「風俗で本番行為をすると罪に問われるのだろうか」
「本番行為がバレて店に来るように言われた…どう対処すべきなのか」
風俗での本番行為は、基本的に禁止されている。
しかし、高まった感情を抑えきれず、半ば強引に本番行為に及ぶ人は少なくない。
なかには、キャストから「オプション料を支払えば本番できる」と提案され、ついつい乗ってしまった人もいるのではないだろうか。
風俗での本番行為は店側にとっても、客側にとってもリスクの高いものだ。
場合によっては、逮捕されたり、刑罰を受けたりする可能性も否定できない。
本記事では、
などについてわかりやすく解説する。
風俗の本番行為が原因でトラブルが生じた場合には、法律の専門家のサポートが必要になる。
問題を放置していると事態は悪化していくばかりなので、一刻も早く弁護士に相談し、早期解決を目指してほしい。
本番行為とは、風俗店で男性器を女性器に挿入する性行為のことを示す業界用語だ。
素股と呼ばれる疑似性行為や、手淫・口淫などの挿入をともなわない行為は本番行為に含まれない。
射精の有無は関係なく、挿入した時点で本番行為とみなされる点にも注意が必要だ。
ここでは、風俗における本番行為の法的な取り扱いについて詳しく解説する。
風俗店での本番行為は売春防止法違反にあたり、店側が逮捕される可能性がある。
売春防止法では、売春の周旋・あっ旋、場所の提供などを禁止しているためだ。
デリヘルやソープランドなどで店側が従業員に本番行為を促したり、黙認して営業していたりした場合は取り締まりの対象になってしまう。
ただし、本番行為が禁止されているにも関わらず、キャストがルールを破っていた場合は、店側の有責性が認められず、逮捕されないこともある。
風俗店での本番行為は売春防止法に違反するが、客が罰則を受けることはない。
売春防止法では売春自体を禁止しているものの、買う側に対する罰則規定が設けられていないのだ。
つまり、客がキャストにお金を支払って本番行為に及んだ場合、法律上は売春行為となるが、客が逮捕されたり罰金を科されたりすることはない。
ただし、未成年者を相手にした買春は厳しい罰則が科されるため注意が必要だ。
また、詳しくは後述するが、キャストや店側とトラブルになる可能性もあるので、本番行為がリスクの高いものであることに違いはない。
風俗店で同意のない本番行為をおこなった場合、客は不同意性交等罪で逮捕される可能性がある。
不同意性交等罪は「相手が同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態で性交等をおこなった場合」に成立する犯罪だ。
キャストが拒否しているにもかかわらず、無理やり本番行為に及んだ場合や、酩酊状態・恐怖で抵抗できない状況を利用して本番行為に及んだ場合は、不同意性交等罪が成立する。
仮に本番行為を拒否されてやめた場合でも、状況によっては不同意性交等未遂罪に問われる可能性が出てくる。
もちろん、同意のない本番行為によって必ずしも逮捕されるわけではないが、不同意性交等罪の逮捕率は約57%と高い水準にある点には注意が必要だ。(参考:令和6年版犯罪白書|法務省)
まず紹介するのは、本番行為がおこなわれる個室を提供していたとして、風俗店の関係者が逮捕された事例だ。
【事案概要】
性風俗店に勤務するいずれも50代の男性従業員2人は、風俗店で働く女性が売春行為をすると知りながら個室を提供していたとして、ことし1月、売春防止法違反の疑いで逮捕されました。2人は逮捕当時の警察の調べに対して容疑を認めていましたが、金沢地方検察庁は3月7日付けで不起訴にしました。
(引用:石川 NEWS WEB)
売春防止法では、事情を知りつつ売春場所を提供する行為も禁止している。
本件では不起訴となっているが、起訴された場合は「7年以下の懲役および30万円以下の罰金」の処されていたはずだ。
次に紹介するのは、デリヘルでキャストに乱暴した男性が不同意性交等罪で逮捕された事例だ。
【事案概要】
自宅に呼んだ女性(28)に対し、同意を得ずに性交した疑い。調べに行為は認めつつ「同意があると思った」と話しているという。同署によると、女性は「本番はあかん、やめて」と拒絶したが行為を続けられたため、男の自宅から退出。店側に被害を伝えたという。店から「どういうことか。今から家に行かせてもらう」と電話を受けた男が恐怖を感じ、29日午前0時ごろ、「家に来ると言っている。どうしたらいいか」と110番。署員が双方から事情を聴いたところ、女性に乱暴したことが分かり、男を逮捕した。
(引用:神戸新聞NEXT)
本件の特徴は、客側の男性が自ら警察に通報し、逮捕された点だ。
店側の関係者に押しかけられるよりはマシな結果に終わったかもしれないが、それでも逮捕された代償は大きいだろう。
風俗トラブルでは、判断を誤ると取り返しのつかない事態に陥る可能性があるので、慎重な対応が必要になる。
次に、本番行為が原因でトラブルになった場合のリスクを詳しくみていこう。
風俗店で本番行為に及んだ場合、店側から損害賠償を請求されるリスクがある。
たとえば、キャスト本人が精神的苦痛を受けたことを理由に、慰謝料を求めてくるケースは実際に多く見受けられる。
また、キャストの欠勤によって生じた損害を補償するよう、店の関係者から迫られることもあるかもしれない。
実際、本番行為と損害に因果関係がある場合は賠償責任を負う可能性が高く、逃げ切ることは難しいだろう。
ただし、不当な損害賠償請求がおこなわれるケースも多いので、一刻も早く弁護士に相談することが重要だ。
風俗店での本番行為は、刑事事件に発展するおそれもある。
同意のない本番行為や強要があった場合、刑法上の不同意性交等罪や暴行罪・傷害罪などの重大な犯罪に該当しうるからだ。
もちろん、示談で収まれば事件化を防ぐこともできる。
しかし、警察に通報されたり、被害届を提出されたりすると、逮捕・起訴につながることを念頭に置いておかなければならない。
風俗店での本番行為が発覚すると、店側から恐喝されるおそれがある点にも注意してほしい。
実際、「警察に通報する」「会社や家族に連絡する」などと脅され、示談金や罰金名目で金銭を要求されるケースは多発している。
さらに厄介なのは、一度でも支払いに応じてしまうと要求がエスカレートすることだ。
ルールを破った側からすると、お金で解決してしまいたい気持ちになるのも分かるが、無理な要求には応じず、冷静に対処することを心がけよう。
本番行為が原因でトラブルになった場合、そのときの対応次第で状況は大きく変わる。
必要以上に責任をとらされることのないよう、以下で紹介する対処法を実践してほしい。
本番行為が原因でトラブルになった場合、店側から金銭を請求されることもあるが、すぐに支払ってはならない。
請求内容が法的根拠に基づいていないケースや、過剰な金額を要求されているケースが多いためだ。
たとえば、「本番行為をしたので罰金100万円を払え」と言われても、法律上認められない請求であることがほとんどである。
また、難癖をつけて追加で金銭を要求されるリスクもあるので、支払いに応じることは得策とはいえない。
請求を受けた場合はいったん持ち帰り、必要に応じて弁護士など専門家に相談することが自分を守るためのポイントだ。
本番行為が原因でトラブルになった場合は、店側から示談書をつきつけられても焦ってサインしてはならない。
形式や記載内容にもよるが、示談書は原則として法的効力を有するものだ。
安易にサインしてしまうと、あとから取り消すことは難しくなる。
また、内容を十分に理解せずにサインすると、お互いの認識がズレていることに気づかず、さらなるトラブルを招く可能性も否定できない。
確かに示談は急ぐべきものではあるが、示談書の取り扱いには細心の注意を払ってほしい。
本番行為が原因でトラブルとなり、店側から脅迫・恐喝された場合はできるだけ証拠を残しておきたいところだ。
あとで警察や弁護士へ相談する際に、証拠がなければ被害を立証できない可能性がある。
一方で、会話を録音したり、SNSやメールなどでのやり取りを保存したりしておけば、脅迫・恐喝の事実を明確に示すことができるはずだ。
本番行為をしたからといって、脅迫・恐喝される理由にはならない。
脅迫・恐喝はれっきとした犯罪行為なので、被害者の立場で法的に対処していくべきだ。
本番行為にともなうトラブルを解決するには、弁護士のサポートが欠かせない。
ここでは、風俗トラブルを弁護士に相談・依頼するメリットを詳しく解説していく。
弁護士に相談・依頼する最大のメリットは、示談交渉を適切に進めてもらえることだ。
そもそも風俗店やキャストを相手に自力で示談交渉することは現実的ではない。
足元をみられて高額な損害賠償を要求されたり、状況次第では身の危険が生じたりする可能性もある。
その点、弁護士は事実関係を確認したうえで、依頼者の代理人として交渉をおこない、法的根拠に基づいた適正な条件での示談成立を目指してくれる。
弁護士が介入するかどうかで示談の内容は大きく変わるため、少しでも早い段階で相談・依頼することをおすすめする。
示談成立後の蒸し返しを予防できる点も、弁護士に相談・依頼するメリットのひとつだ。
示談書の作成ノウハウを有する弁護士であれば、示談後の取り決めに関する条項を盛り込みながら、不備・不足のない示談書を作成できる。
【示談後の取り決めに関する主な条項】
示談書を適切に作成しておけば、後日金銭を請求されたり、民事訴訟を起こされたりするリスクを抑えられる。
なお、弁護士は示談成立後のサポートもおこなっているため、万が一相手方とのトラブルが再燃した場合も速やかな対応が可能だ。
本番行為にともなうトラブルが起きた場合でも、弁護士に相談・依頼すれば家族や職場にバレずにトラブルを解決できる。
たとえば、「今後は弁護士を通じてのみ連絡するように」と正式に通知することで、相手が勝手に家族や職場へ連絡する心配はなくなるだろう。
また、弁護士が介入して事件化する前に解決できれば、逮捕・勾留による長期間の身柄拘束や実名報道も回避できる。
弁護士にも守秘義務があり、相談内容や依頼者の個人情報が第三者に漏れることはないので、安心して相談してほしい。
風俗での本番行為が不同意性交等罪などの犯罪として事件化した場合でも、弁護士に依頼すれば一貫して対応を任せられる。
具体的には、以下のようなサポートが期待できるだろう。
事件化した場合は身柄拘束を回避しつつ、不起訴を目指すことが重要だ。
問われる罪の種類によっては、初犯でも実刑になる可能性があるので、一刻も早く弁護士に連絡してほしい。
ここでは、グラディアトル法律事務所が請け負った風俗トラブルの解決事例をひとつ紹介する。
【事案概要】
①ホテル派遣型メンズエステを偽名で利用した
②プレイ中、キャストが拒否しなかったため、本番行為に及んだ
③翌日に店から電話があり、本番行為に関して話し合いがしたいと伝えられる
③顔や本名を知られるのはマズいと考え、弊所に相談した
相談を受けた弊所弁護士は店側に連絡し、意向を確認。
そのうえで、店側に35万円、キャストに35万円の計70万円までなら支払えることを伝えた。
後日、店側の代表者・キャスト・弁護士による示談交渉の場で、示談書と依頼者直筆の誓約書(今後店に近づかないことなどを記載したもの)を提示。
店側はキャストの欠勤による損害の補填も希望したが、70万円の中に含まれていることを弁護士から丁寧に説明し、合意を得た。
本件のように、早い段階で弁護士が介入できれば、顔や氏名を知られることもなく、迅速に示談を成立させられるケースも決して少なくないのだ。
本記事のポイントは以下のとおりだ。
風俗での本番行為は売春禁止法違反にあたる犯罪であり、店側の関係者は逮捕される可能性がある。
客側に対する罰則はないものの、無理やり本番行為に及んだ場合には不同意性交等罪で検挙されるおそれもあるため、トラブルになったときは早期解決を目指すべきだ。
グラディアトル法律事務所では、風俗トラブルを得意とする弁護士が多数在籍している。
24時間365日体制で相談を受け付けているので、緊急を要する場合も即時対応が可能だ。
初回相談は無料、LINE相談にも対応しているため、いつでも気軽に相談してほしい。