「ホストクラブ経営で弁護士が必要になるケースとは?」
「ホストクラブが顧問弁護士を利用するとどのようなメリットがある?」
「ホストクラブのトラブルに強い弁護士はどうやって見つける?」
ホストクラブ業界は、華やかなイメージがあるが、その裏には売掛金の未回収、ストーカー被害、風営法違反による摘発、ホストとの労働問題など数多くの法的リスクが潜んでいる。特に、最近は悪質ホストクラブの問題を背景に風営法が改正され、新たな規制や罰則強化が盛り込まれため、ホストクラブ経営にあたってトラブルが生じるリスクが高まっているといえるだろう。
このような法的リスクを予防し、適切に対処するにはナイトビジネスに強い弁護士による継続的なサポートが不可欠である。ホストクラブも一般企業と同様に顧問弁護士を雇って、ホストクラブ経営から生じ得るトラブルに備えることが重要といえるだろう。
本記事では、
・ホストクラブ経営で弁護士が必要になる主なシチュエーション
・ホストクラブ経営で顧問弁護士を利用するメリット
・ホストクラブのトラブルに強い弁護士の基準
などについて詳しく解説する。
トラブルを未然に防ぎ、健全かつ安定した店舗運営を実現するための一助となれば幸いである
ホストクラブ経営には、さまざまな法的リスクが潜んでいる。顧問弁護士の必要性を理解するには、ホストクラブ経営で生じ得るトラブルを把握することが重要である。以下では、ホストクラブ経営で弁護士が必要になる主なシチュエーションを紹介する。
ホストクラブでは、客の飲食代金を「ツケ(=売掛金)」としてホストや店が一時的に立替えて、後日客から返済してもらうという「ツケ払い」というシステムがある。ツケ払いは、売上げアップに大きく貢献するシステムといえるものの、売掛金を回収できないまま放置するとホストクラブの経営悪化に直結するため、迅速かつ適切な対応が必要になる。
しかし、売掛金を回収するために、客を威迫・困惑させたり、売春、風俗、AV出演等の要求をする行為は、改正風営法により禁止されているため、風営法違反のリスクを回避しながら売掛金を回収するには、法律の専門家である弁護士のサポートが不可欠である。
ホストクラブは、疑似恋愛を体験することができるお店であるが、過度な色恋営業は、女性客とのトラブルの火種になることがある。
「結婚すると言われたのに騙された」「ナンバーワンになったら結婚すると言われたのに騙された」など悪質なケースについては、女性客から返金請求を受けたり、詐欺罪として被害届が提出され刑事事件に発展するリスクがある。
このようなトラブルが頻発するとホストクラブの信用性にもかかわるため、早期に弁護士に女性客とのトラブルに対応してもらうべきである。
ホストの中には恋愛感情を抱いた女性客によるストーカー被害に悩まされている人も少なくない。待ち伏せ、無言電話、執拗な連絡などのストーカー行為が続くと、ホストの精神的負担も増大し、優秀なホストが店を離れてしまうリスクがある。
警察に相談しても疑似恋愛の延長と捉えられてしまい真剣に対応してくれことが多いが、弁護士から警告をすることで悪質なストーカー行為を防ぐことが可能である。
ホストクラブは、風営法の「風俗営業(1号営業)」に該当するため、風営法によるさまざまな規制が適用される。風営法違反となる行為があった場合、警察により摘発されて、刑事処分の対象となるだけではなく、営業停止処分や許可取り消し処分などを受けるリスクがある。
このような風営法違反を防ぐには、弁護士による予防法務が有効な対策となるため、日頃から顧問弁護士にお店の体制をチェックしてもらうべきである。
ホストクラブとホストとの関係は、雇用ではなく業務委託として扱っているところが多いが、雇用であるか業務委託であるかは、契約の名称ではなく実態に即して判断することになる。
ホストから労働者性を主張されると、未払い残業代請求をされる可能性があり、労働基準監督署による調査や訴訟リスクが生じてしまう。ホストとの間のトラブルを放置すると、他のホストとの関係性にも影響を与える結果、店の売上にも悪影響を及ぼすリスクがあるため、迅速かつ適切な対応が必要となる。
ホストクラブの経営が軌道に乗ってくると、フランチャイズ化を検討する経営者の方も少なくない。フランチャイズ化に際しては、契約書の作成・変更、加盟店との紛争、法的開示書面の作成、クレーム対応、商標権侵害への対応が必要になるが、法的知識や経験がなければこれらに対応するのは困難である。
フランチャイズ化を検討するなら弁護士のサポートが不可欠といえるだろう。
ホスラブなどの掲示板やSNSなどでホストクラブやホストに対する誹謗中傷の投稿があると、ホストクラブのイメージダウンになるだけでなく、集客やホストの採用にも悪影響が生じることになる。
ホストクラブ経営では、上記のようなトラブルが生じるリスクが高いため、それを予防し、適切に対応するためにも顧問弁護士の利用がおすすめである。以下では、ホストクラブ経営で顧問弁護士を利用するメリットを紹介する。
項目 | 概要 |
---|---|
売掛金の回収支援 | 内容証明・交渉・訴訟・強制執行など法的手段で売掛金を迅速に回収可能。 |
女性客とのトラブル対応 | 色恋営業等による返金請求や刑事トラブルに弁護士が介入し、冷静な解決を図る。 |
ストーカー行為への対応 | 接近禁止命令の申立てや警告によってホストの安全を確保できる。 |
風営法違反リスクの予防 | 法令順守のチェックと摘発時の迅速な対応で営業停止のリスクを軽減。 |
労務トラブルの対応 | ホストからの労働者性主張に備えた契約整備やトラブル発生時の対応を任せられる。 |
組織変更の支援 | フランチャイズ展開・買収・分割時に必要な契約書作成や交渉支援が可能。 |
誹謗中傷への対処 | SNS等の中傷投稿に削除請求や発信者特定で早期対応。店の評判悪化を防止。 |
ホストクラブでは、未回収の売掛金があると経営悪化に直結するため、迅速な回収が求められる。
顧問弁護士がいれば、以下のような方法で売掛金の回収が可能である。
・内容証明郵便の送付
・客との交渉
・訴訟
・強制執行
また、担当ホストが売掛金を回収する際には、改正風営法違反にならないよう適切な売掛金回収方法をアドバイスすることができる。
ホストによる過度な色恋営業がなされると、ホストと女性客との間でトラブルが生じて、返金請求や刑事事件に発展することがある。
顧問弁護士がいれば法的に返金すべきお金であるかどうかを判断し、その後の対応をアドバイスすることができる。当事者同士の対応ではトラブルが予想されるケースでは、弁護士が間に入って対応することで、感情的な対立を抑えながら冷静な対応が可能となる。
早期に被害者との示談をまとめることができれば、刑事事件に発展する事態を防ぐことも可能である。
ホストが女性客からストーカー被害を受けている場合には、弁護士から女性客に警告するとともに、裁判所に接近禁止命令の申立てをすることが可能である。
ホストと客のトラブルは、警察に相談しても真剣にとりあってくれないことが多いため、担当ホストに危害が及ぶ前に顧問弁護士に対応を委ねるべきである。
ホストクラブが風営法違反で摘発されてしまうと、経営者は刑事処分の対象となり、お店は営業停止や営業許可取り消しの対象になるため、まずはそのようなリスクを回避することが必要である。
顧問弁護士がいれば店舗運営や接客内容などが風営法などの法令に適合しているかどうかを定期的にチェックすることができるため、風営法違反で摘発されるリスクを軽減することができる。
また、万が一警察により摘発されたとしても、すぐに駆けつけて対応してくれるため、有利な処分を獲得できる可能性が高くなるといえる。
ホストから労働者性を主張されると、不当解雇や未払い残業代請求などの労働問題に発展する可能性がある。
顧問弁護士がいればそのようなトラブルを回避するための契約書の作成や労働者と扱われないようにするため対策を講じてもらうことができるため、労働問題に発展するリスクを軽減することができる。
また、実際にホストとの間でトラブルが生じても、顧問弁護士に対応を任せることができるため、経営者は安心してホストクラブの経営に集中することができる。
ホストクラブの経営が軌道に乗ってくるとフランチャイズ化や買収・分割などを検討する経営者の方も少なくない。
顧問弁護士がいれば、風営法等に関する法務デューデリの手間の削減、ホームページ・女性キャストの引き継ぎ等についての契約書の作成、契約交渉への同行などに対応することができる。
業務拡大にあたってはさまざまな法的リスクが生じるため、円滑にビジネス展開を進めるためにも顧問弁護士のサポートが不可欠である。
ホスラブなどの掲示板やSNSなどでホストクラブやホストに対する誹謗中傷の投稿がされることがある。
顧問弁護士がいれば誹謗中傷の投稿がなされても迅速に削除請求をすることができ、悪質な投稿に対しては、発信者情報開示請求により投稿者を特定して損賠賠償請求や刑事告訴などを行うことができる。
誹謗中傷の投稿を放置していると店の評判が落ちる可能性もあるため、すぐに顧問弁護士に対応してもらうべきである。
ホストクラブに通う女性客が多額の売掛金を抱えて、返済のために売春や性風俗店での勤務を強いられるという、いわゆる「悪質ホストクラブ問題」を受けて2025年5月20日、改正風営法が衆院本会議で可決、成立した。
改正風営法の中身は多岐にわたるがホストクラブに関わるものとしては、主に以下のようなものがある。
①接待飲食店営業の遵守事項の追加
・料金の虚偽説明の禁止
・恋愛感情を利用した色恋営業の一部禁止
・注文していないドリンクなどの提供禁止
→罰則はないが、業務停止などの行政処分の対象となる
②接待飲食店営業の禁止行為の追加
・売掛金を支払わせる目的で威迫、困惑させる行為
・威迫等をして料金支払い等のための売春、風俗、AV出演等の要求
→6月以下の拘禁刑、100万円以下の罰金
③無許可営業、名義貸し、メンエス禁止区域営業等の罰則強化
・5年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金(改正前:2年以下の懲役または200万円以下の罰金)
・法人に対しては3億円以下の罰金(改正前:200万円以下の罰金)
④風俗営業の欠格事由の範囲拡大
・親会社等が許可を取り消された法人
・警察による立入調査後に許可証の返納(処分逃れ)をした者
・暴力的不法行為等を行うおそれがある者がその事業活動に支配的な影響力を有する者
今後改正風営法が施行されれば、ホストクラブに対する規制が強化され、風営法違反として摘発される事例も増加することが予想される。そのような事態を回避するには、改正風営法を踏まえた体制整備を進めることが重要になるが、それには法律の専門家である弁護士によるサポートが不可欠である。
まだ、顧問弁護士を利用していないというホストクラブでは、この機会に顧問弁護士の利用を検討してみるとよいだろう。
ホストクラブが顧問弁護士を頼むのであれば、ホストクラブのトラブルに強い弁護士を選ぶべきである。以下では、ホストクラブのトラブルに強い弁護士の基準を説明する。
ホストクラブなどの風営法関連業種に関しては、単に法律を知っているだけでは不十分であり、業界特有の事情に精通している必要がある。特に風営法に関する問題は、机上の知識だけでは対応できないケースも多いため、過去にナイトビジネスを顧問先として抱えた経験や、具体的なトラブルを解決してきた実績のある弁護士を選ぶべきである。
弁護士選びの第一歩としては、法律事務所のウェブサイトを確認し、風俗関連業種に関する解決事例や顧問経験が掲載されているかを確認するとよいだろう。こうした実績が多ければ多いほど、突発的なトラブルにも柔軟に、かつ的確に対応できる可能性が高くなる。
ナイトビジネスには、他の業種とは異なる特殊なルールや行政上の規制が数多く存在する。これらを理解し、正確に対応するためには、企業法務に長けた弁護士であってもナイトビジネス特有の知識と経験がなければ不十分である。
したがって、顧問弁護士を探す際には、単に「企業法務に詳しい」という点だけで選ぶのではなく、風俗業・ホストクラブ・キャバクラなど風営法に関連する業種に特化した弁護士を選ぶべきである。業界に精通した弁護士であれば、表面的なアドバイスにとどまらず、実務的で実効性のあるサポートが期待できる。
ナイトビジネスで生じるトラブルの多くは、深夜や早朝などの時間帯に発生する。そのため、一般的な弁護士では対応が遅れ、問題が深刻化してしまうおそれがある。
「夜間や休日は対応できない」といった対応では、実際に弁護士が動き出す頃には取り返しのつかない事態に発展していることも少なくない。
顧問弁護士を選定する際は、夜間・休日でも迅速に対応可能な体制が整っているかどうかを確認すべきである。緊急時に即座に相談できる弁護士であれば、安心して任せることができるだろう。
ナイトビジネスにおけるトラブルは、店舗側だけでなく、客側の立場からも発生する。両者の言い分が対立することが多いため、どちらか一方の視点だけでは適切な対応が困難となる場合もある。
そのため、顧問弁護士を選ぶ際には、店舗側の案件だけでなく、過去に顧客側からの相談やトラブルにも対応した実績があるかを確認するべきである。客の心理や行動パターンを把握している弁護士であれば、より的確な判断と対応が可能となり、複雑なトラブルも円滑に解決へと導けるだろう。
ホストクラブが顧問弁護士を利用する際には、顧問料の支払いが必要になる。顧問料の金額は、依頼する弁護士・法律事務所によって異なるため、以下では、グラディアトル法律事務所における顧問料の相場を紹介する。
【法律顧問契約プラン表】
※1 対象店舗・法人を1つ追加するごとに+1万円となります。
※2 稼働時間を超えた場合、別途、タイムチャージとして、2万円/時間が発生します
※3 1度限りの交渉を想定、継続交渉となる場合には、別途報酬が発生いたします。
※4 成功報酬は、ライトプラン及びレギュラープランは20%、プレミアムプランは15%となります。
※5 弊所での対面交渉を想定しております。出張する場合には、別途日当及び交通費が発生いたします。
※6 別途日当及び交通費が発生いたします。
※7 上記の表示には消費税は含まれておりません。
※8 月に1回までの警察同行を無料とします。刑事事件の弁護活動については別途費用が発生します。
ホストクラブの顧問弁護士をお探しの方は、ナイトビジネス業界に特化したグラディアトル法律事務所に任せてもらいたい。
グラディアトル法律事務所は、東京・大阪の拠点を中心に、これまで全国で1000件を超えるナイトビジネス関連の法律トラブルを解決してきた実績を持つ。長年にわたり蓄積された経験とノウハウにより、どのような状況下でも冷静かつ的確な対応が可能である。
特に、風営法に関する問題は迅速な対応が求められるため、事案が発生した際には速やかに相談することが肝要だ。実績に裏付けられた確かなサポートを提供できる点が、当事務所の強みである。
ナイトビジネスにおいては、無許可営業・深夜営業・未成年への接客などの風営法違反、料金トラブルなどをきっかけに、警察沙汰に発展するリスクが常に存在している。突然の事情聴取や店舗への捜索、さらにはホストやスタッフの逮捕といった事態が生じた場合、迅速かつ的確な対応が求められる。
グラディアトル法律事務所では、顧問契約を締結している店舗に対し、警察への同行や現場での即時対応を含めた包括的なサポートを提供している。事情聴取や任意同行といった段階から、逮捕・刑事裁判に至るまで、すべての局面において弁護士が一括して対応することが可能である。
初動の対応ひとつで今後の流れが大きく変わるため、ナイトビジネスの経営者にとって、このような「すぐ動ける弁護士」が常に身近にいることは極めて重要だ。顧問契約による事前の備えが、万が一の際のダメージを最小限にとどめるカギとなる。
グラディアトル法律事務所は、これまでに500店舗を超える風俗営業関連の店舗と顧問契約を締結しており、日々の業務サポートから緊急時の対応まで幅広く関与している。ナイトビジネス特有の法的課題に精通しているため、業界における実務対応力には自信がある。
トラブル発生時の対処だけでなく、法的リスクの未然防止にも力を注いでおり、日常的な運営上の疑問点や不安にも丁寧に対応している。法務体制の強化を検討している経営者にとって、有益なパートナーとなるだろう。
ナイトビジネスでは、深夜や休日に突発的なトラブルが発生することが多い。その点、グラディアトル法律事務所は、年中無休・24時間対応の体制を整えており、まさに夜職業界に適した顧問弁護士サービスを提供している。
予約がなくても当日の状況次第で即対応が可能であり、緊急時にもスピーディに弁護士が動ける柔軟性を持つ。また、深夜の時間帯でも弁護士に連絡がつけば、即座に対応することができる。こうした迅速かつ臨機応変な対応力こそ、当事務所がナイトビジネスに特化した法律事務所と呼ばれる所以である。
ナイトビジネス業界では、日々の営業活動の中で法令遵守が問われる場面が多い。しかし、現場のスタッフが風営法や労働法、刑法の詳細な内容まで把握することは難しく、知らず知らずのうちに違法行為に該当してしまうケースも少なくない。
グラディアトル法律事務所では、顧問契約を締結しているクライアントに対し、定期的なセミナーを開催し、現場スタッフや経営陣の法的リテラシー向上を支援している。セミナーでは、最新の法改正情報や実際にあったトラブル事例などをもとに、実務に即した知識をわかりやすく解説している。
こうした継続的な教育を通じて、スタッフ全体のコンプライアンス意識を底上げすることで、店舗運営におけるリスクを未然に防ぐことが可能となる。日常的な業務に追われるナイトビジネス業界において、こうした研修体制を整えることは、今後ますます重要になるといえるだろう。
当事務所ではこれまで多数のホストクラブのトラブルを扱い、解決に導いてきた。ここではそのうちの解決事例のいつくかを紹介する。なお、各事例はプライバシー保護のため、人物・日時・金額等を一部加工・抽象化している。
【相談に至る経緯】
歌舞伎町のホストクラブで高い人気を誇っていたA氏(20代)は、ある日、匿名掲示板「ホスラブ」において自身専用のスレッドが立てられていることを知った。そこには「鬼枕」「客を自殺に追い込んだ」といった悪質な書き込みが多数掲載されており、さらに、就寝中に無断で撮影された寝顔写真までもが投稿されていた。
この掲示板は指名客も閲覧していたため、A氏のもとには「本当なのか?」「怖くてもう行けない」といった連絡が相次ぎ、売上は急激に低下。精神的にも追い込まれたA氏は、休業を真剣に検討するほど深刻な状態に陥った。
その後、A氏は警察に被害届を提出し、投稿者の1名が名誉毀損罪で逮捕された。しかし、掲示板運営側は「捜査機関からの正式な要請がない限り削除には応じない」として、問題の投稿を放置したままであった。刑事事件化しても名誉回復には至らないと判断したA氏は、当事務所へ削除の依頼を行った。
【当事務所の対応】
当事務所が本件で行った対応は、ホスラブ運営者に対する削除請求である。A氏からの相談当日中に委任状を受領し、問題投稿のURL一覧および該当箇所のスクリーンショットを添付のうえ、運営会社に対して正式な削除請求書を送付した。
請求書においては以下の点を明確に伝えている。
✓投稿が名誉毀損および肖像権侵害に該当すること
✓ 当該書き込みについては既に投稿者の一部が逮捕され、刑事事件として立件されていること
✓要求に応じない場合、仮処分申立てや損害賠償請求といった法的措置を検討すること。法的根拠と対応方針を簡潔かつ明確に伝えることで、任意対応を促した。
【結果】
削除請求書の送付からわずか3日で、誹謗中傷に該当する36件の投稿と無断掲載された写真2枚がすべて掲示板上から削除された。あわせて、Googleなどの検索エンジンに残っていたキャッシュも順次消去され、閲覧時に問題の投稿が表示されない状態が確認された。
削除完了後、A氏はSNSや店舗を通じて経緯を説明し、離れていた顧客からの信頼を回復。精神的にも安定を取り戻し、約1か月後には売上も元の水準に回復している。
【本事例の意義】
匿名掲示板の運営者は、しばしば「表現の自由」を理由に削除対応を渋る傾向がある。しかし本件のように、
①投稿内容が名誉毀損など明確な犯罪行為として既に立件されていること
②被害者本人が営業上の損失および精神的損害を受けていること
③弁護士が迅速かつ具体的に法的主張を伝えていること
これらの要素が揃った場合、運営側も無視を続けることは難しく、迅速な対応が引き出される可能性が高い。
「警察が動いても投稿が削除されない」「掲示板の悪評が原因で売上が落ちた」といった悩みを抱えている方でも、適切な手続をとれば、短期間で名誉を回復する道が開ける。
匿名掲示板やSNSでの誹謗中傷にお困りの際は、早めに専門の弁護士へ相談することを強く勧める。
【相談に至る経緯】
20XX年秋、ナイトワークに従事する男性(20代)が、同居に近い関係にあった女性客(20代)に対し酒席の口論から暴力を振るい、顔面打撲・腰椎横突起骨折など全治約3か月の傷害を負わせたとして現行犯逮捕された。
警察・検察は「継続的なDV事案」とも評価し、勾留延長や起訴(公判請求)も視野に入る厳しい状況だった。
【当事務所の弁護活動】
①初動対応(逮捕直後〜48時間)
・深夜の接見で事実経過・負傷状況を聴取し、反省文を作成
・ご本人の身柄引受人(勤務先代表)を確保し、弁護人選任届・意見書を検察・裁判所へ即日提出
②示談交渉と被害回復
・被害者側代理人と連絡を取り、被害感情を把握
・医療費・休業損害・転居費等を含む約500万円の賠償を分割ではなく一括で立替払いするスキームを提案し、被害者の「宥恕(ゆるし)」を文書で取得
・併せて一定期間の接近禁止条項を盛り込んだ示談書を締結
③身柄解放と不起訴獲得
・示談成立の翌日、検察官に追加意見書を提出
・勾留延長請求は却下され、逮捕から11日目に処分保留釈放
・後日、被害者の宥恕と早期弁償が評価され、不起訴処分(前科付かず)となった
【結果のポイント】
争点 | 想定リスク | 実際の結果 |
---|---|---|
身柄拘束 | 勾留20日+起訴後も勾留継続の可能性 | 11日で解放 |
刑事処分 | 公判請求・実刑の可能性 | 不起訴(前科回避) |
損害賠償 | 数百万円規模、交渉長期化 | 約500万円一括払い・迅速示談 |
【担当弁護士のコメント】
暴力事案では、
①迅速な被害弁償と真摯な謝罪
②被害者の将来不安(接近禁止等)の解消
が身柄解放と不起訴の鍵を握る。
本件では、勤務先の協力で早期に資金を確保できたこと、示談条項を被害者の要望に合わせて柔軟に設計したことが決め手となった。
同種事件でお困りの方は、逮捕直後でもためらわずご相談してもらいたい。当事務所は24時間体制で接見に駆けつけ、最善の結果を目指して全力で対応する。
【事件の概要】
歌舞伎町のホストクラブで店長を務めていたA氏は、入店時の年齢確認を徹底していたにもかかわらず、未成年者に飲酒させたとして風営法違反の容疑で逮捕された。
当日、ホストの一人が知人女性を来店させ、提示された身分証を確認のうえ20歳以上と判断して入店・飲酒を許可した。だが後日、この女性が実際には17歳であり、ホストと共謀して偽造身分証を用いていたことが判明した。
これにより、両罰規定が適用され、実際の違反行為を行ったホストではなく、店の管理者であるA氏が逮捕された。
【当事務所の対応】
弁護士は即日でA氏と接見し、取調べにおける対応方針を助言。A氏は、提示された身分証を確認したうえで20歳以上と信じていたことを一貫して主張した。
並行して、当事務所は店舗側と連携し、ホストと未成年女性による身分証偽造の証拠を収集。加えて、2点確認や店内掲示、従業員教育といった適切な運用実態を整理した。
これらをもとに「過失なし」とする弁護士名義の意見書を作成し、検察に提出。その結果、A氏は不起訴処分となった。
【不起訴の決め手となったポイント】
A氏が不起訴に至った最大の理由は、年齢確認の徹底と悪意のなさが証拠によって裏付けられたことである。加えて、以下のような日頃の取り組みも評価された。
・入店時に顔写真付き身分証を2点提示させるルールの運用
・未成年者の入店・飲酒を禁止する掲示
・従業員への定期的なコンプライアンス教育の実施
さらに、ホストと未成年者による共謀の証拠提出が、A氏の過失を否定する決定的な材料となった。
今後同様のトラブルを回避するためには、経営者として以上の対策を徹底すべきである。
未成年者をめぐるトラブルは、たとえ故意がなくとも経営者・責任者に波及する。法的リスクを最小限に抑えるためには、予防策と法的対応の両輪が欠かせない。
ホストクラブ経営は、風営法をはじめとする複数の法令により厳しく規制されており、些細な見落としが刑事事件や行政処分に発展するおそれがある。また、従業員や客とのトラブル、SNS・掲示板での誹謗中傷、暴力事件、金銭トラブルなど、法律問題が日常的に発生し得る業種でもある。
これらのリスクを未然に防ぎ、トラブル発生時にも最善の結果を導くためには、ホスト業界に精通した弁護士との連携が不可欠である。とりわけ、顧問契約を締結していれば、警察対応・刑事弁護・誹謗中傷の削除請求・風営法違反の予防策まで、一括して迅速に対応できる体制が整う。
健全な経営とキャストの安心、安全な営業環境を守るためにも、弁護士との関係構築はホストクラブ経営の必須のインフラと言ってよいだろう。ホストクラブの顧問弁護士は、ナイトビジネス業界に強いグラディアトル法律事務所に是非任せてもらいたい。