情報商材詐欺とは?手口と実例について

数年前に、ネオヒルズ族を数多く生み出し話題になった情報商材ですが、現在、HPやブログの他、TwitterやYouTubeの広告なども通じて、数多くの情報商材が売られています。

それに伴い、情報商材詐欺の被害が年々増加しています。本稿では情報商材詐欺の特徴や実例などについてご紹介させていただきます。

1.情報商材詐欺とは何か?

そもそも情報商材とは、 主にネット上で商品として販売されている情報のことを指します。
そして、「情報商材詐欺」とは、情報商材を売るというかたちを利用した詐欺のことをいいます。

具体的には、お金を支払ったのにもかかわらず、情報が送られてこないケースがあります。
また、情報が送られたきたとしても、広告とは全く違った情報しか入っていなかったケースもあります。

後者の場合、情報が送られてきている以上、詐欺かどうかの線引きが難しい側面があります。
この点、送られてきた情報に比べて、誇大な広告を出していた場合に情報商材詐欺にあたるとされています。

2.情報商材詐欺の特徴

上記のように情報商材詐欺については、どこから詐欺にあたるかの線引きが難しい側面があります。
また、購入するまで中身を見ることができないのが情報商材の特徴であるがゆえに、購入前に有益な情報商材なのか、詐欺的情報商材かを判断するのは容易ではありません。

ただ一方で、情報商材詐欺にはいくつかの特徴があります、下記に当てはまる場合には、情報商材詐欺を疑った方がいいといえます。

魅力的すぎる誇大広告・断定的判断の提供

「必ず儲かる」「絶対稼げる」「楽して稼ぐ」「1日5分スマホをいじるだけ」
などの、絶対性、容易性を強調する記載には気をつけましょう。

これらは、楽をしながら安定的に稼ぎたいという人の弱い心につけ込むための誘い文句です。
仮に絶対に儲かる、楽して稼げるビジネスが実在したとしたら、そのビジネスをわざわざ他人に話してライバルを増やす必要がどこにあるでしょうか?

②期間限定、先着何名

「これを買えるのは今日だけ」「先着100名様限定」
などの希少性を過度に強調する文章にも気をつけましょう。

情報は数に限りがあるはずがありません。
売れれば売れるほど儲かるはずなのに希少性を強調するのは、購入者に急かして正常な判断をさせないためのものです。

③ギャンブル、副業、投資

これらの分野についての情報商材には気をつけなければなりません。

①と共通しますが、どれも楽をして儲けたい人の心の弱みにつけ込んでおり、詐欺的なものが多い傾向にあります。
最近では、You Tubeに動画を投稿する副業やネットショップの経営をする副業などについて情報商材が数多く出ているので、特に注意が必要です。

④サイトに特商法により求められる記載がない場合

後述のように情報商材販売は特商法(特定商取引に関する法律)の適用があり、同法11条によって、サイトに記載すべき事項(取引条件や事業者の氏名・名称、住所、電話番号などの販売業者等に係る情報)が定められています。
これらが遵守されていない場合、情報商材詐欺会社があえて隠している可能性があります。

3.情報商材販売と特商法、消費者契約法

情報商材販売は詐欺に該当するか否かの判断について難しい側面があるため、刑事上の責任追及や民法上の損害賠償請求よりも、特別法による救済が功を奏するケースが多くあります。
情報商材販売に適用される特別法である特商法及び消費者契約法について,以下説明いたします。

特商法においては、「業務提供誘引販売」または「通信販売」に該当することが多いです。

前者は、「仕事を提供します。その仕事をするためにはこの情報商材の方法によってください」などといった内職型商法の類型で、20日間以内のクーリングオフが可能です。

後者は、それ以外の情報商材販売の類型で、クーリングオフ制度がない代わりに返品制度があります。ただし、返品に応じないと明記されていた場合には返品できないことには注意が必要です。

消費者契約法においては、事業者が消費者契約の締結について勧誘する際、下記の手段により勧誘し、消費者に誤認をさせて結ばせた契約は、消費者は取消しを主張することが可能となっています。

・重要事項について事実と異なることを告げること(不実告知
・将来の変動が不確実な事項につき断定的に言うこと(断定的判断の提供
・利益になることだけ言って、重要な項目について不利益になることを故意に言わないこと(不利益事実の不告知

これらの特別法上の解除、取消しは、情報商材詐欺であると認められない場合にも使える手段です。

4.過去の情報商材詐欺事件

①マルチ商法に関連した情報商材詐欺

2016年1月、インターネットビジネスを展開する会社i-rageHoldingsの代表取締役が逮捕されました。
彼はネットビジネスで確実に儲けることができると語り、webシステムの商品購入を勧めた上で、代理店契約まで結ばせました。
その購入費用は約76万円です。
誇大広告でシステムを販売していて、その売上高は1億7千万にものぼりました。
多くの被害者が出た詐欺事件です。

②特定商取引法に違反した情報商材詐欺

完全利益確定保証」「誰でも必ず稼げると語り、バイナリーオプションの情報配信サービスを販売していた横浜市戸塚区のコンサルタント会社も逮捕されました。
この時の逮捕理由は、特定商取引法の違反という理由でした。

③通販サイトに関連した情報商材詐欺

インターネットの通販サイトで転売収入が得られるとうたい、商品検索サイト利用契約を結ばせたとして、詐欺と特定商取引法違反(不実告知など)の疑いで、東京都のコンサルタント会社(解散)の元社長と元従業員ら男女9人が逮捕されました。
同社は解散するまでに、全国の約2千人から約6億9千万円の契約料を得ていたそうです。

5.情報商材詐欺被害における返金実績

実際に情報商材詐欺被害にあってお金を支払ってしまった場合、取り戻せるのか?
弁護士に依頼された事件での返金実績についていくつか紹介します。

①YouTubeで「サラリーマンでも仕事の合間に稼げる」という副業の広告を見て、総額90万円払ってしまったケースで、全額返金がなされています。

② 「1000倍以上確約」 という新興仮想通貨についての広告を見て、セミナーの申込みなどを行い、総額130万円払ってしまったケースで、90万円の返金がなされています。

6.まとめ

情報商材詐欺については、その該当性判断は難しいものの詐欺であることが認められた場合には、返金されることが多い類型です。

また、仮に詐欺であると認定されずとも、消費者契約法による取消しや特商法によるクーリングオフが可能な場合もあります。

お悩みの方はぜひ一度、弁護士にご相談ください。

また,情報商材詐欺の最新逮捕事例等を加えて,その手口・返金方法を以下の記事で解説をしているので,こちらもご参照ください。

《詳細解説コラム》情報商材詐欺の返金方法とその手口を弁護士が徹底解説!!【2020年最新版・動画あり・逮捕事例あり】

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
東京弁護士会所属(登録番号:50133)
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。