「ソープランドを開業するために必要な手続きとは?」
「ソープランドの新規開業が困難って本当なの?」
「ソープランドで風営法違反にならないようにするためのポイントを知りたい」
ソープランドは、風営法上の「店舗型性風俗特殊営業」に該当するため、性風俗関連特殊営業の届出をすることで開業することができる。
しかし、実際には、ソープランドの開業には厳しい規制が設けられているため、事実上新規開業は困難であると言われている。警察庁の統計資料でも年々、店舗型性風俗特殊営業の届け出数は減少しており、令和2年の時点で7402件だったものが、令和6年には6651件まで減少している。
ただし、既得権制度により既存のソープランドから法人経営権を取得する方法であれば、開業も可能であるためそのような方法を検討するのも一つの方法である。
本記事では、
・ソープランドの風営法上の位置づけ
・ソープランドの新規開業が困難だと言われている理由
・ソープランドで風営法違反にならないようにするための運営上のポイント
などを詳しく解説する。
ソープランドが風営法違反にならないようにするには、風営法に詳しい弁護士による継続的なサポートが必要になるため、顧問弁護士の利用をおすすめする。
ソープランドは、風営法の店舗型性風俗特殊営業のうち1号営業に該当する。
店舗型性風俗特殊営業とは、店舗を設けて店舗内で性的なサービスを提供する営業のことをいい、店舗型性風俗特殊営業は、1号営業から6号営業まで細かく分類されている。
このうち、1号営業とは、「浴場業の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業」と定義されており、いわゆる「ソープランド」がこれにあたる。
このようにソープランドは、店舗型性風俗特殊営業に該当するため、ソープランドを開業するには、性風俗関連特殊営業の届出が必要になる。
風営法の性風俗関連特殊営業の届出をしてソープランドを開業する際の流れは、以下のとおりである。
ソープランドを開業するならまずは警察署に事前相談をするべきである。
ソープランドの開業にあたっては、風営法だけではなく風営法施行条例や都市計画法、建築基準法などの制限があるため、事前に相談することでこのような法令違反になる事態を回避することができます。特に、条例の内容は都道府県によって異なるため、その地域を管轄する警察署に事前に確認をするとよいだろう。
ソープランドを開業するためには、以下のような書類を準備・作成する必要がある。
・店舗型性風俗特殊営業の営業開始届出書
・営業の方法を記載した書類
・営業所の使用について権原を有することを疎明する書類
・営業所の平面図及び営業所の周囲の略図
・住民票の写し
・法人の場合は、定款・法人登記事項証明書及び役員全員の住民票の写し
・業務の実施を統括管理する者に係る住民票の写し
ソープランドの開業に必要となる書類の準備・作成ができたら、営業開始の10日前までに営業所の所在地を管轄する警察署に提出する。
店舗型性風俗特殊営業の届出が受理されると、受理日から10日後にソープランドの営業が可能となる。
風営法、都市計画法および風営法施行条例によりソープランドの営業が可能な地域は、厳しく制限されているため、ソープランドの新規開業は事実上困難であると言われている。
具体的には、都市計画法により、ソープランドの開業が可能な地域は、以下の3つの地域に限定されている。
・商業地域
・近隣商業地域
・準工業地域
ただし、都道府県の風営法施行条例によりソープランドの営業が可能な地域はさらに限定されている点に注意が必要である。たとえば、東京都の風営法施行条例では、「台東区千束4丁目16番~32番、41番~48番」以外のすべての地域での営業が禁止されている。
また、風営法や風営法施行条例により保護対象施設との距離制限もあるため、以下の施設から一定の距離をとらなければ開業することができない。
・学校
・病院
・保育園、幼稚園
・公園
・児童福祉施設
警察庁の統計資料でも年々、店舗型性風俗特殊営業の届け出数は減少しており、令和2年の時点で7402件だったものが、令和6年には6651件まで減少していることからもソープランドの開業・営業が難しいことを裏付けている。
ソープランドの新規開業は事実上困難であるものの、ソープランドの営業を始めるのが不可能というわけではない。ソープランドを開業には、既存店の法人経営権を取得するという方法がある。
ソープランドの既存店は、現在の法律や条例に適合していないものの営業許可を取得した当時は適法であったことから、このような店舗には「既得権」と呼ばれる権利が与えられ、現在も適法に営業することが可能である。そのため、このような既存のソープランドから法人経営権を取得するで、ソープランドを開業することができる。
ただし、店舗の立て直しや大規模な増改築は、既得権の消滅事由とされているため、店舗が老朽化したとしても満足に改修ができない点に注意が必要である。
ソープランドの営業にあたっては、風営法違反にならないようにするため以下の点に注意が必要である。
風営法では、ソープランドの営業時間は午前0時までとされており、午前0時から午前6時までの深夜営業が禁止されている。ソープランドを営業する際には、営業時間の制限を守って営業しなければならない。
ソープランドの広告宣伝は、風営法および風営法施行条例により厳しい規制が設けられているため、屋外広告やチラシなどは基本的にはNGである。
そのため、主な広告宣伝媒体としては、ホームページまたは風俗情報サイトへの掲載になる。ただし、ホームページを開設する際には、「18歳未満閲覧禁止」の表示を設けることを忘れてはならない。
風営法では、ソープランドで18歳未満の未成年者を雇うことを禁止している。
従業員を雇う際には、顔写真付きの身分証明書の提示を求めて、しっかりと年齢確認をしなければならない。
スカウトからソープランドを紹介されて働いているという女性も少なくない。ソープランド側としても求人の主な手段としてスカウトを利用しているところも多く、女性を紹介されたときはスカウトに対して「スカウトバック」と呼ばれる報酬を支払っている。
しかし、風営法改正により性風俗店からスカウトに対してスカウトバックを支払う行為が規制対象となる点に注意が必要である。今後、改正風営法が施行されれば、違法なスカウトバックに対しては、6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金またはこれらの併科という刑罰が適用される
ソープランドで女性キャストが客からお金の支払いを受けて性行為をすると売春防止法が規制する「売春」に該当する。個人間の単純な売春は違法ではあるものの、罰則が定められていないため処罰されることはないが、売春場所を提供する行為については売春防止法違反として処罰対象となる。
ソープランドは、まさに売春するための場所を提供しているといえるため、売春防止法違反で摘発されるリスクがある点に注意が必要である。
実際に、ソープランドが売春防止法違反(場所提供)で逮捕された事件としては、以下のようなものがある。
警視庁は石川県加賀市と東京都品川区のソープランド2店の経営者ら男3人を売春防止法違反(場所提供)容疑で逮捕したと発表した。容疑を認めているという。
保安課によると、逮捕されたのは加賀市の「キューティードール」の店長(58)と、東京都品川区の「湯喜(ゆ・き)」の経営者(61)ら3人。いずれも20代の女性従業員が男性客と売春すると知りながら、店の個室を提供した疑いがある。
(引用:朝日新聞)
ソープランドは、風営法や風営法施行条例などにより厳しい規制が設けられているため、新規開業は事実上困難である。しかし、法人経営権を取得する方法であればソープランドの開業も可能であり、実際にそのような方法でソープランドを開業している人も少なくない。
適法にソープランドを開業できたとしても、その後も風営法の規制を遵守して営業していかなければならない。風営法違反をして営業許可が取り消されてしまうと貴重なソープランドの既得権も消滅してしまうため、風営法違反は何としても避けなければならない。
それには、風営法に詳しい弁護士による継続的なサポートが不可欠である。
グラディアトル法律事務所は、東京と大阪の2拠点を中心に活動しており、ナイトビジネス業界で全国1000件以上の解決実績がある。風営法違反に関する刑事弁護の経験も豊富である。
また、グラディアトル法律事務所では、500店舗以上の風俗店の顧問弁護士を担当しており、ナイトビジネス業界に特化した弁護士事務所といえるだろう。トラブル対応だけではなくトラブル予防にも力をいれているため、実際にトラブルが生じていなくても気軽に相談してもらいたい。
ソープランドの経営者または法人経営権を取得する方法での新規開業を検討している方は、風営法を遵守してソープランドの営業をしていかなければならない。風営法ではさまざまな規制があるため、すべてを正確に把握するのは一般の方では困難である。そのため、風営法に関して少しでも疑問が生じたときは、すぐにグラディアトル法律事務所まで相談してもらいたい。