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スカウトの違法性/組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)での逮捕事例

弁護士 若林翔 2021/06/27更新

スカウト会社やスカウトマンが逮捕される事件は多いが、その多くは、各都道府県の迷惑防止条例違反か、職業安定法違反(有害業務の紹介)だ。

今回紹介する逮捕事例では、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)での逮捕事例で、同罪での立件は全国で初めてだという。スカウト会社所属のスカウトマンに女性を紹介した女が逮捕されている。

紹介の流れとしては以下の通りになる。

逮捕の女→スカウトマン→ソープランド

まずは、ニュースを見てみよう。

風俗紹介・組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)で逮捕された事例

性風俗店の紹介料を犯罪収益と認定、収受罪で初立件 警視庁

性風俗店で働かせることを知りながら知人女性をスカウト会社の男に紹介し、男が得た収益の一部を紹介料名目で受け取ったとして、警視庁生活安全特別捜査隊などは、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)の疑いで、東京都足立区梅田、無職、〇〇容疑者(23)を逮捕した。

性風俗店などからの紹介料を犯罪収益ととらえ、その受け取りに関して犯罪収益等収受で立件したのは全国初。〇〇容疑者は「覚えていない」と容疑を否認しているという。

逮捕容疑は昨年9~11月、知人のスカウト会社の男が女性を性風俗店に紹介して働かせていることを知りながら、20代の知人女性4人を男に紹介し、男がその女性を店に紹介することで得た収益の一部計3万1千円を、紹介料名目で受け取ったとしている。

生特隊によると、今年2月に別の事件で逮捕されたスカウトの携帯電話を解析したところ、〇〇容疑者が浮上した。

2021,6,23 産経新聞 https://news.yahoo.co.jp/articles/b9fa2da625b96fee6d4f7fc4b5a16efb539da5c6

スカウトの逮捕・違法性と職業安定法違反(有害業務の紹介)

そもそも、性風俗のスカウト行為は、職業安定法違反(有害業務の紹介)ということで逮捕されることが多い。

第六十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
2号 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者

職業安定法 より

職業安定法は、「有害な業務」についての職業紹介を禁止しており、1年以上10年以下の懲役、20万円以上300万円以下の罰金を定めている。

そして、風俗店におけるキャストの業務について、裁判例では、たとえ風営法上の届出を出して適法に営業している店舗であったとしても、その業務は「有害な業務」に該当すると判断されている

性風俗と「有害な業務」の関係性についての詳細は、以下の記事も参照してほしい。

性風俗店は「有害な業務」(職業安定法)か!? スカウト・風俗店逮捕事例・判例を弁護士が解説!

以上のことから、ソープランドに女性を紹介したスカウトマンについて、職業安定法違反(有害業務の紹介)に該当する。このスカウトマンはすでに逮捕されているとのことなので、おそらく職安法違反で逮捕されているのだろう。

そして、風俗のスカウトの逮捕事例においては、風俗店に女性を紹介するスカウトに対して、女性を紹介する仲介会社が職安法で逮捕されている事例もある。

スカウトと仲介会社が共犯として女性を風俗店に紹介したという構造だ。

そして、この理屈は、今回、スカウトマンに女性を紹介して逮捕された女についても該当するだろうから、職安法による逮捕も可能だったのだろうと考える。

スカウトの違法性・逮捕事例については、以下の記事も参照してほしい。

スカウトの違法性と逮捕事例 風俗・水商売のスカウトマン,スカウト会社が逮捕!?

 

組織犯罪処罰法とスカウトの逮捕について

前述したように、風俗店のスカウトの仲介会社の逮捕事例のように、スカウトに紹介をした人についても、スカウトとの共犯として、職業安定法違反(有害業務の紹介)として逮捕することが可能だ。

では、なぜ、今回は組織犯罪処罰法により逮捕したのだろうか?

どうして風俗への紹介料が犯罪収益にあたり、組織犯罪処罰法に違反するのだろうか?

組織犯罪処罰法とは、組織的な犯罪に対する刑罰の加重、犯罪収益の収受やマネー・ローンダリングの処罰、犯罪収益の没収・追徴などについて定めた法律だ。

犯罪収益とは、財産上の不正な利益を得る目的で犯した特定の罪の犯罪行為により生じ、若しくは当該犯罪行為により得た財産又は当該犯罪行為の報酬として得た財産をいう。

そして、組織犯罪処罰法が定める特定の罪の中には、売春防止法違反(周旋など)が規定されている。

今回の事件では、ソープランドに紹介しているところ、ソープランドの営業は売春防止法違反(周旋など)に該当すると考えられる。

ソープランド、風俗店と売春防止法での逮捕事例になどについての詳細は、以下の記事を参照してほしい。

売春防止法違反(場所提供)でソープランド経営者ら逮捕!弁護士解説

 

すなわち、今回の事件では、売春防止法に違反する犯罪行為により生じたソープランドの売り上げという犯罪収益を収受したとして、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)で逮捕されたと考えられる。

(犯罪収益等収受)
第十一条 情を知って、犯罪収益等を収受した者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。ただし、法令上の義務の履行として提供されたものを収受した者又は契約(債権者において相当の財産上の利益を提供すべきものに限る。)の時に当該契約に係る債務の履行が犯罪収益等によって行われることの情を知らないでした当該契約に係る債務の履行として提供されたものを収受した者は、この限りでない。

(定義)
第二条
2 この法律において「犯罪収益」とは、次に掲げる財産をいう。
一 財産上の不正な利益を得る目的で犯した次に掲げる罪の犯罪行為(日本国外でした行為であって、当該行為が日本国内において行われたとしたならばこれらの罪に当たり、かつ、当該行為地の法令により罪に当たるものを含む。)により生じ、若しくは当該犯罪行為により得た財産又は当該犯罪行為の報酬として得た財産
イ 死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪(ロに掲げる罪及び国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号。以下「麻薬特例法」という。)第二条第二項各号に掲げる罪を除く。)
ロ 別表第一(第三号を除く。)又は別表第二に掲げる罪

別表第二(第二条関係)
二十一 売春防止法第六条第一項(周旋)、第七条(困惑等による売春)又は第十条(売春をさせる契約)の罪

組織犯罪処罰法(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律

では、なぜ、今回、職業安定法(有害業務の紹介)ではなく、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)で逮捕されたのだろうか?

組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)の罪よりも、職業安定法違反(有害業務の紹介)の罪の方が重い。

職業安定法違反の場合には、スカウトとの間の共犯関係を立証する必要があるが、そこの立証が難しかったのだろうか?

ただ、ソープランドに紹介するということを知っていなければ、組織犯罪処罰法違反も成立しないだろうし、そこを知って紹介をしていたのであれば、職安法違反の共犯関係も立証できそうなものだが。

単に、警察が「組織犯罪処罰法で初摘発!」ってやりたかっただけのようにも思える。。。

なお、ガールズバーやキャバクラ、ホストクラブが無許可営業で逮捕される場合にも、この組織犯罪処罰法が適用される事例がある。

組織犯罪処罰法と風営法について。無許可営業で水商売経営者逮捕された事例に照らして

 

まとめ

正直なところ、今回のソープランドに女性を紹介したスカウトに対して、女性を紹介して逮捕された今回の風俗紹介・組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)の事例は、全国初の立件だけあって、今後の影響については予測しきれないところがある。

今後の逮捕・摘発に積極的に利用される可能性もなくはないだろう。

ただ、本来は職安法で逮捕・起訴すべき事例だろうし、わざわざ組織犯罪処罰法を適用するメリットも思いつかない。

そのため、異例のケースとして、この事件が他の事例から浮くようなことになるかもしれない。。。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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