保育士に残業が多い6つの理由と残業代請求が認められやすい4つの理由

保育士にサービス残業が多い問題点と解決方法
弁護士 若林翔
2024年03月29日更新

「保育士として働いているけど、残業が多くてつらい」

「残業をしても、きちんと残業代が支払われていない」

「自宅に持ち帰って作業することが多いけど、これも残業にあたるのでは?」

子どもが好きで保育士として働き始めたものの、残業が多くて困っているという方も少なくないでしょう。残業が多い職場では、サービス残業が常態化しており、適正な残業代が支払われていないこともあります。しかし、保育士であっても、残業代は支払われますので、未払いの残業代があるときはしっかりと請求していくことが大切です。

本記事では、

  • 保育士に残業が多いと言われる6つの理由
  • 残業がつらいと感じたときにできる3つの対処法
  • 保育士の残業が発生する業務

などについてわかりやすく解説します。

残業代請求には時効がありますので、未払いの残業代がある方は、早めに行動するようにしましょう。

 

1 保育士が残業の多い職業と言われる6つの理由

保育士の残業が多いと言われる理由

保育士が残業の多い職業と言われるのには、以下のような6つの理由があります。

1-1 日常的な業務量が多い

保育士というと子どもたちの相手をする保育業務がメインの仕事になりますが、それ以外にもさまざまな業務を処理していかなければなりません。

  • 連絡帳の記入
  • 保育計画や園だよりの作成
  • 保護者対応
  • 玩具の準備や消毒
  • 保育室の清掃
  • 制作物の準備

子どもの相手をしている時間帯には、これらの作業を行うことができませんので、子どもを見送ってから作業に取り掛かることになります。そのため、必然的に残業になってしまうのです。

 

1-2 イベントや行事の準備で忙しい

保育園では、日常的な保育業務だけでなく季節ごとにさまざまなイベントが開催されます。

  • 運動会
  • お遊戯会
  • クリスマス
  • 参観日

これらのイベントの準備も保育士が行わなければなりません。普段の業務だけでも忙しいのに、イベントの時期になるとイベントの準備も重なりますので、終業時刻までに業務が終わらず残業になってしまいます。

 

1-3 慢性的な人手不足

保育士業界は、慢性的な人手不足だといわれています。

十分な人員が確保できていない園では、保育士一人あたりの業務が増えてしまいますので、処理しきれない業務は残業をして終わらせなければなりません。残業が多い過酷な労働環境だと、年度途中で辞めてしまう保育士もいますので、さらに一人あたりの業務量が増えてしまう要因になります。

 

1-4 会議や研修が多い

保育士の方は、通常の業務を終えた後に会議や研修への参加が義務付けられていることがあります。研修は、保育士としての技術を高めるために役立つものですので、決して無駄なものではありませんが、終業時間後や休日に研修があると負担に感じる方もいるでしょう。

このような会議や研修が多いと、必然的に残業時間も多くなります。

 

1-5 持ち帰り仕事が多い

通常の業務時間は、保育業務や保護者対応に追われるため、事務作業に手が回らないことも多いです。このような場合には、やむなく自宅に仕事を持ち帰って処理しなければならないケースもあります。

このような持ち帰り仕事が多いことも保育士に残業が多いと言われる理由のひとつです。

1-6 残業が習慣化している

保育園によっては、残業が習慣化しており、当たり前の環境になっていることがあります。

園長、主任、先輩の保育士が残業している状況だと、先に帰れる雰囲気ではなく、ずるずると残業をしてしまうことも多いです。

 

2 保育士の残業時間の実態|厚生労働省の調査結果

保育士の残業時間の実態

厚生労働省が公表している「賃金構造基本統計調査」によると、2019年の保育士の月平均残業時間は4時間となっています。

この統計結果からは、他の職種に比べて保育士の残業時間が多いということはなく、むしろ残業時間は少ない職種であることがわかります。しかし、統計の元になったデータには、サービス残業などは含まれていませんので、実際の保育士の残業時間と統計上の残業時間とでは、大きな差があると考えられます。

保育士として働く現場の声として、「残業が多くてつらい」という意見が多いことからすると、適正な残業代が支払われていないサービス残業が常態化している可能性もあります。

参考:賃金構造基本統計調査 職種DB第1表|統計表・グラフ表示|政府統計の総合窓口

 

3 残業がつらいと感じた保育士ができる4つの対処法

保育士の残業がつらい時にできる4つの対処法

保育士として働いていて残業がつらいと感じた場合には、以下のような対処法が考えられます。

 

3-1 残業を減らすための工夫

保育士の残業時間は、仕事のやり方によって減らすことができます。

  • 業務の優先順位を設定する
  • 仕事を簡略化する
  • 作業時間の目安を決める

たとえば、園だよりを作成する際には、テンプレートを利用して作業を簡略化することで、作業時間を大幅に減らすことができます。また、イベントの制作物に関しても、前年のものを保管しておいて再利用できれば、作業負担を減らすことができます。さらに、作業時間をあらかじめ決めておいて、その時間内に終わらせることを目標に集中して取り組むことでも残業時間を減らすことができます。

各自の工夫で残業時間を減らすことができますので、まずは自分ができる範囲で取り組んでみるとよいでしょう。

 

3-2 上司への相談

特定の保育士に業務が偏っているため残業が発生しているような状況であれば、上司や先輩に相談してみるのも有効な手段です。

各保育士の業務量を把握していないために、このような状況が発生しているのであれば、業務の配分を見直すことで、負担が軽減し残業が減る可能性もあります。自分だけでは意見をしづらいということであれば、周りの保育士とも協力して、声をあげていくとよいでしょう。

 

3-3 残業の少ない園への転園

サービス残業が常態化している園では、園に対して改善を求めたとしても、ほとんど効果が期待できません。そのような園で働き続けることは、心身ともに大きなストレスになりますので、残業の少ない他の園に転園することも検討しましょう。

 

3-4 園に対して残業代請求

保育士も労働者であることに変わりありませんので、残業をした場合には残業時間に応じた残業代を請求することができます。保育士は、残業の多い職業だと言われていますので、サービス残業などにより適正な残業代が支払われていな可能性も十分にあります。

このような場合には園に対して、未払いの残業代を請求することがおすすめです。未払いの残業代請求は、残業をした対価を得られるというだけでなく、園に対して違法な残業が行われている状況を改善させるきっかけにもなります。

保育園に在籍している状態だと残業代請求がしづらいという場合には、退職や転職のタイミングで残業代請求を行ってみるとよいでしょう。

 

4 残業の多い保育士なら未払い残業代を請求できる可能性が高い!保育士の未払い残業代請求が認められやすい4つの理由

残業の多い保育士が残業代を請求できる可能性

保育士の方は、以下のような業務に従事していても園から残業代が支払われていないことが多いです。しかし、これらはいずれも残業代請求が可能な業務にあたります。

 

4-1 園から明示的な残業命令が出ていない

園から明示的な残業命令が出ていないとしても、黙示の残業命令があったと評価できる場合には、残業代請求を行うことができます。

黙示の残業命令とは、労働者を事実上残業せざるを得ない状況におくことをいいます。たとえば、以下のような状況があれば黙示の残業命令があったと評価できるでしょう。

  • 残業して作業をしなければ、期限までに仕事が終わらない
  • 残業せずに帰宅すると、勤務評定においてマイナス査定されてしまう
  • 残業をしていることを上司は把握しているのに、残業の中止を命じてこない

4-2 自宅への持ち帰り作業

園だよりや保育計画の作成、翌日の制作物の準備などは自宅に持ち帰っても作業できることから、終業時刻までに作業が終わらないときは、自宅に持ち帰って作業をすることも多いです。このような自宅への持ち帰り作業については、「労働時間」にあたるといえれば、残業代を請求することができます。

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれた時間をいいます。自宅での作業は、職場から常に監視や指示をされているわけではありませんが、以下のような事情がある場合には、労働時間にあたるといえます。

  • 自宅に仕事を持ち帰るよう明示的に指示された
  • 業務時間内には明らかに終わらない量の業務がある
  • 業務時間内の作業だけでは、イベントまでに準備が間に合わない
  • 職場が持ち帰り作業を積極的に推奨している

 

4-3 終業時間後の会議や研修への参加

終業時間後に会議や研修に参加した場合でも、それが労働時間にあたるといえれば、残業代を請求することができます。

会議や研修への参加が労働時間にあたるかどうかは、以下のような基準で判断します。

  • 明示の指示があるか
  • 会社が費用負担をしているか
  • 参加が強制されているか
  • 業務との関連性はあるか
  • 報告や課題が課されているか
  • 法令で義務付けられているか

たとえば、職員会議であれば、基本的にはすべての保育士の参加が義務付けられていますので、残業代の支払いが必要です。また、休日の研修であっても、園から参加を義務付けられており、後日報告書の提出が命じられているのであれば残業代の支払いが必要です。

他方、保育士が個人的なスキルアップの目的で参加した研修などについては、労働時間にはあたりませんので残業代は支払われません。

 

4-4 休憩時間中に子どもの様子を見たり、寝かしつけをしている

保育園では、子どもの昼寝の時間がありますので、その時間を保育士の休憩時間に設定しているところもあります。

しかし、子どもが昼寝をしている時間であっても、子どもの寝かしつけのために、子どもの近くにいなければならなかったり、子どもの様子を見るためにときどき部屋に顔を出さなければならにこともあります。

このような場合には、業務から完全に解放された時間とはいえませんので、休憩時間ではなく労働時間にあたる可能性が高いです。

休憩時間も労働時間にあたる場合には、この時間も含めて残業代を請求することができます。

 

5 残業代請求をお考えの保育士の方はグラディアトル法律事務所にお任せください!

残業が多く残業代を請求したい保育士さんはグラディアトルへ

保育園に対する残業代請求をお考えの保育士の方は、グラディアトル法律事務所までご相談ください。

 

5-1 残業代の請求が可能であるか判断できる

保育士は、自宅への持ち帰り作業や会議・研修への参加など、実際には労働時間であるにもかかわらず、残業代が支払われていないケースも少なくありません。

このような業務について残業代請求が可能であるかは、労働基準法上の「労働時間」に該当するかどうかという観点から判断する必要があるため、法的知識や経験が不可欠となります。グラディアトル法律事務所では、数多くの労働事件を扱ってきた経験と実績がありますので、保育士に関する残業代請求の問題も適切に判断することができます。

 

5-2 保育士に代わって園と交渉することができる

残業代請求をする場合には、まずは園との交渉が必要になります。

しかし、保育士個人が個人で残業代の支払いを求めたとしても、まともに取り合ってくれないケースも少なくありません。自分で対応が難しいと感じたときは、すぐに弁護士に相談するようにしましょう。

ただし、残業代請求を依頼する弁護士は、弁護士であれば誰でもよいというわけではありません。より満足のいく結果を得るためには、残業代請求に関する経験豊富な弁護士に依頼するのが大切です。グラディアトル法律事務所には、残業代請求の問題に精通した弁護士が複数在籍していますので、労働者の代わりに、園と交渉を行い、適切な解決に導くことができます。

 

5-3 初回相談無料、明確かつ丁寧に弁護士費用を説明

弁護士に相談するときに不安になるのが弁護士費用の負担です。

グラディアトル法律事務所では、そのような不安を解消するために、初回法律相談を無料としていますので、まずは当事務所までご相談ください。

また、相談時には、弁護士から実際に弁護士に依頼した場合に発生する弁護士費用を明確かつ丁寧に説明しますので、費用の不安なく弁護士に依頼することができます。相談したからといって必ず依頼しなければならないわけではありません。まずは相談だけでも結構ですので、お気軽にご相談ください。

 

6 まとめ

保育士は、残業の多い職業と言われておりますので、実際に残業をしているにもかかわらず、適正な残業代が支払われていないケースも少なくありません。このような未払いの残業代がある場合には、弁護士に相談・依頼することで支払いを受けられる可能性があります。

残業代には3年という時効がありますので、大切な残業代が時効で失われてしまう前に、まずはグラディアトル法律事務所までご相談ください。



弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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