「ダーツバーの開業にあたって風営法の許可は必要?」
「ダーツバーが風営法の5号営業の対象外になるための条件とは?」
「ダーツバーの営業で風営法違反を回避するためのポイントを知りたい」
ダーツバーとは、その名のとおり、ダーツマシンが設置されたバーのことをいい、ダーツを楽しみながらお酒や軽食などを味わうことができる場所である。このようなダーツバーは、以前は風営法の風俗営業(5号営業)に該当するため、風俗営業の許可がなければ営業することができなかったが、現在では一定の要件を満たせば5号営業の許可がなくても営業することが可能になった。
ただし、風俗営業の許可が不要であったとしても、風営法の規制は及びますので営業方法によっては風営法違反となるリスクがある点に注意が必要である。
本記事では、
・ダーツバーの開業に必要な風営法等の手続き
・ダーツバーが風営法の5号営業の規制対象外となるための条件
・ダーツバーで風営法違反にならないようにするための5つのポイント
などを詳しく解説する。
ダーツバーで風営法違反を回避するには、風営法に詳しい弁護士によるサポートが不可欠となるため、少しでも疑問点があるなら早めに弁護士に相談することをおすすめする。
ダーツバーを開業する際に必要になる手続きとしては、主に以下の2つが挙げられます。
お酒をメインで提供する飲食店が深夜0時以降も営業するためには、風営法の深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要である。深夜に酒類を提供する店では、酔った客が店内で騒ぐなどして近隣住民に迷惑をかけることが多いため、風営法により規制対象となっている。
深夜酒類提供飲食店営業の届出は、営業を開始する日の10日前までに店舗の所在地を管轄する警察署に行わなければならない。
なお、深夜酒類飲食店営業の届出にあたっては、以下のような書類が必要になる。
・深夜における酒類提供飲食店営業の営業開始届出書
・営業の方法を記載した書類
・営業所の平面図
・住民票の写し
・法人の場合は、定款・法人登記事項証明書および役員全員の住民票の写し
ダーツバーでは、お酒や軽食などを提供するため、食品衛生法に基づく飲食店営業許可を取得しなければならない。飲食店営業許可申請は、営業を開始する日の10日前までに店舗の所在地を管轄する保健所に行わなければならない。
なお、飲食店営業許可申請にあたっては以下のような書類が必要になる。
・営業許可申請書
・営業施設の大要
・施設の平面図および付近案内図
・食品衛生責任者の資格を証明するもの
・登記事項証明書(法人の場合)
結論から言うと、一定の条件を満たせばダーツバーは風営法の風俗営業(5号営業)許可を取得することなく営業することができる。
もともとデジタルダーツ機は、客の射幸心をそそるおそれのあるものとして風俗営業(5号営業)の規制対象となっていた。つまり、ダーツバーを開業するには、風俗営業(5号営業)の許可申請が必要であった。ただし、例外的に遊技機面積が営業面積の10%以下であれば許可が不要という「10%ルール」が設けられていたため、多くのダーツ設置店は、このような10%ルールに基づいて営業をしていた。
しかし、デジタルダーツは世界的にも多くの愛好者に親しまれ、プロ選手も活躍するスポーツとしての一面もあることから、平成30年9月21日付の警察庁からの通達により、一定の条件を満たしたダーツ設置店であれば、風俗営業許可を得ることなく営業することが可能になった。
したがって、現在では多くのダーツバーが深夜酒類提供飲食店営業の届出と飲食店営業の許可により営業をしている。
警察庁の通達により、デジタルダーツは風営法の規制対象外となったが、それには以下の2つの条件を満たす必要がある。
デジタルダーツを風営法の規制対象外とする条件の1つ目は、従業員が目視またはモニターによりすべての状況を把握できることである。
デジタルダーツが風営法の規制対象になっていたのは、スポーツとしての本来の用途ではなく賭け事として利用されるおそれがあるというのが理由の一つであった。夜間にお酒を飲んでいると気分が高揚して友人らとダーツでお金を賭けるなどの行為をしてしまうリスクがあるというのはたしかにそのとおりである。
しかし、従業員が目視またはモニターによりすべての状況を把握できる状況であれば、かけ事の対象としてデジタルダーツが利用されるのを防ぐことができるため、風営法の規制対象外とする条件の1つになっている。
デジタルダーツを風営法の規制対象外とする条件の2つ目は、ダーツ機以外のゲーム類を設置しないことである。
ただし、ダーツ機以外のゲーム類を設置している場合でも、10%ルールの範囲を超えていなければこの条件を満たすことになる。
ダーツバーが風俗営業(5号営業)許可を得ることなく営業できるケースであっても、風営法のルールを守らなければ風営法違反となるリスクがある。以下では、ダーツバーが風営法違反にならないようにするための5つのポイントを説明する。
ダーツバーの従業員が客と一緒にダーツをプレイする行為は、風営法上の「接待」に該当するため、風俗営業の1号営業許可を取得する必要がある。
深夜酒類提供飲食店営業の届出だけでは「接待」を行うことができないため、このような行為をしてしまうと無許可営業として厳しい処分を受ける可能性がある。
ダーツバーでダーツ大会を開催することもあるが、深夜0時以降にダーツ大会を開催すると風営法上の「遊興」に該当し、特定遊興飲食店営業の許可が必要になる。
特定遊興飲食店営業の許可を取得することなく、深夜のダーツ大会を開催すると無許可営業として風営法違反になってしまう点に注意が必要である。
ダーツ大会を開催するなら深夜0時までに終了するようにしなければならない。
深夜酒類飲食店営業のダーツバーでは、午後10時以降に18歳未満の未成年者を店に立ち入らせてはならない。
ただし、保護者同伴であれば例外的に午後10時以降も未成年者の立ち入りが可能である。この点は、風俗営業であるキャバクラやホストクラブなどとは異なる特徴といえる。
深夜酒類飲食店営業のダーツバーでは、未成年者が店に立ち入る機会もあるが、20歳未満の人に酒やたばこを提供することは禁止されている。
成人に達しているか疑わしい客から酒やたばこの注文を受けたときは、身分証明書の提示を求めて年齢確認をするべきである。
深夜酒類飲食店営業の飲食店では、深夜時間帯の客引き行為が禁止されている。
風俗営業だと時間帯にかかわらず一律に客引き行為が禁止されるが、深夜酒類飲食店営業については、深夜時間帯に限って客引き行為が禁止されるのがポイントである。
ダーツバーは、一定の条件を満たせば風俗営業(5号営業)許可を取得することなく開業することが可能である。しかし、その場合でも風営法上のルールを守って営業しなければならず、風営法のルールを破ると行政処分や刑事処分などの対象になるため注意が必要である。
風営法にはさまざまなルールが定められており、知識や経験に乏しい一般の方では風営法の規制内容を正確に理解することは困難である。ダーツバーの営業で風営法違反を防ぐには、専門家である弁護士のアドバイスやサポートが不可欠となるため、少しでも疑問があるときはすぐに弁護士に相談するべきである。
グラディアトル法律事務所は、東京と大阪の2拠点を中心に活動しており、ナイトビジネス業界で全国1000件以上の解決実績がある。風営法違反に関する刑事弁護の経験も豊富である。
また、グラディアトル法律事務所では、500店舗以上の風俗店の顧問弁護士を担当しており、ナイトビジネス業界に特化した弁護士事務所といえるだろう。トラブル対応だけではなくトラブル予防にも力をいれているため、実際にトラブルが生じていなくても気軽に相談してもらいたい。
以前は、風俗営業(5号営業)の対象であったダーツバーも現在では一定の条件を満たせば、深夜酒類飲食店営業の届出で開業することが可能である。これによりダーツバーの開業のハードルも低くなり、新規参入する人も増えてきているが、許可が不要だからといって風営法が適用されないわけではない。
風営法のルールを遵守してダーツバー経営を行うには、専門家である弁護士のアドバイスやサポートが必要となるため、まずはグラディアトル法律事務所まで相談してもらいたい。