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ホストが女性客を風俗店にあっせんする行為は職業安定法違反!

弁護士 若林翔 2025/05/07更新

ホストが女性客を風俗店にあっせんする行為は職業安定法違反!

「ホストが女性客を風俗店にあっせんする行為は違法?」

「ホストによる仕事紹介が職業安定法に違反するケースとは?」

「風営法改正による悪質ホスト規制のポイントを知りたい」

ホストクラブの利用客が高額な売掛金による借金を背負い、その返済のために売春するなどの事例が増えてきており深刻な社会問題となっている。その過程でホストによる性風俗店へのあっせんや売春のあっせんなどが行われており、このような行為は職業安定法や売春防止法により禁止されている違法な行為である。

警察では、このようなホストクラブの売掛金に起因する違法行為に関しては、職業安定法違反や売春防止法違反などで検挙しており、ホストクラブに対しても許可取り消しなどの主に行政処分が下される可能性がある点に注意が必要だ。

本記事では、

・職業安定法違反の可能性があるホストによる行為

・ホストによる仕事紹介が職業安定法違反以外で問われる可能性のある罪

・【2025年風営法改正】悪質ホスト規制のポイント

などについてわかりやすく解説する。

性風俗店へのあっせんで職業安定法違反の疑いをかけられたときは、すぐに弁護士に相談することをおすすめする。

ホストが女性客を風俗店にあっせんする行為は職業安定法違反

近年、ホストクラブなどで入店時の説明とは異なる高額な料金の請求やホストへの恋愛感情を利用して女性客に高額な注文をさせるなど悪質な行為が観取されている。

また、高額請求に対し支払ができない女性客が売掛金、立替金などの名目で多額の借金を背負わされ、当該借金の返済のために売春や性風俗店で稼働させられるといった事案が発生しており深刻な社会問題となっている

その過程でホストによる性風俗店へのあっせんや売春のあっせんなどが行われているが、このような行為は職業安定法に違反する行為である。

※関連コラム「スカウトは職業安定法違反?罰則、判例、逮捕事例含めて徹底解説!」

※関連コラム「性風俗店は「有害な業務」(職業安定法)か!? スカウト・風俗店逮捕事例・判例を弁護士が解説!」

職業安定法違反の可能性があるホストによる行為

職業安定法違反の可能性があるホストによる行為

職業安定法63条では、マインドコントロールによる紹介と有害業務目的紹介という2つ行為を規制している。以下では、ホストによる仕事紹介が職業安定法で規制する2つの類型に該当する可能性のある行為を説明する。

マインドコントロールにより精神的自由を拘束し、仕事を紹介すること

職業安定法63条1号は、いわゆるマインドコントロールにより精神的事由を不当に拘束して、借金返済のために仕事を紹介する行為を禁止している。

ホストクラブでは、女性客の恋愛感情につけ込んで高額な飲食の注文をさせるなどの行為が問題になっている。ホストに対して恋愛感情を抱いている女性客は、ホストから頼まれると断ることができず、高額な売掛金を背負ってしまうのである。

ホストも女性客が自分に恋愛感情を抱いており、自分の頼みなら断れないこと知っているため、売掛金の回収のために仕事を紹介することがあるが、このような行為は職業安定法違反となる。

職業安定法63条1号は、紹介した仕事の属性ではなく、当事者同士の関係性に着目した規制であるのがポイントだ。

ポイント説明
何が禁じられているかマインドコントロール等で精神的自由を奪い、借金返済を名目に仕事を紹介する行為。
ホストクラブで起こる典型例ホストが女性客に売掛金を負わせ、返済手段として仕事を紹介する。
なぜ違法になるか支配的関係性に着目。精神的自由を侵害する職業紹介は職業安定法で禁止。
実務上の注意点一般バイトでも心理的拘束があれば違法。断れない状況の利用は法違反。

 

性風俗や売春などの仕事を紹介すること

職業安定法63条2号は、性風俗や売春などの有害業務の紹介をする行為を禁止している。これを一般的に「有害業務目的紹介」と呼ぶ。

ホストがホストクラブで高額な売掛金を抱えて支払いができなくなった女性客に対して、ソープランドやデリヘルの紹介、アダルトビデオへの出演、売春のあっせんなどをすると職業安定法違反となる。

職業安定法63条2号は、当事者の関係性ではなく紹介した仕事の属性に基づく規制であるのがポイントだ。

 

ホストによる仕事紹介が職業安定法違反になった場合の罰則

ホストによる仕事紹介が職業安定法違反になった場合の罰則

ホストによる仕事紹介が職業安定法違反に該当する場合、1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金が科される。

なお、2023年検察統計によると、職業安定法違反で起訴された事件は35件あるが、そのうち略式命令請求となったのが24件であるため、少なくとも約69%の事件が罰金刑で終わっているということがわかる。

※関連コラム「職業安定法違反で実刑を回避するための5つのポイントを解説」

 ホストによる仕事紹介が職業安定法違反以外で問われる可能性のある罪

 ホストによる仕事紹介が職業安定法違反以外で問われる可能性のある罪

ホストによる仕事紹介は、職業安定法以外にも以下のような罪に問われる可能性がある。

犯罪収益防止法違反

組織犯罪処罰法とは、正式名称を「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」といい、一定の組織犯罪を行った場合の刑罰を重くし、組織犯罪により得られた収益の没収・追徴などを定めた法律である。

性風俗に女性を紹介し、その見返りとして売春の売上の一部を受け取る「スカウトバック」は、組織犯罪処罰法の犯罪収益等収受の罪に該当するため、3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその両方が科される。

 

売春防止法違反

売春防止法では、売春の勧誘や斡旋行為が禁止されている。

売春とは、報酬金などの対価を受けまたは対価を受ける約束で、不特定の相手方と性交することと定義されている。たとえば、ホストが売掛金の回収のために女性客に売春の斡旋をするような行為は売春防止法にあたる可能性がある。

実際の事例でもホストが売掛金回収のために女性客に立ちんぼを教唆したとして売春防止法違反で逮捕されたものがある。

東京・歌舞伎町の大久保公園周辺で女性に売春の客待ちをさせたとして、警視庁はホストの男(25)を売春防止法違反(客待ち)の教唆容疑で逮捕した。男は容疑を認め、「自分の売り上げや指名数を上げるため、女性客をそそのかした」と話しているという。

保安課によると、男は、自身が働くホストクラブの女性客(23)に対し、「生活費に困っているなら立ちんぼしてみなよ」「立ちんぼで稼いだら、店でも会えるし(売掛金の)返済もできる」とそそのかし、大久保公園近くの歩道上で売春の客待ちをさせた疑いがある。

女性は、巡回中の警察官に同法違反容疑で現行犯逮捕され、その後ホストの男にそそのかされて仕方なく売春をやった、という趣旨の供述をしていた。逮捕されるまでの約40日間にわたり客待ちを続ける一方で男のホストクラブにも連日通い、常に20万円程度の売掛金を抱えていた、とも説明。売春による売り上げの8割をその支払いとして男に渡していたという。

(引用:朝日新聞)

歌舞伎町で「立ちんぼ」させた疑い ホストの男、売掛金回収目的か

なお、売春の勧誘をすると6か月以下の懲役または2万円以下の罰金に処せられ、売春の斡旋をすると2年以下の懲役または5万円以下の罰金に処せられる。

 

各都道府県の迷惑防止条例違反

各都道府県の迷惑防止条例では、公共の場所において、風俗、キャバクラ、AVなどへの勧誘行為をすることが禁止されている。これらの風俗関連業種以外でも執拗な勧誘行為は、迷惑防止条例違反となる。

具体的な罰則は、都道府県により異なるが、たとえば東京都の迷惑防止条例に違反すると50万円以下の罰金または拘留もしくは科料が科され、常習の場合にはこれに6か月以下の懲役が加わる。

※関連コラム「職業安定法違反で逮捕されるケースとは?逮捕されたらすぐに弁護士へ」 

職業安定法違反行為はホストクラブへの行政処分の対象

ホストが職業安定法違反となる行為をした場合、ホストに対する刑事処分だけではなくホストクラブも行政処分を受ける可能性がある。

行政処分の種類には、指示処分、営業停止、許可の取り消しの3種類あるが、職業安定法違反は、もっとも重い違反類型に該当するため、一発で許可の取り消しの対象となる。売掛金の回収のためにホストクラブの店長やオーナーがホストに対して、女性客を性風俗店にあっせんするなどの指示をしていた場合、風俗営業の許可取り消しによりホストクラブの営業ができなくなってしまう点に注意が必要だ。

 

ホストが職業安定法違反で逮捕された実際の事例

ホストが職業安定法違反で逮捕された実際の事例

以下では、ホストが職業安定法違反で逮捕された実査の事例を紹介する。

ホストの男ら女性客に性風俗店紹介疑いで逮捕

ホストクラブの売掛金の支払いが困難になった20代の女性客に性風俗店を紹介し働かせたとして、神奈川県警は、職業安定法違反(有害業務目的紹介)の疑いで、横浜市中区のホスト(26)と、同市南区のホストクラブ従業員(33)を逮捕した。

県警によると、女性は2023年6月ごろから横浜市内のホストクラブに通い始め、容疑者のホストを指名。性風俗店で勤務し、1年ほどの間に売掛金として計約500万円を支払わされた。

逮捕容疑は、女性を県内の性風俗店に紹介し、雇用させた疑い。

(引用:山陽新聞)

ホストの男ら2人逮捕、横浜 女性客に性風俗店紹介疑い

 

売掛金抱えた女性客を風俗店にあっせんした疑いでホストクラブ社長ら逮捕

ホストクラブの売掛金支払いが困難になった20代の女性客を性風俗店に紹介し働かせたとして、愛知県警は、職業安定法違反(有害業務目的紹介)の疑いで、名古屋市西区則武新町のホストクラブ運営会社社長(36)ら5人を逮捕した。

組織犯罪特別捜査課によると、他に逮捕されたのは、同市東区代官町の会社役員(36)と同市中区栄の風俗店店長(30)ら。会社役員の容疑者は女性を風俗店に紹介するスカウトグループのリーダー。風俗店店長の容疑者は女性客の担当ホストで、ホストクラブ運営会社社長の容疑者がグループに紹介を依頼したという。

女性は、本田容疑者が経営するホストクラブで50万~60万円程度の売掛金を抱えた。性風俗店に紹介され、約6カ月間働いた。

逮捕容疑は共謀して、女性を同市中区の店舗型性風俗店に紹介し、雇用させたとしている。

(引用:産経新聞)

売掛金抱えた女性客を風俗あっせんか ホストクラブ社長ら逮捕

※関連コラム「風営法違反の事例や裁判例を風営法に強い弁護士が徹底解説」

【2025年風営法改正】悪質ホスト規制のポイント

 

ホストクラブの女性客が高額な料金を請求され、その返済のために売春などを強要される「悪質ホストクラブ問題」を受けて、2025年3月7日、風営法の改正案が閣議決定された。以下では、改正風営法における悪質ホスト規制のポイントを説明する

 

売掛金回収のために客に売春などを求める行為の禁止

ホストクラブなどの風俗営業(1号営業)に関して、以下の遵守事項が追加される。

・売掛金を支払わせる目的で威迫・困惑させる行為

・威迫等をして料金支払等のための売春、風俗、AV出演等の要求

これは、ホストが高額な売掛金を抱えた女性客を性風俗店などにあっせんする被害が増えていることを受けた改正内容である。これに違反すると、6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される。

 

恋愛感情を利用した色恋営業の禁止

ホストクラブの女性客が高額な売掛金を抱える原因の一つがホストによる恋愛感情を利用した色恋営業がある。

改正風営法では、ホストクラブなどの風俗営業(1号営業)の遵守事項として、恋愛感情を利用した色恋営業の禁止が追加される。

このような色恋営業を行ったホストクラブに対しては、営業停止などの行政処分がなされることになる。

料金の虚偽説明の禁止

ホストクラブなどで入店時の説明とは異なる高額な料金を請求されることも女性客が高額な売掛金を抱える原因の一つである。そこで、改正風営法では、料金の虚偽説明の禁止がホストクラブなどの風俗営業(1号営業)の禁止事項として追加される。

これに違反した場合は、営業停止などの行政処分の対象となる。

 

注文指定していないドリンクなどの提供禁止

改正風営法では、ホストクラブなどの風俗営業(1号営業)に対して、注文していないドリンクなどの提供禁止が遵守事項として追加される。これは、女性客が注文をしていないのにホストが勝手に高額なドリンクなどを注文し、高額な売掛金を抱える事態を防ぐことが木できである。

これに違反した場合は、営業停止などの行政処分の対象となる。

※関連コラム「風営法改正案【2025年】の内容を弁護士が条文に照らして徹底解説!」

ホストによる職業紹介で職業安定法違反の罪に問われたときはグラディアトル法律事務所に相談を

https://www.gladiator.jp/fuzoku-komon/contact/

ホストクラブの女性客を性風俗店などにあっせんする行為は、職業安定法違反に該当し逮捕される可能性がある。また、ホストクラブに対しても許可取り消しなどの重い行政処分が下される可能性もある。そのため、職業安定法違反の疑いをかけられたときは、すぐに弁護士に相談して今後の対応を考えていかなければならない。

ただし、弁護士であれば誰でもよいというわけではない。このような事案に対応するにはナイトビジネス業界に関する知識や理解のある弁護士でなければ対応は困難であるため、ナイトビジネス業界に特化した弁護士に相談すべきである。

グラディアトル法律事務所では、ナイトビジネス業界で全国1000件以上の解決実績があり、500店舗以上の風俗店の顧問弁護士を担当しているなど、ナイトビジネス業界に特化した弁護士事務所といえる。性風俗店へのスカウトなどの職業安定法違反の弁護経験も豊富であるため、少しでも有利な処分を獲得したいなら、ぜひ当事務所の弁護士に任せてもらいたい。

当事務所では、24時間365日受付をしているため、深夜にスカウト行為をして逮捕されたという場合でも対応が可能だ。刑事事件はスピード勝負といわれるように初動対応の早さがポイントになるため、一刻も早く当事務所まで連絡してほしい。

 

まとめ

ホストクラブで高額な売掛金を抱えた女性客を性風俗店などにあっせんする行為は職業安定法に違反する違法な行為である。悪質なホストクラブによる売掛金トラブルが社会問題になっており、ホストによる違法な職業紹介も徹底的に取締りが行われている状況である。

万が一、職業安定法違反の疑いをかけられてしまったときはすぐに弁護士が対応する必要があるため、ナイトビジネス業界に特化したグラディアトル法律事務所まで早めに相談してもらいたい。



弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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