「風俗店のフランチャイズ出店を検討している」
「風俗業界でフランチャイズ化を目指すメリットとは?」
「風俗業界のフランチャイズ化において弁護士はどのような関与ができる?」
風俗業界においても、近年はフランチャイズ方式による出店が増加している。個人でゼロから店舗を立ち上げるよりも、知名度のあるブランドを活用して効率よく開業できる点が魅力だ。
風俗店の経営が軌道に乗ってきたタイミングでフランチャイズ化を検討する方もいるかもしれないが、風俗業におけるフランチャイズは、一般的な業種とは異なり、風営法や労働法、契約法などの複雑な法的リスクが関わるため、慎重な検討と適切な法的対応が求められる。
フランチャイズ化により生じる法的リスクを最小限に抑えるためにも、ナイトビジネス業界に強い弁護士のサポートを受けながらフランチャイズ化を進めていくべきである。
本記事では、
・風俗業界のフランチャイズとは何か
・風俗業界でフランチャイズを利用するメリット
・風俗業界におけるフランチャイズ契約時の法的チェックポイント
などについてわかりやすく解説する。
風俗店のフランチャイズ出店を検討している経営者にとって、実務と法務の両面から有益な内容であるため、ぜひ最後まで確認してほしい。
そもそもフランチャイズとは、本部(フランチャイザー)が有する店舗運営のノウハウや商標、ブランド力を、加盟店(フランチャイジー)に提供し、その対価としてロイヤリティを受け取るビジネスモデルである。飲食業や小売業では一般的な仕組みであり、すでに確立された運営体制を活用できる点から、個人事業主や新規参入者にとって魅力的な手法とされている。
風俗業界においても、同様のスキームで展開されるケースが増えている。
たとえば、デリヘルや店舗型性風俗などで、すでに成功している店舗ブランドがフランチャイズ募集を行い、加盟店がその看板を借りて新たな営業所を開業するといった形式である。
フランチャイズ本部は、営業マニュアルやシステム、広告支援などを提供する一方、加盟店は初期費用や月額ロイヤリティを支払いながら運営することになる。
ただし、風俗業は風営法の規制対象となるため、一般業種とは異なる特殊な法的リスクを内包している点に注意が必要である。
風俗業界におけるフランチャイズは、これから新規に風俗業界に算入しようとする人にとっては多くのメリットがある仕組みである。以下では、風俗業界でフランチャイズを利用する主なメリットを説明する。
風俗業界でフランチャイズを利用するメリットの1つ目は、開業までの時間が早いという点である。
フランチャイズでは、本部からマニュアルや広告素材、営業スキームが提供されるため、ゼロから事業を立ち上げる必要がない。これにより開業準備に要する期間を大幅に短縮することができる。
すでに運用実績のある仕組みを活用することで、最短数週間で営業を開始することも可能である。
風俗業界でフランチャイズを利用するメリットの2つ目は、ブランド力による集客力を確保できるという点である。
知名度のあるフランチャイズ本部に加盟することで、そのブランドイメージや信用力を利用した集客が期待できる。風俗業界では、顧客の信頼を得ることが非常に重要であるため、無名の個人店に比べて初期から一定の集客効果を見込める点は大きな利点である。
風俗業界でフランチャイズを利用するメリットの3つ目は、運営ノウハウの提供や集客支援が受けられるという点である。
本部から提供されるノウハウには、接客マニュアル、営業管理、トラブル対応、キャスト管理などが含まれる。さらに、インターネット広告や求人媒体への掲載支援など、集客面でも強力なバックアップを受けることができる。これにより、業界未経験者でもスムーズな運営が可能となる。
風俗業界でフランチャイズを利用するメリットの4つ目は、低コストで風俗業を始められるという点である。
フランチャイズでは、営業に必要な仕組みやノウハウが整備されているため、自前でのシステム構築や広告開発にかかる費用を削減できる。また、備品やシステムを本部経由で一括仕入れすることで、コスト面でも有利となる場合がある。これにより、初期投資を抑えつつ事業をスタートさせることが可能である。
チェックポイント | 概要 | 確認 |
---|---|---|
ノウハウ・集客支援の内容 | 契約書等に具体的に明記されているか確認。 | ⬜︎ |
テリトリー制の有無・範囲 | 競合出店防止の独占地域設定の有無を確認。 | ⬜︎ |
ロイヤリティの計算方法 | 算定方式・売上定義・追加費用の有無を確認。 | ⬜︎ |
競業避止義務 | 営業制限内容が過剰でないか確認。 | ⬜︎ |
契約解除の条件 | 中途解約条件・違約金の有無を確認。 | ⬜︎ |
風俗業界におけるフランチャイズは、一般的な飲食店のフランチャイズとは異なり、風営法などの法規制があるため、慎重な確認が求められる。以下では、風俗業界におけるフランチャイズ契約時に注意すべき法的チェックポイントを説明する。
本部から提供されるノウハウが、実際にどのような内容であるのかを具体的に確認する必要がある。口頭での説明だけでなく、契約書や別紙資料に明記されているかが重要である。
抽象的な表現しかない場合は、後に「思っていた支援が受けられなかった」という事態に発展しかねない。
同一エリア内における競合店舗の出店を防ぐために、テリトリー制(独占営業地域)の設定があるか否かは重要な要素である。
これが設定されていない場合、同じブランドを冠した別店舗が近隣に開業し、顧客やキャストの取り合いが発生するおそれがある。
ロイヤリティの算定方式は、売上に対する一定割合であるのか、定額制であるのかによって、実質的な経営負担が大きく変わる。加えて、売上の定義(総売上か粗利か)や、経費控除の有無なども細かく確認すべきである。
また、ロイヤリティ以外にも以下のような金銭面の確認も重要である。
・初期費用
・加盟金
・保証金
・システム利用料
・広告宣伝に関する分担金
契約終了後、一定期間同一地域内での営業を禁止する「競業避止義務」が定められているケースがある。
この規定が過度に広範であると、契約終了後の自由な事業活動が大きく制限されるため、公正な内容となっているか確認すべきである。
契約を中途解約する際の条件や、違約金の有無・金額についても十分な確認が必要である。本部側による一方的な解除条項が存在する場合、加盟店にとって不利な立場となることがあるため、弁護士によるチェックが推奨される。
風俗業界のフランチャイズ契約においては、風営法などの各種法令が深く関わってくるため、法的リスクを最小限に抑えるためにも弁護士の関与が不可欠である。以下では、風俗業界のフランチャイズ契約において弁護士ができるサポートを紹介する。
フランチャイズ契約書には、加盟店に一方的に不利な条項が含まれている場合もある。
たとえば、過度な違約金条項、長期かつ広範な競業避止義務、過剰なロイヤリティ支払い義務などがそれに当たる。弁護士が内容を精査することで、リスクを事前に洗い出し、必要に応じて本部側との交渉も行うことが可能である。
風俗店の開業には、風営法に基づく許可や届出が必要である。
地域によっては行政対応に差があるほか、書類作成や設備要件の確認など専門的な知識が求められる場面も多い。弁護士がいれば行政書士等と連携して、必要な手続きを一括して支援する体制を整えることができる。
フランチャイズ加盟後も、日々の運営において法的課題は継続的に発生する。
キャストとの契約、広告表現の適法性、顧客トラブルなど、多岐にわたるトラブルに対応するには法律の専門家である弁護士のサポートが不可欠である。
弁護士との顧問契約を結ぶことで、安定した事業運営が可能となり、フランチャイズ本部との関係調整が必要な場合にも、法的な立場からアドバイスが受けられる。
風俗業においては、キャストとの労務関係が曖昧になりがちである。
個人事業主として扱っていたキャストから労働者性を主張されたり、セクハラ・パワハラ等の内部トラブルが発生することもある。こうした場合に備え、労働法に詳しい弁護士が関与することで、早期解決や訴訟リスクを回避することができる。
風俗業界におけるフランチャイズは、開業の迅速化やブランド力の活用、運営ノウハウの提供といった大きなメリットを有する一方で、契約内容の不明確さや法的トラブルのリスクも併せ持つ制度である。
とりわけ、風営法をはじめとする法規制や、労務管理・契約条項に関するリスクは、事前に適切な対策を講じなければ後の事業継続に深刻な影響を及ぼしかねない。
このようなフランチャイズ化に伴うリスクを最小限に抑えるためには、専門家による継続的なサポートが不可欠である。特に、風俗業界のフランチャイズに関しては、ナイトビジネスに特化した弁護士にサポートを依頼するのがおすすめである。
グラディアトル法律事務所は、東京と大阪の2拠点を中心に活動しており、ナイトビジネス業界で全国1000件以上の解決実績がある。
また、グラディアトル法律事務所では、500店舗以上の風俗店の顧問弁護士を担当しており、ナイトビジネス業界に特化した弁護士事務所といえるだろう。トラブル対応だけではなくトラブル予防にも力をいれているため、フランチャイズ化を検討中の経営者の方は、気軽に相談してもらいたい。
グラディアトル法律事務所は、風俗業界に精通した弁護士が在籍しており、フランチャイズ契約のチェックから開業支援、労務・行政対応まで、包括的なリーガルサービスを提供している。
これから風俗業界に参入しようと考えている方、フランチャイズ契約の内容に不安を感じている方、または既に加盟しているがトラブルを抱えている方も、ぜひ一度ご相談いただきたい。