠になる。不利な供述をしてしまい、それが供述調書に記載されてしまうと後から撤回することはできないため、取り調べで何を話すかは慎重に判断することが大切である。
なお、逮捕には時間制限があり、警察は、被疑者を逮捕したときから48時間以内に被疑者の身柄を検察官に送致しなければならない。
被疑者の身柄の送致を受けた検察官は、被疑者に対する取り調べを実施して、身柄拘束を継続するかどうかの判断を行う。検察官が身柄拘束を継続するべきであると判断したときは、送致から24時間以内かつ逮捕から72時間以内に裁判官に勾留請求を行わなければならない。
裁判官は、被疑者に対する勾留質問を実施した上で、勾留を許可するかどうかの判断を行う。
裁判官により勾留が許可されると原則として10日間、さらに勾留延長も許可されると追加で最大10日間の身柄拘束を受けることになる。
すなわち、逮捕から合計すると最長で23日間もの身柄拘束期間になる。
検察官は、勾留期間が満了するまでの間に起訴または不起訴の決定を行わなければならない。
売春防止法違反で起訴されると刑事裁判になり、ほぼすべての事件が有罪になってしまう。罰金や執行猶予であっても前科であることには変わりないため、前科を回避するなら不起訴処分を獲得することが重要である。
売春防止法違反で逮捕されてしまったときは、以下のようなメリットがあるため、すぐに弁護士に依頼することをおすすめする。
売春防止法違反で逮捕されたときに重要なのが警察に不利な調書を取らせないということである。なぜなら、不利な調書を取られてしまうと不起訴処分を獲得することが難しくなり、起訴された後の量刑も重くなる可能性があるからだ。
逮捕後すぐに弁護士を呼べば、弁護士が面会に駆けつけて取り調べに対するアドバイスをしてくれる。弁護士のアドバイスに従って取り調べに対応すれば、不利な調書がとられるリスクを最小限に抑えることができる。
売春防止法違反で逮捕されると最長で23日間にも及ぶ身柄拘束を受けることになる。
警察署内の留置施設という不慣れな場所での生活は、被疑者の心身に多大なストレスを及ぼすことになり、身柄拘束が長くなればなるほど社会生活上の不利益も生じてしまう。
このような不利益を最小限に抑えるには、早期釈放を実現することが重要である。
弁護士に依頼すれば検察官や裁判官に働きかるなど勾留を阻止するための活動ができ、勾留されてしまったとしても準抗告により早期釈放を目指すことができる。早期釈放を実現するには、一日でも早く弁護士に依頼するべきであるため、逮捕後はすぐに弁護士に連絡しるようにしてもらいたい。
売春防止法違反で逮捕されても、すべての事件が起訴されてしまうわけではない。また、起訴されたとしても罰金刑や執行猶予付き判決により刑務所への収監を免れることができる可能性もある。
このような有利な処分を獲得するには、早い段階から弁護士による効果的な弁護を受けることが重要になるため、逮捕後はすぐに弁護士に依頼するようにしてもらいたい。
売春防止法では、売春自体は禁止されていないものの、売春に関連する勧誘、周旋、場所提供などの行為は処罰対象になっている。売春をする際にはこのような売春防止法違反となる行為も犯しているケースが多いため、警察に発覚すれば逮捕されてしまう可能性が高いだろう。
売春防止法違反で逮捕されると長期間の身柄拘束や、警察による厳しい取り調べを受けることになるため、それにより生じる不利益を最小限に抑えるためにもまずは弁護士に相談することが重要である。その際には、売春防止法違反の弁護経験豊富な弁護士に相談・依頼するべきである。
グラディアトル法律事務所は、東京と大阪の2拠点を中心に活動しており、ナイトビジネス業界で全国1000件以上の解決実績がある。売春防止法違反に関する刑事弁護の経験も豊富であるため、早期釈放や不起訴処分を獲得するためのポイントを熟知している。
また、当事務所では、24時間365日相談受付をしているため、深夜に売春防止法違反で逮捕されてしまったという場合でもすぐに対応することが可能である。逮捕後すぐに対応できるかどうかによって、今後の処分内容が大きく左右されることから、逮捕されたときはすぐに当事務所まで連絡してもらいたい。
売春防止法違反の逮捕率は、約58%であり刑法犯全体の逮捕率よりも高めであるため、売春防止法違反行為が発覚すれば逮捕される可能性が高いといえる。万が一、売春防止法違反で逮捕されてしまったときは、早期に弁護士による効果的な弁護活動を受けることが重要になるため、すぐにグラディアトル法律事務所まで連絡してもらいたい。