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【一斉摘発・逮捕】ホストの売掛回収のためソープランド売春させた事件

弁護士 若林翔 2023/01/24更新

2023年1月21日頃から、ソープランド関係者や元ホストの男、スカウトらが一斉摘発、逮捕された。

新宿歌舞伎町のホストクラブで働いていた元ホストの男が、客だった女性に対する売掛金(カケ・ツケ)を回収するために、その女性に売春をさせたとのこと。元ホストの男は、売春防止法(困惑による売春)違反で逮捕された。

また、元ホストの客の女性の働き先であるソープランドを紹介したとして、スカウトの男が職業安定法違反で逮捕されている。

客の女性が売掛金返済のために働いていたソープランドが複数あり、1都5県にまたがるソープランド関係者に捜査が入ったようだ。

各地のソープランドの経営者らも売春防止法違反(場所提供)で逮捕されたようだ。

 

ホスト・スカウト・ソープ摘発のニュース

 

1000万円要求し女性客ソープランドで売春 元ホストの男と住所不定無職の女ら13人逮捕

東京・歌舞伎町のホストクラブの20代女性客に対し、飲食代の売掛金名目で約1000万円を要求し、ソープランドで売春させたとして、警視庁保安課は23日までに、売春防止法違反(困惑等による売春)の疑いで、元ホストで無職の〇〇容疑者(27)を逮捕した。

逮捕容疑は21年10月~12月、女性に対し「早く金を作ってこい」「スカウトマンに紹介してもらって、ソープに行かせるから」などと告げて女性を困惑させ、台東区のソープランドで売春させるなどした疑い。

捜査関係者によると、女性は21年10月~22年3月、都内や福島、愛媛、熊本、大分、沖縄の5県のソープランドで売春をさせられ、売上金を渡していたとみられる。

また、保安課は〇〇容疑者の依頼を受けて、女性をソープランドに紹介したとして、〇〇容疑者(27)と住所不定無職の女(犯行当時19)を職業安定法違反の疑いで逮捕した。

2人の逮捕容疑は共謀の上、21年10月21日ごろ、都内またはその周辺で、台東区のソープランドの従業員に女性を紹介して雇用させ、公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で職業紹介を行った疑い。そのほか、売春を行う場所を提供したとして、売春防止法違反(場所の提供)の疑いで、台東区のソープランド2店舗の経営者など、10人を逮捕した。

日刊スポーツ 2023年1月23日 https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202301230000899.html

ホスト・ソープランド経営者等の売春防止法違反について

売春防止法とは

売春防止法は、昭和31年に作られた法律であって、「売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであることにかんがみ、売春を助長する行為等を処罰するとともに、性行又は環境に照して売春を行うおそれのある女子に対する補導処分及び保護更生の措置を講ずることによつて、売春の防止を図ることを目的とする」(売春防止法1条)法律だ。

ここでいう「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう(売春防止法2条)
要するに、「売春」といえるためには、以下の3つの要素を充たす必要がある。

1 お金をもらったり、お金をもらう約束をして
2 不特定の人と
3 性交(セックス)をする

ソープランドとの関係で言えば、お金をもらって不特定の客を相手に性行為をしていると言え、「売春」にあたるだろう。

売春防止法が罰則を設けて禁止する行為

売春防止法は全ての売春に罰則を科しているのではない。単なる売買春に罰則はないのだ。

そもそも、売春防止法の保護法益(守るべきもの)は、売春助長行為のもたらす人としての尊厳という個人的法益と社会の善良の風俗という社会的法益だ。

売春を助長することによって、売春している個人の尊厳を侵害してるでしょ。それに社会を悪くしてるよね。
この2つが売春の悪いことだ!と定めているのだ。

そのため、売春を助長する行為を処罰対象としている。

具体的には、以下の行為を禁止している。
・公衆の目に触れるような場所での売春の勧誘行為
・周旋(しゅうせん、あっせん行為とほとんど同じ意味です。)
・困惑や暴行・脅迫により売春させる行為
・売春をさせる目的での前貸し等の利益供与
・売春をさせる内容の契約をする行為
・売春を行う場所の提供
・管理売春(管理する場所に居住させて売春させることを仕事とする行為)
・売春場所の提供や管理売春を仕事とする人に金や土地・建物を提供する行為

元ホストの売春防止法違反(困惑)行為

今回の事件では、元ホストが、売掛金を回収するために客の女性をソープランドで働かせたとして、売春防止法違反(困惑売春)で逮捕されている。

前述のように、困惑等により売春をさせる行為は、売春防止法違反行為だ。

(困惑等による売春)
第七条 人を欺き、若しくは困惑させてこれに売春をさせ、又は親族関係による影響力を利用して人に売春をさせた者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
2 人を脅迫し、又は人に暴行を加えてこれに売春をさせた者は、三年以下の懲役又は三年以下の懲役及び十万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。

売春防止法

今回の元ホストが客の女性に対して、具体的にどのような言葉や行為を用いて売春をさせたのか明らかではないが、1000万円もの売掛金回収のために、脅迫などの行為や、脅迫に満たなくても困惑をさせる言動により売春をさせたとして逮捕されたと考えられる。

ソープランド経営者の売春防止法違反(場所提供行為)

ソープランドの経営者が売春防止法違反(場所提供)で逮捕・摘発されている事件は、ときどき発生する。

(売春をさせる業)
第十二条 人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に居住させ、これに売春をさせることを業とした者は、十年以下の懲役及び三十万円以下の罰金に処する。

売春防止法

ソープランドでの売春行為は、いわば、公然の秘密として黙認されているようにも見えるが、逮捕・摘発される店には特徴がある。

【逮捕・摘発されるソープランドの特徴】

・別件でのトラブルがあった
・暴力団が関与している
・国の方針での摘発
・目立つ店が見せしめとして摘発される

今回のケースでは、「別件でのトラブルがあった」に分類されるだろう。

元ホストとの関係で、困惑させられ、売春させられていた女性が、スカウト経由で入店している。

そして、その客の女性が働いていたソープランドが一斉に逮捕・摘発されたという構造だろう。

ソープランドの摘発についての詳細は、以下の記事も参照してほしい。

ソープランドの摘発・逮捕と売春防止法!客やキャストも逮捕される?

また、デリヘル等の風俗店と売春防止法については、以下の記事を参照してほしい。

デリヘル経営者必見!売春防止法違反での逮捕を避けるための5つの秘策

 

スカウトの紹介行為と職業安定法違反について

今回の事件では、元ホストが売掛をしていた客の女性について、スカウトマンを介して、ソープランドに紹介をしている。

ソープランドなどの性風俗店は、職安法が定める「有害な業務」に該当するとされている。

そして、職安法は有害業務の職業紹介や募集行為を禁止している。

次の各号のいずれかに該当する者は、これを1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
2号 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者

職業安定法63条

今回逮捕されたスカウトが客の女性をソープランドに紹介した行為もこの有害業務の紹介として、逮捕されているのだ。

スカウトの違法性と職安法については、以下の記事を参照してほしい。

SNSでも違法!スカウトを縛る3つの法律と逮捕事例・逮捕後の流れ

 

まとめ

今回の事件をまとめると以下のようになる。

・元ホスト→売春防止法違反(困惑による売春)で逮捕

・ソープランド経営者ら→売春防止法違反(場所提供)で逮捕

・スカウト→職業安定法違反(有害業務の紹介)で逮捕

グラディアトル法律事務所では、ホスト、風俗、スカウトなどの顧問弁護士や逮捕された場合の刑事事件にも対応しているので、夜の業界の経営者の方で適法に経営をしたいという方は、一度、ご連絡をいただきたい。

また、ホストクラブでの売掛については、弁護士を通じてホストや店舗と交渉することにより、支払わずに済むことや減額、分割払いができることもあるので、ホストの売掛について悩んでいる方も、ぜひ、弁護士に相談してほしい。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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