「風営法違反で不起訴になる確率はどのくらい?」
「風営法違反で不起訴処分を獲得するためにできることとは?」
「風営法違反で不起訴になった事例にはどのようなものがある?」
風営法では風俗営業などに関する細かなルールが定められており、風営法に違反すると営業停止や許可取り消しなどの行政処分だけでなく、罰金や懲役などの刑事処分の対象になる可能性がある。罰金刑であっても前科であることには変わりないため、前科を回避するには不起訴処分を獲得することが重要である。
風営法違反で不起訴処分を獲得するポイントとしては、主に以下の5つが挙げられる。
①初犯であること
②事件の内容が悪質ではないこと
③不利な供述調書を取られないこと
④反省の態度を示すこと
⑤再犯の可能性が低いこと
③~⑤については事件後の行動によって不起訴処分の可能性を高めることができる要素であるため、ポイントを押さえた行動をすべきである。
本記事では、
・風営法違反の不起訴率
・風営法違反で不起訴処分を獲得するための5つのポイント
・風営法違反で不起訴処分を獲得した当事務所の事例
などについてわかりやすく解説する。
風営法違反で不起訴処分を獲得するには風営法に強い弁護士によるサポートが不可欠であるため、一刻も早く弁護士に依頼するようにしてほしい。
2023年検察統計によると、風営法違反で起訴された事件は697件、不起訴処分になった事件は748件であることから、風営法違反の不起訴率は約52%ということになる。
刑法犯全体の不起訴率が約63%であることからすると、風営法違反で不起訴になる確率は、刑法犯全体の水準よりも若干低い数値である。これは、風営法違反で検挙された事件の多くが略式命令請求による罰金刑で処理されているのも一つの要因といえるだろう。
もっとも、罰金刑であっても前科であることには変わりないため、前科を回避するなら不起訴処分を獲得することが重要である。
不起訴処分の理由には、起訴猶予、嫌疑不十分、嫌疑なしという3つの理由がある。以下では、風営法違反の不起訴処分の理由とその割合について説明する。
起訴猶予とは、犯人および犯罪事実を立証できる十分な証拠があるが、犯人の境遇・性格・犯罪後の情況などを考慮して不起訴にするものである。
たとえば、被疑者が初犯で深く反省している、軽微な違反行為であるなどの事情があれば起訴猶予になる可能性がある。
なお、2023年の検察統計によると風営法違反で不起訴になった事件のうち、「起訴猶予」を理由とするものは556件であることから、不起訴処分全体の約74%が起訴猶予を理由とするものになる。そのため、風営法違反を犯したときは、起訴猶予の獲得を目指していくのが基本的な弁護方針となる。
嫌疑不十分とは、犯人および犯罪事実を立証する十分な証拠がなく、起訴しても有罪の可能性が低いという場合に不起訴にするものである。
たとえば、風俗店の店長が18歳未満の人を雇い、接客業務をさせていたという事案で、店長に従業員の採用をすべて任せ、オーナーが採用活動に関与していないなどの事情があるときは、オーナーについては嫌疑不十分により不起訴になる可能性がある。
なお、2023年の検察統計(※検察統計23-00-08参照)によると風営法違反で不起訴になった事件のうち、「嫌疑不十分」を理由とするものは188件であることから、不起訴全体の約25%が嫌疑不十分を理由とするものになる。
嫌疑なしとは、犯罪の捜査の結果、被疑者が犯人ではないまたは犯罪が成立しないことが明白になった場合に行われる不起訴処分です。
たとえば、被疑者に犯行時に確実なアリバイがあった、別の真犯人が見つかったような場合がこれにあたります。
なお、2023年検察統計によると風営法違反で不起訴になった事件のうち、「嫌疑なし」を理由とするものは2件であることから、不起訴処分全体の約0.3%が嫌疑なしを理由とするものになる。
嫌疑なしを理由とする不起訴処分の獲得は、非常に難しいため、基本的には風営法違反を認めるのであれば「起訴猶予」、風営法違反を否認するなら「嫌疑不十分」による不起訴処分を目指していくことになるだろう。
風営法違反で不起訴処分を獲得するには、以下の5つのポイントがある。
被疑者に前科・前歴があるかどうかは、起訴するか不起訴にするかを分ける重要なポイントになる。特に、風営法違反の同種前科がある場合には、再犯のおそれが高いとみなされて起訴される可能性が高くなるだろう。
他方、過去に前科・前歴がなければ、初犯であることを理由に再犯のおそれが低いとアピールすることで不起訴処分を獲得できる可能性を高めることが可能である。
風営法ではさまざまな行為が規制されているが、そのうち特に重い刑罰が定められているのが無許可営業、名義貸し、不正手段による許可取得、営業停止処分違反である。このような違反行為は、悪質であると評価されるため不起訴処分を獲得するのは難しいだろう。
他方、管理者の選任義務違反、許可証等の明示義務違反、深夜酒類提供飲食店の無届営業などの行為は、風営法違反の中でも比較的軽微な違反類型であるため、不起訴処分を獲得できる可能性が高い。
風営法違反となる行為をすると、警察による取り調べを受けることになる。警察は、風営法違反事件を立件するために被害者に対して厳しい追及をしてくるため、警察官の誘導に乗って不利な供述をしてしまうことがある。
被疑者の供述調書は、起訴不起訴の判断の際の資料となり、その後の裁判の証拠としても利用されるため、不起訴処分を獲得するなら不利な供述調書を取られないことが重要である。
特に、嫌疑不十分による不起訴を狙うのであれば、警察の取り調べは慎重に対応すべきであるため、早めに弁護士に依頼した方がよいだろう。
風営法違反をしたことを認めるのであれば、早い段階から反省の態度を示し、捜査に協力するべきである。被疑者が反省の態度を示しているという事情は、不起訴処分の判断に傾く事情の一つになるため、不起訴処分獲得の可能性を高めることができる。
風営法違反で不起訴処分を獲得するには、再犯の可能性が低いということを示すことが重要である。そのためには、風営法違反として指摘されている状態をすぐに改善し、今後の再発防止策を講じるようにするべきである。
再発防止策を講じた後は、その内容まとめた意見書を検察官に提出することで不起訴処分の可能性を高めることができる。
以下では、風営法違反で不起訴処分を獲得した当事務所の事例を紹介する。
1つ目の事例は、禁止区域でメンズエステの営業をしていて経営者と従業員が風営法違反(禁止区域営業)で逮捕されたものの、経営者の関与がないことが認められて不起訴になった例である。
当事務所の弁護士は、メンズエステ店の経営者から依頼を受けて、経営者に対して取り調べへの対応方法についてアドバイスをするとともに、経営者は株主としての活動しかしておらず、現場のことやサービス内容については関知していなかったことをまとめた意見書を検察庁と裁判所に提出した。
通常であれば経営者は、経営責任があるとして起訴される可能性がある事案であったが、弁護士による弁護活動の結果、経営者が関与していた証拠が不十分であるとして不起訴処分になった。
不起訴処分になれば前科が付くこともないため、風営法違反で逮捕された場合、不起訴処分を獲得できるかどうかが重要なポイントである。
2つ目の事例は、ガールズバーで働いていた未成年の少年が風営法違反(無許可営業)で逮捕されたものの審判不開始、つまり家庭裁判所で審判されず処分も受けなくてすんだ例である。
少年が逮捕されたのは、風営法に基づく第1号営業許可を得ずに女性キャストに接待をさせていて、それに関与していた疑いがあるという理由である。
当事務所の弁護士は、まずは勾留を阻止すべく、少年の両親の身柄引受書に弁護士の意見書を付して検察庁と裁判所に提出したが、関与していた人が複数いて、証拠の収集・分析に時間がかかっていたため10日間の勾留となってしまった。
しかし、その後も度詳細な事実関係や証拠関係を把握し、少年のお店での地位や今後の過ごし方、両親の監督方法等について意見書を作成し、検察庁と裁判所に提出したところ、無事に釈放となり、審判不開始決定を受けることができた。
弁護士が二度にわたって少年の生活環境に問題がないことや事件に関われるほどの地位になかったことを意見書にまとめて提出したことが功を奏して審判不開始が決定し、早期の釈放が実現した事案だといえる。
風営法違反の不起訴率は約52%であるため、半数近い事件は不起訴処分で終わっているということになる。不起訴処分を獲得できれば前科が付くのを回避できるため、風営法違反の疑いをかけられたときは、まずは不起訴処分の獲得を目指して行動していくことが重要である。
風営法違反で不起訴処分を獲得するには、早い段階から不起訴処分になるポイントを押さえた弁護活動をする必要があることから、早期に風営法に強い弁護士に相談するべきである。
グラディアトル法律事務所は、東京と大阪の2拠点を中心に活動しており、ナイトビジネス業界で全国1000件以上の解決実績がある。また、500店舗以上の風俗店の顧問弁護士を担当しており、ナイトビジネス業界に特化した弁護士事務所といえる。風営法違反の刑事弁護の経験も豊富で、早期釈放や不起訴処分を獲得した実績も多くあるため、風営法違反を犯してしまったときはすぐに当事務所まで相談してもらいたい。
当事務所では、24時間365日受付をしているため、深夜の営業中に逮捕されたという場合でも対応が可能だ。刑事事件はスピード勝負といわれるように初動対応の早さがポイントになるため、一刻も早く当事務所まで連絡してほしい。
風営法違反の嫌疑をかけられたとしても、適切な弁護活動により不起訴処分を獲得することは可能である。それには風営法に詳しい弁護士によるサポートが不可欠になるため、すぐに弁護士に相談するべきである。
風営法違反で不起訴処分を目指すなら、グラディアトル法律事務所まで相談してもらいたい。