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風俗店経営者が自分の店に女の子をスカウトして職業安定法違反で逮捕!

弁護士 若林翔 2019/08/30更新

またまた職業安定法(職安法)での逮捕ニュースだ。

ここ最近の風俗関係での職安法での逮捕事案は,スカウト会社に所属するスカウトや,スカウトを使用した風俗店などスカウトがらみの事件が多かった。

今回は風俗店の経営者が自分が経営する店に女の子を勧誘して逮捕された事例だ。

なお,スカウトの違法性,スカウトマンが逮捕された事例については,以下の記事を参考にしてほしい。

SNSでも違法!スカウトを縛る3つの法律と逮捕事例・逮捕後の流れ

風俗店経営者が職安法違反で逮捕されたニュース

中洲の風俗店経営者ら、職業安定法違反の疑いで逮捕
福岡県警は8月26日、職業安定法違反(有害業務の募集)の疑いで、福岡市南区在住の会社経営者ら3名を逮捕した。

逮捕されたのは、風俗店経営者・◯◯容疑者(44)、風俗店従業員・◯◯容疑者(30)、系列店の元従業員・◯◯容疑者(21)。

調べによると、◯◯容疑者らは2018年12月15日、福岡市南区大橋にある飲食店で、同市南区に住む女性(当時25)を、◯◯容疑者が経営する中洲1丁目の風俗店業務に従事させる目的で勧誘した疑いがもたれている。この行為が、職業安定法第63条第2項に定められている「公衆衛生または公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集もしくは労働者の供給を行った」とみなされ、今回の逮捕に至った。

https://www.data-max.co.jp/article/31197

職安法の有害業務と風俗についてのニュース解説

ここ数年,スカウトがらみでの逮捕事例がニュースを騒がせていることから,デリヘル等の風俗店経営者の間でも,風俗のスカウトが職安法に違反することは認知されてきているように感じる。

なぜ,風俗へのスカウト行為が違法かというと,風俗という仕事が職安法で規定している「有害な業務」と解釈されているからだ。そのような判決をした裁判例もある。

「こちとら,風営法に従い適法に届出を出して,適法に運営しとるんぢゃい!」との反論が聞こえてきそうだが,現状は裁判例があることからか,そのように運用されている。

風俗も適法で立派な仕事だ!

有害業務ではないんだ!と,いつか最高裁で主張したい。。。

なお。風俗と「有害な業務」については,以下の記事で詳細に書いているので,参照して欲しい。

ここでは,「有害な業務」とは,社会一般の道徳観念に反する業務をいい,労働者保護,善良な風俗の保護という観点から,判断される。と定義している。

性風俗店は「有害な業務」(職業安定法)か!? スカウト・風俗店逮捕事例・判例を弁護士が解説!

 

今回の事件では,スカウト云々ではなく,風俗店の経営者が自分の店に女の子を勧誘した事案だ。

職業安定法は,「公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者」について,罰則を定めている。

スカウトマンがおこなう職業紹介だけでなく,労働者の募集をも禁じているのだ。

この法律を素直に読むならば,適法な風俗店がキャストを募集する求人広告も違法となる

とはいえ,それらすべてを逮捕するわけにもいかないので,現状は,風俗ではないと偽って求人を出したような場合など,悪質な場合に逮捕されているケースが多い。

この点について、判例は、有害業務についての労働者の「募集」といえるためには、単なる求人募集や、応募してきた人への仕事内容の説明や契約締結に必要な手続きでは足りず、これを超える積極的な働きかけが必要であると解釈している。

当該判例については、以下の記事を参照して欲しい。

【職業安定法・有害業務の募集の判例解説】求人サイトでの募集も違法!?セクキャバの逮捕事例

今回の事件の詳細は不明だが,「飲食店で勧誘」しているとのことで,通常の求人ルートではなかったのだろう。また、その中で、積極的な勧誘行為があったのかもしれない。

逮捕理由は,その女性とのトラブルがきっかけか,悪質な風俗店として警察にマークをされていたのかなのではないだろうか。

 

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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