「風営法違反で営業停止になる可能性のある行為とは?」
「風営法違反で営業停止になった場合の期間はどのくらい?」
「風営法違反の行政処分にはどのような種類がある?」
風営法違反をした場合のペナルティには、主に行政処分と刑事処分の2種類がある。このうち行政処分には、「指示処分」「営業停止」「許可の取り消し」の3種類があり、違反行為ごとに対象となる処分や処分の重さなどが決められている。
風営法違反で業務停止処分になると一定期間営業を行うことができなくなるため、お店の経営にとって大きな打撃となる。風営法違反となる行為をしないことが重要であるが、万が一風営法違反をしてしまった場合に備えて、どの程度の営業停止期間になるかを把握しておくべきだろう。
本記事では、
・風営法違反で営業停止になる可能性のある行為
・風営法違反の3種類の行政処分
・風営法違反行為に応じた営業停止期間
についてわかりやすく解説する。
風俗営業店の経営に関わる方にとって、風営法違反の営業停止処分はしっかりと押さえておかなければならない事項であるため、本記事をぜひ参考にしてみてほしい。

風営法違反で営業停止になる可能性のある行為にはさまざまなものがあるが、代表的な違反行為を挙げると以下のようなものがある。通常は、指示処分がなされ、指示処分に違反した場合に営業停止処分となるが、違反行為の態様が悪質なものについては、指示処分を行わず、営業停止になることもある。
名義貸しとは、風営法の許可を得た者が他人に名義を貸して風俗営業等をさせる行為である。
風営法違反の前科がある人は、自分では許可をとることができないため、別の人の名義で風営法の許可をとり営業するという形で名義貸しが行われるケースが多い。
このような名義貸し規制に違反した場合、営業処分の対象になる。
風営法では、風俗営業を行う店に18歳未満の客の立ち入りを禁止している。
また、深夜酒類提供飲食店営業を行う店については、午後10時以降の未成年者の立ち入りが禁止されている。
ただし、深夜酒類提供飲食店営業の店については、保護者同伴であれば午後10時以降の立ち入りも可能である。
このような未成年者の入店規制に違反した場合、営業停止処分の対象になる。
風営法では、キャバクラ・ホストクラブ・スナックなどの風俗店やガールズバー・居酒屋など深夜営業の飲食店について、以下の客引き行為を禁止している。
・営業に関し客引きをすること
・営業に関し客引きをするために道路などで立ちふさがりまたはつきまとうこと
ただし、ガールズバーや居酒屋などの深夜営業の飲食店については、午前0時以降の客引き行為が規制対象となる。
このような違法な客引き行為をした場合、営業停止処分の対象になる。
風営法では、18歳未満の従業員に「接待」させることを禁止している。また、「接待」に該当しなくても午後10時から翌午前6時までの間に18歳未満の従業員を客と接する業務につかせることも風営法違反となる。
このような未成年者による接待等があった場合、営業停止処分の対象になる。
風営法の許可申請をする際に申請書に虚偽の記載をするまたは添付書類に虚偽の記載をするなどの行為をすると風営法違反となり、営業停止処分の対象になります。

風営法に違反する行為をすると、刑事処分とは別に行政処分を受ける可能性がある。その場合の行政処分には、「指示処分」「営業停止」「許可取り消し」の3種類がある。
・指示処分……違法行為を改善するための指示
・営業停止……営業の全部または一部の停止を命じる処分
・許可取り消し……許可が取り消され、今後5年間新たに許可を受けられない
以下では、それぞれの処分について詳しくみていこう。
指示処分とは、違法行為や不適正な行為を是正するために事業者に対して指示を命じる処分である。風営法違反の行政処分の中でももっとも軽い処分にあたる。
指示処分で済めばそれほど影響はないが、指示処分に従わなかった場合は、より重い営業停止や許可の取り消しになるため注意が必要だ。
営業停止とは、風営法に違反した事業者に対して一定期間営業を停止させる処分である。
営業停止期間中は、お店を開けることができないため売り上げの大幅な減少となり、経営にとって大打撃となる。
営業停止処分を受けたにも関わらず、営業を行った場合、許可の取り消しとなる可能性があるため注意が必要だ。
許可の取り消しとは、風営法の許可を得て営業をしている事業者に対して、その許可を取り消す処分である。風営法違反の行政処分の中でももっとも重い処分にあたる。
風営法の許可の取り消しを受けた事業者は、取り消された日から5年を経過しなければ新たに風営法の許可をとることができない。
なお、2025年11月28日に改正風営法が施行され、風俗営業の欠格事由の範囲が拡大し、以下の欠格事由が追加されることになった。
・親会社等が許可を取り消された法人
・警察による立入調査後に許可証の返納(処分逃れ)をした者
・暴力的不法行為等を行うおそれがある者がその事業活動に支配的な影響力を有する者
これによりホストクラブのグループ店舗も欠格事由に該当し、グループ会社や関連会社の許可が取り消される可能性がある点に注意が必要である。
風俗営業を営む者が風営法に違反した場合の営業停止期間と違反行為をまとめると以下のようになる。
| 違反行為 | 営業停止期間・営業許可取り消し(風俗営業) |
|---|---|
| ・無許可風俗営業 ・年少者(18歳未満)の接待・接客業務従事 ・不正の手段による許可・承認の取得 ・名義貸し禁止違反 ・構造、設備の無承認変更(重大なもの) ・人的欠格事項への該当(8条取消事由) | A:営業許可取消し |
| ・客引き・スカウト行為 ・年少者(18歳未満)の立ち入らせ禁止違反 ・20歳未満の者への酒類・たばこ提供 ・広告宣伝規制違反 ・客の正常な判断を著しく阻害する行為の規制違反 ・客の正常な判断を著しく阻害する行為に対する指示処分違反 ・営業停止命令違反 | B:40日以上 180日以下(基準期間90日) |
| ・営業時間制限違反 ・広告宣伝規制以外の指示処分違反 ・許可に付された条件への違反 | C:20日以上180日以下(基準期間40日) |
| ・広告宣伝規制違反 ・構造、設備の維持義務違反 ・従業者名簿の備付け・記載義務違反 ・従業者の生年月日等の確認義務違反 ・騒音、振動規制違反 | D:10日以上80日以下(基準期間20日) |
| ・照度規制違反 ・料金表示義務違反 ・年少者立入禁止表示義務違反 | E:5日以上40日以下(基準期間14日) |
| ・変更届出義務違反 ・管理者選任義務違反 | F:5日以上20日以下(基準期間7日) |
| ・許可証亡失等の届出義務違反 ・許可証等の掲示義務違反 | G:営業停止命令を行わないもの |
以下の風営法違反行為をすると営業許可取消しとなる可能性がある。
・無許可風俗営業
・年少者(18歳未満)の接待・接客業務従事
・不正の手段による許可・承認の取得
・名義貸し禁止違反
・構造、設備の無承認変更(重大なもの)
・人的欠格事項への該当(8条取消事由)
営業許可取消しについては、量定がAである処分事由がある場合及び常習犯等で量定の長期が 180 日に達した場合で、加重すべき事由が複数あり、又はその程度が著しい等の事情から、再び法令違反行為を繰り返すおそれが強い等営業の健全化が期待できないと判断されるときに行うものとされている。
なお、無許可営業について、本質的に適法な営業を観念できないことから行政処分の対象ではないとの考え方もある。
以下の風営法違反行為をすると40日以上180日以下の営業停止命令となり、基準期間は90日である。
・客引き・スカウト行為
・年少者(18歳未満)の立ち入らせ禁止違反
・20歳未満の者への酒類・たばこ提供
・広告宣伝規制違反
・客の正常な判断を著しく阻害する行為の規制違反
・客の正常な判断を著しく阻害する行為に対する指示処分違反
・営業停止命令違反
以下の風営法違反行為をすると20日以上180日以下の営業停止命令となり、基準期間は40日である。
・営業時間制限違反
・広告宣伝規制以外の指示処分違反
・許可に付された条件への違反
以下の風営法違反行為をすると10日以上80日以下の営業停止命令となり、基準期間は20日である。
・広告宣伝規制違反
・構造、設備の維持義務違反
・従業者名簿の備付け・記載義務違反
・従業者の生年月日等の確認義務違反
・騒音、振動規制違反
以下の風営法違反行為をすると5日以上40日以下の営業停止命令となり、基準期間は14日である。
・照度規制違反
・料金表示義務違反
・年少者立入禁止表示義務違反
以下の風営法違反行為をすると5日以上20日以下の営業停止命令となり、基準期間は7日である。
・変更届出義務違反
・管理者選任義務違反
以下の風営法違反行為は、指示処分の対象であるが、指示処分に違反すると営業停止命令の対象になる。
・許可証亡失等の届出義務違反
・許可証等の掲示義務違反
以下の風営法違反行為をすると5日以上80日以下の営業停止命令となり、基準期間は各都道府県において定められている。
・条例遵守事項違反

風営法違反があった場合の営業停止期間には、上記のとおり基準期間が設けられているため、特別な事情がない限りは、基準期間どおりの営業停止命令が出される。しかし、以下のような事情がある場合には、営業停止期間が加重または軽減されることがある。
以下のような事情がある場合には、量定の範囲内で基準期間を加重することができる。
①最近3年間に同一の処分事由により行政処分に処せられたこと
②指示処分の期間中にその処分事由に係る法令違反行為と同種の法令違反行為を行ったこと
③処分事由に係る行為の態様が著しく悪質であること
④従業者の大多数が法令違反行為に加担していること
⑤悔悛の情が見られないこと
⑥付近の住民からの苦情が多数あること
⑦結果が重大であり、社会的反響が著しく大きいこと
以下のような事情がある場合には、量定の範囲内で基準期間を軽減することができる。
①他人に強いられて法令違反行為を行ったこと
②営業者(法人にあっては役員)の関与がほとんどなく、かつ、処分事由に係る法令違反行為を防止できなかったことについて過失がないと認められること
③最近3年間に処分事由に係る法令違反行為を行ったことがなく、悔悛の情が著しいこと
④具体的な営業の改善措置を自主的に行っていること
ホストクラブやキャバクラなどの風俗営業では、11月の風営法改正により欠格事由が拡大され、1店舗の営業許可取消しがなされると、その経営法人の親会社等の営業許可も取り消すことが可能になった。
「令和6年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯等の取締り状況について」によると、令和6年でのホストクラブでの営業許可取消し事例は2件だ。
令和6年中における風営適正化法に基づくホストクラブへの立入り状況は延べ659店舗であり、行政処分は707件である。
行政処分707件のうち、風俗営業許可の取消しが2件、風営適正化法又は条例に基づく営業停止命令が12件、指示処分が693件である。
そのうちの一件がニュースになっているので、ここで紹介する。
この事例は、ホストが女性客を売春させたとして売春防止法違反で逮捕・起訴された事例だ。このホストが所属するホストクラブが営業許可取り消しの対象となった。
売掛金巡り営業取り消し 全国初、歌舞伎町のホストクラブ
東京都公安委員会は20日までに、東京・歌舞伎町にあるホストクラブ「LOVE」の営業許可取り消し処分を出した。ホストとして働いていた男(28)が売掛金を支払わせるために女性客に売春させた疑いで逮捕された事件を受けた処分。警視庁への取材で分かった。
警視庁によると、売掛金を巡る従業員のトラブルでホストクラブが営業許可の取り消しを受けたのは全国初。
男は、20代の女性客に約1000万円の支払いを要求し、台東区のソープランドで売春をさせたとして、売春防止法違反容疑で昨年1月に逮捕され、同3月に起訴された。
歌舞伎町のホストクラブを巡っては、都公安委は今年1~2月、悪質な法令違反があったとして、風営法などに基づき、別の3店舗に営業停止を命じたケースがあった。
2024/05/20 サンスポ より引用

以下では、風営法違反の営業停止に関するよくある質問をその回答を紹介する。
複数の風営法違反行為があった場合、各処分事由について定めた量定の長期のうちもっとも長い量定の長期にその2分の1を加算した期間を長期として、各処分事由について定めた量定の短期のうちもっとも長い量定の短期を短期とする。
風営法に基づく営業停止処分に不服があるときは、行政不服審査法に基づいて審査請求を行うことができる。ただし、審査請求ができるのは処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内である。
風営法違反で逮捕されたとしても必ず営業停止になるわけではない。刑事事件で有罪になったとしても行政処分がなされないケースもある。
これは刑事処分と行政処分では目的が異なるからである。刑事処分は、過去の違法行為に対する制裁として行われる処分であるのに対して、行政処分は、将来の危険防止や義務違反の是正を目的として行われる処分である

営業停止処分は、風営法の許可や届出をしていることを前提として、一定期間営業を禁止する処分である。
無許可営業は、そもそも風営法に基づく許可を得ていない状態であるため、営業停止処分の対象にはならない。
風営法違反をしてしまうと営業停止や許可の取り消しといった行政処分を受けるリスクがある。これらの行政処分を受けると営業が困難な状態になるため、莫大な損害が発生してしまう。それを防ぐには、風営法違反を予防するために顧問弁護士を利用すべきである。
顧問弁護士がいれば風営法違反にならないよう経営上のアドバイスや指導をしてくれるため、それに従って経営状況を改善していけば風営法違反のリスクを最小限に抑えることができる。また、いつでも相談できる存在がいるというもの非常に心強いといえるだろう。
グラディアトル法律事務所では、500店舗以上の風俗店の顧問弁護士を担当しており、ナイトビジネス業界に特化した弁護士事務所といえるだろう。トラブル対応だけではなくトラブル予防にも力をいれているため、実際にトラブルが生じていなくても気軽に相談してもらいたい。
風営法に違反する行為であるかどうかの判断は、風営法に詳しい弁護士でなければ難しいため、継続的なサポートが可能である顧問契約を是非とも検討してもらいたい。
風営法違反をしてしまうと指示処分、営業停止、許可の取り消しという行政処分を受ける可能性がある。営業停止処分になると最長で6か月もの間営業ができなくなる可能性があるため、それを避けることが重要だ。
