死ねと言われたら?被害者がとるべき行動と法的責任追及の方法を解説

死ねと言われたら?被害者がとるべき行動と法的責任追及の方法を解説

「『死ね』と言われたけど、これって罪に問えない?」

「『死ね』と言われたときはどうすればいい?」

「『死ね』と言われて弁護士に相談しようか迷っている」

「死ね」と言われた——このような言葉を他人から投げかけられたとき、強いショックや恐怖、怒りを感じるのは当然のことです。たとえ一言であっても、その言葉が精神的に大きなダメージを与えることも少なくありません。近年では、SNSや掲示板などでの誹謗中傷によって自殺に追い込まれるケースもあり、「死ね」という言葉がもたらす社会的影響は無視できないものとなっています。

相手から「死ね」という言葉を投げられた場合、具体的な状況によっては相手に対して刑事および民事上の責任を追及できる可能性がありますので、泣き寝入りする前に弁護士に相談することをおすすめします。

本記事では、

・「死ね」と言われたときに成立し得る3つの犯罪
・「死ね」と言われたときに被害者がとるべき行動
・「死ね」と言われたときに弁護士ができるサポート

などを詳しく解説します。

心無い発言による深刻な被害を防ぐためにも、「死ね」と言われたときにどう対応すべきか、正しい知識を身につけておきましょう。

死ねと言われたら罪に問える?成立しうる3つの犯罪

死ねと言われたら罪に問える?成立しうる3つの犯罪

死ねという言葉が使われた状況次第では、犯罪が成立する可能性があります。以下では、死ねと言われたときに成立し得る3つの犯罪を紹介します。

殺害をほのめかす発言が含まれている場合|脅迫罪

「死ね」という発言だけでは、原則として脅迫罪には該当しません。なぜなら、脅迫罪は、「生命、身体、自由、名誉又は財産に対して害を加える旨を告知した場合」に成立する犯罪ですので、単に「死ね」と言っただけでは、相手の生命を能動的に脅かす意思表示とまでは評価されないからです。

ただし、「殺す」「ぶっ殺す」などといった表現を加え、「死ね。殺してやる」などと明示的に危害を加える文言が含まれていた場合には、脅迫罪が成立する可能性があります。

自殺をそそのかす発言があった場合|自殺教唆

精神的に追い詰められた状態で、「死ね」「今すぐ死ね」などと繰り返し強い口調で言われた場合、それが自殺をそそのかす行為であると評価されれば、自殺教唆罪が成立する可能性があります。自殺教唆罪は、未遂も処罰されますので、被害者が自殺をしようとしたものの死にきれなかった場合でも罪に問われます。

特に、SNSやLINE、メールなどで執拗に「死ね」とメッセージを送り続けた場合や、交際相手や先輩、上司など立場的に優位な人間が発言した場合、自殺教唆の成立が認定されやすくなります。

SNSや掲示板に「死ね」と投稿された場合|侮辱罪

近年、SNSや掲示板で「死ね」「消えろ」などの誹謗中傷が書き込まれるケースが増えています。このような投稿により他人を侮辱した場合には、侮辱罪が成立する可能性があります。

なお、2022年の刑法改正により、侮辱罪の法定刑は、「拘留または科料」から「1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」へと引き上げられました。

※「拘禁刑(こうきんけい)」とは、従来の刑罰である懲役と禁錮を一本化した刑罰です。改正刑法に基づき、2025年6月1日から、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されました。

死ねと言われたらどうするべきか?被害者がとるべき4つの行動

死ねと言われたらどうするべきか?被害者がとるべき4つの行動

「死ね」と言われた場合、恐怖や怒りから誤った行動をしてしまう方も少なくありません。ここでは、被害者が取るべき具体的な4つの対応策を説明します。

基本的には言い返さずに無視をする

「死ね」と言われたとき、多くの人は反射的に言い返したくなりますが、感情的に対応することで事態がエスカレートするおそれがあります。特に、相手が攻撃的な性格の場合、暴力やさらなる精神的攻撃に発展するリスクもありますので感情的な行動は禁物です。

まずは冷静になり言い返すのではなく、相手と距離を置くことが重要です。しつこく「死ね」と言われたとしても、基本的には無視した方がよいでしょう。

証拠を残しておく

死ねと言われた相手に対しては、後述するように民事または刑事上の責任を追及することができます。しかし、法的責任を追及するためには、相手による発言や投稿の証拠が必要です。

死ねと言われた証拠がなければ法的責任追及は困難ですので、以下のような証拠を残しておくべきでしょう。

・音声録音(ICレコーダーやスマホアプリ)
・SNSや掲示板のスクリーンショット
・メールやLINEなどのメッセージ履歴
・発言を聞いた第三者の証言

証拠がない場合、後から事実関係を立証するのは難しくなります。被害を受けたと感じたら、できるだけ早く証拠を確保しましょう。

学校でのいじめなら教師に、職場でのパワハラなら上司に相談する

「死ね」という発言が学校内でのいじめや職場でのハラスメントに該当する場合は、学校の教師や管理職に相談することが大切です。放置すると被害が拡大するおそれがあるため、早期の対応が望まれます。

また、学校や職場が対応を怠る場合には、教育委員会や労働基準監督署、外部の相談窓口などに相談することも検討しましょう。

身の危険を感じたときは警察や弁護士に相談する

相手が実際に危害を加えてくる可能性がある場合や強い恐怖感を覚えるような状況では、自分だけで対応するのは危険です。特に、ストーカーやDV事案については、深刻な被害が生じるおそれがありますので、すぐに警察に相談するようにしてください。

また、加害者に対する法的責任追及を検討している場合には、弁護士に相談することで、刑事告訴や損害賠償請求などの法的対応のアドバイスやサポートをしてもらえます。

死ねと言われたら法的責任追及を検討|民事・刑事の2つの法的責任

死ねと言われたら法的責任追及を検討|民事・刑事の2つの法的責任

悪質な言動に対しては、単に我慢するだけでなく、法的手段によって責任追及することも可能です。以下では、刑事責任と民事責任の2つの側面から責任追及の方法を説明します。

死ねと言われたことが犯罪にあたるなら刑事告訴

死ねという発言が脅迫罪、侮辱罪、自殺教唆罪などの犯罪行為に該当する場合には、刑事告訴により刑事責任を追及することができます。

警察に刑事告訴をして受理されれば、犯罪行為に立件に向けた捜査が開始しますので、場合によっては加害者が逮捕・起訴され、刑罰が科される可能性もあります。

なお、刑事告訴には証拠が必要不可欠なため、発言の記録やSNSの投稿など犯罪立証の証拠をそろえておくことが重要です。

死ねと言われて精神的苦痛を被ったときは損害賠償請求

「死ね」という発言により著しい精神的苦痛を受けた場合、民事上の不法行為に該当しますので、加害者に対して損害賠償請求を行うことができます。

その場合の慰謝料の相場は、被害の程度や加害者の態度、発言の回数・状況によって異なりますが、数万円から数十万円程度が一般的です。

「死ね」という発言・投稿で刑事事件になった実際の事例

「死ね」という発言・投稿で刑事事件になった実際の事例

「死ね」という言葉が、実際にどのように刑事事件として扱われたのかを知ることで、現実的なリスクや法的評価の傾向を理解することができます。ここでは代表的な事例を2つ紹介します。

堀ちえみのブログに「死ね消えろ」と誹謗中傷した50代主婦が書類送検

2019年、タレントの堀ちえみさんのブログに「死ね」「消えろ」などの誹謗中傷コメントを繰り返し投稿していた50代の女性が、侮辱罪で書類送検されました。

がん闘病中のタレント、堀ちえみ(52)のブログに「死ね」「消えろ」などと誹謗中傷する言葉を何度も書き込んだとして、北海道に住む50代の主婦が6月18日に脅迫容疑で警視庁から書類送検されていたことが16日、分かった。
調べによると、主婦は堀が舌がんの手術を受けた2月4日の前日の3日に、「死ね消えろ馬鹿みたい」などと投稿。
さらに、堀が食道がんの手術を受けた4月16日以降も「死ねば良かったのに」などと書き込んだ。このため、堀の関係者が今春、警視庁に被害届を提出。発信元は主婦と特定された。
この日、書類送検を報じたフジテレビ系「直撃LIVE グッディ!」の取材に主婦は、「『殺す』とは書いてない。『死ね』でも脅迫になるんですか。
みんな書いてるじゃないですか」と主張。反省の色は見えなかった。
主婦は歌舞伎俳優、市川海老蔵の自称ファン。海老蔵のブログの近くに、おすすめ有名人の1人として堀のブログがあるのを見て関心を持つうち、「あんな元気な舌がん患者はいない」などとするネット掲示板の噂に感化されたようで、「(堀を)たたく人が多いので、なんとなく…」と動機も語った。一方、堀は「グッディ!」の取材に「傷ついた?」と聞かれ「ああ、はい」と短く返答。サンケイスポーツの取材にも16日、関係者を通じ「ネットの書き込みで深く傷つく人がいることを知ってほしい」と語ったが、主婦からの謝罪はまだないという。
(引用:サンスポ)
堀ちえみのブログに誹謗中傷「死ね消えろ」、50代主婦が書類送検 – サンスポ

交際相手の女性に「死ねよ」とメッセージを送り飛び降り自殺をさせた慶大生が逮捕

2014年には、交際相手の女性に対して「死ねよ」とLINEでメッセージを送り続け、自殺に追い込んだとして、慶應義塾大学の男子学生が自殺教唆の疑いで逮捕されました。

被害者が精神的に不安定であることを知りながら、執拗なメッセージを送り続けた行為が教唆と認定された事例です。

交際相手の女性に携帯電話から「死ねよ」などとメッセージを送り、飛び降り自殺させたとして、警視庁三田署は21日までに、川崎市中原区木月住吉町の慶応大3年の容疑者(21)を自殺教唆の疑いで逮捕した。逮捕容疑は昨年11月8日夜、交際していた慶応大3年の女子学生(当時21)に対し、無料通信アプリLINE(ライン)で「手首切るより飛び降りれば死ねるじゃん」などと送り、翌日朝、女性を港区のマンション8階の自室から飛び降り自殺させた疑い。三田署によると、女性は容疑者からのメッセージを受け取った後、友人に自殺をほのめかすメールを送り、両親宛てに遺書も残していたという。昨年11月に匿名の情報提供を受けた同署が調べていた。
(引用:日本経済新聞)交際女性に自殺教唆の疑い 慶大生を逮捕 – 日本経済新聞

死ねと言われたときに弁護士ができるサポート

死ねと言われたときに弁護士ができるサポート

「死ね」と言われたとき法的に対処したいと考えても、自分一人では何をすればよいかわからないこともあるでしょう。そんなときに頼れるのが弁護士の存在です。以下では、弁護士ができる主なサポート内容を説明します。

実際の状況を踏まえて違法な発言・投稿であるかを判断できる

「死ね」と言われたとしてもすべてのケースが違法になるとは限りません。そのため、法律上違法性が認められる言動か、その発言により犯罪が成立するかどうかを適切に評価することが大切です。

弁護士に相談をすれば、発言の内容(脅迫性、自殺教唆性、侮辱性の有無)、発言の文脈(喧嘩の最中か、日常的に繰り返されているか)、相手との関係性(力関係、上司・教師・配偶者などの立場)、被害者の心理状態(発言によって不安障害やうつ症状を発症しているか)、・証拠の有無(録音、SNSのスクショ、LINE履歴など)などを踏まえて、相手の発言の違法性を適切に判断してもらえます。

違法性の判断には専門的な知識が必要となりますので、まずは弁護士に相談するようにしましょう。

犯罪に該当するときは刑事告訴のサポートができる

発言の内容が脅迫罪、自殺教唆罪、侮辱罪などに該当する場合、刑事告訴を行うことが可能です。ただし、告訴を受理してもらうには、告訴状を作成し、適切な証拠を添付したうえで警察に提出しなければならず、専門的な知識が求められます。

弁護士が介入することで、次のようなサポートを受けることができます。

・証拠の整理・精査と保存方法のアドバイス
・告訴状の作成と法的主張の整理
・警察署や検察庁への同行
・被害届や供述調書作成時の助言
・被害者参加制度の利用に関する説明

特に、告訴状の内容は、警察が受理するかどうかに直結するため、弁護士のサポートがあるかどうかで進展に大きな差が出ることもあります。

違法な発言・投稿により精神的苦痛を被ったときは損害賠償請求のサポートができる

違法な発言や投稿により精神的苦痛を被ったときは、民事上の損害賠償請求を行うことができます。

弁護士に相談・依頼することで、民事上の責任追及においても以下のようなサポートを受けることができます。

・相手との交渉や訴訟対応
・内容証明郵便による警告
・SNS・掲示板運営者への投稿削除要請
・発信者情報開示請求(匿名の投稿者の住所氏名を特定する手続き)
・仮処分や訴訟手続による投稿削除

特に、匿名のSNS投稿については、加害者を特定するまでに専門的な手続きが必要となります。こうしたプロセスは弁護士でなければ難しい面が多いため、早期の相談が重要です。

死ねと言われたら一人で抱え込まずにグラディアトル法律事務所に相談を

死ねと言われたら一人で抱え込まずにグラディアトル法律事務所に相談を

「死ね」という言葉を受けたショックや不安は、決して軽視できるものではありません。たとえ冗談や感情的な一言であっても、精神的な苦痛が大きく、仕事や日常生活に支障をきたすこともあります。そのようなときは、一人で抱え込まず、法律の専門家に相談することで早期解決へとつながります。

グラディアトル法律事務所では、SNSでの誹謗中傷、学校や職場でのハラスメント、家庭内での暴言などさまざまな事案に対応可能です。「死ね」という言葉が脅迫罪や侮辱罪、自殺教唆などに該当する可能性があるかを法律的に判断し、必要に応じて告訴状の作成、投稿削除の手続、損害賠償請求などを行います。

初回相談は無料で、対面・電話・メール・LINE相談に対応しており、全国からご相談が可能です。誰にも相談できずに苦しんでいる方こそ、まずはお気軽にご連絡ください。弁護士があなたの気持ちに寄り添い、法的な視点から最善の対応をサポートします。

まとめ

「死ね」と言われたとき、多くの人は強いショックや怒り、恐怖を感じることでしょう。そのような発言が一時的なものであっても、受けた側にとっては深刻な精神的ダメージを伴うことがあります。とくにSNSや学校、職場、家庭など日常的な人間関係の中で繰り返されるようであれば、単なる暴言として片付けるべきではありません。

グラディアトル法律事務所では、SNSトラブルや暴言被害に関するご相談を多数受け付けており、迅速かつ丁寧な対応を心がけています。「この言葉は違法かもしれない」「相手に責任をとらせたい」と思ったときは、ぜひ一度ご相談ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。