脅迫罪の証拠とは?立証に必要な6つの証拠と集め方のポイントを解説

脅迫罪の証拠とは?立証に必要な6つの証拠と集め方のポイントを解説

「脅迫罪で訴えるための証拠にはどのようなものがある?」

「脅迫罪の証拠を残す際に注意すべきポイントとは?」

「脅迫罪の証拠がないとどうなる?」

「殺すぞ」「家族に危害を加える」——こうした言葉を投げつけられ、不安や恐怖を感じた経験はありませんか?

脅迫行為を受けたと感じても、脅迫罪として相手を刑事告訴するには「証拠」が必要です。

脅迫罪は、言葉や態度による威嚇的な行為が対象となるため、発言の内容や状況を裏付ける客観的な証拠がなければ、警察は動いてくれない可能性があります。

また、民事で慰謝料請求を検討している場合も、証拠がなければ加害者の責任を問うことは難しいでしょう。

このように脅迫罪を理由として法的責任追及をするには、証拠が不可欠となりますので、脅迫行為を受けたと感じたときは、必要な証拠を残しておくようにしましょう。

本記事では、

・脅迫罪の立証に有効な6つの証拠
・証拠を集める際に注意すべきポイント
・脅迫罪の証拠がないとどうなるのか

などについて詳しく解説します。

「これは脅迫では?」と感じたときは、ご自身の安全を守りながら適切に証拠を確保する方法を知っておくことが大切です。ぜひ最後までご覧ください。

脅迫罪を立証するための代表的な6つの証拠

脅迫罪は、言葉や態度によって相手の生命、身体、自由、名誉または財産に対する害悪を告知することで成立する犯罪です。このような犯罪行為を証明するには、脅迫の事実を客観的に示す証拠が必要です。以下は、脅迫罪の立証に有効とされる主な6つの証拠を紹介します。

証拠の種類内容
メール・LINE・SNSメッセージ「殺す」「燃やす」といった脅迫の文言が記載されたテキストメッセージ
通話記録・録音データ電話や対面での脅迫発言を録音した音声データ
脅迫文書や手紙手紙・封書・メモに書かれた脅迫内容。匿名の文書など
防犯カメラ・監視カメラ映像加害者が脅す様子が映った録画データ(自宅・施設・車載カメラなど)
証人の証言被害現場を目撃した家族・知人・同僚などの第三者による証言
その他の記録(メモ・日記など)被害者が自ら脅迫内容を記録したメモや日記、時系列の記録

メール・LINE・SNSのメッセージ

脅迫の言葉が書かれたテキストメッセージは、非常に重要な証拠です。

LINEやX(旧Twitter)、InstagramなどのSNSで「殺す」「家を燃やす」といったメッセージが送られてきた場合、そのスクリーンショットやデータを保存しておくことで、脅迫の具体的な内容が明らかにする証拠として利用することができます。

その際は、発言の前後のやり取りや流れも重要ですので、「冗談だった」などの言い逃れを防ぐためにも前後の文脈ごと保存しておくことが大切です。

通話記録・録音データ

脅迫行為が電話や対面で行われた場合、その内容を録音しておくことが有効です。スマートフォンやICレコーダーを活用し、「脅すような発言」があった瞬間を記録しておくと、非常に強力な証拠になります。

なお、一方的に録音すること自体は違法ではありません。相手の同意は不要ですので、自分の身を守るためにも相手にバレないように録音しておきましょう。

脅迫文書や手紙

脅迫内容が書かれた文書や手紙も証拠として有効です。

また、匿名の手紙であっても、筆跡鑑定や指紋採取により犯人が発覚することもありますので、すぐに捨ててしまうのではなく、念のため保存しておくべきでしょう

なお、このような文書は保管状態を良好に保ち、封筒も含めてそのままの形で保存するのが基本です。開封時の写真なども証拠力を補強する材料となります。

防犯カメラや監視カメラ映像

玄関先や職場などに設置されている防犯カメラの映像に、加害者が訪問して脅す様子が映っている場合は、極めて重要な証拠になります。また、店舗や公共施設においては監視カメラ映像の保存期間が短いため、早急に保存依頼を出すことが肝心です。

最近では、ドアベル型のカメラ付きインターホンやドライブレコーダーの録画データも証拠として使われることがあります。

証人(目撃者や第三者の証言)

脅迫が行われた場に第三者がいた場合、その人の証言も証拠となり得ます。家族、友人、同僚などが脅迫の発言を聞いていたり、現場を目撃していた場合は、警察の事情聴取に協力してもらいましょう。

ただし、証言の信用性は証人の関係性や記憶の鮮明さにも依存します。記憶が薄れる前に録音や陳述書などで証言を記録しておくとよいでしょう。

その他(メモ、日記など)

上記以外にも、自分自身が脅された内容を記録したメモや日記などが証拠となることがあります。たとえば、「○月○日午後10時ころ、自宅前で『殺すぞ』と怒鳴られた」といった内容を残しておけば、後日状況を補完する材料になります。

特に、繰り返し脅されている場合は、時系列で記録しておくことにより信憑性が高まるため、日々の記録が重要です。

脅迫罪の証拠を残す際に気を付けるべき5つのポイント

脅迫罪の証拠を残す際に気を付けるべき5つのポイント

証拠を集める際は、ただ記録するだけでなく相手に気づかれないよう慎重に行動することが大切です。ここでは、証拠を残すうえで注意すべきポイントを紹介します。

相手にバレないように証拠を残す

脅迫行為をする人物は、感情的かつ暴力的な性格であることが少なくありません。証拠を取っているとバレると脅迫がエスカレートし、危害を加えられるリスクが高くなります。

そのため、録音機を見えない場所に設置したり、スマホでさりげなく記録を取るなどの工夫が必要です。

不快なメッセージだからといって削除しない

脅迫の内容は恐怖や不快感を伴うため、「見たくないから」と削除してしまう方もいます。

しかし、それでは後から脅迫されたことを立証できなくなるおそれがあります。そのため、不快なメッセージだったとしてもできるだけ削除せず、クラウド保存やスクリーンショットなど複数の方法で保管しましょう。

メール・LINE・SNSのメッセージは前後の文脈も重要な証拠になる

「殺す」というメッセージが送られてきたとしても、相手から「冗談だった」と言い逃れされるリスクがあります。

しかし、頻繁に「殺す」「痛い目にあわせてやる」などのメッセージが送られてきている状況であれば、そのような言い訳は通用しません。このように前後の文脈も重要な証拠となりますので、直接的な脅迫のメッセージだけではなく、前後のメッセージについても証拠として残しておくことが重要です。

会話は最初から最後まで録音する

会話を録音する場合、録音は部分的でなく、最初から最後までの会話全体を記録しましょう。

そうすることで、発言の意図やニュアンス、脅迫に至る経緯が明確になり、弁護士や警察が違法性を判断しやすくなります。

突然脅迫された場合は、途中からの録音になってしまうのも仕方ありませんが、脅迫される可能性のある相手と会うときは、最初から録音しておくようにしましょう。

複数の証拠を残しておく

脅迫罪の証拠として、いくつか紹介してきましたが、1つの証拠だけでは「証拠として弱い」と判断される場合でも、複数の証拠を組み合わせることで脅迫行為を立証できる可能性があります。

そのため、1つの証拠だけで満足するのではなく、できる限り複数の証拠を集めておくようにしましょう。

証拠がないとどうなる?脅迫罪で証拠が必要な理由

証拠がないとどうなる?脅迫罪で証拠が必要な理由

脅迫を受けたという「被害者の主張」があっても、証拠がなければ警察も動けないのが現実です。以下では、証拠がないことで生じる主なデメリットを解説します。

警察が被害届や告訴状を受理してくれない

脅迫被害を受けたと感じて警察に相談しても、「それは被害妄想では?」「言いがかりでは?」などと判断され、被害届や告訴状を受理してもらえないケースも少なくありません。

・本当に「害悪の告知」があったか(殺す・家族に危害など)
・誰が・いつ・どこで・どういう形で行ったか

これらの事実を客観的に示せる資料やデータがなければ、警察に動いてもらうのは困難だといえるでしょう。特に、録音データやLINEメッセージなどがないと、「言った・言わない」の水掛け論になってしまい、警察も動きにくくなるのが実情です。

このように脅迫罪では、証拠の有無が事件化の分かれ目といっても過言ではありません。

加害者に対して慰謝料請求ができない

脅迫行為によって精神的な苦痛を受けた場合、加害者に対して慰謝料請求をすることができます。しかし、その事実を示す証拠がなければ、加害者に対して脅迫行為の立証ができず慰謝料を支払ってもらうのは困難です。

たとえば、

・夜中に電話をかけられ「殺すぞ」と言われた
・子どもに対して「家に火をつけるぞ」と言われた

などの被害を受けたとしても、それを裏付ける録音・記録がなければ、加害者側は「言っていない」と否定することができてしまいます。また、民事訴訟においても証拠がなければ、請求は認められませんので、刑事事件および民事事件のどちらにおいても証拠の有無が重要なポイントとなります。

脅迫罪の証拠を集める際に弁護士に相談するメリット

脅迫罪の証拠を集める際に弁護士に相談するメリット

脅迫行為を受けたとき、被害者自身で証拠を集めるのは精神的にも大きな負担となり、知識や経験がなければ適切な証拠を集めることができません。

以下では、脅迫罪の証拠収集において弁護士に相談する具体的なメリットを詳しく紹介します。

どのような証拠を集めるべきかアドバイスしてもらえる

脅迫罪の立証には、「何を」「どのように」記録しておくべきかの判断が重要です。しかし、一般の方が法律上有効な証拠かどうかを判断するのは困難です。

弁護士に相談すれば、

・今ある証拠が法的に有効か
・どのような手段で保存すればよいか
・不足している証拠をどう補えばよいか

といった具体的なアドバイスを受けることができます。

たとえば、「LINEメッセージをPDFで出力しておいた方がよい」「録音するなら発言の直前から記録しておくべき」といった、証拠価値を高めるための実務的なアドバイスをしてもらえるでしょう。

脅迫罪での刑事告訴のサポートをしてもらえる

脅迫罪で加害者の処罰を望む場合、被害届や告訴状を提出する必要があります。しかし、これらは法律的な形式や要件が複雑で、個人での作成は困難です。

弁護士に依頼することで、

・告訴状の作成(必要な法的記述・証拠の整理)
・警察や検察との窓口対応(事情聴取への同行含む)
・証拠提出時のサポート(物的証拠の整理、説明)

といった対応を一任することができます。

また、警察が受理を渋るようなケースでも、弁護士が介入することで事件化される可能性が高まるというメリットもあります。

代理人として慰謝料請求に対応してもらえる

脅迫行為によって精神的苦痛を受けた場合、加害者に対して慰謝料請求(民事請求)を行うことが可能です。しかし、加害者と直接交渉するのは、被害者にとって強いストレスであり、再度の脅迫や報復行為のリスクがあるため、自分一人で対応するのは避けるべきでしょう。

弁護士に依頼すれば、

・内容証明郵便による慰謝料請求や警告
・加害者との示談交渉の代理
・示談不成立時の民事訴訟の提起

まで、すべて任せることができます。

特に、加害者が「そもそも脅していない」「お金を払う義務はない」と開き直っているような場合、弁護士が代理人となることで法的責任を自覚させ、真摯な対応を促す効果が期待できます。

また、慰謝料の金額についても、弁護士が過去の判例や事例に基づいて適正な額を算定してくれるため、「相場がわからない」「少なすぎるかも」といった不安も解消できます。

脅迫罪の証拠収集は実績と経験豊富なグラディアトル法律事務所にお任せください

脅迫罪の証拠収集は実績と経験豊富なグラディアトル法律事務所にお任せください

脅迫罪は、言葉や態度で相手の恐怖心をあおる、非常に陰湿で悪質な犯罪です。しかも、こうした犯罪の多くは第三者のいない密室や私的なやり取りの中で行われるため、証拠を集めるのが難しく、被害者が泣き寝入りしてしまうケースも少なくありません。

しかし、適切な証拠さえ揃えることができれば、加害者に法的責任を問うことは十分可能です。そのためには、専門的な知識と経験を持った法律のプロフェッショナルである弁護士のサポートが不可欠です。

グラディアトル法律事務所には、これまでに数多くの脅迫事件を取り扱ってきた弁護士が在籍しています。豊富な経験と実績に基づき、今ある証拠の有効性やこれから集めるべき証拠についてのアドバイス、加害者に対する刑事および民事責任の追及のサポートなどに対応可能ですので、脅迫されて不安な方は、一度当事務所までご相談ください。

被害者の方が一日でも早く安心して日常を取り戻せるよう、グラディアトル法律事務所が全力でサポートいたします。

まとめ

脅迫罪の立証には、発言の内容や状況を裏付ける客観的な証拠が不可欠です。

自力での対応するのが難しい、相手からの報復が怖いなどの場合は、法律の専門家である弁護士に相談することがもっとも確実な方法です。

脅迫被害に遭ってお困りの方は、経験と実績豊富なグラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。