残業代請求の解決期間はどのくらい?早期解決を希望するなら弁護士へ

残業代請求をする方法とかかる期間
弁護士 若林翔
2024年04月13日更新

「会社に対して残業代請求をしたいけど、どのくらいの解決期間がかかるのだろうか?」

「労働審判や裁判になれば解決期間が長くなりそうで躊躇している」

「残業代請求の解決期間を短縮するにはどうすればいいの?」

会社に対して未払い残業代請求をすると、会社との交渉、労働審判、裁判などの手続きが必要になりますので、解決までには一定の期間がかかります。すぐに残業代を支払ってもらいたい方からすると、解決期間が長引くのは不安要素のひとつとなります。しかし、解決を急ぐと不利な条件での解決となる可能性もありますので、満足いく結果を得るためにはある程度の解決期間は覚悟しなければなりません。

本記事では、

  • 残業代請求の解決期間(交渉・労働審判・裁判)
  • 残業代請求の解決期間を短縮する方法

などについてわかりやすく解説します。

本記事を参考に残業代請求の一般的な解決期間がわかれば、安心して残業代請求の手続きを進めることができるはずです。

 

残業代請求の解決期間|早ければ1か月、長引くと約1年程度がかかる解決までの3つのステップ

残業代請求の解決期間と解決までのステップ

残業代請求の解決期間を知るためには、一般的な解決までの流れを知っておくことが大切です。残業代請求は、以下のような3つのステップで進んでいきます。

残業大請求の解決期間

【ステップ1】交渉

まずは会社との交渉により残業代の支払いを求めていきます。交渉の結果、合意が成立すれば残業代を支払ってもらうことができます。

 

【ステップ2】労働審判

会社との交渉が決裂したときは、労働審判の申立てを行います。労働審判の手続きで調停が成立すれば、残業代を支払ってもらうことができます。調停不成立でも労働審判が確定すれば、残業代の支払いが受けられます。

 

【ステップ3】裁判

労働審判に対して異議申し立てがあると、裁判に移行します。裁判所から残業代支払いを命じる判決が言い渡されれば、残業代の支払いを受けることができます。

なお、裁判は、労働審判を経ることなく直ちに起こすこともできます。

 

【ステップ1】交渉による残業代請求|解決期間は1~2か月

交渉による残業代請求

以下では、交渉よる残業代請求の流れと解決期間を説明します。

 

交渉での解決期間は1~2か月

会社との交渉で残業代請求をする場合の解決期間は、1~2か月です。

速やかに会社が残業代の支払いに応じてくれるなら、1か月未満で解決できるケースもあります。反対に、会社との交渉が難航して交渉開始から1~2か月程度経過している場合には、これ以上交渉を続けても解決の見込みはありませんので、早めに交渉を切り上げて次のステップに移った方がよいでしょう。

 

交渉による残業代請求の流れ

交渉による残業代請求は、決められた手続きがあるわけではありませんが、一般的には、以下のような流れで進んでいきます。

 

【内容証明郵便の送付】

残業代請求には、時効がありますので、時効期間の進行をストップした証拠を残すためにも、まずは、会社に内容証明郵便を利用して残業代請求の通知書を送付します。

通知書には、1~2週間程度の回答期限を設けて、期限内に回答がない場合には訴訟提起する旨を記載するのが一般的です。

 

【会社との交渉】

通知書に対する会社からの回答を待って、会社との交渉を行います。口頭ではなく何度か文書のやり取りをしなければならない事案では、1往復するのに数週間程度かかるため、解決期間が長くなる傾向にあります。

交渉の際、会社が残業代を支払うことを認め、支払時期や方法などの詳細を詰めている段階であれば、多少時間をかけて行っても特に問題はないといえます。

一方、会社が残業していたことをまったく認めなかったり、両者の言い分が大きく食い違っている場合には、早めに交渉を切り上げて次のステップに移った方がよいでしょう。支払い条件などの詳細を詰めている段階であれば、多少時間をかけて交渉を行っても問題ありませんが、そもそも残業代の支払い義務について争いがある事案に関しては、早めに交渉を切り上げて次のステップに移った方がよいでしょう。

 

【合意書の作成】

会社との交渉で合意に至ったときは、合意内容をまとめた合意書を作成します。口頭での合意だけではトラブルになる原因となりますので、必ず合意書を作成するようにしましょう。

 

【ステップ2】労働審判による残業代請求|解決期間は約3か月

労働審判による残業代請求

以下では、労働審判による残業代請求の流れと解決期間を説明します。

 

労働審判での解決期間は約3か月

裁判所が公表しているデータによると、平成18年から令和4年までに終了した労働審判の平均審理期間は81.2日で、66.9%の事件が労働審判の申立てから3か月以内に終了しています。

労働審判は、原則として3回以内の期日で審理を終了することになっていますので、裁判に比べて迅速な解決が期待できる手続きです。裁判所のデータからもわかるように、労働審判での一般的な解決期間は、約3か月となっています。

 

労働審判による残業代請求の流れ

労働審判による残業代請求は、以下のような流れで進んでいきます。

 

【労働審判の申立て】

労働審判を利用して残業代請求をするためには、裁判所に労働審判の申立てを行います。

労働審判の申立てが受理されると、原則として40日以内に初回の労働審判手続き期日が設定されます。

 

【労働審判手続き期日】

労働審判手続き期日では、裁判官1人と労働審判員2人で構成される労働審判委員会が紛争解決の調整を行ってくれます。具体的には、まずは調停という話し合いによる解決が試みられ、話し合いがまとまらない場合に労働審判を行うという2段階の手続きになっています。

労働審判手続き期日は、原則として3回まで開催されますので、初回の期日で解決に至らないときは、次回以降の期日が定められ、話し合いが続けられます。

 

【調停成立または労働審判】

会社と労働者との間で話し合いがまとまった場合には、調停成立により労働審判の手続きは終了します。

話し合いがまとまらないときは、労働審判委員会が当事者からの主張・立証や審理の経過を踏まえて、労働審判という判断を示します。

 

【労働審判の確定】

労働審判に対しては、2週間以内に異議申立てがなければ労働審判は確定します。

なお、調停はお互いの合意による解決ですので、異議申立てはできません。

 

【ステップ3】訴訟による残業代請求|解決期間は約1年

裁判による残業代請求

以下では、訴訟による残業代請求と解決期間について説明します。

 

訴訟での解決期間は約1年

訴訟により残業代請求をする場合の解決期間は、約1年です。

訴訟では、交渉が決裂した事案や労働審判に対して異議申し立てのあった事案が対象になりますので、必然的に争いのある事案が多くなります。裁判では、争点を明らかにするために当事者双方から主張立証を尽くさせますので、争いのある事案では何度も期日を重ねる必要があり、それだけ解決期間も長くなってしまいます。

ただし、訴訟による解決方法は、判決だけではなく和解という方法もあります。当事者双方が和解に応じた場合には、判決よりも解決期間を短縮することができます。

 

訴訟による残業代請求の流れ

訴訟による残業代請求は、以下のような流れで進んでいきます。

 

【訴訟の提起】

訴訟を利用して残業代請求をするためには、裁判所に訴状を提出して訴訟の提起を行います。

裁判所で訴状が受理されると、約1か月後に第1回口頭弁論期日が指定されます。

 

【第1回口頭弁論期日】

第1回口頭弁論期日では、労働者から提出された訴状の陳述と会社側から提出された答弁書の陳述が行われます。

第1回口頭弁論期日で事件が解決することはほとんどありませんので、次回以降の続行期日が約1か月後に指定されます。

 

【続行期日】

訴訟手続きでは、主張や反論がある場合には、「準備書面」という文書にまとめて裁判所に提出しなければなりません。原告からの準備書面の提出があれば、次回期日に被告から反論の準備書面が提出され、さらに次々回の期日に原告からの反論の準備書面が提出されるといった形で、交互に主張・反論のやり取りが行われていきます。

そのため、争いのある事案に関しては、何往復も主張・反論のやり取りを重ねなければならず、複数回の期日が開催されることになります。裁判期日は、基本的には1か月に1回のペースでしか開催されませんので、それが裁判が長引く原因です。

なお、争いのある残業代請求の事案では、判決までに1年以上の解決期間を要するものもあります。

 

【和解勧試】

当事者双方からある程度主張立証が出そろった段階で、裁判所から和解勧試が行われます。

裁判所は、その時点の心証を踏まえて当事者双方に和解案を提示します。当事者双方が裁判所の提示した和解案に応じることになれば、和解成立により裁判手続きは終了となります。

 

【証拠調べ手続き期日(証人尋問・当事者尋問)】

和解が不成立となった場合、その後も審理が進められ、証拠調べ手続き期日が開催されます。

証拠調べ手続き期日では、テレビドラマでもよく見る法廷での尋問が行われます。これは、当事者や証人の供述内容を証拠として事実認定を行う手続きです。

 

【判決】

裁判所は、当事者からの主張立証を踏まえて、判決を下します。

当事者双方から2週間以内に控訴がなければ判決は確定し、訴訟手続きは終了となります。

 

残業代請求の解決期間を短縮するなら弁護士に依頼を!

残業代を請求の期間を短縮するなら弁護士へ

残業代請求の解決期間は、早ければ1か月、長引くと1年以上もかかるケースがあります。残業代請求の解決期間を少しでも短縮して、早く残業代の支払いを受けいという場合には、弁護士に依頼するのがおすすめです。

 

証拠収集や残業代計算を迅速に行える

残業代請求を行うためには、事前準備として証拠収集や残業代計算という作業が必要になります。事前準備に要する時間を短縮することができれば、残業代請求の解決期間の短縮が可能です。

弁護士であれば、証拠収集や残業代請求を迅速かつ正確に行うことができますので、労働者が自分で対応するよりも事前準備に要する時間を大幅に短縮することができます。少しでも早く残業代を支払ってもらいたいという場合には、事前準備の段階から弁護士に依頼するのがおすすめです。

 

弁護士が交渉することで会社も真摯に対応してくれる

交渉により残業代請求を行う際にも弁護士に依頼することで解決期間の短縮が可能です。

労働者個人での対応だと会社側がまともに取り合ってくれないことが多いため、交渉自体が無駄になってしまったり、話し合いが長引いてしまう可能性があります。しかし、弁護士が労働者の代理人として交渉すれば、会社も真摯に対応せざるを得なくなりますので、任意の交渉により解決できる可能性が高くなります。

グラディアトル法律事務所では、残業代請求の交渉に関する豊富なノウハウがありますので、迅速に解決に導くことができます。

 

労働審判や裁判も任せられる

労働審判や訴訟の手続きは、労働者個人で対応するのは困難ですので、基本的には弁護士に依頼して進めていくことになります。

その際には、労働問題に詳しい弁護士に依頼することで解決期間を短縮することができます。労働問題に詳しい弁護士であれば、労働審判や訴訟での主張立証のポイントを熟知していますので、効果的な主張立証を行うことで、早期に解決に至ることが可能となります。

グラディアトル法律事務所では、未払い残業代に関する問題を豊富に取り扱ってきた実績がありますので、豊富な知識やノウハウに基づいて対応することで、残業代請求の解決期間を短縮することが可能です。

 

まとめ

残業代請求の解決期間は、早ければ1か月、長引くと1年以上もかかるケースがあります。解決内容にこだわらなければ早期解決も可能ですが、それでは本来もらえるはずの残業代よりも大幅に少ない残業代しかもらえない可能性があります。

そのため、多少の時間はかかったとしても、未払い残業代のトラブルに関しては、しっかりと争っていくことが大切です。少しでも早く解決したいという場合には、解決内容を妥協するのではなく、残業代請求に詳しい弁護士に依頼するのがおすすめです。

残業代請求の解決期間を少しでも短くしたいという方は、実績豊富なグラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。

 

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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