ガールズバーの接待行為と風営法違反・無許可営業での逮捕、罰則、量刑、判例について弁護士が解説!

弁護士 若林翔
2021年07月10日更新

新宿歌舞伎町などの繁華街には、ガールズバーが数多くあり、キャバクラよりも安く飲めるのが魅力のお店です。

最近では、オリンピックを目前にして、ガールズバーの逮捕・摘発事件が増えてきています。

ガールズバーの逮捕・摘発事件の多くが、「接待」をしてしまったことを理由とする風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)違反、無許可営業の罪です。

令和2年における風営法違反の検挙件数の中でも、この無許可営業が一番多い犯罪類型になっています。

警察庁発表資料「令和2年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」より引用

 

当法律事務所では、数多くのキャバクラやガールズバーの顧問弁護士をしており、無許可営業や接待についてのご相談業務や、刑事事件の弁護人業務をおこなってきました。

今回の記事では、ガールズバーが風営法違反(無許可営業)で逮捕される理由、無許可営業の罰則、量刑相場、「接待」の定義、判例などについて、弁護士が解説をしていきます。

YouTube動画でも解説をしておりますので、こちらもご覧ください。

ガールズバーとキャバクラの風営法上の違い

そもそも、ガールズバーは、2004年の歌舞伎町浄化作戦と言われる夜の街への取り締まりの強化の後に増えてきた業態です。

夜の街への取り締まりが強化され、それまでは深夜も営業していたキャバクラやホストクラブについて、風営法や風営法施行条例によって深夜0時(一部地域では深夜1時)までしか営業ができなくなりました。

ガールズバーは、この規制を逃れるように、キャバクラではなく、バーであるという建前で、深夜営業を行う店舗として増加してきたのです。

では、キャバクラとガールズバーは、風営法上はどのような違いがあるのでしょうか?

端的に回答すると、「接待」があるかどうかで区別されます。

キャバクラは、風営法2条1項1号が定める接待飲食等営業店であり、同法3条1項が定める公安委員会の許可を受けなければ営業ができません。

そして、キャバクラやホストクラブなどの接待飲食等営業店は、風営法上、「風俗営業」と定義されており、この風俗営業は、営業時間が制限されています。具体的には、午前0時(地域によっては午前1時)から午前6時までの時間帯の営業は禁止されています(同法13条)

他方で、ガールズバーは、接待をしない飲食店で、通常、同法33条の定める深夜における酒類提供飲食店営業としての届出を出して営業をしております。

この深夜酒類提供飲食店営業では、キャバクラなどの風俗営業とは異なり、営業時間の制限はありません

風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

(用語の意義)
第二条 この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
一 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業

(営業の許可)
第三条 風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別(前条第一項各号に規定する風俗営業の種別をいう。以下同じ。)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。

(営業時間の制限等)
第十三条 風俗営業者は、深夜(午前零時から午前六時までの時間をいう。以下同じ。)においては、その営業を営んではならない。ただし、都道府県の条例に特別の定めがある場合は、次の各号に掲げる日の区分に応じそれぞれ当該各号に定める地域内に限り、午前零時以後において当該条例で定める時までその営業を営むことができる。
一 都道府県が習俗的行事その他の特別な事情のある日として当該条例で定める日 当該事情のある地域として当該条例で定める地域
二 前号に掲げる日以外の日 午前零時以後において風俗営業を営むことが許容される特別な事情のある地域として政令で定める基準に従い当該条例で定める地域

(深夜における酒類提供飲食店営業の届出等)
第三十三条 酒類提供飲食店営業を深夜において営もうとする者は、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に、次の事項を記載した届出書を提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 営業所の名称及び所在地
三 営業所の構造及び設備の概要

ガールズバーが風営法違反(無許可営業)で逮捕される理由とは?

前述のように、キャバクラなどの客の「接待」をする接待飲食等営業では、公安委員会の許可を受けなければ営業ができません。

そして、世の中にある多くのガールズバーでは、この公安委員会の許可を得ずに、深夜酒類提供飲食店営業の届出を出して営業しています。

つまり、ガールズバーは、接待をしないからキャバクラではないよ、普通のバーですよ、という建前で営業をしております。

そのガールズバーで女性キャストが客を接待していた場合には、キャバクラと同様に、公安委員会の許可が必要なのに許可を得ていなかったとして、無許可営業となってしまうのです。

無許可営業の罰則と量刑相場

風営法の無許可営業の罰則は、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金、又は併科(風営法49条1号)です。

風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

(罰則)
第四十九条  次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  第三条第一項の規定に違反して同項の許可を受けないで風俗営業を営んだ者

風営法の無許可営業で実際に逮捕・摘発されて、起訴された場合には、どのくらいの罪になるのでしょうか?その量刑相場について解説します。

事案の性質などによって異なってきますが、当法律事務所の弁護士が経験した案件や裁判例の傾向をみてみると、初犯の場合、略式起訴により80万円〜100万円程度の罰金となることが多いです。

また、店舗ぐるみの犯罪類型ということで、逮捕・勾留されて、勾留の延長もなされることが多く、23日間の身体拘束がなされ、弁護士以外と面会ができない接見禁止がつくことが多いです。

そのため、ガールズバー経営者が接待をして逮捕されてしまった場合には、早急に弁護士にご相談することをお勧めします。

風営法の「接待」の定義とは?

「接待」とは,歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと(風営法2条1項1号)をいいます。

具体的には、接待は、営業者、従業者等との会話やサービス等慰安や歓楽を期待して来店する客に対して、その気持ちに応えるため営業者側の積極的な行為として相手を特定して興趣を添える会話やサービス等を行うことをいいます(令和2年警察庁通達「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について」参照)。

特定の客又は客のグループに対して単なる飲食行為に通常伴う役務の提供を超える程度の会話やサービス行為等を行うことであるといえます。

通常の居酒屋やバーなどの飲食店の店主と客の関係でよく見られるような、世間話や酒を作る行為は接待に該当しません。

他方で、キャバクラのように、特定の客について、談笑したり、タバコに火をつけたり、一緒にカラオケを歌ったりするような行為は接待に該当します。

「接待」に該当するかどうかの簡単な判断基準としては、キャバクラに近ければ「接待」通常の居酒屋・バーの域を出なければ「接待」には該当しないと考えてもらえればよいかと思います。

なお、この接待については、異性に限定はされておらず、ゲイバーやアフターバーなどで、同性が同性を接待する場合にも該当します。

風営法の「接待」の判断基準とは?

「接待」とは,歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことです。

では、具体的に、どのような行為が接待に該当するのか、その判断基準を解説していきます。

談笑・お酌と接待

特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為は接待に該当します。

ボックス席やソファー席において、隣に座って談笑をしている場合には、接待に該当する可能性が高いです。

他方で、カウンター越しの対面で話をしていた場合にも接待に該当する可能性があることには注意が必要です。

この特定少数の客という点については、警察官や検察官などの捜査担当者は、席数と出勤キャスト数の関係を見てきます。席数と出勤キャスト数が同数に近ければ、マンツーマンで特定少数の客に接待をしているものと推測されるからです。

これに対して、通常の居酒屋やバーなどでも見られるような行為、例えば、お酌をしたり、水割りを作ったりするが速やかにその場を立ち去る行為、客の後方で待機し、又はカウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供するだけの行為及びこれらに付随して社交儀礼上の挨拶を交わしたり、若干の世間話をしたりする程度の行為は、接待には該当しません。

カラオケと接待

カラオケが置いてあるガールズバーは接待をしているのではないかと考えられていますが、必ずしもそうではありません。

カラオケ設備がある店舗において、特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを勧奨し、若しくはその客の歌に手拍子をとり、拍手をし、若しくは褒めはやす行為又は客と一緒に歌う行為が、接待に該当します。

これに対して、客の近くに位置せず、不特定の客に対し歌うことを勧奨し、 又は不特定の客の歌に対し拍手をし、若しくは褒めはやす行為、不特定の客からカラオケの準備の依頼を受ける行為又は歌の伴奏のため楽器を演奏する行為等は、接待には該当しません。

要するに、ガールズバーキャストが特定の指名客にカラオケを提案したり、一緒に歌う行為は接待ですが、居酒屋の大将がカラオケを歌っている複数の客に拍手をすることは接待ではありません。

ダーツと接待

これまたガールズバーでよく見かけるダーツですが、ダーツを置いているだけでは接待には該当しません。

特定少数の客と共に、ダーツを含む遊戯、ゲーム、競技等を行う行為は、接待に該当します。

これに対して、客一人で又は客同士で、遊戯、ゲーム、競技等を行わせる行為は、直ちに接待に当たるとはいえません。

客がダーツをやる分にはいいけれども、特定の客と一緒にダーツをするのは接待に該当するということです。

接待の判断基準のまとめ

以上で、談笑・お酌、カラオケ、ダーツと、風営法の「接待」の解釈でよく問題となる行為類型について、解説をしてきました。

この他にも、以下のようなものが、接待の基準になります。

  • 席数と出勤キャスト数
  • 指名・同伴・アフターなどの制度の有無
  • ドリンクバックなどの給与制度

簡単に言えば、キャバクラやホストクラブでよく見られるような制度がある場合には、「接待」に該当する要素として判断される可能性が高くなります。

ガールズバーの風営法違反(無許可営業)の逮捕事例

ガールズバーが「接待」をしたとして、風営法違反(無許可営業)で逮捕される事例は多いです。

ネット上で検索をすれば、多くの逮捕事例が出てくるでしょう。

ここでは、直近のガールズバーの逮捕事例を見てみましょう。

「リクエスト」された女性が接客 ガールズバー経営者ら逮捕

東京・豊島区のガールズバーの経営者の男らが逮捕された。

ガールズバー「〇〇」経営の〇〇容疑者(26)ら2人は、風俗営業の許可がないため認められていない客の接待を女性従業員にさせた疑いが持たれている。

店では、40分2,500円の料金に、追加料金で女性を指名できる「リクエスト」と称したサービスも行っていたという。

店は、〇〇容疑者が経営者になった2020年6月以降、600万円以上の売り上げがあったとみられている。

〇〇容疑者は「女性従業員が客に対し、1対1でお酌したりして接客していた」などと容疑を認めているという。

2021/7/5 FNNプライムオンライン https://nordot.app/784641179055128576?c=516798125649773665

この事件では、「リクエスト」と呼ばれる女性キャストを指名する制度があったことから、キャバクラに近い営業形態であったことが推測できます。

接待についての判例

風営法上の「接待」の解釈基準を示した裁判例として、大阪高判昭和46年3月10日があります。

この裁判例は、飲食店経営者であった被告人が従業員であった女性とともに男性客の隣に座って接待をしたとして、風営法違反、無許可営業の罪に問われた事件です。

この裁判例では、「接待」について、社会的儀礼としていわれる客の接待と意味合いが異なり、営業の対象としての客に対し、その慰安歓楽を求める気持を迎えて、客の気持に沿うべく積極的にこれをもてなす行為であると限定的に解釈をしました。

その上で、本件では、被告人と女性従業員は、カウンターを出て客の隣に座って話をしていたものの、店内には男性客一人しかおらず、教員である男性客の教育についての話を真摯に聞いていたのであって、その話題は陥落的な雰囲気とは程遠いものであったこと、話の間に酒を作るなどの奉仕はしていないことなどから、「接待」には該当しないとして、被告人を無罪としました。

そこで、同号にいう「客の接待」の意義について考察してみると、風俗営業等取締法が、その業態において、客の間に過度の享楽的雰囲気を醸成し又は射倖心をそそるおそれのある接客営業について各種の規制を設けている立法趣旨に照らせば、客に遊興をさせる営業の場合は勿論、客に飲食をさせる営業の場合であつても、客の接待をするとは、社会的儀礼としていわれる客の接待と意味合いが異なり、営業の対象としての客に対し、その慰安歓楽を求める気持を迎えて、客の気持に沿うべく積極的にこれをもてなす行為を指称しているものとするのが相当といわなければならない。

したがつて、客とともに歌や踊りに興じ、そのかたわらにあつてひき続き酒類の酌をし又は談笑の相手となる行為がこれに該当することはいうまでもなく、また談笑の間に単なる世間話程度の話題が提供された場合においても、客の話相手となることによつておのずから酒食の席に歓楽的な雰囲気がただようようなときには、その話題が世間話であるからといつて、いちがいにここにいう接待にあたらないと断じられない点は、検察官が答弁書において陳述しているとおりと解される。

しかしながら、酒食を提供した一人の客が、たまたま店主や従業員と顔見知りであつて、ほかに相客もいない気安さなどから、普通の世間話をもちかけてきたさいに、これに応じて対話を交わす程度のことは、たとえその客の席に隣り合わせた客席に位置して話相手となつていた場合であつても、特段に客に刺戟を与えて歓楽的な空気をかもし出すごとき言動が他にみられないかぎり、これをしも前記法条にいう客の接待に該当するものとみなすことはできない

大阪高判昭和46年3月10日

風営法違反・無許可営業で罰金刑の判例

和歌山地判令和2年7月22日は、客引きをして、無許可営業の店舗に客を連れてきて、キャストに接待をさせたとして起訴された事案です。

本件では、罰金80万円の有罪判決が下されました。

(罪となるべき事実)
被告人は,
第1 省略
第2 同市(以下略)において社交飲食店「□□」を営んでいたものであるが,前記Aと共謀の上,和歌山県公安委員会から風俗営業の許可を受けないで,同年2月3日から同月7日までの間,同店において,客席等の設備を設けて,客であるDらに対し,同店従業員Eらに客席に同席させて談笑させるなどして接待をさせるとともに,酒類を提供して飲食をさせ,もって無許可で風俗営業を営んだ。

(量刑の理由)
被告人は,平成31年4月に和歌山県公安委員会に宛てて従業員に客引きをさせず許可を受けるまで風俗営業をしない旨の誓約書を提出していたにもかかわらず,自己の経営する店の売上を上げるためと言う安易かつ自己中心的な動機で判示各犯行を主導したもので,法軽視の態度が著しく,客引き(判示第1)は常習的であるが,移転先の店舗における無許可営業(判示第2)の期間は比較的短い。
以上に加え,被告人が判示各犯行をいずれも認めるに至って二度と犯罪をしないと誓っていること,被告人には過失犯による罰金前科1犯があるものの他に前科はないこと,被告人の父親が出廷して被告人の監督を約束したことなども考慮すると,被告人に対しては,罰金刑を選択の上,主文の刑に処するのが相当である。

和歌山地判令和2年7月22日

ガールズバーと接待・無許可営業のまとめ

以上で見てきたように、ガールズバーはキャバクラとは異なり、営業時間の制限がなく、深夜も営業できることなどのメリットはあります。

しかし、「接待」について、しっかりとした知識をもって、気をつけて営業をしなければ、無許可営業で逮捕される可能性があります。

当法律事務所では、ガールズバー経営者様との顧問契約もおこなっておりますので、ご不安な方は一度ご連絡いただけたら幸いです。

リンク:キャバクラ・ホスト・風俗業界の顧問弁護士HP

 

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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