「麻雀店の開業に必要な風営法の許可とは?」
「健康マージャン、麻雀カフェ、麻雀教室でも風営法の許可は必要?」
「麻雀店の営業時間は何時まで?」
麻雀店は、客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業にあたるため、風営法の「風俗営業」に該当し、4号営業許可を得なければ営業することができない。マージャン店には、一般的な雀荘の他にも健康麻雀、麻雀カフェ、麻雀教室などがあるが、風営法の許可が必要であるかどうかは、店舗の名称ではなく「設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」に該当するかどうかによって判断することになる。
最近、健康麻雀などの施設も増えてきているが、風営法の許可が必要であるにもかかわらず、許可を得ずに営業をすると無許可営業で厳しい処罰を受けるリスクがあるため注意が必要である。
本記事では、
・麻雀店の開業に必要な風営法の許可
・健康麻雀・麻雀カフェ・麻雀教室でも風営法の許可は必要?
・麻雀店の営業時間は何時まで?
などについてわかりやすく解説する。
麻雀店の開業、営業にあたって風営法上の疑問点が生じたときは、すぐに弁護士に相談することをおすすめする。
麻雀店は、風営法の「風俗営業」に該当するため、麻雀店を開業するには風俗営業の4号営業許可を得る必要がある。
風俗営業とは、客に飲食や遊興をさせて接待する営業または射幸心をそそる遊戯をさせる営業のことをいい、風俗営業は、「接待飲食等営業」と「遊技場営業」の2種類に分けられる。また、遊技場営業は、麻雀店やパチンコ店などの4号営業とゲームセンターなどの5号営業に区分されている。
風俗営業というとキャバクラやホストクラブをイメージする方も多いが、「飲食」ではなく「遊技」を提供する営業形態も風俗営業に含まれる。
昔は、麻雀というと「タバコ、ギャンブル、徹夜」など不健全なイメージが強い娯楽であったが、最近では「健康麻雀」という言葉もあるように、お金を賭けない・お酒を飲まない・タバコを吸わないなどの健全なイメージが広まっている。麻雀のプロリーグであるMリーグの人気も麻雀の普及に拍車をかけているといえるだろう。
このような時代の流れを受けて雀荘ではなく、健康麻雀、麻雀カフェ、麻雀教室などの営業を検討している人もいるかもしれないが、これらの施設も風営法の許可が必要になるケースがあるため注意が必要である。
風営法の許可が必要な施設かどうかは、単に「雀荘」という名称で区別されているのではなく、「設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」にあたるかどうかという観点から判断される。
つまり、麻雀の打ち方を教えるだけなら風営法の許可は不要であるが、生徒同士が麻雀を楽しむ場所を提供するような業態であれば風営法の許可が必要になる。
このあたりの判断は非常に難しいため、自己判断ではなく事前に弁護士などの専門家に相談した方がよいだろう。
レンタルスペースとは、時間単位や日単位で借りることができる個室や空間のことをいう。レンタルスペースは、会議やワークショップ、パーティー、勉強会などさまざまな用途で利用されている。
このようなレンタルスペースに麻雀卓を設置し、レンタルスペースの客に利用させるのは「設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」に該当するため風営法の許可が必要になる可能性がある。特に、「麻雀卓を設置したレンタルスペース」などと大々的に広告・宣伝すると風営法違反で摘発されるリスクが高まるため、しっかりと風営法の許可を得てから営業するのが安心である。
ほとんどの麻雀店では飲食物の提供を行っているため、風営法の許可に加えて、食品衛生法の飲食店営業許可が必要になる。
提供する飲食物がお茶、コーヒー、カップ麺程度であっても飲食店営業許可をとらなければならない。
なお、飲食店としての営業許可は、雀荘の所在地を管轄する保健所に申請することになる。
風営法が適用される麻雀店の場合、風営法による規制が及びますので、深夜営業(午前0時から午前6時まで)が禁止されます。
しかし、実際には深夜時間帯は遮光カーテンを閉め、新規の客を入れないなどの方法で営業を続けている麻雀店もあるが、このような営業方法は風営法違反となるため注意が必要である。
麻雀店が風営法の4号営業許可を得るためには、以下の3つの条件を満たす必要がある。
以下のいずれかの条件に該当する人は、風俗営業の許可を受けることはできない。
①破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
②1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は一定の罪を犯して1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
③集団的に、又は常習的に暴力的不法行為等を行うおそれのある者
④アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
⑤精神機能の障害により風俗営業の業務を適正に実施するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
⑥風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない者
⑦風俗営業の取消処分に係る聴聞の期日等の公示日から取消し等の決定をする日までの間に、許可証を返納した者で、当該返納の日から起算して5年を経過しないもの
⑧⑦の規定する期間内に合併により消滅した法人又は許可証を返納した法人
⑨⑦の規定する期間内に分割により、聴聞に係る風俗営業を継承させ、若しくは分割により、当該風俗営業以外の風俗営業を継承した法人
⑩営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者
⑪法人の役員、法定代理人が上記①から⑤までに掲げる事項に該当するとき
なお、2025年3月7日に風営法の改正案が閣議決定され、風俗営業の欠格事由の範囲が拡大し、以下の欠格事由が追加されることになった。
・親会社等が許可を取り消された法人
・警察による立入調査後に許可証の返納(処分逃れ)をした者
・暴力的不法行為等を行うおそれがある者がその事業活動に支配的な影響力を有する者
これによりグループ店舗も欠格事由に該当し、グループ会社や関連会社の許可が取り消される可能性がある点に注意が必要である。
以下のいずれかの地域に該当する場所では、風俗営業の許可を受けることはできない。
・第1種低層住居専用地域
・第2種低層住居専用地域
・第1種中高層住居専用地域
・第2種中高層住居専用地域
・第1種住居地域
・第2種住居地域
・田園住居地域
・準住居地域
ただし、これらの地域に該当しない場所であっても、お店の場所から半径100m以内に「保護対象施設」(学校、図書館、児童福祉施設、病院、診療所)がある場合、その場所では風俗営業の許可は受けられない。
・客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと
・善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと
・客室の出入口に施錠の設備を設けないこと
・店舗内の照度(明るさ)が10ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること
・騒音又は振動の数値が条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること
麻雀店が風営法4号許可を取れば適法に営業をすることができるが、それにより賭博行為が適法になるわけではない。
競馬や競輪などの公営競技については、公営競技関連法令によりギャンブルが適用化されているが、風営法は公営競技関連法令とは異なり、賭け麻雀を適用なものとして規定していないため、賭け麻雀をした人は賭博罪に該当し、雀荘は賭博場開帳等図利罪に該当する可能性がある。
ただし。風営法は公営競技関連法令と異なり、賭博罪に該当しない範囲での営業が想定されており、その場での飲食やタバコなどの「一時の娯楽に供する物」の範囲であれば賭博罪等で処罰されるリスクは低いだろう。
実際に麻雀店で賭博場開帳図利罪で逮捕された事例としては、以下のようなものがある。
福岡市南区のマージャン店で客に賭けマージャンをさせたとして、福岡県警は、同店経営者(43)と従業員の計5人を賭博場開帳図利容疑で逮捕したと発表した。
発表によると、経営者ら5人は、同店で客3人に換金可能なチップを使ったマージャンをさせ、卓の貸出料金を徴収した疑い。県警は認否を明らかにしていない。
県警は、店を捜索。マージャン客3人と、賭けポーカーをしていた客5人を単純賭博容疑で現行犯逮捕した。県警はポーカーにも店が関与していたとみて調べている。逮捕した従業員1人とマージャン客3人は釈放された。
同店はマージャン全国大会の予選会場として利用されたこともあったという。
(引用:読売新聞)
店で客に賭けマージャンをさせたなどとして、警視庁暴力団対策課は賭博場開帳図利などの疑いで、東京都台東区のマージャン店「麻雀Jewel(ジュエル)上野店」の責任者(31)と従業員の計5人を逮捕した。また、賭博の疑いで客の20~40代の男女11人も逮捕。いずれも容疑を認めている。同課は、店を家宅捜索し、マージャン卓などを押収した。
暴対課によると、同店では、金銭を賭けることをルール化。通常の半分程度の時間で勝敗が決まる「東風戦」での遊戯を求め、1戦ごとに2500円~3000円と、通常の3倍程度にあたる場所代を客から徴収していた。令和5年12月ごろに営業を開始し、これまでに4億円以上を売り上げていたとみられる。
同課では、売り上げが暴力団などの反社会的勢力に流れ、活動の資金源になっている可能性もあるとみて捜査している。
逮捕容疑は、台東区上野のビル内に賭博場を開帳し、客に金銭を賭けさせて賭博をさせ、場所代名目で金銭を徴収したとしている。
(引用:産経新聞)
「設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」に該当する麻雀店では、風営法の4号営業許可が必要になる。健康麻雀、麻雀カフェ、麻雀教室などの施設であっても、4号営業の要件に該当する場合には、風営法の許可が必要となり、無許可での営業は厳しい処罰を受けることになるため注意が必要である。
もっとも、風営法が適用される麻雀店であるかどうかは、風営法の知識がなければ正確に判断することができないため、自己判断で麻雀店を開業するのは危険である。風営法を遵守して麻雀店の開業および営業をするためにも風営法に強い弁護士に相談するのがおすすめだ。
グラディアトル法律事務所は、東京と大阪の2拠点を中心に活動しており、ナイトビジネス業界で全国1000件以上の解決実績がある。風営法違反に関する刑事弁護の経験も豊富であるため、逮捕の回避・早期釈放・不起訴処分の獲得などを希望するなら、すぐに当事務所まで相談してほしい。
また、グラディアトル法律事務所では、500店舗以上の風俗店の顧問弁護士を担当しており、ナイトビジネス業界に特化した弁護士事務所といえるだろう。トラブル対応だけではなくトラブル予防にも力をいれているため、実際にトラブルが生じていなくても気軽に相談してもらいたい。
以前は、不健全なイメージの強かった麻雀であるが、最近では老若男女問わず麻雀を打てる人が増えてきており、健全な娯楽であるというイメージに変わりつつある。
しかし、世間のイメージが変化しても風営法の規定は変わらないため、「設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」に該当する麻雀店については風俗営業として風営法の許可が必要である。
風営法のルールを遵守して麻雀店を開業・営業するには、風営法に強い弁護士によるサポートが不可欠であるため、まずはグラディアトル法律事務所まで相談してもらいたい。