不倫相手に別れを告げたところ、脅迫・ストーカー行為に発展・・・

既婚女性が不倫相手に別れを告げたところ、関係継続を求めるため脅迫・ストーカー行為に及ばれた事案。
無事解決に導くことができたので紹介いたします。

不倫相手から脅迫・ストーカー行為に至るまでの経緯

相談者は東京港区在住で40代前半の既婚女性。

結婚してから十数年間、家庭では夫も仕事がずっと忙しく、相談者も家事や育児に明け暮れていた毎日。

そして子供を産んでからというもの、いわゆるセックスレスとなり夫が一人の女性として見てくれていない寂しい気持ちを感じていました。

そんな相談者にとっては、ネットサーフィンをすることが唯一の楽しみ。
子供も中学生になり、育児もある程度落ち着いたことで自分の時間ができ、何気なく“出会い系アプリ”を利用し始めことに。

利用を始めて数日、ある映画の話で1人の男性と意気投合。
話の流れから、今後はアプリではなく、LINEでやり取りしようということに。
LINEのIDを男性から教えてもらい、連絡を取り合うことになりました。

LINEでやり取りをはじめて1週間後、男性から「どうせならお食事しながら話しませんか」との誘いが。
しかし、夫や子供に対して後ろめたさを感じてしまい、返答を迷っていました。

すると男性から、「言ってなかったけど結婚しているし、心配するようなことはないから」と。
それを受け相談者は「実は私も」と伝えて、食事だけとの気持ちで誘いを受けることに。

当日、新宿駅東口の駅前で待ち合わせをし、歌舞伎町周辺の居酒屋へ。
最初は何気ない話をしていましたが、お酒が進んでいくにつれ、お互いに家庭の悩みや不満を語り合う流れに。
その中で、男性も相談者と同様、配偶者とセックスレスであると打ち明けられ、共感を覚えました。

そんな最中、店からもうすぐ2時間となるので、席を空けてほしいと。

ともに話し足りないと感じていたこともあり、自然と2軒目に行こうとの話になりました。
2軒目を探し歩いていると、場所柄ラブホテルが目の前に。
そして男性から、「今回限りの関係でもいいから」とアプローチが。

相談者は悩んだものの、一人の女性として見てくれた嬉しさと酔いも回っていた勢いで男性と不倫に及んでしまいました。
その後も結局は、月に1回ぐらいの頻度で会い、肉体関係を重ねることに。

そんなある日、ふと見ていたテレビから “W不倫が原因で家庭崩壊したとの芸能人のニュース”が。
相談者は自らの立場と重ねて考え、”いつか夫や子供にバレてしまう”のではないかと不安を覚え始めました。
もしそうなればニュースの芸能人と同様、夫とは離婚、子供からも見放されるなど家庭崩壊しかねないと。

そんな不安や家族への罪悪感から、不倫関係は終えようと考え「もう会えない」と男性にLINE。
すると男性からは「どうしてももう一度会って話がしたい」と。
相談者としてはもう会うつもりがなかったので、いわゆる既読スルー状態で放置していました。

そのことに男性は腹を立てたのか、「会わなければ、君との関係を家族にバラすぞ!ネットに公開するぞ!!」との脅し文句が。

相談者は家族バレを避けるべく、「それはやめてください。ただ本当にもう会えないし、連絡も取れない」と返信。
しかし男性からは「どうしても会いたい。会うためならば自宅に行くことも辞さない!」「君との関係を継続できるなら自分の家庭を手放すこともいとわない!」などのLINEが連日にわたり何度も送られてきました。

相談者は恐怖を覚え、このままではいずれ男性が本当に自宅に来たり、不倫関係をネットに公開しかねないと。
そうなれば家庭崩壊が現実のものになってしまうと思い、あわてて対応策がないか調べていたところ“脅迫・恐喝トラブル”での解決実績がある当事務所を見つけ、無料相談に来られました。

事実確認から対応策の検討

まず「家族に不倫関係をバラす、ネットに公開する」などの発言は脅迫罪や名誉毀損罪に該当する可能性があると説明。

(脅迫)
第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

刑法より

(名誉毀損)
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

刑法より

関連記事:脅迫の特徴と対応について

また「もう会えない」「連絡も取れない」と関係を終わらせるよう伝えたが、何度も「会うためならば自宅にも行く」「どうしても会いたい」など交際継続を無理に続けようとしていることはいわゆるストーカー行為に該当する可能性があるとも。

(定義)
第二条 この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
三 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
五 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。

ストーカー行為等の規制等に関する法律より一部抜粋

そこで、警察に相談することは1つの手段ではあると伝えました。

ただ、現実問題、実際に行動に起こしていないケースでは刑事事件として取り扱ってくれない場合も多く、所轄の警察次第と言わざるを得ないところがあると案内。
くわえて、仮に刑事事件として取り扱ってくれた場合にも、大ごとにしたことに対する逆上リスクもあり得ることも告知しました。

それゆえ、まずは弁護士が代理人として相手方に対し、当該行為は犯罪に該当し得る行為であると伝える一方で、今後一切行わないのであれば警察沙汰にしないとの約束を取り付けに行く解決策を提案。
なお伝える内容としては、もしそれでも脅迫やストーカー行為を続けるのであれば、被害届の提出や刑事告訴など法的措置を取らざるを得ないとの警告も含みますと。

相談者としては警察への相談も考えたものの、やはり不倫していたことは言いづらく、弁護士で解決できるならとご依頼を受けることに。

今回、相手方と連絡する手段としては、LINEのIDがわかるとのことだったので、まずは弁護士の事務所用携帯からLINEでPDF化した書面を送ることに。

実際に行動に出ることを阻止するべく、一刻も早く連絡する必要があるからです。

以上の方針で、事件に着手することに。

事件の着手から解決に至るまで

弁護士は、早速書面を作成。

内容としては、依頼者への接触を禁止することを前提に「家族に不倫関係をバラす、ネットに公開する」や「自宅に行ってでも会いたい」等の言動は、脅迫罪、名誉毀損罪、ストーカー行為の規制等に関する法律違反に該当する可能性があり、当該行為を止めていただくよう伝え、それでも継続する場合は被害届や刑事告訴など法的措置を取らざるを得ないとのもの。

依頼者に確認をしてもらい、問題ないとのことだったので、相手方にLINEにて送付。

すると相手方からは、当日中に
「内容拝見しました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。どのような話になっているかわかりませんが、今後は一切連絡を致しませんので、その旨、お伝えください。」との返答が。

なお念のため1か月様子を見たものの、そのまま何もなく結果として家族バレせずに無事解決に至りました。

今回の事例に即した弁護士からのコメント

今回のケースは、不倫相手に関係解消を求めたところ応じてもらえず、むしろ不倫関係を継続させるべく脅迫・ストーカー行為被害に遭った事案でした。

不倫をはじめ男女関係においては、その関係性がこじれると思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
特に恋愛感情が絡むことから、理性ではわかっていたとしても冷静な判断や行動をとることができず、衝動的な言動に走ってしまう側面が否定できません。

それゆえ対応を誤れば、逆上・暴走するリスクがあることから、事情や相手方を踏まえたうえで慎重に対応することが求められます。

したがって、第三者である弁護士が冷静に状況分析し、様々なケースを想定して柔軟に交渉していくことは1つの対応手段といえます。

脅迫・恐喝の原因や弁護士相談のメリットについてまとめた記事もよければご参照ください。
関連記事:脅迫・恐喝被害を解決するために

最後に、脅迫・恐喝トラブルでお悩み・お困りの方は遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。