恐喝被害の対処法|被害者が知っておくべき刑事・民事裁判の手続き

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「恐喝被害に遭ったから裁判を起こしたいが、どのように進めればいいのかわからない」

「恐喝されたときの裁判には刑事裁判と民事裁判があると聞いたけど何が違う?」

「恐喝被害の裁判を弁護士に依頼するメリットとは?」

恐喝被害に遭ってしまったとき、「加害者に刑事罰を与えたい」「慰謝料を支払ってほしい」と考える方も多いのではないでしょうか。恐喝は重大な犯罪であり、警察への被害届や告訴によって刑事裁判に発展するケースがあります。また、被害者は精神的苦痛に対する慰謝料や、支払わされた金銭の返還を求めるために民事裁判を起こすことも可能です。

しかし、実際に裁判を起こす場合、どのような流れで進むのか、費用や期間はどのくらいかかるのかなど、不安や疑問を感じる方がほとんどでしょう。そのような不安を払拭するためにも、まずは恐喝被害の裁判に関する基本知識を身につけておきましょう。

本記事では、

・恐喝被害に遭った被害者の方が知っておくべき刑事裁判と民事裁判の違い
・刑事裁判と民事裁判の流れ
・弁護士に依頼するメリット

などについて詳しく解説します。

恐喝被害に適切に対応し、加害者への制裁や損害賠償を実現するために、ぜひ最後までお読みください。

恐喝被害にあったときに裁判を起こせる?

恐喝被害に遭ったとき、被害者は加害者に対して刑事告訴や民事訴訟を起こすことができます。ただ、刑事裁判と民事裁判では目的や手続きが異なるため、状況に応じた適切な対応が必要です。

項目刑事裁判民事裁判
目的加害者に刑事罰(懲役など)を科すこと被害者が金銭的救済を得る(損害賠償請求や慰謝料など)
手続き加害者が国家により処罰される手続き被害者が加害者に対して権利関係を解決するための手続き
加害者への対応国家が加害者に刑罰を与える(恐喝罪は10年以下の懲役)被害者が加害者に金銭的な賠償を求める(返金や慰謝料)
適用される法律刑法(恐喝罪:刑法249条)民法(損害賠償請求など)
必要な手続き返金や慰謝料を求めることはできない。刑事告訴が必要(警察への告訴状提出)損害賠償請求や慰謝料の請求には民事裁判を通す必要があり、刑事告訴とは別
加害者に懲役などの刑罰を科すことを目的加害者に対して返金や慰謝料を支払わせることを目的

刑事裁判と民事裁判の違い

刑事裁判は、加害者が国家によって処罰される手続きであり、刑法などの法律に違反した行為を罰するために行われます。

民事裁判は、個人間の権利関係を解決するための手続きで、被害者が加害者に対して損害賠償請求をする場です。

つまり、刑事裁判は加害者への刑事罰を目的とした手続きであり、民事裁判は被害者が金銭的救済を得ることを目的とした手続きという違いがあります。

刑事罰を与えたいなら刑事告訴

恐喝行為は刑法249条に規定される犯罪で、10年以下の懲役(拘禁刑)に処される可能性があります。

被害者として加害者に刑事罰を与えたい場合は、警察に告訴状の提出を検討します。告訴が受理されると、警察は捜査を開始し、検察官が起訴することで刑事裁判へと進んでいきます。

※「拘禁刑(こうきんけい)」とは、従来の刑罰である懲役と禁錮を一本化した刑罰です。改正刑法に基づき、2025年6月1日から、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されました。

返金や慰謝料を請求したいなら民事裁判

恐喝被害によって精神的苦痛を受けた場合、加害者に対して慰謝料を請求できます。また、恐喝によって支払わされた金銭がある場合、その返還を求めることも可能です。これらは民事裁判で解決を図ることになります。

刑事裁判は、加害者に対して刑事罰を科すことが目的ですので、被害者に生じた損害の回復を図ることができません。そのため、被害回復を実現するなら刑事裁判と並行して民事裁判の手続きも進めていかなければなりません。

恐喝被害の裁判を起こす費用と期間

恐喝被害の裁判を起こす費用と期間

恐喝被害の裁判には、刑事裁判と民事裁判で費用面・期間面で大きな違いがあります。

刑事裁判なら費用はかからない

刑事裁判は、国家が加害者を処罰するために行うものなので、基本的に被害者が費用を負担することはありません。ただし、告訴や被害届を提出する際に弁護士に依頼する場合は、その弁護士費用がかかります。

民事裁判だと印紙、郵便切手代、弁護士費用などがかかる

民事裁判では、訴訟提起時に裁判所に手数料(収入印紙)や郵便切手代を納める必要があります。また、訴訟を弁護士に依頼する場合は弁護士費用が発生します。弁護士費用は事務所によって異なりますが、着手金・報酬金ともに請求額の数%~数十%が相場です。

刑事裁判は2~3か月程度、民事裁判は半年~1年程度

刑事裁判は、起訴後2~3か月程度で判決が出ることが多いです。

民事裁判は、争点整理や証拠提出などで時間がかかり、判決まで半年から1年程度を要するのが一般的です。複雑な事案になると1年以上かかるケースもあります。

恐喝被害で刑事裁判になる場合の流れ

恐喝被害で刑事裁判になる場合の流れ

ここでは、恐喝事件で刑事裁判に至るまでの一般的な流れを解説します。被害者としては「実際に告訴してから裁判になるまで何が起きるのか」が最も不安なポイントですので、流れを正確に理解しておきましょう。

恐喝被害者による刑事告訴

恐喝被害に遭った被害者は、まず警察署に出向き、告訴状を提出することから始まります。告訴状には、被害を受けた日時や場所、恐喝行為の具体的内容、加害者の氏名・住所など特定に繋がる情報を記載しなければなりません。

恐喝の内容については、脅迫された言葉や要求内容をできる限り詳細に記載することが重要です。また、告訴状を提出する際には被害届と異なり「加害者を処罰してほしい」という明確な意思表示が必要になるため、弁護士に相談しながら作成するとスムーズです。

警察が恐喝事件として捜査を開始

告訴が正式に受理されると、警察は、恐喝事件の捜査を開始します。捜査段階では、まず被害者から詳しい事情聴取が行われ、恐喝の経緯、支払いの有無、処罰感情の有無・程度などを詳しく聞かれます。

また、録音データやメッセージ履歴、振込履歴などの恐喝被害の証拠がある場合、証拠提出も求められます。捜査の進展状況に応じて、再度警察署に呼ばれて追加説明を求められる場合もあります。

被疑者が警察から任意出頭を求められる

加害者(被疑者)の所在や身元が判明すると、警察は任意出頭を要請します。任意出頭とは、逮捕や勾留ではなく、被疑者本人に出頭を促して事情聴取を行う手続きです。

この段階では、被疑者に逮捕状は発付されていないため、警察署に出向くことを拒否することも可能ですが、拒否が続いたり、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合には逮捕へと切り替わることがあります。

逃亡・証拠隠滅のおそれがある場合は逮捕・勾留される

被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、警察は逮捕状を請求して逮捕に踏み切ります。逮捕されると最大72時間、警察署で身柄を拘束されます。

この72時間以内に検察官が勾留請求を行い、裁判官が勾留を認めれば、さらに10日間(延長で最大20日間)身柄が拘束され、取り調べや証拠収集が継続されます。

検察官が恐喝事件として起訴する

警察の捜査結果を踏まえて検察官が最終的に起訴・不起訴を判断します。恐喝罪は親告罪ではないため、告訴が取り下げられても起訴される可能性があります。

起訴には「略式起訴(罰金刑のみ)」「正式起訴(公判請求)」がありますが、恐喝罪の法定刑には罰金刑が存在しませんので、恐喝事件で起訴されれば必ず正式起訴となり、公開の法廷で審理が行われることになります。

刑事裁判で審理・判決

起訴されると刑事裁判が始まります。裁判では検察官が恐喝罪の成立を主張・立証するため、証拠や証人尋問を通じて犯罪事実が明らかにされます。一方、被告人側(加害者側)は、無罪主張や量刑軽減を求める弁護活動を行います。

被告人側が無罪を主張している事件では、被害者が証人として出廷し、脅迫された言動や被害状況を証言することが求められる場合もあります。

このような審理を踏まえて最終的に裁判官が判決を言い渡します。初犯であれば執行猶予が付くケースが多いですが、被害金額が大きい場合や前科前歴があるような場合には実刑となる可能性もあります。

恐喝被害で民事裁判になる場合の流れ

恐喝被害で民事裁判になる場合の流れ

恐喝被害で加害者に慰謝料請求や支払わされた金銭の返還請求をする場合、まずは任意の支払いを求めるところから始まり、最終的には裁判手続きへ進むこともあります。ここでは、民事裁判に至るまでの流れと各段階のポイントを詳しく説明します。

加害者に対して損害賠償を求める通知書を送付

まず、加害者に対して損害賠償を求める通知書を内容証明郵便を利用して送付します。この通知書は、単なる請求書ではなく、恐喝被害によって生じた精神的苦痛や支払わされた金銭に関する損害額、支払い期日、支払い方法などを具体的に記載する必要があります。

また、内容証明郵便を利用することで、「いつ」「どのような内容の通知を送付したか」を証拠として残せるため、後の裁判でも有効な証拠となります。また、通知書には、期日までに支払いがない場合は法的措置(訴訟提起)を検討する旨を記載しておくことで、加害者に対して心理的圧力をかける効果も期待できます。

加害者と示談交渉をする

通知書を送付すると、加害者本人または弁護士から連絡がくることがあります。支払いに応じる意思が示されれば、示談交渉に入ります。示談交渉では、慰謝料額や支払い方法、支払期日などを取り決め、示談書として書面化します。

示談が成立し、実際に支払いが履行されれば、民事裁判を行う必要はありません。

交渉が決裂したときは損害賠償請求訴訟を提起

加害者が支払いに応じない、または不誠実な対応を続ける場合、裁判所に対して損害賠償請求訴訟を提起します。

訴訟提起の際には、訴状とともに恐喝行為の存在と被害額を立証する証拠を提出することが重要です。具体的には、加害者とのやり取りの録音データやLINE履歴、振込明細、診断書などが必要になります。

口頭弁論期日・弁論準備期日を重ねる

訴訟提起後、裁判所から第1回口頭弁論期日が指定されます。被告(加害者側)が答弁書を提出しなかった場合は、請求認容(勝訴)判決が下ることもありますが、多くの場合は被告が答弁書を提出しますので、続行期日が指定されます。

その後、原告・被告双方の主張書面(準備書面)提出や証拠提出が続きます。争点が複雑な場合や証拠が多い場合は、弁論準備期日を重ねて争点整理を行い、その後に証人尋問などが実施されます。

なお、裁判の期日は、1か月に1回程度のペースで開かれますので、争点整理が終わるまでには半年以上の期間を要します。

和解または判決

裁判の途中で、裁判所から和解を勧められることがあります。和解では、裁判官が示す心証に基づき、当事者双方が譲歩して合意に至るケースが多く、判決よりも早期解決できるメリットがあります。

しかし、加害者が誠実に対応しない場合や、支払い能力がなく和解条件が履行されない可能性が高い場合には、判決まで進める方が望ましいケースもあります。

判決で、被害者側の請求が認められれば加害者に慰謝料の支払い義務が課されますが、加害者が任意に支払いに応じないときは、後述する強制執行の申立てが必要になります。

強制執行の申立て

判決で加害者に支払いが命じられても、任意に支払わない場合は強制執行を申し立てることになります。強制執行とは、加害者の財産を差し押さえて回収する手続きであり、預金口座や給料債権、不動産などが差し押さえ対象になります。

強制執行をするには、差押対象財産の調査が必要ですので、弁護士を通じて財産開示手続きや第三者への情報照会を行っていきましょう。

恐喝被害の裁判では証拠が重要|集めるべき証拠とは?

恐喝被害の裁判では証拠が重要|集めるべき証拠とは?

恐喝被害で刑事告訴や民事訴訟を行う場合、証拠が裁判結果に大きく影響します。以下では、恐喝被害の裁判で集めるべき主な証拠を紹介します。

加害者との会話の録音

恐喝の脅迫的言動を録音したものは、もっとも重要かつ強力な証拠の一つになります。

たとえば、

・「金を払わないと家族に危害を加えるぞ」
・「会社にバラされたくなかったら払え」

といった具体的な脅迫文言が録音されていれば、恐喝罪の成立要件である脅迫または暴行による害悪の告知が明確になります。

なお、録音はスマートフォンやICレコーダーで行い、編集や改変を加えずに保存しておきましょう。

加害者とのメッセージのやり取り

LINE、SMS、メール、SNSのDMなどのメッセージによる脅迫や支払い要求も重要な証拠となります。

このようなメッセージが存在する場合、スクリーンショットを撮るだけでなく、可能な限り元データを保存しておきましょう。元データには送信日時や送信元情報などが含まれており、改ざんされていない客観的証拠としての価値が高いです。

預貯金の取引履歴

恐喝によって実際に金銭を支払った場合、その振込履歴やATM引き出し履歴も証拠となります。通帳コピー、ネットバンキングの取引履歴画面、ATM利用明細票などを保存しておきましょう。

加害者から現金で支払うよう指示された場合でも可能であれば振込に切り替えて記録を残すことが望ましいです。どうしても現金で支払わざるを得なかった場合は、渡した日付・場所・金額・相手の反応などを詳細にメモしておくと、後日の供述の信用性を高めることができます。

医師の診断書やカルテ

恐喝行為によって精神的苦痛を受け、体調不良やメンタル不調で通院した場合は、医師の診断書やカルテも重要な証拠となります。

・PTSD
・適応障害
・不安障害
・不眠症

などの診断が記載されていれば、被害の深刻さを裁判所に客観的に示すことができます。

恐喝被害にあったときに弁護士に依頼するメリット

恐喝被害にあったときに弁護士に依頼するメリット

恐喝被害に遭った場合、被害者自身で告訴や示談交渉、損害賠償請求を進めることも不可能ではありません。しかし、被害者にとって精神的負担も大きく、対応を誤ると別の被害を招くリスクがあるため弁護士に依頼するのがおすすめです。

以下では、弁護士に依頼することで得られる具体的なメリットを詳しく解説します。

刑事告訴の手続きをサポートしてもらえる

恐喝被害で加害者に刑事罰を与えたい場合、刑事告訴が必要ですが、告訴状には法律上の要件を満たす記載が求められます。被害の具体的状況、恐喝行為の日時・場所・態様、加害者の特定情報などを正確に記載しなければ、告訴が受理されない可能性もあります。

弁護士に依頼すれば、

・告訴状の作成
・記載内容の法的チェック
・警察への提出手続き
・事情聴取に対するアドバイス

といったサポートを受けられるため、被害者の負担を大きく軽減できます。

また、告訴状に弁護士名が記載されていることで、警察が事件をより重く受け止め、迅速に捜査を開始する可能性が高まるという実務上の効果も期待できます。

加害者との示談交渉や裁判手続きを任せられる

恐喝事件では、加害者と直接対峙する場面が避けられないことも多く、被害者本人が交渉や訴訟対応を行うのは大きな精神的ストレスとなります。

弁護士に依頼すれば、加害者や加害者代理人との示談交渉をすべて任せることができ、被害者が直接やり取りする必要がなくなります。

また、示談が成立しない場合は損害賠償請求訴訟に移行しますが、訴訟手続きは煩雑かつ専門的な手続きですので、知識や経験に乏しい一般の方が自分自身で対応するのは非常に困難です。

このような訴訟手続きも弁護士に依頼すればすべて一任できますので、被害者は最低限の負担で裁判を進めることが可能です。

適正な慰謝料を請求できる

恐喝被害による慰謝料額は、被害状況、加害行為の態様、支払わされた金額、精神的苦痛の程度などによって大きく異なります。相場観が分からないまま交渉すると、本来請求できる金額よりも大幅に低い金額で示談してしまうおそれがあります。

弁護士に依頼すれば、判例や過去の事例に基づく適正な慰謝料額の算定が可能となり、被害者として最大限の経済的救済を得ることができます。

また、加害者の資力調査や強制執行手続きを見据えた回収までのサポートが受けられるため、安心して対応を任せられます。

恐喝被害の裁判対応はグラディアトル法律事務所にお任せを

恐喝被害の裁判対応はグラディアトル法律事務所にお任せを

恐喝被害に遭ったとき、加害者への告訴や損害賠償請求を進めるには、証拠収集や手続き、交渉など多くのハードルがあります。一人で対応しようとすると、恐怖心や不安から行動に踏み切れず、結果として泣き寝入りしてしまう方も少なくありません。

グラディアトル法律事務所では、恐喝被害者の方が適切な法的救済を受け、安心して日常生活を取り戻せるよう、刑事告訴から示談交渉、民事訴訟、強制執行まで一貫したサポートを提供しています。

また、当事務所では、単なる法的手続きの代理に留まらず、被害者の方が精神的にも安心して生活できるよう、迅速・丁寧かつ寄り添う対応を心がけていますので、どうぞ安心してご相談ください。

グラディアトル法律事務所では、初回相談は無料で受け付けています。

24時間365日相談可能ですので、困ったときはすぐにお問い合わせください。

まとめ

恐喝被害に遭ったとき、加害者を処罰するためには刑事告訴を、慰謝料や返還金を請求するためには民事訴訟を検討する必要があります。裁判を進めるには適切な証拠収集が不可欠であり、手続きや交渉には専門知識が求められます。

早期に弁護士へ相談し、適切な対応をとることで心身の負担を軽減し、被害回復を図ることができますので、恐喝被害でお悩みの方は、グラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。