「売春防止法の場所提供罪とはどのような犯罪?」
「売春防止法の場所提供罪が成立する具体的なケースを知りたい」
「売春場所提供罪を犯すとどのような刑罰が科される?」
売春防止法は、売春を助長する行為などを処罰するために制定された法律であり、売春を防止する目的からさまざまな行為を規制対象としている。そのうちの一つが売春場所提供罪である。
売春場所提供罪は、売春を行う場所を提供した場合に成立する犯罪である。自宅やマンションの一室を貸した場合がこれに該当し、場所提供の対価を受け取っていなくても、場所を提供したということだけで罪に問われることになる。また、事業として売春場所を提供していた場合、悪質性が高いことからより厳しい刑罰が科されることになる。
知らずに売春場所を貸していたようなケースであれば、不起訴になる可能性も十分にあるため早めに弁護士に相談することが重要である。
本記事では、
・売春防止法で規制される「売春場所提供罪」とは?
・売春防止法の売春場所提供罪に該当する行為の具体例
・売春場所の提供をして売春防止法違反に問われたときに弁護士ができること
などについて詳しく解説する。
売春場所提供罪に問われてしまった、身内が売春防止法違反で逮捕されてしまったという方は、本記事を参考にしてすぐに弁護士に相談するようにしてほしい。
売春場所提供罪とは、売春の場所を提供した場合に成立する犯罪である。
たとえば、自宅やマンションの一室を売春するための場所として第三者に貸す場合がこれにあたる。
売春をするための場所として引き渡しをした時点で売春場所提供罪が成立し、実際のその場所で売春が行われたかどうかは問題にはならない。
売春場所提供罪は、売春防止法により「情を知って」場所を提供した場合に成立する犯罪である。
ここでいう「情を知って」とは、提供した場所が売春に使用されることを知っていた、あるいはその可能性があると認識していたことを指す。
実際に売春に使われると確信していた場合はもちろん、売春に使われるかもしれないと感じていた程度でも、「情を知っていた」と判断される可能性がある点に注意が必要である。
なお、売春に使用されるとの認識は、場所を提供した時点において必要とされる。したがって、提供時にまったくその事実を知らなかった場合には、売春場所提供罪は成立しない。
以下では、売春防止法の売春場所提供罪に該当する行為の具体例を紹介する。
ソープランドでは、女性キャストと客が性行為をしているがそれは「売春」に該当する。
ソープランドの経営者は、売春が行われることを知りながらソープランドという場所を提供しているため、売春場所提供罪が成立する。
自分が所有するマンションの一室を、「ここで客と売春をしてもいいよ」と言って第三者に提供する行為は、典型的な売春場所提供罪となる行為である。
ラブホテル経営者が売春が行われていることを知りながら、売春場所としてラブホテルの一室を提供する行為は、売春場所提供罪に該当する行為である。
ラブホテルで性行為をすること自体は何も問題ないが、金品の受け渡しを条件に性行為をすると売春防止法が禁止する「売春」に該当する。組織的に売春を行うグループに対して、売春場所としてラブホテルの部屋を提供するのは、「情を知って」売春場所を提供しているといえるため、売春場所提供罪に問われることになる。
知人から「使っていない空き家があるなら貸してほしい」と頼まれたことがある方もいるかもしれない。しかし、知人に空き家を貸すときは、用途をしっかりと確認することが重要である。
知人が売春グループに所属しており、売春場所として使用される可能性があることを認識していながらそれを黙認していたような場合には、売春場所提供罪に問われる可能性がある。
ネットカフェの個室も売春用に利用される場所の一つである。勝手に売春場所として使われていたのであれば、ネットカフェ経営者は「情を知って」いたとはいえず、売春場所提供罪には問われない。
しかし、常連客が毎回売春場所として利用しているのであれば、利用後の部屋の状態やスタッフからの報告などで気付くはずであるため、「売春場所として使われているかもしれない」という程度の認識があれば売春場所提供罪に問われる可能性がある。
売春防止法の売春場所提供罪の刑罰は、単純な場所提供と業としての場所提供のどちらに該当するかによって刑罰が大きく異なる。
単純な場所提供罪であれば、3年以下の懲役または10万円以下の罰金であるが、業としての場所提供罪になると7年以下の懲役および30万円以下の罰金になり懲役と罰金の両方が科されることになる。
なお、業として売春場所の提供を行っていたかどうかは、対価の有無や反復継続性などから判断される。
以下では、売春防止法の売春場所提供罪で逮捕された実際の事例を紹介する。
大阪府羽曳野市のマンションの一室を売春の場として提供したとして、大阪府警は、売春防止法違反(場所提供)などの疑いで、千葉県市川市の職業不詳の容疑者(41)を逮捕したと発表した。
府警によると、売春に従事していたのは主に中国人やタイ人の女性。容疑者も運営に関与していたとみられる。売り上げの一部が最終的に中国本土に送られていた可能性があり、府警は中国人による売春組織が関与している疑いがあるとみて実態解明を進める。
逮捕容疑は、羽曳野市内のマンションの一室を女性が売春する場所として提供したとしている。
府警によると、このマンションの別の棟の同じ部屋番号の住民から「男性がよくまちがえて訪ねてくる」と相談を受け捜査を開始した。
府警は、このマンションで性的サービスに従事していたとみられるタイ国籍の女(27)についても風営法違反(禁止区域営業)容疑で逮捕した。
組織は出会い系サイトなどで客を募集しており、国内でこうした拠点を約400カ所運営していたとみて調べている。
(引用:産経新聞)
https://www.sankei.com/article/20250310-PISXIKRG3FJOZPQUYRIHQM27RY/
広島市の個室付公衆浴場で、売春を行う場所を提供したとして、男6人が逮捕されました。
売春防止法違反の疑いで逮捕されたのは、広島市に住む会社役員や風俗店従業員などの男6人です。
警察によりますと、男らは、広島市中区薬研堀の店舗型性風俗特殊営業の個室付公衆浴場で、女性従業員が不特定の男性客と売春することを知りながら、事業として売春を行う場所を提供した疑いがもたれています。
警察は、捜査に支障があるとして6人の認否を明らかにしていません。
警察によりますと、インターネット上の掲示板にあった「客と従業員が本番行為をおこなっている」といった趣旨の書き込みを元に、客から事情を聞くなどの捜査をして、容疑を特定したということです。
この店舗は、風営法に基づいた営業の届け出を数十年前に行っていたということです。
警察は、男らが役割を分担して事業を営んでいたものとみて、事件を詳しく調べています。
(引用:TBS)
訪日外国人向けの風俗店を営業したとして、警視庁保安課は、売春防止法違反(場所提供など)容疑で、東京・歌舞伎町の風俗店「メンズエステ SPARAKU」経営者の容疑者(54)ら男7人を逮捕した。同容疑者ら6人は容疑を認め、1人は黙秘している。同課によると、訪日外国人向け風俗店の摘発は全国初。
店は英語でホームページを作り、外国紙幣で支払いを受け付けるなどしていた。客は6割が外国人で、ホームページや風俗店の紹介動画、客引きの声掛けなどをきっかけに来店。1日の来店者数は平均30人、売り上げは約45万円に上った。
店からは中国やインド、アルゼンチンなど16カ国の紙幣が押収された。
店で働く女性25人は全員が日本人で、新宿区立大久保公園周辺で売春の客待ち中に容疑者に声を掛けられたり、従業員の口コミで集められたりしていた。メンズ地下アイドルの応援やホストクラブで遊ぶ費用を稼ぐ目的で働く女性もいた。
逮捕容疑は、20代女性3人に売春場所を提供するなどした疑い。
(引用:時事通信)
売春場所の提供をして売春防止法違反に問われたときは、弁護士が以下のようなサポートを行うことができる。
売春防止法違反で逮捕されると警察の取り調べを受けることになるが、その際に重要なのが不利な調書を取らせないことである。
特に、売春場所提供罪は、売春場所として利用されるのを「知って」場所を提供したのかどうかによって犯罪の成否が変わってくる。警察官の誘導に乗って売春場所として利用されることを認識していたかのような調書がとられてしまうと、不起訴処分を獲得するのが難しくなってしまうため、不利な調書を取らせないことが重要である。
それには、逮捕後すぐに弁護士によるアドバイスを受ける必要があるため、売春防止法違反で逮捕されたときはすぐに弁護士を呼ぶようにしてもらいたい。
売春防止法違反で逮捕・勾留されると最長で23日間の身柄拘束を受けることになる。
売春場所提供罪で逮捕される方は、売春には積極的には関与しておらず、他に仕事を持っている方も多いため、長期間の身柄拘束となれば仕事を解雇されてしまうリスクが高くなってします。
弁護士に依頼すれば勾留の阻止や勾留に対する準抗告などの手段により早期釈放を実現することが可能である。早期釈放を希望するのであれば逮捕後すぐに弁護士を呼んで身柄解放に向けた弁護活動に着手してもらうとよいだろう。
売春防止法違反を犯したとしてもそのすべてが起訴されているわけではない。事件によってはさまざまな事情を考慮して不起訴(起訴猶予)になる事件も存在しており、不起訴になれば前科がつくこともない。
そのため、売春防止法違反で逮捕されたときはまずは不起訴処分を目指していくことになるが、それには弁護士によるサポートが不可欠である。弁護士に依頼すれば検察官に対して有利な事情を主張立証して不起訴処分を求めていくことができ、万が一起訴されたとしても罰金刑を求めることで懲役刑を回避することができる。
売春に関する犯罪が摘発された場合、その場所を貸していた人も売春場所提供罪で逮捕されるリスクがある。売春場所提供罪は、売春場所として利用されることを知らなかったことを主張立証していくことで不起訴処分を狙うことも可能な犯罪である。
また、売春場所として利用されることを認識していたとしても、営利性や継続性がないことを主張立証していくことで軽い罪の適用を求めていくことも可能である。
しかし、有利な処分の獲得をするには売春防止法違反の事案に詳しい弁護士によるサポートが不可欠となるため、まずはグラディアトル法律事務所まで相談してもらいたい。
グラディアトル法律事務所は、東京と大阪の2拠点を中心に活動しており、ナイトビジネス業界で全国1000件以上の解決実績がある。売春防止法違反に関する刑事弁護の経験も豊富であるため、早期釈放や不起訴処分を獲得するためのポイントを熟知している。
また、当事務所では、24時間365日相談受付をしているため、深夜に売春防止法違反で逮捕されてしまったという場合でもすぐに対応することが可能である。逮捕後すぐに対応できるかどうかによって、今後の処分内容が大きく左右されることから、逮捕されたときはすぐに当事務所まで連絡してもらいたい。
まとめ
情を知りながら売春場所の提供をすると売春防止法の売春場所提供罪に問われる可能性がある。売春場所提供罪は、「業として」行われたかによって罪の重さが変わってくるため、不利な調書を取られないように十分に注意が必要である。
売春場所提供罪で逮捕されてしまったときは、一刻も早く取り調べに対するアドバイスをする必要があるため、グラディアトル法律事務所まで連絡をしてもらいたい。