本記事では、メンズエステ店において違法な性的サービスが行われたとして、風営法違反(禁止区域営業)で経営者が逮捕されたものの、勾留延長がされず、短期間で釈放され、最終的に罰金刑のみで終結した実例を紹介します。
メンズエステを経営されている方や、これから開業を考えている方にとって、逮捕リスクや風営法違反のポイントを理解できる内容となっています。
Eさんは都内でメンズエステを経営している40代の男性です。
他店との差別化を図りながら売上向上に努めていました。
その一環として、リピーターを増やすためにセラピストがマイクロビキニに着替えるオプションを導入します。露出度の高い衣装で密着を伴う施術を行うことで、利用客の中には性的サービスを求める者も現れ、指名を得るためにいわゆる“裏オプション”として性的行為をしてしまうセラピストも出てきました。
Eさん自身は、性的なサービスを指示したわけではなかったものの、売上増加を背景に黙認する状態が続いてしまい、結果として、禁止区域内で性的サービスを提供しているとして風営法違反の疑いで逮捕されてしまいました。
弁護士は、依頼を受けた当日中に接見を行い、取り調べ対応の方針についてアドバイスしました。
勾留期間は最長20日となる可能性があり、精神的負担から不利益な供述をしてしまう危険があります。そのため、弁護士は法的助言に加え、精神的に落ち着いて取り調べに臨めるよう複数回接見を行いサポートしました。
本件で、メンズエステの経営者は風営法違反の事実は認めつつも、店舗の経営を継続したい、自分が逮捕・勾留されている間の店舗経営への不安があり、そこをなんとかしたいとのご要望でした。
弁護士は、店舗経営について、経営者の指示を店長や現場の責任者に逐一伝えて、店舗運営に支障が出ないよう対策をしました。
また、早期釈放を目指すべく、原則として罪を認め、捜査に協力しつつこちらの主張もしっかり伝えることにしました。
・セラピストの違法行為を黙認していたのは事実で罪を認める。
・セラピストによる性的サービスを店側が直接指示していなかったこと。
・性的行為が行われたとしても、それはあくまで客とセラピスト個人の判断であったこと。
それと同時に、担当弁護士は、検察官と連絡を取り、認めて捜査に協力するので、10日間で捜査を終わらせて罰金処理をしてほしい旨を伝えました。
これにより、勾留延長がなされず、10日間の勾留で終了し、略式起訴・罰金刑という軽い処分で事件を収束させることができました。
メンズエステの店舗経営についても、継続して営業をすることができました。
男性向けエステは大きく3種類に分類されます。
・美容・脱毛などを行う一般的なエステ
・リラクゼーションを目的とした「メンズエステ」(マンション等で行われ、しばしば違法な性的サービスがある)
・性的サービスを提供するいわゆる「風俗エステ(風エス)」(風営法上はデリヘル)
風俗エステは、デリヘル同様に性的サービスの提供を目的とするため、風営法上の「無店舗型性風俗特殊営業」に該当し、届出が必要です。
風俗店は、現在、禁止区域や禁止地域との関係で、新規で、店舗型で経営することは基本的にはできません。
そのため、店舗型の風俗店の禁止区域等の規制の抜け道として作られているのがメンズエステです。
風俗ではなく、エステですよというテイで営業をしていますが、実態としては、性的なサービスを行っている店も多く、その様な店は風営法違反で逮捕・摘発されます。
メンズエステが性風俗に該当するかは、
「異性客の性的好奇心に応じて接触する行為」があったかどうかで判断されます。
具体例としては、
・性器に触れる行為
・射精を伴う“抜き行為”
・マイクロビキニなど過度に露出の高い衣装で性的興奮を誘発する施術
などが挙げられます。
より詳細な説明は以下の記事をご参照ください。
風営法は、店舗型性風俗営業が行えない「禁止区域」(28条1項)と「禁止地域」(28条2項)を定めています。
禁止区域
学校、図書館、児童福祉施設などの周囲200m以内で営業を禁止。
禁止地域
都道府県条例により風俗営業が禁止された地域。
なお、規制前から営業していた店舗には例外が認められています(28条3項)。
違反が成立するための要件は、以下の2点です。
①禁止区域等で性的サービスを提供していること。
②経営者が指示または黙認(未必の故意)していたと認められること。
この2つを満たすと、
5年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金の対象となります。
今回のケースでは、禁止区域に所在する店舗で性的サービスが行われていたため、警察が風営法違反として捜査に着手しました。
逮捕に至った主な理由は以下のとおりです。
・マイクロビキニという性的要素の強いオプションを設定していた。
・セラピストが実際に性的サービスを行っていた。
・その状況を店側が黙認していたと判断された。
たとえ「積極的に指示していない」場合でも、営業方針自体が性的雰囲気を助長している場合や、黙認が続いている場合には“経営者の故意”が認定され得ます。
警察は口コミやネット上の情報、通報を基に捜査を行います。
今回も、性的サービスが行われているとの情報が外部に漏れ、摘発に至ったと考えられます。
メンズエステ店がとるべき対策
禁止区域・禁止地域でメンズエステを営業する以上、性的サービスは絶対に提供できません。
提供する場合は、必ず風営法に基づく届出を行い、禁止区域外で営業する必要がありますが、現実的にはほぼ不可能なので、デリヘルと同様に無店舗型性風俗特殊営業の届出を出して、派遣型で営業をする必要があります。
具体的な対策例
・セラピストと「性的サービスを提供しない」との誓約書を締結する。
・定期的なヒアリングを実施し、過剰サービスがないか確認する。
・オプションメニューを弁護士など専門家にチェックしてもらう。
・違反発覚時の処分(即日解雇等)を明文化しておく。
・違反したセラピストとの契約解除するなど、厳格な対応をする。
これらを徹底しておけば、万一トラブルがあった場合でも、「店舗として適切な管理を尽くしていた」と主張でき、リスクを大幅に低減できます。
今回紹介したのは、風営法違反により経営者が逮捕されたトラブル事例です。
近年、違法営業を行うメンズエステの摘発は増加しています。
安全に営業を続けるためには、常に法令に沿った運営が不可欠です。
弊所には風営法に精通した弁護士が多数在籍しております。
メンズエステ経営に関するお悩みやご相談があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。
